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お彼岸とお盆の違いとは?意味・由来・期間の違いやマナーを一挙解説

お彼岸とお盆の違いとは?意味・由来・期間の違いやマナーを一挙解説

ご先祖や故人に感謝し供養する行事である「お彼岸」と「お盆」ですが、二つの違いをご存知でしょうか?本記事では、お彼岸とお盆の違いについて、意味や由来・期間などの観点から解説していきます。二つの共通点についても紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

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お彼岸とお盆の意味の違い

彼岸とお盆はご先祖を供養するという目的は同じですが、明確な意味の違いがあります。まずは、お彼岸とお盆の意味の違いについて解説します。

お彼岸は「故人との距離が近くなる時期に行う供養」のこと

彼岸とは、故人との距離が近くなる時期に行う供養のことです。お彼岸の時期は、太陽が真東から真西へ沈んでいくことから、彼岸(=仏が住む極楽浄土)と此岸(=自分達が住む現世)の距離が最も近くなるとされており、法要やお墓参りを行い供養します。

彼岸では、彼岸と此岸が近い時期に供養をすることで感謝の気持ちがご先祖に伝わりやすくなるだけでなく、仏道修行をすることで浄土へ近づけるとされています。

お盆は「ご先祖の魂を自宅に迎え入れて行う供養」のこと

お盆は、ご先祖の魂を自宅にお迎えして供養することを指します。お盆の期間にはご先祖の魂が現世へ帰ってくるとされており、自宅でゆっくり過ごしてもらうとともに、冥福を祈りながら供養を行います。

▶初盆法要に必要な準備についてはこちら

お彼岸とお盆の由来

彼岸とお盆はどちらも仏教の考え方から生まれていますが、それぞれ由来が異なります。ここからは、お彼岸とお盆の由来の違いを解説します。

お彼岸は「仏教の教えと日願信仰」が由来

彼岸は、仏教における「西方浄土の教え」と日本に古くから存在する「日願信仰」の二つが由来とされています。

西方浄土とは「極楽浄土の彼岸は西方にあり、此岸は東方にある」という教えのことです。お彼岸の時期には太陽が真東から真西へ進むことから、現世と浄土の距離が最も短くなると考えられ、日本ではお彼岸の時期に修行することで浄土へ至ることができるとされてきました。

日願信仰とは、農作物を育てるために必要な太陽と私達を守護してくれるご先祖へ感謝するという考え方のことです。日願信仰では特に昼と夜の時間が等しくなる日(現代の春分の日・秋分の日)を大切にしており、当日にはお日様に拝んだとされています。

彼岸は日本古来の思想と仏教伝来後に広まった考え方が組み合わさっています。

お盆は「盂蘭盆会」が由来

お盆は正式名称でもある「盂蘭盆会(うらぼんえ)」および、その起源となった「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」が由来とされています。ちなみに盂蘭盆会とは、サンスクリット語で「ウラバンナ(=逆さ吊り)」のことです。

「盂蘭盆経」には、お釈迦様の弟子が、亡くなった自身の母親が逆さ吊りをするような苦しみを餓鬼の世界で受けていることを知り、何とか助けたいとお釈迦様に相談した際の内容が記載されています。お釈迦様からの助言は「夏の修行を終える7月15日に全ての修行僧に施しをすれば、功徳により母を救える」というものでした。

弟子はお釈迦様の助言をすぐに実行し、功徳を重ねました。その結果母親は極楽浄土へ至ることができたそうです。お盆は、「盂蘭盆経」の内容が日本で広まっていく中で、ご先祖を供養する行事の一つとして定着したとされています。

盂蘭盆会の過ごし方・準備についてはこちら

お彼岸とお盆の期間

日本では各地域で毎年行われているお彼岸とお盆ですが、行われる期間の違いもあります。ここからは、お彼岸とお盆の期間の違いについて説明します。

お彼岸は春分・秋分の日を中日とした前後3日間

彼岸は年に2回あり、それぞれ「春分の日を中日とした前後3日間(春のお彼岸)」と「秋分の日を中日とした前後3日間(秋のお彼岸)」の期間を指します。春分の日と秋分の日はそれぞれ国立天文台が作成している「暦象年表」をもとに、毎年閣議で決定されます。日付が固定で決まっていない点がお盆との違いといえます。

