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お金・お家のこと

「60代からの資産運用」年金だけでは不安な老後におすすめの投資信託を紹介

「60代からの資産運用」年金だけでは不安な老後におすすめの投資信託を紹介

高齢化社会により、年金だけで老後を過ごすのが難しくなってきています。老後資金が足りない場合は、資産運用でお金を増やすのが有効です。60代から資産運用に取り組む場合は、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。今回は、60代から資産運用を始める必要性やおすすめの投資信託について解説します。

監修者 SUPERVISOR
公認会計士/税理士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士 岸田 康雄

平成28年度経済産業省中小企業省「事業継承ガイドライン」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施作研究調査会「事業継承支援専門部会」委員、東京中小企業診断士委員会「事業継承支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。中央青山監査法人にて会計監査及び財務デュー・デリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルネスマネジメント営業部、みずほ証券投資銀行部M&Aアドバイザリーグループ、メリルリンチ日本証券プリンパル・インベストメント部不動産投資グループなどに在籍し、中小企業の事業継承から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業継承とM&A業務を遂行した。現在は、相続税申告と相続・事業継承コンサルタント業務を提供している。

60代から資産運用を始める必要性

「人生100年時代」を迎え、60代から資産運用に取り組む必要性は高まっています。まずは、60代から資産運用を始めるべき理由を確認していきましょう。

年金だけでは老後資金が不足するリスクがある

平均寿命が延びて老後の生活期間が長くなっていることから、年金だけでは生活費が不足する恐れがあります。日本年金機構によると、2022年(令和4年)4月分からの年金額は以下の通りです。

厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)

月額21万9,593円

国民年金(1人分の満額の年金額)

月額6万4,816円

厚生年金の標準的な年金額は、平均標準報酬(賞与を含む月額換算)43.9万円で40年間就業し、老齢厚生年金と夫婦2人分の老齢基礎年金(満額)を受け取ることを前提とした給付水準となります。

生命保険文化センターの調査によると、ゆとりある老後に必要なお金は夫婦二人で月額約38万円です。標準的な年金額を受け取れたとしても、ゆとりある老後生活には月額約16万円不足します。不足額は10年で1,920万円、20年で3,840万円です。

加入している年金制度によって、将来もらえる年金額は変わってきます。また、必要な生活費は世帯によって差があります。今のうちに、年金だけで生活した場合に生活費がいくら不足するかを試算しておくことが大切です。

預貯金だけで資産を増やすのは難しい

日本は低金利が続いており、預貯金だけでお金を増やすのは難しい状況です。
2023年(令和5年)2月現在、都市銀行の普通預金金利は年0.001%となっています。仮に1,000万円を預け入れても、もらえる利息は1年で100円(1,000万円×0.001%)です。利息には税金が約20%かかるため、手取りは約80円に減ってしまいます。

預貯金は元本が保証されており、すぐに引き出せるため、近いうちに使う予定のお金の置き場所には最適です。しかし、将来に向けてお金を増やしていきたい場合は、資産運用を考える必要があるでしょう。

資産寿命を延ばせる

資産寿命とは、これまで形成してきた資産(預貯金、金融商品など)が尽きるまでの期間のことです。
定年退職後に年金だけでは生活できない場合、保有資産を取り崩して生活費に充てなくてはなりません。安心して老後を過ごすには、少しでも資産寿命を延ばすことが重要です。

60代以降も資産運用を続けることで、資産寿命を延ばす効果が期待できます。具体例として、65歳から3,000万円を毎月16万円取り崩す場合のシミュレーション結果を確認しましょう。

運用利回り

資産寿命

0%(運用しない)

約15年(約80歳)

3%

約21年(約86歳)

5%

約31年(約96歳)

まったく運用しない場合、資産は約15年で尽きてしまいます。しかし、利回り3%で運用しながら取り崩す場合は約21年、利回り5%なら約31年まで資産寿命を延ばすことが可能です。

インフレへの備えになる

資産運用は、インフレ(物価上昇)への備えとしても有効です。

物価が上昇すると、同じものを買うのに今までより多くのお金が必要になるため、お金の価値が下がってしまいます。

1,000円でジュースを買う場合、1本100円なら10本買えます。しかし、1本200円に値上がりすると5本しか買えません。これは、1,000円の価値が半分になったのと同じ状態です。

インフレ時に預貯金だけを保有していると、資産は目減りしてしまいます。しかし、株式などの金融商品は物価上昇時に価格が上昇する傾向にあるため、インフレへの備えになります。

