遺品整理と生前整理の違いとは? それぞれの進め方を詳しく解説

ある日突然、親や身近な人が亡くなり、残された家や荷物と向き合わなければならなくなる。あるいは、これから先を見据えて、身の回りを整理しようと決意する。
そうした場面は、誰にとっても避けがたい人生の通過点です。
「遺品整理」と「生前整理」という言葉を耳にすることが増えましたが、両者の違いや進め方について、正確に理解できている方は多くありません。
端的に言うと、
「遺品整理」は、誰かが亡くなったあとに訪れる突然の作業。
「生前整理」は、まだ元気なうちに始められる前向きな準備。
本記事では、遺品整理と生前整理の基本的な違いと、それぞれの進め方、そして整理の場面で起こりやすい心理的な負担や注意点について、専門的な視点から丁寧に解説していきます。
遺品整理と生前整理は何が違うのか?

そもそも整理という言葉には、「区切りをつける」という意味があります。しかし、その区切りが“誰のため”に、“いつ”行われるかによって、その意味合いは大きく異なります。「遺品整理」と「生前整理」は、どちらも人生の節目に関わる行為ですが、その目的も、タイミングも、関わる人の立場もまったく異なります。ここでは、混同されがちな両者の違いについて、順を追って見ていきましょう。
目的の違い
遺品整理=故人が亡くなった後に行う家財整理
遺品整理とは、故人が生前に使っていた家具や衣類、日用品、書類などの家財を整理・処分する行為を指します。
多くの場合、遺族や相続人がその役割を担うことになりますが、整理の対象は単なる物品にとどまりません。写真や手紙、趣味の道具など、その人らしさが詰まった品々と向き合うことになり、感情的な負担を感じる人も少なくありません。遺品整理の過程では、相続の対象となる財産の確認や分割協議が必要になる場合もあり、法的な手続きと感情の整理とが同時に求められることになります。亡くなった人を想う気持ちと、現実的な判断を両立させることの難しさが、この作業をより複雑なものにしているのです。
生前整理=元気なうちに自分で進める身辺整理・終活
生前整理とは、自分自身が元気なうちに、身の回りのものや財産、情報を整理しておく行為です。
人生の節目を前に、「家族に迷惑をかけたくない」「自分の意思をきちんと伝えたい」と考える方が、近年増えています。この整理には、日常的な家財の片付けだけでなく、通帳や保険証券の整頓、不要な契約の解約、さらにはエンディングノートの作成なども含まれます。いわば“未来のための準備”であり、死後に残される人たちが困らないよう、あらかじめ情報や想いをまとめておくという側面も持っています。生前整理を通じて、自分の人生を振り返り、今後の暮らしをより快適に整えることもできるため、「終活」の一環として実践されることが多くなっています。
タイミングの違い
遺品整理:死後数日〜相続発生後
遺品整理は、故人が亡くなった後に初めて始められる作業です。
警察や医療機関の手続きが終わり、ご遺体の搬送や葬儀が落ち着いてから実施し、多くの場合、死後数日から数週間のあいだに、家族によって少しずつ整理が進められます。ただし、相続が発生する場合には注意が必要です。
相続財産に含まれる可能性のある品を相続人全員の同意なしに処分してしまうと、トラブルに発展することもあります。そのため、遺品整理の開始時期は、感情的な整理と法律的な配慮の両面から慎重に見極めることが求められます。
生前整理:介護・相続・看取りの備えとして“今”から始められる
生前整理は、「まだ早い」と感じているうちに、後回しにされがちですが、実際には、体力や判断力が十分にある“今”こそが、始めどきだといえます。
親族に介護や看取りの負担をかけたくないという思いから、将来を見据えて整理を始める方もいれば、相続や老後の住まいを考える中で、必要に迫られて行動に移すケースもあります。どのタイミングであっても、自分の意思で取捨選択ができるうちに動くことが、心身の負担を軽減し、結果的に家族への配慮にもつながっていきます。
関わる人の違い
遺品整理:遺族・相続人中心
遺品整理は、一般的に遺族や相続人が中心となって進める作業です。
亡くなった方が生前に何を大切にしていたのかを思い出しながら、残された物と向き合う時間は、感情的にも大きなエネルギーを伴います。実際の作業では、遺族それぞれの思いが交錯する場面にも立ち会ってきました。「これは残しておきたい」「早く片付けたい」など、その判断の違いが、ときに家族間のすれ違いや衝突を生むこともあります。また、財産として価値のある物が含まれている場合には、法的な相続手続きが関わってくるため、専門家への相談が必要になります。そうした背景も含めて、遺品整理は単なる“片付け”ではなく、家族にとっての区切りの時間であり、同時に“はじまり”でもあります。作業に立ち会うたびに、そう実感しています。
