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健康・カラダのこと

高齢者がアルブミンを上げるための食事とは?重要な食べ物や一日に必要な量などを解説

高齢者がアルブミンを上げるための食事とは?重要な食べ物や一日に必要な量などを解説

高齢者がアルブミンを上げるために効果的な食事があるのを知っていますか?血液中には、アルブミンと呼ばれるたんぱく質が存在します。アルブミンが低下している高齢者は低栄養の可能性があるため、注意が必要です。本記事では、アルブミンを上げるために重要な食べ物や一日の必要量などを詳しく解説します。

監修者 SUPERVISOR
管理栄養士/食生活アドバイザー/フードスペシャリスト/食品衛生管理者 古山 有紀

武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業。
管理栄養士として病院に勤務し、患者様の栄養管理及び栄養指導に従事。
糖尿病患者や腎臓病患者を中心に、病状の進行を防ぐための食事指導を行う。食事と健康、美容に関する記事を中心に管理栄養士ライターとして活動中。

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アルブミンとはたんぱく質の一種

アルブミンとは、血液に含まれるたんぱく質の一種です。血液中にはさまざまなたんぱく質が含まれていますが、その中でも1番多いのがアルブミンです。食事で摂取したたんぱく質は、体内でアミノ酸に分解されてから肝臓に運ばれます。その後、肝臓でアルブミンに合成されて各臓器に運ばれます。

アルブミンは健康状態を見る指標

前述の通り、アルブミンは血液中のたんぱく質の中で最も量が多く、約6割を占めています。そのため、アルブミン値が低いということは、たんぱく質が不足して低栄養になっている可能性が考えられます。このように、アルブミンは健康状態を表す指標として利用できるのです。

ただし、アルブミンを上げるために意識して食事を摂っても、すぐに効果がみられるわけではありません。アルブミンの半減期は14~21日とされ、この周期で代謝しています。つまり、血液検査でわかるのは2~3週間前の栄養状態ということです。

なぜアルブミンを上げる必要があるのか

アルブミンを上げることは、高齢者の健康維持に必要です。血液検査におけるアルブミンの基準値は3.9g/dlとされており、数値が3.5g/dl以下になると低栄養の可能性があります。ただし、アルブミンが低下したからといって、すぐに症状が現れるわけではありません。

しかし、高齢者で低栄養が続くと浮腫みや免疫力の低下、体の調整機能の低下など、さまざまな悪影響が生じてきます。これらの症状は、高齢者にとって生活の質を低下させます。つまりアルブミンは、高齢者が健康的に過ごすために非常に重要ということです。

高齢者がアルブミンを上げる食事のポイント

アルブミンはたんぱく質であるため、食事の内容はとても重要です。ここでは、高齢者がアルブミンを上げるための食事のポイントを解説します。

①良質なたんぱく質を摂る

食事から良質なたんぱく質を摂取することが、アルブミンを上げるポイントになります。ここで重要なのは「良質」ということです。

たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されており、そのうちの9種類は必須アミノ酸という人間の体内では合成できないものです。そのため、必須アミノ酸は必ず食事から摂取しなければなりません。そこで、高齢者がアルブミンを上げるためにも、必須アミノ酸を多く含む良質なたんぱく質を積極的に摂ることをおすすめします。

たんぱく質については、後ほど詳しく解説します。

②エネルギーをしっかり摂る

高齢者がアルブミンを上げるためには、食事でエネルギーをしっかり摂る必要があります。エネルギーが不足すると、活動に必要なエネルギーを補うために体内のたんぱく質を分解してエネルギーを生み出します。つまり、たんぱく質よりもエネルギーが優先されるため、アルブミンも作られなくなってしまうのです。

高齢者がアルブミンを上げるためには、食事で十分なエネルギーを摂取してたんぱく質の分解を防ぐことが大切です。

③バランスの整った食事を摂る

高齢者がアルブミンを上げるためには、バランスの整った食事も重要です。アルブミンの材料となるたんぱく質を効率よく利用するには、ビタミンやミネラルといった栄養素も必要です。たんぱく質は毎食摂るようにするだけでなく、ご飯やパンなどの主食と野菜やきのこ、海藻などの副菜を一緒に摂るなど、バランスを意識した食事を心がけましょう。

④欠食しない

欠食すると、エネルギーやたんぱく質を含めたすべての栄養素が不足します。体内にはアルブミンを作る材料がないため、高齢者はできる限り欠食しないことが重要です。

しかし、食欲がない時や食べられない時には、無理に食べる必要はありません。その代わりに、食べられる時に食べたり補食で補ったりと、一日を通して必要な量を摂れるようにしましょう。補食には、エネルギーやたんぱく質を補える食べ物がおすすめです。

高齢者が一日に必要とするたんぱく質の量

日本人の食事摂取基準では、65歳以上の高齢者が一日に必要なたんぱく質量は男性60g、女性50gとされています。さらに、活動量の多い高齢者では、体重あたり1.0~1.2gのたんぱく質が必要になります。アルブミンを上げるためには、必要な量のたんぱく質をしっかり摂るように心がけましょう。

食べ物に含まれるたんぱく質量の目安

一日に必要なたんぱく質量を満たすには、食事で何をどれくらい食べたらよいのでしょうか。下の表に、食べ物に含まれるたんぱく質量の目安をまとめました。ぜひ、参考にしてみてください。

食べ物に含まれるたんぱく質の目安量

食材(1回に食べる目安量)

たんぱく質量

鶏むね肉(皮なし)50g

18.9g

牛もも肉(茹で)50g

15.0g

豚もも肉(焼き)50g

15.1g

鶏もも肉(皮なし)50g

12.7g

豚ひき肉(焼き)50g

12.8g

鮭(1切) 60g

17.4g

ぶり(1切)60g

15.7g

カツオ刺身 50g

12.9g

サバ水煮缶 100g

20.9g

牛乳 200ml

6.6g

卵 1個(50g)

