自宅で香典を渡すタイミングとは?マナーやお悔やみの言葉の注意点を紹介
自宅で香典を渡す機会は少ないため、タイミングについて悩む方も多いのではないでしょうか。自宅を弔問する際や自宅で葬儀が行われる場合は、ご遺族の自宅で香典を渡すことになります。そこで本記事では、自宅で香典を渡す際のマナーやタイミング、お悔やみの言葉について解説します。
自宅で香典を渡すのはどんな場合?
多くの場合、香典はお通夜や葬儀が行われる会場で渡します。では、自宅で香典を渡すことになるのはどのような場合でしょうか。
自宅でお通夜・葬儀が行われる場合
ご遺族の自宅でお通夜や葬儀が行われる場合、自宅で香典を渡すことになります。般「長年住んでいた家で故人を見送りたい」「形式にとらわれず、自由な葬儀を行いたい」といった希望により、自宅葬を選ぶ方もいます。
葬儀後に自宅へ弔問する場合
葬儀に参列せず自宅を弔問する場合も、自宅で香典を渡すことになります。予定があってどうしても葬儀に出られなかった場合や葬儀後に訃報を知った場合、後日改めて自宅に伺い、ご遺族に弔意を表すことがあります。
自宅で香典を渡すタイミング
自宅葬への参列や弔問の経験がなく、どのタイミングで香典を出せばよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。ここからは、自宅で香典を渡すタイミングについて解説していきます。
お線香を上げたあとに渡す
葬儀の後に弔問する場合、香典はお線香を上げて落ち着いたタイミングで渡すのが一般的です。ご遺族の自宅を弔問して家に上がらせていただき、仏壇の前でお線香を上げます。仏壇の前に座布団が置かれている場合、座らずに右側にずらすようにしましょう。故人への供養が終わってひと段落したタイミングで香典を出し、ご遺族に渡します。
ご遺族に挨拶をするときに直接渡す
自宅葬に参加する際や弔問をした場合、ご遺族に挨拶をするタイミングで、香典を直接渡すこともあります。玄関先でお悔やみの言葉を述べた後、「御霊前にお供えください」と伝えながら香典を渡します。四十九日後に弔問する場合は、「御霊前」ではなく「御仏前」と言い換えてください。
故人の仏前(霊前)へのお供え物として置く
香典をご遺族に直接渡すのではなく、故人の仏前(霊前)へのお供え物として置く場合もあります。仏前(霊前)にお供えする場合は、香典袋の表書きが自分から見て読める向きでお供えしてください。これは、葬儀や弔問の後にご遺族が香典を回収する際、表書きの文字を確認しやすくするためです。仏前(霊前)に香典をお供えする場所がない場合は、ご遺族にどこへ香典を置けばよいか確認しましょう。
自宅で香典を渡す際のマナー
自宅で香典を渡す場合、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。ここからは、自宅で香典を渡す際に意識するべきマナーを紹介します。
弔問する際は事前に連絡する
ご自宅を弔問し香典を渡す場合、事前の連絡をするのがマナーです。連絡を入れずに弔問するとご遺族に迷惑がかかるため注意が必要です。事前にご遺族に連絡をとり、自宅に伺う日時を決めるようにしましょう。
弔問は、一般的に葬儀が終わった後から四十九日法要までのタイミングで行います。お通夜の前に弔問することもありますが、葬儀の準備で慌ただしいタイミングなので避けた方がよいでしょう。
約束の時間に合わせて弔問する
弔問をする当日は、約束した時間に合わせて自宅へ伺うようにしましょう。早く到着しすぎたり、遅刻したりするのは相手に対して失礼になります。弔問のために予定を空けてもらっていることを忘れず、約束は必ず守るようにしましょう。もしやむを得ない事情で時間に遅れる場合は、すぐに相手に連絡を入れてください。
袱紗を下に敷いて香典を渡す
自宅葬に参列する場合や弔問の際、香典袋は袱紗に包んで自宅まで持参するのが一般的です。袱紗とは、香典袋の崩れや汚れを防ぐための布のことです。香典を袱紗から取り出したら袱紗を香典袋の下に敷いて持ち、両手でご遺族に渡すようにしましょう。故人の霊前に香典をお供えする際も同じようにしてください。
相手が表書きの字を読める向きで渡す
香典袋は、相手から見て表書きの字が読める向きで渡すようにしましょう。香典袋の向きを変えずに渡すのは、相手に対して失礼にあたるためです。香典を袱紗から出したらその場で向きを変え、香典袋を差し出しましょう。
お悔やみの言葉を述べながら渡す
自宅で香典を渡す場合は、お悔やみの言葉を述べるようにしましょう。「この度はお悔やみを申し上げます」「ご愁傷様でございます」と述べて、ご遺族に向かって一礼します。長い言葉をかける必要はなく、手短にお悔やみを伝えるのみで構いません。無言で香典を渡すのはマナー違反であるため、必ず一言添えて渡しましょう。
長居しすぎない
自宅に弔問する場合は、長居しすぎないのがマナーです。特に、葬儀直後はご遺族が疲弊しており、長居することで相手の負担になる可能性が高いです。故人に関する話をしたい、故人のことを聞きたいという気持ちがあっても、早めに切り上げるようにしましょう。
