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お金・お家のこと

80歳を超えた高齢者に保険は必要?加入する時の選び方や見直しポイントを徹底解説

80歳を超えた高齢者に保険は必要?加入する時の選び方や見直しポイントを徹底解説

高齢者の中には、生命保険や医療保険への加入を迷っている方も多いのではないでしょうか?日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えています。80歳代でも万一の場合に備えたい気持ちは変わらないでしょう。本記事では80歳を超えた高齢者に保険は必要かについて説明しますので、参考にしてみてください。

監修者 SUPERVISOR
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士 森本 由紀

神戸大学法学部卒業。鉄鋼メーカー、特許事務所、法律事務所で勤務した後、2012年に行政書士ゆらこ事務所を設立し独立。メインは離婚業務。離婚を考える人に手続きの仕方やお金のことまで幅広いサポートを提供。法律・マネー系サイトでの執筆・監修業務も幅広く担当。

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高齢者も保険は必要か?80歳代の保険加入率を確認

老後の期間が長くなり、80歳代でも保険加入の必要性を感じる人が増えています。若いときに加入した保険は満期になっていることも多いでしょう。年金生活では保険料も負担になってしまいます。まずは、80歳代の高齢者でも保険に入る必要があるのかを考えてみます。

そもそも高齢者は保険に入れる?

生命保険や医療保険の加入年齢の上限は、保険会社や商品によって異なります。一般的には満80歳が上限になっている商品が多いですが、80歳を超えても加入できる商品も増えており、保険に入れないわけではありません。80歳を超えた高齢者でも、条件にあった商品を選べば保険に加入できます。

80歳代の生命保険加入率

生命保険文化センターが行っている「生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年の生命保険・個人年金保険の世帯加入率は89.8%です。世帯主の年齢別にみると、80歳代前半の世帯では80.2%、80歳代後半の世帯でも67.5%が加入しています。

Photo by www.jili.or.jp

【出典】(公財)生命保険文化センター「2021年度(令和3年度)生命保険に関する全国実態調査」(※グラフは筆者作成)

世帯主が80歳代前半の世帯では8割、世帯主が80歳代後半の世帯でも7割近くは生命保険・個人年金保険に加入しています。高齢になっても保険に加入している人が多いことが分かります。

80歳代の医療保険加入率

「生命保険に関する全国実態調査」によると、民間の生命保険会社(かんぽ生命を除く)における医療保険・医療特約の世帯加入率は93.6%となっています。世帯主年齢別にみると、80歳代前半では85.3%、80歳代後半の世帯では92.9%が医療保険・医療特約に加入しています。

Photo by www.jili.or.jp

【出典】(公財)生命保険文化センター「2021年度(令和3年度)生命保険に関する全国実態調査」

80歳代でも医療保険の加入率は高く、80歳代後半では9割以上の人が加入しています。高齢になると、病気やけがのリスクが高まります。医療保険に加入して病気やけがに備えたいと考えている人が多いのです。

まずは現在加入中の保険を確認

80歳代でも大部分の世帯で生命保険や医療保険に加入していることが分かりました。

保険の見直しから始める

まずは、既に入っている保険の内容を確認することが大切です。今後必要な保障を考え、現在加入中の保険を見直してみましょう。現在加入中の保険が不十分であれば、新たに保険加入を検討するのがおすすめです。

80歳代で生命保険に入るなら?選び方と注意点

80歳代の高齢者でも、残された家族の生活保障のために生命保険に入りたいという方も多いでしょう。80歳代で生命保険に加入する際には、どのような保険を選んだら良いのか、注意点と一緒に説明します。

80歳を超えた高齢者に死亡保障は必要か

生命保険に加入する目的は、死亡保障を得るためです。ここで、高齢者にはそもそも死亡保障は必要かという問題があります。80歳代の高齢者は既に子供も独立しており、住宅ローンの返済も終わっている場合が多いでしょう。多額の保険料を払って生命保険に加入し、死亡保障を用意する必要はあるのでしょうか?

死亡後にかかる費用がある

80歳の高齢者の場合、死亡保障の優先順位は低いかもしれません。しかし、亡くなったときには、ある程度まとまった費用がかかるものです。葬儀代だけでなく、お墓の購入費用などが必要となるかもしれません。その他に、相続手続きを専門家に依頼するための費用などもかかることがあります。

保険金は速やかに受け取れる

亡くなった人の銀行口座は、相続手続きが完了するまで凍結されてしまいます。相続人は一定金額まで使用ができますが、葬儀代には足りないこともあるでしょう。生命保険で受取人を指定しておけば、受取人は死亡保険金をすぐに受け取ることができます。生命保険に加入しておけば、家族の負担を減らせる可能性があるのです。

80歳代の保険料は?