生前整理:本人・家族・福祉関係者・専門家も
生前整理は、本人が主導権を持って進められる数少ない“終活”の一環です。しかし、すべてを一人で抱える必要はありません。実際の作業でも、家族や身近な人がそっと寄り添いながら、少しずつ一緒に整理を進める姿を何度も見てきました。また、最近では地域包括支援センターやケアマネジャーなど、介護や福祉の現場で関わる支援者が、整理のきっかけをつくることもあります。さらに、専門的な知識をもつ行政書士や整理業者が関わることで、相続・契約・不用品の処分といった面でも安心して進められる環境が整ってきています。
生前整理は、「家をきれいにすること」だけが目的ではありません。
関わる人の数だけ、その整理には意味があり、そこには“これからをどう生きるか”を考えるための時間が、静かに流れています。
遺品整理の進め方と注意点

遺品整理は、精神的にも体力的にも大きな負担をともなう作業です。遺族にとっては、故人を偲びながら物を整理する時間であると同時に、相続や手続きといった現実的な課題にも向き合わなければならない場面でもあります。実際の作業では、「思った以上に時間がかかった」「何から始めていいかわからなかった」という声をよく耳にします。また、想いのこもった品に手をつけられず、作業が止まってしまうことも珍しくありません。
ここでは、遺品整理をどのような流れで進めればよいか、また注意しておきたいポイントについて、具体的に整理していきます。
遺品整理の基本ステップ(相続確認〜家財処分)
遺言書・相続人の確認
遺品整理に取りかかる前に、まず確認すべきなのが遺言書の有無と相続人の範囲です。故人がどのような意思を残していたかによって、物の取り扱いや分配の方法が変わってくるため、この確認作業は、整理の前提となる大切なステップです。公正証書遺言であれば、公証役場に照会することで内容を確認できますし、自筆証書遺言であっても、家庭裁判所の「検認」を受けたうえで法的な効力が認められます。遺言書が見つかった場合は、勝手に開封せず、必ず法的手続きを踏むことが必要です。また、法定相続人が誰になるのかを明らかにすることで、後々の財産分与や処分の判断に関するトラブルを未然に防ぐことができます。作業を急ぐあまり、気持ちだけで整理を進めてしまうと、かえって家族間の不和や相続トラブルを引き起こす原因にもなりかねません。“何をどう整理するか”を考える前に、「誰が決めるべきか」を整える。それが、遺品整理の最初にすべき確認事項です。
財産/形見の仕分け
遺言書や相続人が確認できたあとは、遺品の中身を分類・仕分けする作業に入ります。この段階では、家財や私物を「財産として扱うもの」「形見として残すもの」「処分するもの」に分けていくことが求められます。通帳や有価証券、不動産に関する書類などは相続財産としての取り扱いが必要となるため、不用意に処分したり移動させたりしないよう注意が必要です。また、預かりものやレンタル品など、故人の所有物ではないものが混じっているケースもあるため、確認は慎重に行う必要があります。
一方で、写真、手紙、日記、趣味の道具などは、形見分けの対象になることが多く、ご遺族それぞれが想いを寄せる中で、どのように扱うかを話し合う場面も生まれます。実際の作業では、感情が揺れ動くこの仕分けの段階で、作業が止まってしまうことも少なくありません。無理に急がず、一度手を止めて深呼吸をすることも、整理の一部だと考えてよいのだと思います。
家財の処分・供養(必要に応じ業者活用)
仕分けが終わると、次に考えるのは不要となった家財や遺品の処分方法です。家具や寝具、家電製品などの大型品は、自治体のルールに沿って処分する必要があり、作業量によっては家族だけで対応するのが難しい場合も少なくありません。また、仏壇や人形、遺影、手紙など、処分にためらいを感じる品に対しては、廃棄ではなく「供養」という選択肢もあります。寺院や神社でのご供養を依頼したり、専門業者を通じて合同供養に出すなど、心の整理と向き合う意味でも、こうした方法を選ぶご家族も増えています。現場に立っていると、ものの“扱い方”以上に、“送り方”にこだわる方の姿が、印象に残ることがあります。そうした想いに寄り添えるよう、必要に応じて遺品整理業者や供養対応のある専門業者の力を借りることも、一つの選択肢です。
大切なのは、何をどう手放すかではなく、それぞれの品とどう向き合い、どう気持ちに区切りをつけるか。それが、遺品整理という行為の本質かもしれません。
相続トラブルを防ぐための3つのポイント