お盆は毎年8月13日から16日までの4日間

お盆の期間については「旧盆」と呼ばれる、8月13日~16日までの4日間を指すことが一般的です。東京都など一部地域では、1ヶ月早く7月15日を中心にお盆(新盆)を迎えます。

お彼岸とお盆でやることの違い

彼岸やお盆でやることと聞くとお墓参りをイメージする人が多いでしょう。しかし、お彼岸とお盆ではやることにも細かい違いがあります。ここからは、お彼岸とお盆でやることの違いについて解説します。

お彼岸は「六波羅蜜」を実践する

彼岸では「六波羅蜜」を実践しますが、お盆では行いません。六波羅蜜とは大乗仏教の各宗派で悟りに至るための修行徳目のことです。

六波羅蜜の種類
布施(ふせ) 見返りを求めることなく、他者へ施しをすること。
持戒(じかい) 仏の教えを振り返り、自分勝手なふるまいを正すこと。
忍辱(にんにく) 辛いことがあっても耐え忍ぶこと。あるいは自身の欠点に向き合って認めること。
精進(しょうじん) 今の結果に驕ることなく、常に向上心を忘れないこと。
禅定(ぜんじょう) 座禅によって自身・物事の本質を見つめ直すこと。
智慧(ちえ) 物事の真理を見極めること。ほか五つの善行によって自然に備わるとされている

お盆では盆棚の飾り付けや迎え火・送り火をする

宗派によって多少の違いはあるものの、お盆では一般的に盆棚の飾り付けや迎え火・送り火を行う点がお彼岸との違いです。お盆の期間はご先祖の魂が現世へ帰ってきます。丁寧にお出迎えできるように期間中は盆棚・精霊棚を仏壇の前に出し、盆提灯やきゅうり馬・ナス牛などを飾ります。

迎え火とは盆入りに行う焚き火のことで、ご先祖の魂が迷わず自宅へ来られるようにするための目印です。対して送り火はお盆の最終日に行うもので、ご先祖の魂がまっすぐ彼岸へ帰れるようお見送りするための焚き火のことです。

「水の子」と呼ばれる、細かく切ったきゅうりとナスを洗った米に混ぜ、蓮の葉とともに水の入った器に盛りつけた料理を飾る宗派や、そもそも盆飾りをしない宗派もあります。お盆飾りは宗派による違いやマナーを踏まえて準備する必要があるため、迷った際には一度寺院へ聞いてみるとよいでしょう。

お彼岸とお盆でやってはいけないことの違い

ご先祖や故人を丁寧に供養するために、お彼岸とお盆ではそれぞれ期間内にやってはいけないことも違います。ここからは、お彼岸とお盆でやってはいけないことの違いを解説していきます。

お彼岸にやってはいけないことはない

彼岸の期間には、やってはいけないことがありません。喪中・忌中のように慶事を避ける必要もないため、結婚や納車、お宮参りなどのイベントを実施することが可能です。しかし、お彼岸はお墓参りや法要などで忙しい時期であることを理由に、結婚式や引っ越しを避ける人もいます。

お盆の期間は避けるべきとされる行為がある

彼岸と違い、お盆には避けるべきとされている行為が複数あります。ここからは、お盆の期間に避けるべき行為について理由とともに解説していきます。

水辺へ行くこと

お盆の期間に避けるべき代表的な行為が「水辺へ行くこと」です。供養されない亡霊に水の中へ引きずり込まれるからという言い伝えが有名ですが、実際はお盆の時期が水難事故の多い時期だからという点にあります。

お盆は土用波という高波が発生しやすい・潮の流れが変わりやすい・増水しやすい時期とされており、海や川に行くと危険な場合が多いため避けた方がよいでしょう。

生き物の命を粗末にすること

「生き物の命を粗末にすること」も、お盆の期間に避けるべき行為です。お盆自体が仏教の教えに基づく行事であり、仏教の教えの一つに生き物を故意に殺してはならないという「不殺生戒」という考え方があることが理由といえるでしょう。

