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お金・お家のこと

親名義の家の相続税はいくら?計算方法や相続するときの注意点を解説

親名義の家の相続税はいくら?計算方法や相続するときの注意点を解説

親名義の家を相続する場合、相続税がいくらになるのか気になる方もいるでしょう。状況次第では、相続自体を諦めることも選択肢に入るため、慎重に考えましょう。本記事では、親名義の家の相続税について、計算方法や相続するときの注意点について詳しく解説します。

監修者 SUPERVISOR
日本FP協会認定AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、貸金業務取扱主任者 荒井美亜

立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融・マネー系の記事を主に手掛けるライターとして活動中。ゲームを通じて全国の高校生・大学生に金融教育を行うプロジェクト「Gトレ」の認定ファシリテーター(講師)として教壇にも立つ。

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親名義の家の相続税はいくらか知るための基礎知識

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最初に、親名義の家の相続税はいくらか知るための基礎知識として、相続税および相続に関する専門用語を分かりやすく解説します。

相続税とは

相続税とは、相続もしくは遺贈により財産を取得した場合、その財産の額に対してかかる税金のことです。被相続人、受贈者などの「財産を受け取った方」が支払うことになります。

相続財産とは

相続財産とは、被相続人が死亡時点で保有していた財産や負債、権利義務のことです。具体例として以下のものが挙げられます。

相続財産の具体例

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券
  • 宝石
  • 土地
  • 家屋などの貸付金
  • 特許権
  • 著作権
  • 一定の条件を満たす生命保険契約の死亡保険金
  • 借入金、ローン

相続人とは

相続人とは、相続に伴って財産を受け継ぐ方を指します。これに対して亡くなった方は「被相続人」と呼ばれることも覚えておきましょう。法律上、相続人になりうる方は「法定相続人」、法定相続人が相続できる割合は「法定相続分」として以下のように決められています。

相続順位と法定相続人および法定相続分
相続順位 詳細
第1位 配偶者:2分の1
子供:2分の1(複数人いる場合は人数で分ける)
第2順位 配偶者:3分の2
父母等:3分の1(複数人いる場合は人数で分ける)
第3順位 配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1(複数人いる場合は人数で分ける)

配偶者は常に相続人になりますが、ほかの家族に関しては相続順位の高い順から相続人になる仕組みです。つまり、子供がいる場合、父母等や兄弟姉妹は法定相続人にはなりません。

基礎控除とは

基礎控除とは、相続税の計算にあたって相続財産の総額から差し引ける金額のことを指し、「相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数」という式で計算することが可能です。

相続財産の総額が基礎控除額以下なら相続税はかからない

相続財産の総額が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。一例として、法定相続人が4名の場合、相続財産の総額が5,400万円を下回っていれば相続税は課せられないことになります。

相続税の申告・支払いの期限

相続税の申告・納税は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内にすませなくてはいけません。遅れた場合、無申告加算税や延滞税などが科されるため注意してください。申告・納税に間に合いそうにないなら、費用はかかりますが税理士にも相談してみましょう。

親名義の家の相続税を計算する流れ

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親名義の家を含め、相続財産にかかる相続税がいくらか算出する際の基本的な流れについて解説します。実際に計算する際は、複雑な部分もあるため、税務署や税理士に相談しながら行いましょう。

①相続財産の総額はいくらか確かめる

前提として、相続税はすべての相続財産を合計し、その合計額から基礎控除を差し引いた金額を元にして計算します。相続財産の総額が分からない場合は、以下の方法を用いて調べましょう。

相続財産を調べる方法の具体例

  • 預金通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物がないか調べてお金の流れを確認する
  • 証券会社や信託銀行からの郵便物がないか調べ、株式・FX・国債に関する書類がないか確認する
  • 自治体から届く固定資産税通知書を調べ、不動産の有無を確認する

②法定相続人の人数を確定させる

相続財産の総額が把握できたら、法定相続人の人数を確定させる必要があります。法定相続人の人数を確定させないと、基礎控除額および相続財産の取得割合が分かりません。誰が法定相続人になるかは戸籍謄本で確認できますが、難しい場合は司法書士に相談しましょう。