相続放棄・遺産分割協議書
遺品整理を始めるにあたって、見落とされがちなのが相続手続きとの関係です。とくに注意したいのが、相続放棄のタイミングと、遺産分割協議書の作成にまつわる点です。相続放棄は、法律上「故人が亡くなったことを知ってから3ヵ月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。この期間を過ぎると、相続を受け入れたとみなされるため、万が一、負債がある場合でもその責任を引き継ぐことになってしまいます。また、財産を複数の相続人で分ける際には、「遺産分割協議書」の作成が必要です。口頭の合意だけでは法的な証明にはならず、後になって「言った・言わない」の争いに発展することもあります。
こうした相続にまつわる整理が不十分なまま作業を進め、のちにトラブルが生じるケースをたびたび目にしてきました。片付けを始める前に、まずは法的な手続きを一度整理しておくことが、後の心労を防ぐ一歩になります。
勝手に処分しない
故人の部屋に入り、荷物を目の前にしたとき、「早く片付けてしまいたい」「見ているのがつらい」と感じるのは、ごく自然な感情です。しかし、感情のままに物を処分してしまうことには、大きなリスクも潜んでいます。
たとえば、相続人全員の同意が得られていない段階での処分は、あとから「勝手に捨てた」「相談がなかった」といった家族間の不和につながることもあります。さらに、後から価値のある品や重要書類が見つかって、取り返しのつかない事態となることもあります。整理を進めるうえで大切なのは、“見つけた人が判断する”のではなく、“関係者と話し合って進める”という姿勢です。感情と現実の間に立ち、急がず、慎重に。それが、のちの安心と、ご家族の信頼関係を守る土台になります。
家族間の合意形成が鍵
遺品整理の現場では、物をどう扱うか以上に、家族のあいだでどのような合意がなされているかが、作業の進行を大きく左右します。「残したい人」と「手放したい人」、「ゆっくり整理したい人」と「早く終わらせたい人」、ご遺族それぞれの気持ちや事情は異なり、その差が思わぬ衝突を生むこともあります。ときには、過去の感情や関係性が表面化し、整理作業をきっかけに、家族の心がすれ違ってしまうこともあるのです。
だからこそ、作業を始める前に、誰がどこまで関わるのか、何をどう進めるのかを共有し合う場を設けることが大切です。合意ができていれば、たとえ意見が分かれても、「話し合ったうえで進めている」という納得感が、心の支えになります。
遺品整理は、故人との別れの場であると同時に、残されたご遺族が新たな関係性を築くための節目にもなり得ます。
生前整理の進め方とメリット

生前整理は、「そのうちに」と思っているうちに、つい先送りされがちです。けれど実際には、元気な今こそが動き出すチャンスだと言えます。身の回りを整えることは、単なる片付けではありません。これからの暮らしを見直し、家族への思いやりをかたちにする行動でもあります。
ここでは、具体的な進め方と、生前整理によって得られる安心感について見ていきます。
生前整理の進め方(順番に沿って)
家財・不用品の整理(断捨離)
生前整理の第一歩は、身の回りの物を見直すことから始まります。長年使っていない家具や衣類、増えすぎた生活雑貨など、少しずつ手放していくことで、空間にも心にも余裕が生まれます。「いる」「いらない」の判断を繰り返す中で、自分が何を大切にしているのかが、少しずつ見えてくることもあります。完璧を目指す必要はありません。ひとつずつ、今の自分にとって必要かどうかを確かめていくことが、生前整理のはじまりです。
財産・契約関係の棚卸し
家の中が整ってきたら、次はお金や契約の整理に目を向けます。通帳、保険証券、不動産の書類、年金手帳など、重要な書類をまとめておくだけでも、いざという時の負担は大きく減ります。また、見落としがちなものとして、携帯電話やサブスクリプションなど、日常の契約を見直すことも忘れてはいけません。不要な出費を抑えるだけでなく、死後の手続きがスムーズになるメリットもあります。財産や契約は、“見える化”することが安心につながる。そう意識して、ひとつずつ整理していきましょう。
エンディングノートや遺言書の作成
生前整理の仕上げとして、自分の意思を文字で残すという選択があります。エンディングノートには、家族へのメッセージや希望、医療・葬儀・財産のことなど、“もしも”に備えた情報を記しておくことができます。法的効力はありませんが、気持ちを伝える手段として多くの人に活用されています。一方で、相続に関わる内容については、正式な遺言書を残すことでトラブルの回避にもつながります。「まだ早い」と感じるかもしれません。けれど、書くことは“終わりの準備”ではなく、“生き方を整える時間”なのだと思います。