6.8g

ヨーグルト(200g)

6.6g

納豆 1パック(50g)

5.8g

絹豆腐 1/2丁(150g)

7.9g

1回の食事にたんぱく質の食べ物を取り入れることで、無理なく一日の必要量を満たせます。1食でまとめて摂ろうとすると消化吸収に時間がかかり、内臓の負担にもなります。毎食で分けて摂取するようにしましょう。

アルブミンをより上げるたんぱく質の摂り方

高齢者がアルブミンを上げるためにはたんぱく質が必要です。アルブミンをより効果的に上げられるよう、タンパク質の摂り方を工夫してみましょう。ここでは、アルブミンをより上げるたんぱく質の摂り方を紹介します。

①朝食にしっかり摂る

体内では、たんぱく質の合成と分解が常に行われています。これは睡眠中も同様です。しかし、睡眠時には食べ物からたんぱく質が供給されることがありません。そのため、起床時の体はたんぱく質が不足している状態です。

朝食でしっかりとたんぱく質を摂ることで、不足分を補うことができます。さらに、朝は吸収率もよいため、アルブミンを上げるのに効果的です。一日の始まりである朝食でたんぱく質を摂ることで、体内時計も調整されて生活リズムも整います。朝食では、特に意識してたんぱく質を摂るようにしましょう。

②毎食摂る

体が一度に吸収できるたんぱく質の量は限られています。1回の食事で大量のたんぱく質を摂取しても、すべてがアルブミンとして利用されるわけではありません。そのため、少しずつでも毎食たんぱく質を含む食材を取り入れることが重要です。

忙しい朝や食事の用意が面倒な時でも、食事にゆで卵を1個足したり、牛乳を飲んだり、豆腐を加えたりなど、手軽に取り入れられる食べ物でたんぱく質を補給することが重要です。

③ビタミン、ミネラルと一緒に摂る

ビタミン、ミネラルは、人体の機能を維持・調整するために重要です。しかし、そのほとんどが体内で合成できないため、食事で摂取する必要があります。ビタミン、ミネラルは、アルブミンを上げるために必要なたんぱく質の代謝にも関わっているため、たんぱく質と一緒に摂ると効果的です。

ビタミン、ミネラルは野菜や果物のほかにも動物性食品やナッツ類など、さまざまな食材に含まれています。バランスよく食事を摂っていれば一日の中で不足することは少ない栄養素ですが、食事量の減った高齢者の場合は不足する可能性があるため注意しましょう。

④食事で不足する場合は間食で摂る

高齢者では、1回の食事量が少ないこともあります。そのような場合、間食で摂取量を増やすことで一日に必要な栄養素を補うことが可能です。間食には、牛乳や卵などエネルギーやたんぱく質を含む食べ物を取り入れると栄養補給対策になります。

食欲がない場合はプロテインを取り入れてみるのも、高齢者がアルブミンを上げるのに役立つでしょう。

高齢者でアルブミンの低下以外に注意したい症状

高齢者のアルブミンの低下は、食事からのたんぱく質摂取量の影響以外にも、肝臓や腎臓の機能低下が原因で起こる場合もあります。そのため、アルブミンの低下が一概に低栄養だけを示しているわけではありません。また低栄養が疑われる場合でも、アルブミンの低下に加えて注意が必要な症状があります。

アルブミンと共に注意するべき身体的変化

高齢者で低栄養の疑いがある場合、アルブミン値の他にも身体的な変化が現れることがあります。以下に、アルブミン値と共に注意するべき体の変化をまとめていますので、参考にしてみてください。

アルブミン値と共に注意するべき身体的変化

  • 体重減少
  • 免疫力の低下
  • 皮膚の乾燥
  • 傷の治りが悪い
  • 浮腫み
  • 倦怠感

特に食べているのに体重が減少している場合は注意が必要です。高齢者が食べてるのに体重が減少する原因やその対策が知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。

高齢者における低栄養の原因

高齢者が低栄養に陥ってしまう主な原因は、身体的原因の他にも社会的孤独や家族との死別による精神的ストレスなどさまざまです。高齢者においては、特に低栄養につながりやすいのが身体的原因です。

低栄養となる身体的原因の例

  • 足腰の痛みによって活動量が低下し、筋力が衰えて低栄養につながる
  • 噛んだり飲み込んだりする力の衰えによって食事量が低下することで低栄養を招く
  • 加齢による消化吸収機能の低下によって、食べているつもりでも十分な栄養補給ができていない

このように、高齢者の低栄養はさまざまな原因により起こりますが、目に見えるものではありません。しかし、血液中のアルブミン値を知ることで、健康状態の把握が可能になります。

良質なたんぱく質を積極的に取り入れて、アルブミンを上げましょう

この記事のまとめ

  • アルブミンは血液中のたんぱく質の一種で、健康状態を表す指標になる
  • アルブミンが低い高齢者は低栄養の疑いがあるため、身体的症状がないか注意する
  • 高齢者がアルブミンを上げるためには、食事で十分なエネルギーとたんぱく質の摂取が必要
  • 食事ではたんぱく質と一緒にビタミン、ミネラルを補給することでアルブミンを上げるのに役立つ
  • 食事量が十分でない高齢者は、間食で栄養補給することでアルブミンを上げる効果が期待できる

低栄養になりがちな高齢者にとって、健康状態を表すアルブミンは重要な指標になります。今回紹介した積極的なたんぱく質摂取、十分なエネルギー補給などを心がけて、アルブミンを上げる食事を心がけましょう。

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