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高齢者に医療保険はいらない?必要な理由や加入すべき人の特徴を解説

高齢者に医療保険はいらない?必要な理由や加入すべき人の特徴を解説

「高齢者に医療保険はいらない」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。結論から言うと、高齢者にも医療保険は必要な場合があります。本記事では、高齢者に医療保険が必要な理由や加入すべき人の特徴について説明します。

監修者 SUPERVISOR
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士 森本 由紀

神戸大学法学部卒業。鉄鋼メーカー、特許事務所、法律事務所で勤務した後、2012年に行政書士ゆらこ事務所を設立し独立。メインは離婚業務。離婚を考える人に手続きの仕方やお金のことまで幅広いサポートを提供。法律・マネー系サイトでの執筆・監修業務も幅広く担当。

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高齢者に医療保険がいらないって本当?

「高齢者に医療保険がいらない」と言われることがあります。本当に医療保険がいらないのか、高齢者の医療保険の必要性について考えてみましょう。

高齢者も医療保険の必要性は高い

高齢者に民間の医療保険がいらないわけではありません。人によっては医療保険がいらない人もいますが、医療保険の必要性が高い人も多いのです。

「高齢者に医療保険がいらない」と言われる場合の「医療保険」とは、民間の医療保険のことです。そもそも医療保険には、公的医療保険と民間の医療保険があります。日本では公的医療保険は強制加入となっており、国民全員が加入しています。一方、民間の医療保険に加入するかどうかは任意です。

民間の医療保険による保障は、主に入院・手術の際の給付です。高齢になると、病気やケガのリスクが高まります。民間の医療保険に加入していれば、病気やケガで入院や手術をしたときに給付金が受け取れます。老後は収入も減少するため、医療保険で病気等の際の費用負担を減らせるのは心強いでしょう。

高齢者の医療保険加入率

高齢者にはいらないと言われる医療保険ですが、実際のところどれくらいの人が加入しているのでしょうか。生命保険文化センターが行っている「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯主の年齢が60歳以上の世帯の医療保険(生命保険の医療特約を含む)の加入率は次の通りです。

世帯主の年齢 加入率
60~64歳 94.2%
65~69歳 94.0%
70~74歳 92.2%
75~79歳 91.8%
80~84歳 85.3%
85~89歳 92.9%
90歳以上 83.3%

【出典】生命保険文化センター:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査

世帯主が60代~70代、80代後半の世帯では9割以上、80代前半と90代以上でも8割以上が医療保険に加入していることが分かります。加入実態からは「高齢者に医療保険がいらない」とは決して言えません。

医療保険が必要ない高齢者もいる

高齢者も医療保険に加入していた方が安心ですが、医療保険がいらない高齢者もいます。たとえば、以下に当てはまる高齢者は医療保険はいらないと考えられるでしょう。

医療保険がいらない高齢者

  • 高額の医療費を払えるだけの十分な貯蓄がある
  • 医療保険に加入すると保険料が高額になる

仮に高額の医療費がかかっても払えるだけの十分な資産があれば、医療保険は必要ないでしょう。また、持病や病歴がある人など医療保険に加入するには、高額な保険料がかかる人も医療保険はいらないと考えられます。

高齢者に医療保険がいらないと言われる理由

高齢者に医療保険がいらないわけではありません。ではなぜ「高齢者に医療保険はいらない」と言われるのでしょうか。

日本は公的医療保険が充実しているため

日本には公的医療保険制度があり、特に高齢者は優遇されているため、民間の医療保険はいらないとも考えられています。

公的医療保険とは、健康保険や国民健康保険、後期高齢者医療制度などです。病院にかかった場合には、公的医療保険から給付が受けられるため、自己負担額を減らせます。次の表からも分かるとおり、高齢になると公的医療保険の自己負担割合は原則的に下がるのです。

年齢 自己負担割合
0~6歳(小学校入学前) 2割
6歳(小学校入学後)~69歳 3割
70歳~74歳 2割(現役並み所得者は3割)
75歳以上 1割(一定以上の所得があれば2割、現役並み所得者は3割)

公的医療保険には、高額療養費制度もあります。高額療養費制度とは、病院の窓口で支払った医療費が一定額を超えた場合に、払い戻しが受けられる制度です。自己負担の上限額は所得水準により変わります。

70歳以上の高齢者の場合には現役並み所得者を除き高額療養費制度でも優遇があり、69歳以下にはない外来だけの上限額が設けられています。外来の上限額は年収156万円~約370万円の場合1万8000円、住民税非課税世帯の場合8000円です。70歳以上の住民税非課税世帯では1か月の上限額も優遇されており、2万4600円または1万5000円となっています。

高齢者は保険料が高くなるため

医療保険は、年齢が上がると保険料が上がる仕組みです。高齢になってから医療保険に加入すると、保険料の負担が大きくなってしまいます。受けられる給付とのバランスを考えると、割に合わないことも多いのです。

医療保険に入っても、実際に病気やケガをするかどうかは分かりません。高齢になってからの医療費は貯蓄で備えた方が合理的とも考えられます。保険料と病気やケガをしたときのリスクを考えたときに割に合わないこともあるため、民間の医療保険はいらないと言われているのです。

自分は病気にならないという思い込みがあるため

高齢者の中には、自分は病気にならないと思い込んでいる人も少なくありません。特に、これまで大きな病気やケガをしたことがない人は、医療保険はいらないと考えていることがあります。