生前整理を始めるベストなタイミング
60代〜70代が一つの目安
生前整理は、思い立ったときが始めどきです。とはいえ、体力や判断力のあるうちに進めておくことが、心身の負担を軽くする大きな要因になります。一般的には、60代〜70代のうちに少しずつ取り組むのが良いとされています。介護や相続といった現実的なテーマに向き合うタイミングとも重なり、「いつかやろう」が「今やっておいてよかった」に変わる世代でもあります。何かをきっかけに始めるのではなく、“今の暮らし”を見つめ直すことから始めてみることが、無理のない生前整理の第一歩です。
体力・判断力があるうちに取り組むのが理想
生前整理は、体力も判断力も備わっている“今”だからこそ進めやすいものです。重たい家具を動かしたり、契約や財産を確認したりする作業は、年齢を重ねるにつれて、少しずつ負担が増していきます。また、何を残し、何を手放すかを自分の意思で決められるという意味でも、整理は元気なうちに取りかかるのが理想的です。「まだ早い」ではなく、「今ならできる」。そう気づいたときが、始めどきです。
生前整理で得られる3つの安心
自分の意思を反映できる
生前整理の大きな意義のひとつは、自分自身の意思で物ごとを決められることにあります。何を残し、誰に託すか。どのように暮らしていきたいのかを人任せにせず、自分の言葉と判断で整理できることは、“納得のいく生き方”にもつながっていきます。誰かのためではなく、自分のための整理であり、その姿勢が、結果的にご家族への思いやりにもなるのだと、実際の作業で感じることがあります。
子どもに負担をかけない
遺された家族が最も悩むのは、「これをどう扱えばよいのか分からない」という瞬間です。持ち主の気持ちが分からないまま、物の価値や行方を決めることは、精神的にも大きな負担になります。生前整理を進めておけば、そうした“迷い”や“重荷”を減らすことができます。自分の意思を明確にしておくことは、将来、家族が迷わず行動できるよう背中を押す、大きな優しさになります。
相続・介護のトラブル回避
生前整理をしておくことは、将来的なトラブルの予防策にもなります。たとえば、財産の分け方や介護の方針が明確でないと、いざというときに家族間で意見が割れ、関係がこじれてしまうこともあります。あらかじめ情報や希望を整理しておけば、「知らなかった」「聞いていない」といった行き違いを防ぐことができます。
整理とは、物だけでなく人との関係を整える行為でもあるのです。
整理が必要な“家財”の種類と処分の選択肢

遺品整理や生前整理の作業では、扱う物の量や種類に圧倒されることも少なくありません。生活の中で自然に増えていった家財には、思い出が詰まった品から、処分の判断が難しいものまでさまざまなものが含まれています。
ここでは、整理の対象になりやすい家財の例と、それぞれに適した処分の選択肢について、実際の作業経験をもとに紹介します。
よくある整理対象と扱い方
家具/家電/衣類/写真/仏壇/重要書類
整理の作業で多く見られるのが、家具や家電、衣類といった日常的な生活用品です。これらは処分の判断がしやすい一方で、量が多いほど体力的な負担が大きくなります。一方で、写真や仏壇、重要書類などは、単に廃棄するわけにはいかないものです。とくに仏壇や位牌は、ご供養を希望される方も多く、自治体回収ではなく寺院や専門業者に依頼するケースもあります。書類についても、相続や契約に関わるものが混ざっている可能性があるため、不用意に破棄せず、一つひとつ確認しながら慎重に進めることが重要です。
業者に依頼する場合の注意点
見積もりの出し方
整理を業者に依頼する場合、見積もりは必ず現地確認のうえで出してもらうのが基本です。家財の量や搬出経路、建物の構造によって作業内容が大きく変わるため、電話口や写真だけでの見積もりは、後々の追加請求や誤解の原因になることがあります。また、見積書の内容には「作業範囲」「処分費」「人件費」「車両費」などが細かく記載されているかを確認しましょう。曖昧な一式表記や、極端に安い金額には注意が必要です。料金だけで判断せず、説明の丁寧さや対応の誠実さにも目を向けることが、納得のいく整理につながります。
不用品回収業者と遺品整理業者の違い
