閉じる メニュー
余生を楽しむ

雛人形はどう処分する?供養の方法や注意点などを詳しく解説

雛人形はどう処分する?供養の方法や注意点などを詳しく解説

子供が自立し、家にある雛人形をどうすればよいか困っている方は少なくないでしょう。特に子供の成長と一緒に時を重ねた思い入れのある雛人形は、供養が必要かどうかなど、処分方法に迷ってしまうものです。本記事では、雛人形を処分する方法や、供養方法、注意点などについて分かりやすく解説します。

雛人形とは?

Photo by stock.adobe.com

雛人形とは、桃の節句の際に、女の子の健やかな成長を願って飾られる人形のことです。さらには、健やかな成長と幸せを願うだけでなく、女の子に降りかかる災いを払ったり身代わりになったりするといった厄払いの意味も含まれています。以下では、雛人形を飾る由来や種類について詳しく解説します。

雛人形の由来

雛人形は、古代中国の五節句の一つである「上巳(じょうし)の節句」と、日本における「流し雛」、「ひいな遊び」の三つが由来となっています。

上巳の節句は旧暦の3月の最初の巳の日を指し、川などの水辺で身体を清めて厄を祓う日とされていました。やがて上巳の節句は、日本に伝わっていく過程で、3月3日(上巳の節句)に紙や木で人形(ひとがた)を作って病気や災いなどの厄を移し、川に流す行事である「流し雛」という儀式になったとされています。

また、当時貴族の女の子の間で布などで作られた人形を使っておままごとをする「ひいな遊び」が流行しており、人形のひいなと、上巳の節句の人形(ひとがた)が合わさって現在の雛人形が生まれました。

雛人形の種類

雛人形には主に衣装着人形(いしょうぎにんぎょう)と木目込人形(きめこみにんぎょう)の2種類があります。それぞれで見た目や造り方が異なるのが特徴です。

衣装着人形

衣装着人形とは、木や藁で造られた胴体に仕立てた衣装を着せた雛人形のことです。豪華で緻密な衣装を羽織っているのが特徴で、全体的に華やかな印象があります。雛人形というと、一般的には衣装着人形を指すことが多いでしょう。

木目込人形

木目込人形は、桐を粉状にしたものを正麩糊と混ぜて型抜きして胴体を作り、服を着せる部分に溝を彫って(筋彫り)、布の端を目打ちで溝に押し込み糊付けして作る人形です。

衣装着人形と違い、衣装を着せているのではなく張り付けているのが特徴で、筋彫りに張り付けた曲線が柔らかな印象をもたらします。上品な雰囲気があり、雛人形を部屋になじませたい方にはおすすめの種類です。

雛人形の飾り方

雛人形にはいくつかの飾り方があります。それぞれで必要な人形や小物が違い、印象も全く異なるのが特徴です。

親王飾り

Photo by stock.adobe.com

親王飾りは、男雛と女雛のみを飾るシンプルな飾り方です。コンパクトに収まるため、飾るスペースが少ない家庭には特におすすめできます。人形や小物が最小限で、準備や片付けも簡単なため気軽に取り扱えるのも魅力の一つです。

三段飾り

Photo by stock.adobe.com

三段飾りでは、三段の飾り棚に男雛と女雛、三人官女とお駕籠、重箱、御所車といった小物が飾られます。豪華な印象を与えつつ、比較的小さなスペースで飾れるのが特徴です。親玉飾りでは少し寂しいという方は、三段飾りを検討してみてもよいかもしれません。

七段飾り

Photo by stock.adobe.com

七段飾りは、雛人形の中でも一番華やかで伝統のある飾り方です。七段の飾り棚の上に、男雛と女雛、三人官女、五人囃子、随身(ずいじん)、仕丁(しちょう)の計15体の人形とそのほかの小物が飾られます。今では飾るスペースと収納の問題で、採用されることは少なくなってきました。

雛人形を処分するタイミング

Photo by stock.adobe.com

雛人形を処分するタイミングに決まりはなく、家庭の都合に応じて決めて構いません。雛人形を処分する一般的なタイミングとしては、以下のようなものがあります。該当する場合は処分を検討してみてもよいかもしれません。