民間の医療保険でカバーされるのは主に入院と手術の場合で、通院のみの治療では給付金は受け取れません。近年は昔と比べて、入院日数自体が減っています。入院や手術をするほどの病気をしない自信をもっている人は、医療保険はいらないと考えることも多いのです。

医療保険に加入すべき高齢者の特徴

医療保険がいらないと言われることにもそれなりの理由がありますが、医療保険に加入すべき高齢者もいます。ここからは、医療保険に入る基準を判断するために、どのような人が医療保険に加入すべきなのかを説明します。

十分な貯蓄がない人

十分な貯蓄がない人は、病気やケガのリスクに備えるために、民間の医療保険に加入しておくと安心です。

病気やケガで入院や手術をする場合、公的医療保険があるとはいえ、ある程度の出費が発生します。入院中の食事代や差額ベッド代など、保険適用外の費用もあるため、貯蓄がなければ不安になるでしょう。

年金が少ない人

年金が少ない人も、医療保険に加入しておくと安心できます。

老後の年金の額は人それぞれです。年金が少ない場合、保険料の負担が大きくなるため、医療保険はいらないと考える人もいるでしょう。しかし病気になったときに、医療費が家計を圧迫してしまう可能性も考えておかなければなりません。

治療の選択肢を広げたい人

高齢で病気になったとき、できるだけ手厚い治療を受けたいと考える人は、医療保険へ加入するのがおすすめです。

保険適用の治療なら公的医療保険でカバーされます。しかし、実際に病気になったときには先進医療など、保険適用外の治療を受けたい場面も想定されます。民間の医療保険に入っていれば、治療の選択肢を広げることも可能です。

医療保険がいらない高齢者の特徴

ここでは、医療保険がいらないと考えられる高齢者について説明します。以下のような人は、医療保険はいらない可能性があります。

十分な貯蓄があり医療費の自己負担ができる人

十分な貯蓄がある人は、医療保険に入っていなくても、貯蓄から医療費を払えます。老後をゆとりをもって生活できるだけの貯蓄がある人は、保険でリスクに備える必要がないため、民間の医療保険もいらないでしょう。

そもそも保険料を払えない人

収入が少なく、保険料の支払いが困難な人にとって、医療保険は、いる・いらない以前に加入すること自体が困難でしょう。

高齢になってから医療保険に入ると、当然ながら高い保険料を払わなければなりません。保険料を払っても、保険の内容によっては病気やケガをしなければ掛け捨てになってしまいます。

【番外編】既に医療保険に加入している人

すでに医療保険に加入している場合、わざわざ解約して新たな医療保険に加入し直す必要はありません。高齢になってから新規で医療保険に加入すると、保険料が高くなってしまう可能性が高いです。加入時点で持病や病歴があれば、加入自体も困難になります。

とはいえ、これまで保険料が高額な医療保険に入っていたため、保険料の安い医療保険に変えたいという場合もあるでしょう。別の医療保険に乗り換える場合は、無保険期間ができないよう注意しなければなりません。無保険期間に入院や手術が発生した場合に保障を受けることができないからです。新しい医療保険への加入手続きが完了してから、前の医療保険を解約するのが望ましいでしょう。

高齢者が医療保険に入る際の注意点

高齢者は医療保険はいらないと言われることがありますが、医療保険に入った方がよい高齢者も多くいます。高齢者が医療保険に入るときの注意点をまとめます。

高齢者は保険料が高くなる

医療保険は、病気やケガのリスクが高い人ほど保険料が高くなります。高齢者の場合、病気やケガのリスクが高いため、保険料は高額になります。高齢になると年金生活となり、収入が減ってしまうことが多いでしょう。保険料が家計を圧迫するようなら本末転倒です。

高齢者が医療保険に加入するときには、保険料が高すぎないかを考える必要があります。

そもそも保険に加入できないことも

医療保険の加入年齢の上限は、満80歳となっているものが多くなっています。加入年齢の上限を超えていれば、医療保険に加入できません。高齢になったことを理由に医療保険はいらないと判断するのも一つの考え方です。

持病や病歴のある人も、医療保険はいらないと考えられます。医療保険に加入するときには、病歴等を告知しなければなりません。持病や病歴があれば、医療保険への加入を断られることもあります。

医療保険には、告知項目の少ない「引受基準緩和型」や告知不要の「無選択型」と呼ばれるタイプのものもあります。病歴等がある人も、引受基準緩和型や無選択型なら加入できるかもしれません。しかし保険料が高くなってしまう可能性があります。

保険料を支払う余裕があれば高齢者でも医療保険に加入するのがおすすめ

この記事のまとめ

  • 医療保険はいらない高齢者もいるが必要な高齢者もいる
  • 医療保険がいらないといわれている理由は、高齢者は保険料が高くなること、公的医療保険により高齢者の医療費負担は抑えられていることなどがある
  • 医療保険が必要な高齢者の特徴は、十分な貯蓄が少ない人、年金が少ない人、治療の選択を広げたい人などがある
  • 入院中の食事代など保険適用外の費用も発生するため、医療保険に加入しておくと安心
  • 十分な貯蓄がある人は、医療費が払えるため医療保険はいらない
  • 高齢者も可能なら医療保険に入っておくのがおすすめ

高齢者に医療保険はいらないと言われますが、すべての高齢者に医療保険がいらないわけではありません。病気やケガをすると、公的医療保険でカバーされない医療費の負担が発生することがあります。

高齢者の医療保険の保険料は、年齢が若い方と比べると高くなる傾向があるのは否めません。そのため、保険料を払う余裕がある場合には医療保険への加入をなるべく早期に検討することが大切です。 

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