整理の依頼先として、「不用品回収業者」と「遺品整理業者」が混同されることがあります。どちらも物を運び出し、処分するという点では似ていますが、対応の姿勢や専門性には大きな違いがあります。不用品回収業者は、あくまで物の処分を効率よく行うサービスです。一方、遺品整理業者は、ご遺族の心情や相続の背景に配慮しながら作業を進める専門職としての側面を持っています。たとえば、形見分けの相談に応じたり、供養の手配をしたり、重要書類の選別や貴重品の探索など、“心を扱う片付け”に長けているのが遺品整理業者です。依頼先を選ぶ際は、自分たちが何を求めているかを整理し、それに合った業者を選ぶことが、納得のいく結果につながります。
家財の「処分」と「供養」の線引き
遺品整理や生前整理では、単純に「捨てる」ことができない物も少なくありません。たとえば、仏壇や位牌、写真、人形、手紙などは、物そのもの以上に、「想い」が宿っていると感じる品々です。そうしたものを前にしたとき、処分と供養の境目に迷う方は多くいます。法的には処分可能であっても、気持ちの整理が追いつかないという声もよく聞かれます。その場合は、無理に手放さず、まずは一時的に保管するのもひとつの方法です。時間が経ってから「供養に出そう」「このまま残そう」と判断できることもあります。整理とは、“物の行き先”を決めるだけではありません。
“心の置きどころ”を見つける時間でもあるのです。
遺品整理・生前整理を業者に依頼するメリット

整理を自分たちだけで進めるのは、想像以上に大変なことです。体力や時間だけでなく、精神的な負担も大きくのしかかる場面が少なくありません。近年では、そうした負担を軽減するために、専門の業者に依頼するケースが増えています。ここでは、実際に業者に依頼することで得られる主なメリットについて見ていきます。
精神的・肉体的負担の軽減
感情と向き合わなくてもいい
遺品整理や生前整理は、単なる片付けとは異なり、感情と深く結びついた作業です。手に取るたびに思い出がよみがえり、前に進めなくなってしまう。そうした体験は、誰にとっても珍しいことではありません。専門の業者に依頼すれば、直接手を触れずに整理を進めることができるため、気持ちの整理が追いつかない段階でも、作業を安全かつ着実に進めることが可能です。「自分では向き合えない」そんな想いに寄り添うかたちで、現場ではそっと“背中を押す役割”としての整理が求められることもあります。
高齢者や遠方の家族でも進めやすい
整理を進めたくても、高齢で体が思うように動かない、あるいは離れて暮らしていて現地に行けないという事情を抱える方も多くいます。そうした場合でも、専門の業者に依頼すれば、立ち会いなしの事前見積もりやオンライン相談、鍵の預かり対応など、柔軟なサポートが可能です。遠方からの依頼や、高齢のご家族を支える場面でも、プロの手が入ることで整理が“現実的に進められるもの”になります。「やらなきゃ」と思いながら手がつけられなかったことが、一歩ずつ前に進みはじめるきっかけになることも多いのです。
優良な業者のサポートの特徴
本当に信頼できる業者は、ただ物を処分するだけではありません。遺品整理と生前整理の両方に対応し、それぞれの事情に寄り添ったサポートを提供してくれます。たとえば、相続や法的な観点からのアドバイスができたり、手続きの流れについて丁寧に説明してくれるような、基礎知識を備えた体制が整っていること。さらに、作業を依頼する人や、そのご家族の気持ちに配慮できるかどうかも重要な判断材料です。最近では、供養や手続きまで含めた一貫対応を行い、見積もりも明瞭で、作業の透明性を重視する業者が増えつつあります。中には、「心をきれいにすることも大切にしている」といった価値観をもとに、技術だけでなく“安心”まで届けることを目指す現場スタッフたちも存在しています。
それぞれの違いを理解し、早めの備えを

遺品整理は、誰かが亡くなったあとに訪れる突然の作業。
生前整理は、まだ元気なうちに始められる前向きな準備。
似ているようで、その意味も進め方も、大きく異なります。
どちらにも共通して言えるのは、「気持ちの整理」が何よりも大切だということです。そしてそれは、決して一人で抱え込む必要のないものでもあります。必要なときに、信頼できるサポートとつながることで、整理は「負担」から「安心」へと変わっていきます。そのためにも、できるだけ早い段階で違いを知り、少しずつでも“備え”を始めておくことが、自分にも、家族にもやさしい選択なのかもしれません。

ブルークリーン株式会社 代表取締役
1992年 東京生まれ。奄美諸島出身の父とメキシコ人の母の間に生まれる。都立雪谷高校を卒業後、IT企業(東証グロース上場企業)やリフォーム業を経て起業。米国バイオリカバリー協会から認定を受けた、日本人唯一のバイオリカバリー技術者。
[資格&修了]
・米国バイオリカバリー協会 公認バイオリカバリー技術者
・全米防疫技術研究所(NIDS)マスターズコース修了認定
・公益社団法人日本ペストコントロール協会 1級技術者