子供が自立したとき

子供の自立は、雛人形を処分するタイミングの一つです。就職して一人暮らしを始めたときや、結婚したときなどが自立にあたるでしょう。

しかし、子供が自立したあとに雛人形を飾ってはいけないという決まりはないため、必ずしも処分しなくてはならないわけではありません。育児に区切りがついたという意味合いで、処分を考える方は検討するとよいでしょう。

引っ越しするとき

引っ越しにあたって荷物を少なくしたいときや、引っ越し先に雛人形を飾ったり収納したりするスペースがないときも、雛人形を処分するタイミングとなることがあります。

特に七段飾りなど多くのスペースを必要とするものは、引っ越し先に持って行くのが難しいことも多いでしょう。

引き続き、雛人形を飾り続けたい場合はトランクルームを借りて収納し、雛祭りの時期になれば家具を片付けて家に飾るという方法もありますが、難しい場合には処分を検討した方がよい場合もあるかもしれません。

雛人形が古くなったとき

雛人形が古くなって劣化してしまった場合も、処分を検討するタイミングです。雛人形の服が破れてしまったり、小物が壊れてしまったりしているのであれば、手放す時期が来ているのかもしれません。

しかし、雛人形は人形店で修理してもらえることも多いため、処分することに抵抗がある方は、一度雛人形を購入した店に相談してもよいでしょう。

雛人形の供養・処分方法

Photo by stock.adobe.com

雛人形は必ずしも供養しなければいけないわけではなく、心残りにならない場合は供養せずに処分しても構いません。ただし、思い入れのある雛人形を最後まで丁寧に扱いたい方は、処分ではなく供養がおすすめです。以下では、雛人形の供養・処分方法を解説します。

神社やお寺で供養する

雛人形は、神社やお寺で供養をしてお焚き上げしてもらうことができます。読経やお焚き上げで丁寧に供養することで、思い入れのある品とも心残りなくお別れできるでしょう。供養料がかかりますが、大事な雛人形をゴミとして処分することに抵抗がある方には特におすすめの方法です。

人形供養を行っている神社やお寺は少なくないため、まずは近くの神社やお寺に相談してみるとよいでしょう。なかには、明治神宮など全国各地から人形を募集して人形の供養祭を行う神社やお寺もあります。また、持ち込みではなく郵送で人形を受け付けてくれるところもあります。

神社やお寺で供養する場合、人形以外の小物やガラスケースなどは供養の対象外として回収してくれないことも多いため、事前に確認しておくことも大切です。

供養代行サービスに依頼して供養する

第三者のサポートを借りてより手軽に雛人形を供養したい場合には、供養代行サービスに依頼する方法もあります。供養代行サービスとは、不要になった人形を郵送等で回収し、持ち主に代わって神社やお寺で供養してくれるサービスのことです。

供養代行サービスは一般社団法人日本人形協会をはじめ、人形店などでも行っています。近隣であれば自宅まで直接回収にきてくれる人形店もあるため、手間をなるべく減らしたい方は検討してみてください。

自分自身でゴミとして処分する

雛人形は、自分自身でゴミとして処分することも可能です。自治体の分別区分に従って、パーツごとに可燃・不燃・粗大ごみなどに分別して処分する必要があります。

供養せず処分することに抵抗がある方は、雛人形を白い半紙に包んだり、最後にお清めの塩を振ったりして処分すると清々しい気持ちでお別れできるでしょう。

知り合いに譲る

知り合いに雛人形を欲しがっている方がいれば、譲るのも一つの方法です。ただし、雛人形はひとりに一つの品物であり、譲渡は一般的ではないため、相手が了承している場合のみ譲るようにしましょう。また、無理やり押し付けることもないよう配慮してください。

リサイクルショップなどに買い取ってもらう

処分に抵抗があり、譲る相手もいないのであればリサイクルショップの活用を検討してみてもよいでしょう。雛人形の買い取りを行っていないリサイクルショップもあるため、事前に確認しておくと安心です。

