社葬に香典は持っていくべき?金額相場や袋の書き方、参列マナーを解説
社葬に参列する際には、香典を持っていくべきなのか迷う方も多いでしょう。本記事では、社葬における香典の必要性について解説します。香典の金額や表書きの書き方を知りたい方もぜひ参考にしてください。記事の後半では、社葬に参列する際のマナーも解説します。
社葬とは
そもそも社葬とは、どのような形態の葬儀なのでしょうか。まずは社葬の定義や一般的な葬儀との違いを紹介します。
会社の発展に大きく貢献した人を弔う葬儀
社葬とは、会社の発展に大きく貢献した人を弔うための葬儀です。会社が施主となって行うことが特徴で、一般的には創業者や社長、役員などが亡くなった際に行われます。そのほかには、業務中の事故で亡くなった人を社葬で弔うこともあります。
社葬の参列者はご遺族や社員の他、取引先や株主など多岐に渡るため、一般的なお通夜や葬儀よりも規模が大きくなることが多いです。葬儀の大まかな流れは一般的な葬儀と変わりありませんが、葬儀実行委員会を発足し、入念に準備を進めることが多いです。
一般的な葬儀との違い
社葬と一般葬の大きな違いは、喪主と施主が異なることです。一般的な葬儀では遺族が喪主と施主を兼ねることが一般的ですが、社葬では喪主は遺族ですが施主は会社が担い、葬儀実行委員長を会社の社長などが担います。社葬では、遺族は葬儀の運営には関わらないのが一般的で、費用は会社が負担することが多いです。
社葬と似たような葬儀の形式として、合同葬があります。合同葬は遺族と会社が合同で執り行う葬儀です。社葬とは異なり、運営の仕方は遺族と会社で話し合って決めることが多いです。
社葬の流れ
社葬の流れは一般的な葬儀と大きく変わりません。基本的には下記の流れで進行していきます。
社葬当日の流れ
- 開式の辞
- 黙祷
- 故人の経歴・功績紹介
- 弔辞
- 弔電奉読
- 葬儀実行委員長謝辞
- 喪主挨拶
- 献花
- 閉式の辞
社葬に香典は持っていくべきか?
社葬に参列する時は、香典を持っていくべきか悩むこともあるでしょう。香典が必要かどうかは、会社の方針によって異なります。香典の有無は葬儀の案内状に従って判断をしましょう。
社葬では香典を辞退している場合が多い
社葬では、あらかじめ参列者に香典辞退の意向を示している場合が多いです。理由として、香典を受け取ると社内での税務処理が複雑になることが挙げられます。
香典を辞退された場合は、先方の意向に沿って香典を用意しないのが一般的です。社葬に参列する際には、案内状に香典辞退の旨が記されていないか確認しましょう。
香典辞退の連絡がなければ用意する
社葬の案内状に香典に関する記述がなければ、香典を持参して葬儀に参列します。会社の代表として葬儀に参列する場合は、香典は接待交際費として会社の経費で処理することができます。社葬の案内状を保管し、支払い先や金額などが第三者にも分かるようにしましょう。
香典のマナーは一般的な葬儀と同様です。新札を避けて、香典袋に入れて渡します。
社葬における香典の金額相場
社葬に参列する場合、香典をいくら包めばいいのか分からない方も多いでしょう。ここでは、社葬における香典の金額相場を紹介します。
香典の金額は、取引先の社葬に参列する場合と自社の社葬に参列する場合で異なります。ご自身の状況に応じて、確認してみてください。
取引先の社葬に参列する場合の金額相場
会社の代表として取引先の社葬に参列する場合は、5万円~10万円が相場です。香典の金額は、取引先との関わりの深さや社会的地位によって異なります。親交の深い取引先の場合、最大20万円まで包むこともあります。
香典の金額は社内規定で金額が定められていることが多いです。葬儀当日までに経理や総務の担当者に確認すると安心でしょう。
自社の社葬に参列する場合の金額相場
自社の社葬の香典金額は、故人との関係性や年齢によっても異なります。
自社の社葬に参列する場合の金額相場
- 相手が上司の場合:5千円~1万円
- 部下や同期の場合:3千円~1万円
- 社長の場合:5千円~1万円
40代以上の場合は1万円を包むのが一般的です。
しかし、自社の社葬に参列する場合は、香典辞退されることが多いです。香典辞退された場合はわざわざ用意をする必要はありませんが、香典について特に指示されていなければ準備が必要です。
社葬に持参する香典袋の書き方
社葬の香典は、一般的な葬儀と同様に香典袋に包んでお渡しします。ここからは、香典袋の表書きや中袋の書き方のマナーを紹介します。
表書き
香典袋の表書きには、「御香典」もしくはより丁寧な「御香奠」と記載するのが一般的です。そのほかには「御霊前」と記載することもあります。これらはいずれも仏式の書き方です。神道の場合は「御玉串料」や「御榊料」、キリスト教の場合は「御霊前」「御花料」と記載します。
表書きの下段には、香典の送り主の名前を記載します。会社として香典を出す場合は、中央に代表者名、右側に会社名を記載しましょう。
中袋
中袋には、表面に金額を記載し、裏側に送り主の住所や名前を記載します。会社の代表として参列する場合は、会社の住所を記載するのが一般的です。