生命保険に加入すると、保険料の負担が発生します。老後は収入が減るのが一般的ですから、保険料が高いと生活を圧迫する事もあるでしょう。80歳代の生命保険は、保険料と生活費のバランスを考えて選ぶ必要があります。

月2~3万円の保険料が一般的

「生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年度の世帯主年齢別の世帯年間払込保険料の平均は、80歳代前半で28万6,000円、80歳代後半で35万8,000円です。80歳代で保険に加入している人は、月に2~3万円程度の保険料を払っていることが分かります。

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【出典】(公財)生命保険文化センター「2021年度(令和3年度)生命保険に関する全国実態調査」(※グラフは筆者作成)

80歳代に必要な保障額は?

生命保険の保険料は、保障内容によって変わってきます。80歳を超えた高齢者に必要な保障額はどれくらいなのでしょうか?

80歳代の死亡保険金の平均額

「生命保険に関する全国実態調査」によると、2021年度の世帯主年齢別の普通死亡保険金額は、次のグラフのとおりです。

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【出典】(公財)生命保険文化センター「2021年度(令和3年度)生命保険に関する全国実態調査」(※グラフは筆者作成)

最も死亡保険金額が高いのは40歳代後半の2980万円で、それより上の世代はおおむね高齢になるほど少なくなっています。80歳代では800~1000万円程度、90歳以上では684万円です。必要な保障額は各家庭で異なります。一般的には、80歳代なら1000万円以下の保障でも問題ないと考えられます。

家族が公的保障を受けられるか確認

死亡保障を考える前提として、公的保障がどのくらいあるかを知っておきましょう。亡くなった人に生計を維持されていた配偶者などは、遺族年金を受け取れます。生命保険に入るなら、遺族年金だけでは不足してしまう分を補うことを考えましょう。

遺族年金とは

遺族年金には、国民年金から支給される遺族基礎年金と、厚生年金から支給される遺族厚生年金があります。このうち遺族基礎年金は、18歳未満の生計同一の子がいる場合に、配偶者や子供に支給される年金です。子供がいないか既に自立していれば、配偶者などが遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。

配偶者がもらえる遺族年金の額

80歳代の場合、子供が既に自立していて、配偶者は遺族基礎年金をもらえない場合が多いでしょう。配偶者が遺族厚生年金をもらえる場合、金額は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。なお、配偶者が65歳以上の場合には、老齢基礎年金と遺族厚生年金を併せて受給できます。

生命保険は相続税対策にも有効

相続の際、相続財産の金額が一定以上あれば、相続税がかかってしまいます。生命保険加入は、相続税対策としても有効です。生命保険の死亡保険金も相続税課税対象ですが、「500万円×法定相続人の数」までは非課税となります。

80歳代の病気・けがの保障は?医療保険の選び方と注意点

高齢になると、病気やけがのリスクが高まります。死亡保障よりも医療保障を重視したいと考える人も多いでしょう。80歳代で医療保険に加入する場合の選び方や注意点を説明します。

80歳代で受けられる公的医療保険による保障

病気やけがで病院にかかったときには、公的医療保険による保障が受けられます。公的医療保険には健康保険や国民健康保険などの種類があり、75歳以上の人は全員が後期高齢者医療制度に加入する仕組みになっています。

後期高齢者医療制度の自己負担は1割

後期高齢者医療制度では、医療費の自己負担割合は1割です。現役世代が加入する健康保険や国民健康保険の自己負担は3割のため、高齢者は自己負担額が抑えられています。なお、後期高齢者医療制度加入者でも、現役並みの所得がある人については、自己負担は3割になります。

高額療養費制度でも自己負担は抑えられている

公的医療保険には高額療養費制度があり、自己負担額の上限が決まっています。病院に払った医療費の自己負担額が一定額を超えた場合には、高額療養費制度により、超えた分の払い戻しを受けられます。70歳以上の人の自己負担額は現役世代よりも抑えられており、一般的には月額5万7,600円が上限です。

※<参考>全国健康保険協会

全国健康保険協会

公的医療保障でカバーされない費用も

高齢者の場合、公的医療保障により現役世代以上に医療費の負担が抑えられています。しかし、入院時の差額ベッド代や保険適用外の治療費など、公的医療保障でカバーされない費用もあります。こうした費用をカバーするために、医療保険に入っておくと安心です。

がんに備えるなら「がん保険」を検討

医療保険は入院保障と手術保障が中心です。がんで入院・手術をしたときに、医療保険で保障が受けられます。しかし、最近のがん治療は通院治療が主流であるため、医療保険では十分対応できないことがあります。高齢になるとがんの罹患率も上がるため、がん保険も検討してみましょう。

がん保険に入るメリット

がん保険では、がんと診断されたときに一時金が出るものや、通院日数に応じて支払われる通院給付金が出るものが多くなっています。また、入院給付金の支払限度日数が無制限になっているものなど、安心してがん治療が受けられる内容になっているものもあります。

持病があっても医療保険に入れる?