雛人形はあまり需要がないため、高値で買い取ってもらえることは少なく、汚れや傷などがあればさらに買い取り価格が低くなることもあります。有名な職人が手掛けたものや価値のある衣装をまとった雛人形など、希少性の高い雛人形であれば、リサイクルショップではなく古美術商に相談するのもおすすめです。

フリマアプリなどで販売する

処分までに時間がかかっても構わない場合は、フリマアプリなどを使用して自分で販売する方法もあります。

一般的に雛人形はお下がりを使う考えはないため、大きな需要があるとはいえませんが、全く買い手がつかないわけではありません。価格を抑えて販売したり、職人やブランドなどのセールスポイントを記載したりすると、より売れやすくなるでしょう。

寄付する

自治体や保育園、老人ホームなどでは、雛人形の寄付を募集している場合があります。自治体では、千葉県勝浦市の「かつうらビッグひな祭り」では、たくさんの雛人形を一箇所に集めたり町並みなどに飾ったりするイベントを行っていて、飾るための雛人形を集めています。

飾ったあとは供養してくれる自治体もあり、清々しい気持ちで手放せるためおすすめです。寄付といっても無料ではなく、引き取り料や供養料などがかかるため注意しましょう。

保育園や老人ホームなどでは、施設に飾るために寄付を受け付けていることがあります。近くに保育園や老人ホームがあれば、必要としているか事前に確認してから寄付しましょう。

雛人形を供養・処分する際の注意点

Photo by stock.adobe.com

雛人形を供養・処分する際には、いくつか気をつけたい注意点があります。雛人形を手放す前に、必ず確認しておきましょう。

個人情報が分かるものが混ざっていないか確認する

雛人形は、個人情報が分かるものが混ざっていないか確認してから供養・処分する必要があります。個人が分かるものとして代表的なのは、名前旗や名前札です。買い取りなどに出す際には取り除き、自治体のゴミとして処分する際には名前が読み取れないように工夫して処分しましょう。

大切な品がある場合には取っておく

雛人形の中に、写真や手紙、子供が保育園などで作った折り紙の雛人形などの大切な品が一緒に収納されていることがあるため、供養・処分の前に必ず確認しておきましょう。特に子供が大切にしていて手放すことを許可しなかった小物などがある場合も、一緒に処分してしまわないよう注意が必要です。

供養・処分にかかる費用を確認してから手放す

雛人形の供養・処分には、買い取ってもらわない限り費用がかかるのが一般的です。想定していたよりも高い供養・処分費用を請求される可能性もあるため、前もって費用を確認してから手放すよう注意してください。

個人でのお焚き上げは避ける

神社やお寺で行われるお焚き上げは、個人では行わないようにしましょう。野焼き行為を禁止している自治体が多く、有害物質が発生したり火事になることもあります。

ゴミとして処分するのを避け、気持ちよくお別れする供養としてお焚き上げを選んだにも関わらず、嫌な思い出が残ってしまう可能性もないとはいえません。お焚き上げを行いたいのであれば、個人ではなく必ず神社やお寺にお願いしましょう。

▶終活で写真を処分する方法はこちら

雛人形は後悔のない方法で処分しましょう

Photo by stock.adobe.com

この記事のまとめ

  • 雛人形には衣装着人形と木目込人形の2種類が代表的
  • 雛人形は必ずしも供養しなくてはいけないわけではなく処分してもよい
  • 雛人形を供養したい場合には神社やお寺でのお焚き上げがおすすめ
  • 心残りなく処分したい場合はリサイクルショップなどでの買取も検討する
  • 供養・処分する際には費用を事前に確認してから手放すなどの注意点がある

使わなくなった雛人形はそのまま処分するのではなく供養するのが最もおすすめの方法です。しかし、心残りがない方は自治体の区分に従って自分自身で処分することもできます。まだ誰かに使ってほしいという思いがある方は、リサイクルショップや古美術商などの利用を考えてもよいでしょう。

監修者 SUPERVISOR
1級葬祭ディレクター 志岐 崇

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。

SHARE この記事をSNSでシェアする