金額を書く時は「金◯◯圓也」と頭に金を付けて数字を記載します。この時記載する数字は、壱(一)、弐(二)、参(三)、伍(五)、拾(十)、阡(千)、萬(万)を使います。
薄墨の筆で書く
香典袋は、薄墨の筆で記載します。これは、涙がこぼれて墨が薄まったという意味が込められています。本物の筆を用意するのが大変な場合は、弔事用の薄墨の筆ペンを用いると便利です。
中袋の住所などの細かい文字が筆では書きにくい場合は、サインペンを使用しても構いません。しかし、ボールペンや鉛筆で記載するのはマナー違反なため避けましょう。
香典袋の選び方
香典は水引の付いた香典袋に入れてお渡しします。水引は結び切りで、色は黒白が一般的です。一部の地域では、黄白の水引を用いることもあります。
水引は、印刷されているものと本物の水引が結ばれているものがあります。香典の金額が少ない場合は印刷されているもの、高額な時は本物の水引が結ばれているものといったように金額によって使い分けましょう。
社葬に参列する際のマナー
社葬ならではのマナーもあるため、あらかじめ注意点を確認しておきましょう。
取引先の社葬は故人と同等以上の役職者が参列する
取引先の社葬に参列する場合は、故人と同等以上の役職者が参列します。故人よりも下の役職の人が参列するのは失礼に当たるため、人選には注意をしましょう。
故人と同等以上の役職者が参列できない場合は、代理人を立てて対応します。代理人が参列する場合は、本来出席するだった人の名刺を持っていき、芳名帳には代理人であることが分かるようにします。そして葬儀が終わった後は、役職者が欠席したことに対する詫び状を送りましょう。
社葬での名刺交換や商談はマナー違反
社葬では、さまざまな企業の役職者が参列しますが、会場で名刺交換をするのはマナー違反です。社葬は故人を弔う場なため、ビジネスと結びつけるのは失礼に当たります。
名刺交換と同様に、商談や打ち合わせをするのも厳禁です。普段から仕事でやりとりがある人と会っても、会場内で商談をするのは控えましょう。
弔辞の依頼があれば引き受ける
故人との親交の深さによっては、先方の会社から弔辞を依頼される場合があります。弔辞を依頼された際は、快く引き受けましょう。先方は、会社や役職、親交の深さなどさまざまな要素を考慮して人選しています。そうした思いを汲み取るためにも、引き受けるようにしましょう。
一般的に弔辞の奉読は3分~4分です。あらかじめ内容を考えて、時間内に収まるように調整しましょう。
社葬に参列する際の服装や持ち物
社葬に参加する時の服装や持ち物は、一般的な葬儀と変わりありません。男性はブラックスーツ、女性はブラックのワンピースやアンサンブルなどを着用して参列します。靴や鞄も黒で統一し、光沢感のある素材は避けましょう。
当日の持ち物は、香典、袱紗、数珠、名刺などです。特に社葬では名刺は必須なため、忘れないようにしましょう。受付で名刺を渡す時は、名刺の右上に「弔」と記載します。これは社葬に誰が参列したか分かるようにするためです。「弔」の文字を記載しない場合は、名刺の左下を折り曲げてから渡すようにしましょう。
香典の渡し方
香典を渡すタイミングは、会場に到着して受付で芳名する時です。芳名がすんだら香典を袱紗から取り出し、畳んだ袱紗に乗せて渡しましょう。この時、表書きが相手から読める向きで渡すのがポイントです。
社葬の場合は、香典と一緒に名刺もお渡しするため、すぐに取り出せるように準備をしておきましょう。
社葬のマナーに関してよくある質問
最後に、社葬に関するよくある質問を紹介します。香典返しや供花について詳しく知りたい方は、ぜひ確認してください。
Q. 社葬の香典返しは誰が行う?
社葬では香典を辞退される場合が多いため香典返しは行わないのが一般的ですが、香典を受け取った場合は遺族が香典返しを送ります。社葬で預かった香典は、遺族に渡すことが多いためです。
香典返しは会社からではなく、ご喪家から送られてくることが多いと認識しておきましょう。香典返しが送られてくる時期は、忌明けから二週間以内です。
Q. 社葬に供花を送ってもよい?
香典が辞退されている場合でも、供花を送っても問題ありません。何も用意せずに参列することに抵抗がある場合は、供花を用意しましょう。
ただし、供花や供物の受け取りも辞退されている際には、何も用意せずに参列するのが無難です。お返しの手間を省きたいという先方の都合もあるため、案内に従いましょう。
香典や参列時のマナーを踏まえて社葬に参列しましょう
この記事のまとめ
- 社葬とは会社の発展に大きく貢献した人を弔うための葬儀のこと
- 社葬では香典は辞退される場合が多い
- 取引先の社葬で香典を持参する場合の金額相場は5万円~10万円
- 取引先の社葬には故人と同等以上の役職者が参列する
- 社葬での名刺交換や商談はマナー違反
社葬では香典辞退をされる場合が多いため、案内状に辞退の意向が記されていた場合は従うようにしましょう。何も用意せずに参列するのが忍びない場合は、供花や供物を用意して参列する方法もあります。
香典を用意する場合は、相場や会社の規定を確認しながら金額を決めましょう。今後の会社同士の関係にも影響してくるため、マナーを踏まえて失礼のない言動を心掛けることが大切です。