司法書士に依頼する場合、報酬を含めた費用がかかるため事前に見積もりをしてもらうのがよいでしょう。

遺言書の有無もここで確認する

被相続人が生前に遺言書を残していた場合、遺産分割協議の結果や法定相続分よりもその内容を優先して遺産分割を行うことになります。まずは、遺品を探して遺言書が残されていないか確認してみましょう。一般的な遺言書は、以下の3種類です。

一般的な遺言書の種類
自筆証書遺言 遺言者(遺言書を書いた方)が文章、日付、氏名を全てご自身で書いた上で押印した遺言書
公正証書遺言 公証役場に出向き、公証人と証人2名が立ち会って作成した遺言書
秘密証書遺言 ご自身で遺言書を作成した上で公証役場に出向き、遺言書が存在することだけを公証人と証人に証明してもらう遺言書

このうち、自筆証書遺言や秘密証書遺言を法務局以外の場所で保管していた場合は家庭裁判所による検認が必要になるため、勝手に開封してはいけません。

公正証書遺言の原本は公証役場で厳重に保管されているため、問い合わせてみましょう。

③相続税がかかるか判断する

法定相続人の人数が確定し、相続財産の総額も判明したら、相続税がかかるか判断します。相続財産の総額が基礎控除分を上回っているなら、その差額に対して相続税がかかる仕組みです。

④相続税はいくらになるか計算する

実際に相続税を計算する際は、課税遺産総額を法定相続分に従って取得したものと仮定した上で、各法定相続人ごとの法定相続分に応じた取得金額を計算します。その後、これを相続税の速算表に当てはめて、相続税の税率を算出します。

相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

引用元 令和6年 相続税の税率(国税庁)

親名義の家の相続税はいくらになるかシミュレーション

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より分かりやすくするために、親名義の家の相続税がいくらかかるのか、具体的な数値を用いてシミュレーションしてみましょう。シミュレーションの前提条件は以下の通りです。

シミュレーションの前提条件

  • 家屋の相続税評価額:1,500万円
  • 土地の相続税評価額:3,500万円
  • 法定相続人:1名
  • ほかの資産・負債についてはないものと仮定

まず、相続財産の総額から基礎控除を差し引き、課税遺産総額を計算します。今回は法定相続人が1名であるため、基礎控除額は3,600万円です。このため、課税遺産総額は1,400万円であることから、相続税額は「1,400万円×15%-50万円=160万円」となります。

親名義の家の相続税評価額がいくらか確認するには?

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相続税の計算をするためには、親名義の家など、不動産の相続税評価額を確認しないといけません。ここでは、資産の種類別に相続税評価額の確認方法を解説します。

家(建物)の相続税評価額の確認方法

まず、建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じ金額を用います。固定資産税の納税通知書、課税明細書を見て調べることが可能です。

土地の相続税評価額の確認方法

土地に関しては、路線価方式と倍率方式の2種類の評価方法が設けられています。路線価が設定されていれば路線価方式、設定されていない場合は倍率方式を用いて評価額を計算すると考えましょう。

路線価方式

路線価方式とは、路線価が定められている地域の土地の相続税評価方法です。路線価とは、道路に面する宅地の1平方メートルの価額のことを指します。土地の評価額は「路線価×奥行価格補正率×土地面積」という数式で計算できます。

倍率方式

倍率方式とは、路線価が定められていない地域で土地の相続税評価額を求める場合に使用する方法です。倍率方式では「固定資産税評価額×評価倍率」という数式を用いて評価額を計算します。

親名義の家の相続税の節税に使える制度

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親名義の家など、不動産を含めた財産を相続する際は、税制上の優遇策を利用すると納めるべき相続税を減額できます。ここでは、節税に使える優遇策の代表例として以下の二つを紹介します。

小規模宅地等の特例

小規模宅地の特例とは、一定の条件を満たしている宅地について、相続税評価額を最大80%減額できる制度のことです。親名義の家を相続する場合でも、条件を満たすと判断されれば利用できます。この特例を利用できるのは、被相続人から見て以下の関係にあった方です。

小規模宅地の特例を利用できる方

  • 配偶者
  • 同居親族
  • 別居親族(家なき子)