60代からの資産運用は「投資信託」がおすすめ

投資信託とは、多くの投資家から集めた資金を一つにまとめ、専門家が株式や債券などで運用を行う金融商品です。「ファンド」と呼ばれることもあります。

60代から資産運用を始めるなら、投資信託がおすすめです。ここでは、投資信託の特徴やメリットを紹介します。

運用をプロに任せられる

投資信託は、専門家が投資対象となる資産や銘柄を選定して運用を行います。運用をプロに任せられるため、株式投資のように自分で銘柄を選ぶ必要はありません。投資信託であれば、投資経験がない人でも始めやすいでしょう。

少額から分散投資が可能

投資信託は、1,000円程度の少額から購入可能です。まとまったお金を準備しなくても、手元にあるお金ですぐに始められます。

また、投資信託は1本で株式や債券、リートなどさまざまな資産・銘柄、また複数の国や地域ごとに分散投資を行うのも特徴です。投資先を分散することで、特定の銘柄が値下がりしても、他の銘柄の値上がりで損失をカバーできます。

NISAが利用できる

NISAとは、個人の資産形成を支援するための少額投資非課税制度です。

投資の利益には、通常約20%の税金がかかります。資産運用の利益が100万円の場合、利益のうち手元に残るのは約80万円です。

しかし、NISA口座で購入した金融商品の運用益には課税されないため、利益100万円がそのまま手元に残ります。NISAをうまく活用すれば、効率よく資産を増やすことが可能です。

現行のNISA制度は「つみたてNISA」と「一般NISA」の二つがあり、どちらかを選択して利用します。つみたてNISAは年40万円まで購入でき、最長20年間非課税で保有できます。一般NISAは年120万円まで、非課税保有期間は最長5年間です。

また、2023年(令和5年)度税制改正大綱において、NISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が示されています。2024年からは新しいNISAがスタートし、現行のつみたてNISAと一般NISAは一本化される予定です。

売買時や保有中にコストがかかる

投資信託は、売買時や保有中に以下のようなコストがかかります。

投資信託の主なコスト

  • 購入時手数料:投資信託を購入するときに販売会社に支払う手数料
  • 信託報酬:運用中に信託財産から差し引かれる運用管理費用
  • 信託財産留保額:投資信託を売却するときに徴収される金額

投資信託のコストは、商品によって異なります。運用コストは投資成果に影響を与えるため、よく確認しながら手数料の低い商品を選ぶといいでしょう。具体的なポイントは、次の見出しで詳しく説明します。

60代の投資信託選びのポイント

国内では、約6,000本の投資信託が販売されています。自分に合った投資信託を見つけるには、どのような項目を確認すればよいのでしょうか。ここでは、60代の投資信託選びのポイントを紹介します。

投資対象資産

投資信託の主な投資対象資産は以下の通りです。

投資信託の主な投資対象資産

  • 国内株式
  • 海外株式
  • 国内債券
  • 海外債券
  • 国内不動産(リート)
  • 海外不動産(リート)

株式は価格変動幅が大きく、債券よりも高いリターンが期待できますが、その分リスクも高まります。また、投資家から集めた資金でオフィスビルなどの不動産を購入し、賃貸収入や売却益を投資家に分配する不動産投資信託もあります。

資産を増やしたい場合は国内外の株式、投資先を分散させてリスクを抑えたい場合は国内外の債券や不動産なども組み合わせるといいでしょう。

運用コスト

運用コストは、まず信託報酬を確認しましょう。

金融庁の資料によると、100万円を投資して信託報酬控除前リターンが4.5%の場合、信託報酬が1%違うと、20年間で運用成果に約33万円の差が生じます。長期の運用成果に大きな影響を与えるため、なるべく信託報酬が低い投資信託を選ぶことが大切です。

また、購入時手数料や信託財産留保額については、できるだけ無料の商品を選ぶといいでしょう。

純資産総額

純資産総額とは、投資信託の規模を表す指標です。投資信託(ファンド)に組み入れられている株式や債券などの価格に配当を加え、コストを差し引いて算出します。純資産総額が小さいと運用効率が下がり、途中で運用終了となるケースもあるため要注意です。 明確な基準は存在しませんが、純資産総額は100億円以上を目安にするといいでしょう。

