【子なし夫婦】老後に備えるべきリスクと対策とは?相続の手続きや資金の貯蓄方法も解説
子供を持たない夫婦の中には、それによる老後のリスクが気になる方もいるのではないでしょうか。老後の問題を避けるためには、リスクを知った上で準備をしておくことが大切です。本記事では老後に備えるべきリスクと対策を紹介します。
子なし夫婦の老後のリスク
子なし夫婦の場合、老後にどのようなリスクがあるのでしょうか。
介護に関する問題
子なし夫婦が老後に直面するリスクとして、介護に関する問題があります。子供がいる場合は、子供や孫などの家族に自身や配偶者の面倒を見てもらえることが多いでしょう。しかし、子なし夫婦の場合は介護のことで頼れる家族がおらず、ひとりで問題を抱えてしまいがちです。
家族に介護を頼めない場合、在宅サービスや介護施設などに頼ることとなります。しかし、介護資金が用意できなければこういったサービスが利用できません。
また、配偶者を亡くした後に自分が要介護になった場合、自分でサービスを開始する手続きができない場合があります。介護に関するリスクをきちんと踏まえた上で、前もって準備をしておかなければなりません。
さらに、老後となると病気やケガになるリスクも高まるため、介護サービスに加えて通院や入院による費用面の負担も考えておきましょう。
相続に関する問題
相続関連のトラブルが起こりやすいのも、子なし夫婦のリスクといえるでしょう。
遺産相続が必要になると、配偶者に遺産の半分が相続されます。子供がいる夫婦の場合は残りの半分を子供に分けることとなりますが、子なし夫婦の場合は親族や兄弟で遺産を分けなくてはいけません。
そのため配偶者が亡くなると、相続先となる義理の親族と相続の相談をしなければなりません。親族との関係性によっては、遺産相続がスムーズに進まないことが多くあります。
また、相続の中でも不動産は預金とは異なり、厳密な分割の判断が特に難しい財産です。お互いが納得のいく相続をしたいところですが、話し合いがまとまらないケースも有り得ます。
遺産相続に関するトラブルを避けたいのなら、遺言書を作成するなどしてあらかじめ対策を行う必要があります。
子なし夫婦が老後に向けて備えておくべきこと
ここからは、子なし夫婦の老後に向けた対策を解説していきます。老後の心配を減らすためにも、こちらで紹介する対策を実践してみてください。
生命保険等に加入する
子なし夫婦は、老後に向けて生命保険に加入しておくことをおすすめします。子供がいない場合、病気やケガなどが原因で働けなくなったときに収入の援助がなく困窮する恐れがあります。仕事ができなくなったときのことを考え、死亡保障や医療保障などが手厚い保険に加入しておきましょう。
加えて、「個人年金保険」で公的年金だけでは不足する収入分を補ったり、「就業不能保険」で働けない期間中の収入を確保したりと、必要に応じた保険に加入することをおすすめします。
身元保証サービスを利用する
子なし夫婦向けの老後の対策として、身元保証サービスが挙げられます。身元保証人サービスとは、介護施設に入所したり病院に入院したりする際に、「連帯保証人」や「身元保証人」になってくれるサービスです。
先に配偶者を亡くした場合、身元保証人が立てられず施設への入所や入院が難しくなることが多いです。しかし、身元保証サービスを利用すれば、トラブルなく施設入所や入院が可能になります。
身元保証サービスを提供している法人やサービスの内容、申込条件などによって費用は異なるため、自身が求めるサービスに応じて適切なものを探してみてください。
死後事務委任契約を結ぶ
老後に備え、死後事務委任契約を結んでおくことも大切です。自身が亡くなった後は、遺体の引き取りや葬儀、埋葬、公共サービスの解約などさまざまな手続きを行う必要があります。
子供がいる夫婦はこれらの手続きを任せられますが、子なし夫婦で配偶者や親戚などがいない場合には、自身が亡くなった後の手続きが滞ってしまいます。
このような事態に備え、自身が亡くなった後の手続きを依頼する死後事務委任契約を結んでおくことが大切です。死後事務委任手続きでは、親族や友人への訃報連絡や役所での手続き、遺品整理なども依頼できます。
介護に関する意向を確認しておく
子なし夫婦の老後の対策として、介護に関する意向を確認しておくことが挙げられます。「介護が必要になったら施設に入所したい」「配偶者に面倒を見てほしい」など、人によって希望は異なります。
夫婦間で前もってお互いの希望を聞いておくことで、いざというときに迷わず行動できます。
老後資金を準備しておく