また、親名義の家に限らず、親が事業を営むために使っていた土地や、貸していた土地があれば、一定の範囲まで相続税評価額を減額することが可能です。

小規模宅地等の特例の種類、面積、減額割合
概要 限度面積 減額割合
特定居住用宅地等 自宅として使っていた土地 330㎡ 80%
特定事業用宅地等 個人事業を営むために使っていた土地 400㎡ 80%
特定同族会社事業用宅地等 同族会社として事業を営むために使っていた土地 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 希望者に貸すために使っていた土地 200㎡ 50%

引用元 令和6年 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

配偶者控除

配偶者の場合、相続財産の総額が1億6,000万円または法定相続分のうち、どちらか大きい方の金額までは相続税がかからない制度になっています。この制度を配偶者控除といい、利用することで大半の場合では相続税の負担をゼロにすることが可能です。

親名義の家を相続する際の注意点

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親名義の家を相続したことがきっかけでトラブルが起きることもあるため、注意点を意識しつつ慎重に進めましょう。ここでは、親名義の家を相続する際の注意点を解説します。

共有名義は避けるのが無難

相続の際に意見がまとまらず、「相続財産の共有」という方法を取る方もいます。この場合、親名義の家は共有財産となり、複数の相続人が所有権を持ちます。しかし、親名義の家を含めた不動産を複数人で共有する共有名義は、利用・活用・売却が自由にできなくなる可能性があることが注意点として挙げられます。

結局有効活用できずに税金や管理費を延々と払うことになるため、可能な限りは親名義の家を含めた不動産は、特定の相続人が単独所有する前提で進めましょう。

相続対策は元気なうちから始める

親が認知症を発症し、判断能力を失ってしまうと、有効な対策を打てずに亡くなってしまう可能性が高くなるため、できれば親が元気なうちから相続登記の手続きや遺言書の作成など相続対策を始めておきましょう。

生前贈与でかえって税金が増える可能性

生前贈与でかえって税金が増える可能性があることも、注意点として挙げられます。親名義の家を生前に贈与され、名義変更を行った場合、贈与税が課されます。原則として年間110万円以上の贈与であれば、受け取った側が贈与税を払わなくてはいけません。

なお、相続時精算課税制度を使えば2,500万円まで非課税で贈与が受け取れます。ただし、この制度を使った場合は親の相続が発生した際、相続財産に贈与額が上乗せされ相続税を計算することに注意しなくてはいけません。

配偶者居住権を活用する

配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が自宅に住み続けられる特別な権利のことです。例えば、夫婦のうち夫が亡くなり、夫名義の家に妻が住み続けることになった場合、子供が所有権を相続し、妻は配偶者居住権を相続するという扱いにもできます。

空き家になる実家を放置しない

親名義の家が空き家になってしまう場合、適切に管理しないと建物が傷み、倒壊する場合があるかもしれません。

親名義の家が「管理が不適切で倒壊のリスクがある」「衛生的、防犯的に有害で、景観を悪化させる」と判断された場合、特定空き家と判断され固定資産税・都市計画税の税率が高くなる恐れがあるため要注意です。空き家になる実家は放置せず、適切な管理を心がけましょう。

使わない建物をすぐに更地にしない

親名義の家など、住宅が建っている土地であれば、固定資産税が安くなる特例があります。しかし、親名義の家を壊して更地にしてしまうと、その特例は適用されなくなるため注意しなくてはいけません。建物を使う予定がない場合でも、性急に解体するのは避けた方が無難です。

親名義の家を相続するなら税理士にも相談しましょう

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この記事のまとめ

  • 親名義の家の相続税がいくらかかるかは自分である程度計算することが可能
  • なかには複雑な計算が必要もあるため税理士に相談するのがおすすめ
  • 小規模宅地の特例、配偶者控除など利用できる制度がある
  • 「共有名義は避ける」など親名義の家を相続する際の注意点を意識する

相続税の仕組みは非常に複雑です。個々の状況によって望ましい相続の仕方、利用できる税制上の優遇策も異なります。正確に相続税の申告・納税を行うなら、報酬など費用はかかりますが、税理士に相談するとよいでしょう。

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