また、大人数で自宅に弔問するのもご遺族の負担になるため避けた方が無難です。代表者を選んで弔問するか、なるべく少人数で訪れるようにしましょう。
自宅で香典を渡す際の服装
自宅で香典を渡す場合、略喪服を着用するのが一般的です。ここからは、自宅へ弔問する際に着る略喪服のマナーについて解説していきます。
男性の服装
自宅で香典を渡す際の男性の服装は、ダークスーツが一般的です。黒や紺色、濃い灰色など落ち着いた色味のスーツを選びましょう。生地は無地のものを選び、柄物や光沢感のあるものは避けてください。ワイシャツは白無地、ネクタイは黒無地のものを選びます。
靴は黒のものを、靴下は灰色や黒、紺色など落ち着いた色味で模様がないものを着用します。ネックレスやピアスといったアクセサリーは、着用しないのがマナーです。ただし、結婚指輪は外さずに着用したままでも構いません。
女性の服装
自宅で香典を渡す場合、女性はアンサンブルやスーツ、ワンピースなどを着用します。色は黒が一般的ですが、紺色や灰色などの落ち着いた色味のものも問題ないとされています。肌の露出は控え、光沢感のあるデザインのものは避けるようにしましょう。靴は黒や灰色、紺色で落ち着いたデザインのパンプスを選びます。
女性も男性と同様、アクセサリーの類は着用しないのがマナーです。ただし、結婚指輪と一連のパールのネックレスは着用しても問題ありません。また、服装と同じようにメイクも派手にならないよう注意します。ラメが入ったアイシャドウや鮮やかなリップなどは使わず、落ち着いた雰囲気のメイクを心がけてください。
子供の服装
子供が学生の場合は、制服を着用するのが一般的です。子供が学生に満たない年齢の場合や、制服がない学校に通っている場合は、落ち着いた色味の服装を着用しましょう。黒や灰色、紺色のスーツやワンピースなどを選ぶのが無難です。
お悔やみの言葉に関する注意点
先述した通り、ご遺族に香典を渡す際は、お悔やみの言葉をかけるのがマナーとされています。しかし、どのようにお悔やみを述べればよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。ここからは、お悔やみの言葉に関する注意点をまとめます。
お悔やみは手短に伝える
お悔やみの言葉を述べる際は、簡潔に伝えるようにしましょう。これは、自宅で香典を渡す場合も、葬儀会場で渡す際にも共通するマナーです。長々と言葉を述べる行為は、心労が溜まっているご遺族の負担になりかねません。「この度はご愁傷様でした」と手短に伝え、香典を渡してください。
故人の宗教に合わせて表現を変える
お悔やみの言葉は、宗派によって適切な表現が異なります。例えば、仏教では「お悔やみ申し上げます」と伝えますが、キリスト教では「死は悲しいことではない」と考えられているため、この表現は不適切です。また、「ご冥福をお祈りします」も仏教ならではの表現です。
故人やご遺族がキリスト教を信仰している場合、「安らかに眠られますようお祈りします」「〇〇様の平安をお祈りします」といった表現を使いましょう。また、神道では「御霊の平安をお祈り申し上げます」「〇〇様が安らかに眠られますよう」と伝えるのが一般的です。
忌み言葉や重ね言葉を使わない
お悔やみを伝える際は、忌み言葉や重ね言葉に注意しましょう。忌み言葉とは「切る」「終える」「忙しい」「再び」など、不幸を連想させるような言葉のことです。重ね言葉は「ますます」「くれぐれ」「わざわざ」のように同じ単語を繰り返す言い回しを指します。普段から使用する表現であるため、うっかり使用しないよう十分配慮してください。
声のトーンや大きさに注意する
お悔やみの言葉を述べる際は、声のトーンや大きさなどにも注意が必要です。明るく大きな声は故人を追悼する場にふさわしくない上、マナーに欠けていると思われる恐れがあります。ご遺族に「この人は故人の死を悼んでいないのかもしれない」と勘違いされる可能性もあるため、なるべく声量を絞り、落ち着いたトーンでお悔やみを述べましょう。
自宅で香典を渡す際はタイミングやマナーに注意しましょう
この記事のまとめ
- 自宅でお通夜や葬儀が行われる場合や、葬儀後に自宅を弔問する場合、自宅で香典を渡すことになる
- ご遺族に挨拶をする際や、落ち着いたタイミングで香典を手渡すか、故人の仏前にお供え物として置く
- 自宅を弔問する場合、事前に連絡をし、約束の時間に合わせて伺うのがマナー
- 袱紗の上に香典袋を乗せ、お悔やみの言葉を述べながら渡す
- 忌み言葉や重ね言葉、宗教別の表現に注意しながら手短にお悔やみを伝える
自宅でお通夜や葬儀を行う場合や、葬儀後に弔問する場合は、自宅で香典を渡します。自宅で香典を渡すタイミングは、仏壇にお線香を上げてひと段落した時が一般的です。また、ご遺族に挨拶をするタイミングで直接渡したり、故人の霊前(仏前)へのお供え物として置くこともあります。
ご遺族に対して失礼のないよう、香典を渡すタイミングや作法、渡し方などに注意しましょう。