老後資金を準備するというのも、子なし夫婦が老後にできる対策の一つです。夫婦ふたりで暮らす場合、最低でも1ヶ月あたり27万円ほどの資金が必要とされています。ゆとりのある生活を送るためには、1ヶ月あたり38万円ほどの費用を用意しなくてはいけません。
毎月夫婦ふたりがもらえる年金だけでは資金が不足する場合があるため、老後資金を用意しておくことをおすすめします。
また、病気やケガなどによる入院・通院の可能性を考えると、さらに資金が必要です。求める生活レベルに合わせてどの程度の金額が必要なのか計算しておき、計画的に資金を確保しておきましょう。
相続の準備をする
子なし夫婦は、相続に関する対策も慎重に進めておきましょう。子なし夫婦は相続の第一順位である子供がいないため、遺産の権利に関するトラブルが起こりやすいとされています。
中には、親族に遺産を渡すより友人や知人に遺産を受け取ってもらったり、支援する団体に寄付したいと考える方もいるでしょう。そのため、法的効力がある遺言書を作成し、希望通りに相続が行われるよう、以下の手順を参考にしっかりと準備を進めてください。
遺言書を作る
相続に関する問題を避けたい場合、遺言書の作成がおすすめです。遺言書があれば、相続順位が低い人に多くの遺産を相続することも可能になります。専門家に依頼し、法的効力がある遺言書を作成しておきましょう。
遺言執行者を選ぶ
遺言書が作成できたら、遺言執行者を選びます。遺言執行者とは、遺言書に書かれていることを実現するために動く人のことです。遺言執行者には誰を選んでもよいですが、親族間でのトラブルを防ぐためにも司法書士や弁護士などを選ぶ方が多いです。
老後の資金を準備する方法
先述したように、子なし夫婦が老後の心配なく暮らすためには資金を準備しておくことが大切です。ここからは老後の資金準備の方法を解説していきますので、参考にしてみてください。
目的別に口座を分ける
貯金をするためには、貯蓄用と生活用の二つに口座を分けることをおすすめします。口座が一つにまとまっているとついお金を使ってしまい、思うように資金が貯められない場合があります。
口座を分けることで無駄遣いが減り、計画的に貯蓄ができるでしょう。夫婦で「◯年以内に◯◯円貯める」などの目標を立てるのもおすすめです。
先取り貯金を行う
子なし夫婦が老後の資金を貯める方法として、先取り貯金を行う方法が挙げられます。先取り貯金とは、給料から生活費を引いて残った分を貯蓄に回すのではなく、給料から一定額を貯蓄に回して残った資金で生活することです。
お金を使い始める前に貯金しておくことで、継続的に貯金を行えます。財形貯蓄制度や積立貯蓄口座などを使用すれば、自動的に貯金ができるため負担を軽減できるでしょう。
生活コストを見直す
生活コストの見直しも、老後の資金を用意する上で大切なことの一つです。まず、何にどのくらいの費用がかかっているのかを把握しましょう。
普段の生活で何にお金を使っているか分かったら、削減できるコストがないかチェックします。こうすることでお金の無駄遣いが減り、老後の資金を確保できます。クレジットカードや電子マネーの履歴を管理したり、レシートで家計簿をつけたりして、生活コストを見直してみてください。
借入条件を見直す
ローンや借金などがある場合、借入条件を見直してみてください。金利を見直して利息の負担を減らせれば、全体での返済金額を減額できる可能性があります。
借入条件の見直しには専門的な知識が必要なため、自分ひとりでは判断が難しいでしょう。その場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に依頼するのがおすすめです。
子なし夫婦ならではのリスクを踏まえて老後に備えましょう
この記事のまとめ
- 子なし夫婦には、介護で頼れる家族がいないことや、遺産相続がスムーズに運ばないといったリスクがある
- 老後のリスクに備え、生命保険への加入や身元保証サービスの利用、死後事務委任契約の締結などを行うとよい
- 老後に心配なく生活を送るためには、老後資金を用意しておくことが重要
- 資金の準備には、生活コストの見直しや口座の分割、先取り貯金などが有効
子なし夫婦は、配偶者が亡くなった後に介護など身体的なサポートを頼れる人がいなくなったり、遺産相続に関する問題を抱えやすかったりというリスクがあります。
このようなリスクがあることを把握し、本記事で紹介した対策を事前に行っておきましょう。また、安心して老後を過ごすためにも老後の資金を用意しておくことも大切です。