医療保険は病気になったときに備える保険のため、既に病気になっていれば入れないことがあります。医療保険加入時には、病歴や健康状態について告知しなければなりません。持病や病歴のある高齢者は注意しておきましょう。

持病があっても入れる保険

持病や病歴がある場合、一般的な医療保険には入りにくくなります。通常よりも告知項目が少ない「引受基準緩和型」や、告知が不要な「無選択型」の保険なら、加入できる可能性があります。ただし、保険料が高くなってしまうので注意しておきましょう。

保険料と保障内容が見合うものを選ぶ

民間の医療保険は、病気やけがのリスクが高い人ほど保険料が高くなります。80歳代の高齢者が医療保険に入ろうとすると、どうしても保険料が高くなってしまいます。保険に入るときには、必要な保障を無駄なく用意することを考えなければなりません。保障内容をよく見て、保険料と見合うものを選びましょう。

80歳を超えた高齢者が検討すべきその他の保険

死亡保険や医療保険以外にも、加入したい保険はあるでしょう。80歳代の高齢者の場合、どのような保険を検討すべきなのかを説明します。

傷害保険

日常生活の中で起こる予測できないけがに備える保険です。けがを原因とする死亡、後遺障害、入院、通院、手術の保障が受けられます。たとえば、次のような事故が対象となります。

傷害保険の対象になる例

  • 転倒し、足を骨折した
  • 料理をしていて火傷をした
  • 自転車で走行中に転倒して右足のじん帯を断裂した

高齢になると、けがのリスクも高まります。傷害保険は医療保険と違い、加入時に病歴や健康状態の告知が不要です。年齢が上がっても保険料が上がらず、80歳以上の高齢者でも加入できる商品が多くなっています。

介護保険

所定の介護状態になり、その状態が一定期間継続したときに、あらかじめ契約で定めた額の保険金が支払われるものです。要介護状態の認定については、各保険会社の基準で行われるものと、公的介護保険に連動するものがあります。民間の介護保険は、介護施設への入所資金を用意したい場合などに役立つでしょう。

葬儀保険

死後に支払われる保険金を葬儀費用に充てるために加入する保険です。保険期間が1年または2年の少額短期保険(ミニ保険)が多く、80歳代で加入できる商品もあります。ミニ保険は基本的に掛け捨てですが、安い保険料で葬儀費用に絞った準備ができるのは安心でしょう。

自転車保険

自転車に乗るなら、自転車保険へ加入しておきましょう。自転車保険とは、自転車運転中に自分がけがをしたか他人にけがをさせてしまった場合に、保険金が支払われる保険です。年齢制限がないものも多く、高齢者も安価な保険料で加入できます。自転車保険は、加入が義務化されている自治体も増えています。

80歳を超えた高齢者は保険料と生活費のバランスを考えて保険を選ぼう

この記事のまとめ

  • 80歳代の高齢者でも、商品を選べば保険に加入ができる
  • 80歳代の生命保険加入率は、生命保険・個人年金保険で89.8%、医療保険・医療特約は93.6%
  • 80歳代の生命保険の世帯払込保険料平均は、月に2~3万円程度
  • 生命保険に加入する場合、遺族年金で受け取れる金額を確認し、不足する分を補うことを考える
  • 病気やけがで病院にかかる際、後期高齢者医療制度や高額療養費制度を活用し、カバーできない分は医療保険で補う
  • 持病があっても、「引受基準緩和型保険」「無選択型保険」に加入できる可能性がある
  • 高齢者が加入を検討すべきその他の保険として、傷害保険、介護保険、葬儀保険、自転車保険がある

80歳代の高齢者も、死亡後の家族の生活保障のため、あるいは病気・けがのリスクに備えるために、保険に加入しておくと安心です。保険に入ると、保険料が発生するので、負担が大きくなりすぎないよう、公的保障の内容も確認し、無駄のない保障を得られるよう検討しましょう。 

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