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【石田純一さん・東尾理子さん特別インタビュー】 出会いの証としての別れ

【石田純一さん・東尾理子さん特別インタビュー】 出会いの証としての別れ

8月28日、俳優の石田純一さんの生前葬イベントが東京ビッグサイトで開催されました。終活産業に関する展示会「エンディング産業展」(主催=東京博善株式会社)のプログラムのひとつで、15年連れ添った妻でプロゴルファーの東尾理子さんから弔辞が送られました。インタビューでは、生前葬の感想や人生の終わりに向けた準備について語ってくれました。

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「らしさ」を出せる生前葬

「らしさ」を出せる生前葬 石田純一さん

——生前葬を終えての感想を聞かせてください。

(石田) 生前葬にはさまざまな形があると思いますが、今回の生前葬は、儀式的な要素を強く感じました。まるで霊のように漂い、自分の葬式を見ているような感覚。人生の最期には走馬灯を見ると言いますが、それに近い感覚も得ました。葬儀ではすべての色が混ざった黒が基調となりますが、私の心も、さまざまな思い出が詰め込まれた「黒」だったと思います。

——東尾さんは生前葬に参加し、何か思うことはありましたか?

(東尾) 生前葬は、親しい人たちが集まり、思い出を語り合う場です。だからこそ、生きているうちにそういう人たちと会えるのは素晴らしいと思いました。石田が棺の中から出てくる姿も、彼らしさがあってよかったですし、友人が送ってくれたビデオレターも、とても楽しい時間でした。そういう「らしさ」を出せる生前葬はすてきだと思います。

生きた証を残すこと

生きた証を残すこと 東尾理子さん

——人生の終わりに向けた準備は始めていますか?

(東尾) 靴や洋服など、物をコツコツと減らしています。あと銀行口座や子どもたちに関する情報など、散らばった情報もまとめています。これらの物や情報は、私がいなくなったとき、誰が見てもわかるように整理しています。たとえ、その場所を伝える機会がなくとも、あとで家族が「ここにあるだろう」とわかるように。

(石田) 自分が亡くなった際に遺影に使ってほしい写真や葬儀・供養でやってほしいことを家族に伝えておくことは大切だと思います。また、断捨離も重要です。意識していないと物はどんどん増えていくので、1年間使わなかったものは不要だと判断し、処分するルールを設けて整理を進めています。

ただ、理子が全米女子オープンに出場していたときの写真を捨てようとしていたのはびっくりしましたよ。私としては、その写真は残してほしい。結局、写真は捨てずに自分の店に飾り、子どもたちがママの活躍を見られるようにしています。

——東尾さんは、そのように人から見たら貴重な物を捨てることに抵抗はないのですか?

(東尾) 私の父はプロ野球選手でしたが、家には選手時代のトロフィーなど一つも残っていません。私も父と同じで、物に執着がなくて……。自分が処分しなければ、他の人は捨てにくいものですから、そういった物こそ、自分で処分するべきだと考えています。

(石田) 確かにそういう考えもあります。ただ、人が本当に「死ぬ」のは、その人を思い出さなくなったとき、社会的に忘れられたときです。その「死」を迎えるまでは、人の心の中で生き続けている。だから、何かしらの形で生きた証を残すことは大切だと思います。

子どもたちを支える

子供たちを支える 石田さんと東尾さん

——15年間の結婚生活を振り返ると、何が思い浮かびますか?

(石田) 結婚式の際、理子は本当に幸せな笑顔を見せてくれました。その光景は今でも私の心に強く残っています。もちろん、今も理子は幸せそうに笑っていますが、15年が経つと、さまざまな変化が訪れるのは自然なことです。私はその変化を感じながら、日々を過ごしています。

(東尾) 私が思い浮かぶのは、石田はよく忘れ物をしたり、留守番電話がとても長かったり……。15年を振り返ると、そんな些細なことばかりが思い出されますね。

——東尾さんは、結婚生活において、心配事などはありますか?

(東尾) 心配事というのは自分で作り出してしまうものだと思っています。だから、そうした不安を抱えるよりも、今この瞬間を大切にすることが重要だと感じています。そのときが来たら対処すればいいかなって。

(石田) そう考えると、人間の一番の心配事は「死」かもしれないね。誰もが死を不安に感じるものです。しかし、人生は一度きりで、死は一回しか来ないので、死を不安に感じ続けるのは徒労かもしれませんね。

——5年後、10年後の2人の理想の姿を教えてください。

(石田) 自分自身が元気でいることが何よりも大切だと感じています。それが、家族に迷惑をかけないための最低限の第一歩ですから。健康でいられるようにこれからも努力を続けたいです。また、2人の理想像というよりは、そのとき、そのときの「変化」を楽しみたいです。〝変化こそ唯一の永遠である〟という岡倉天心の言葉がありますが、変わっていくことを哀しまず、むしろ未知の領域として楽しみたいです。

(東尾) 結婚当初は子どもたちの存在を想像していませんでしたが、今は一緒に過ごす時間が何より楽しいと感じています。これからも、子どもたちを私たちのそばに感じながら、手をつないで一緒に歩いていきたいです。そして、子どもたちがやりたいことを心から応援できる親であり続けたいです。私自身、これまで自分の好きなことを仕事にしてきたので、子どもたちにも夢に向かって頑張ってほしいですね。そのためのサポートを夫婦で一緒にできたら、これ以上に嬉しいことはありません。

出会いの証としての別れ

出会いの証としての別れ 石田さん生前葬の模様

——『ひとたび』を読んでくれた方にメッセージをお願いします。

(石田) 私が感じていることは、親には子どもたちに物事に対する基本的な考え方や心の持ち方など、マインドセットを伝える義務があるということです。魂の修業所や人生の旅路の出発点として我が家を選んでくれたのですから。自分が学んできたことが必ずしも正解であるとは限りません。しかし、それでも人生を共にしているわけですから、何かを伝えることは非常に重要だと思っています。そして、いつかそれぞれの人生の中で別れが来たとき、愛おしく想い出してほしい。そんな風に考えています。

(東尾) 『ひとたび』を手に取ってくださった方は、大切な人との別れの場面にいらっしゃると思います。別れは寂しいものですが、別れがあるということは、そこに出会いがあった証でもあります。出会いの中で、たくさんの幸せが生まれたはずです。別れの瞬間は、私たちがまだ知らない世界を広げてくれた出会いに、感謝するための時間なのかもしれませんね。

【プロフィール】

石田純一(いしだ・じゅんいち)
俳優。東京都生まれ。1979年、NHKドラマ「あめりか物語」でデビュー。その後、88年フジテレビ「抱きしめたい!」への出演を機に、トレンディ俳優として一世を風靡する。その後、89年「君の瞳に恋してる!」(フジテレビ)、90年「想い出にかわるまで」(TBS)など、数多くのドラマに出演する。テレビのバラエティ番組では司会としても活躍。

東尾理子(ひがしお・りこ)
プロゴルファー。福岡県生まれ。8歳からゴルフを始め、1999年プロ入り。2003年、全米女子オープンに出場し注目を集める。以降、国内外で数々のトーナメントに出場。また、テレビ番組やCMにも出演し、タレントとしての一面も持つ。2009年には俳優の石田純一と結婚。家庭では3児の母として、子育てと仕事を両立し、幅広い活動を展開。

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