毎月分配型や高レバレッジ型は避ける

毎月分配型は、分配金が毎月支払われるタイプの投資信託です。「分配金で生活費を補える」という理由で、シニア世代を中心に人気があります。

しかし、長期的に運用する場合は、分配金を出さずに複利運用するほうが、資産が増えやすくなります。また、信託報酬などの運用コストも割高な傾向にあります。60代から資産運用を始めても10年、20年といった長期で運用を続けられるため、毎月分配型は避けたほうがいいでしょう。

また、高レバレッジ型も避けるべき投資信託の一つです。高レバレッジ型投資信託は、値動きが対象指数(日経平均株価など)の数倍になるように運用されます。短期間で大きな利益が狙える一方で、相場が逆の方向に動いたときは損失も大きくなります。ハイリスク・ハイリターンな商品のため、60代からの資産運用では避けましょう。

60代におすすめの投資信託

ここでは、60代におすすめの投資信託を二つ紹介します。

全世界株式インデックスファンド

全世界株式インデックスファンドとは、日本を含む先進国と新興国の株式を投資対象とする投資信託です。1本保有するだけで、国内外の株式に分散投資ができます。

インデックスファンドとは、日経平均株価などの特定の株価指数に連動する投資成果を目指して運用される投資信託のことです。市場平均のリターンが期待でき、信託報酬などの運用コストも低い傾向にあるため、中長期の運用に向いています。

株式に投資して資産運用をしたい場合は、全世界株式インデックスファンドを検討しましょう。

バランスファンド

バランスファンドとは、国内外の株式、債券、不動産などを投資対象とする投資信託です。1本でさまざまな資産に分散投資ができるため、リスク軽減効果が期待できます。資産を大きく増やすより、リスクを抑えて安定的な運用をしたい場合はバランスファンドを検討しましょう。

60代から資産運用を始めるときの注意点

60代から資産運用を始めるときは、以下の点に注意が必要です。

保有資産を整理する

資産運用を始める前に、保有資産を整理しましょう。どのような資産をいくら保有しているかを把握したら、「生活費や近いうちに使う予定のお金」と「しばらく使う予定がないお金」に分けます。

生活費などは、すぐに使えるように預貯金で確保しておくことが大切です。しばらく使う予定がないお金のうち、「リスクをとって運用してもいい」と思える分を資産運用に回しましょう。

ネット証券を利用する

投資信託は店舗型の証券会社や銀行でも買えますが、なるべくネット証券を利用しましょう。ネット証券は投資信託の商品ラインナップが豊富で、手数料が安いのが魅力です。また、自宅のパソコンやスマートフォンから好きなときに取引できます。操作などで分からないことがあれば、電話で問い合わせることも可能です。

ただし、ネット証券は対面で相談できません。担当者と相談しながら投資信託を選びたい場合は、店舗型証券会社や銀行を利用するといいでしょう。

リスクを取りすぎない

60代からの資産運用では、リスクのとりすぎに注意しましょう。若い年代であれば、損失が出ても給与収入でカバーできます。しかし、60代以降に資産を大きく減らしてしまうと、老後の生活に支障が出る恐れがあります。

「預貯金を多めに確保する」「株式だけでなく債券も組み合わせる」など、分散投資でリスクを抑えながら安定的なリターンの獲得を目指しましょう。

資産管理方法を家族と相談する

60代から資産運用を始める場合は、資産管理方法を家族と相談しておくことも大切です。年齢とともに認知機能が低下し、投資判断を行うのが難しくなる可能性もあります。成年後見制度の活用など、将来に備えて運用資産の管理方法を考えておきましょう。

60代は投資信託を活用した資産運用で老後に備えよう

この記事のまとめ

  • 年金だけでは老後資金が不足する恐れがある
  • 60代以降も資産運用を続けることで、資産寿命を延ばす効果が期待できる
  • 60代から資産運用を始めるなら「投資信託」がおすすめ
  • 投資信託を選ぶときは「投資対象資産」「運用コスト」「純資産総額」を確認し、毎月分配型や高レバレッジ型は避ける
  • 60代におすすめの投資信託は「全世界株式インデックスファンド」と「バランスファンド」
  • 資産運用を始める前に保有資産を整理して、運用にいくら回すかを決める
  • 60代からの資産運用ではリスクのとりすぎに注意する

高齢化社会で老後の生活期間が延びているため、年金だけでは生活費が不足する恐れがあります。60代以降でも資産運用をはじめれば、預貯金のみよりも資産寿命を延ばすことができるかもしれません。老後のお金に不安がある場合は、投資信託の活用を検討しましょう。

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