また「ご先祖の魂はトンボに乗って帰ってくる」という言い伝えもあることから、お盆の期間中は虫取りを避けるべきという地域もあります。

お彼岸とお盆で共通して行うこと

彼岸とお盆では由来や期間などの違いがありますが、共通点も多くあります。ここからは、お彼岸とお盆で共通して行うことを解説します。

お墓参り・お墓の掃除

彼岸とお盆のどちらにおいても、お墓参り・お墓の掃除は共通して行います。ただし、お墓参りをする理由に違いがあります。

彼岸におけるお墓参りは「彼岸に近い場所であり、ご先祖が眠るお墓へ行って供養する」という意味があり、お盆で行うお墓参りには「お墓へ行ってご先祖の魂をお出迎えする」という意味があるのです。正しく意味を理解して、お墓参り・お墓の掃除を行いましょう。

▶お墓掃除の詳しいやり方はこちら

仏壇の掃除

ご先祖を丁寧に供養するために、お彼岸とお盆どちらでも仏壇の掃除をします。特にお盆ではご先祖の魂をお迎えするため、一度仏壇のほこりを落としてきれいにしてから仏壇の飾り付けをしましょう。

法要

彼岸とお盆の時期には、僧侶による読経や焼香などを含む「法要」を行います。法要には自宅へ僧侶を招いて行う「個別法要」と、各宗派の寺院で実施される「合同法要」があります。どちらも僧侶へ渡すお布施が必要になるため、準備しておきましょう。

なお、故人が亡くなってから四十九日を過ぎ、初めてお盆を迎える場合の法要は「初盆(新盆)法要」と呼ばれます。

法要に用意するお布施の金額

初盆のお布施については3万円~5万円、通常のお盆の法要は5千円~1万円です。お彼岸については、合同法要で3千円~1万円、個別法要の場合は3万円~5万円を目安に包むことが多いようです。

お供え

彼岸とお盆には、お墓や仏壇にお供えをするのが一般的です。お供え物は日持ちするお菓子や季節の花などを選びますが、お彼岸とお盆では内容に少し違いがあります。

彼岸の場合、春のお彼岸はぼたもち、秋のお彼岸ではおはぎをお供えをすることが多いです。どちらももち米とあんこで作られた和菓子ですが、ぼたもちはこしあん、おはぎは粒あんを使用して作られています。

お盆では、フルーツの籠盛りや落雁などをお供えすることが多いです。地域によってはそうめんをお供えする場合もあります。

お彼岸とお盆の共通のマナー

彼岸とお盆では、自宅や寺院で法要を執り行うときやお供えをする際などのマナーにも共通点があります。ここからは、お彼岸とお盆で共通するマナーを紹介します。

正しく法要や供養を行うためにも、しっかり確認しておきましょう。

法要の際の服装は略喪服を着用する

彼岸とお盆の法要には、略喪服を着用するのが一般的です。略喪服とは、男性はダーク系のスーツ、女性は暗い色のワンピースやセットアップなどです。華美なアクセサリーやメイク、ネイルなどは控えましょう。

お供え物は三厭・五葷を避ける

彼岸とお盆にお供え物を用意する際には、三厭(さんえん)と五葷(ごくん)は避けてください。三厭とは獣・魚・鳥の肉を意味しており、仏教の教えの一つである「不殺生戒」に基づき避けるべき食材とされています。

五葷とは、辛みや香りなどの刺激が強い食品のことです。辛みや香りの強い食品は煩悩の一つである食欲を刺激することから、仏教において避けるべきとされてきました。具体的にはニラ、ニンニク、ラッキョウ、アサツキ(タマネギ)、ネギを指します。

精進料理であれば三厭・五葷を使用していないため、お供え物に迷った際には活用してみましょう。

お供え物には掛け紙を用意する

彼岸とお盆において、訪問先へお供え物を持参する場合には掛け紙を用意してください。お彼岸とお盆でよく使われる掛け紙の表書きとして「御霊前」と「御仏前」がありますが、御霊前は四十九日前、御仏前は四十九日以降に使用できます。

訪問先の相手が四十九日を迎えたか否かが分からない場合には、タイミングを選ばずに使える「御供」の表書きを使用するとよいでしょう。

時期が過ぎたお供え物は「仏様のおさがり」としていただく

宗派や地域による考え方の違いはありますが、一般的にはお彼岸とお盆のどちらにおいても、お供え物は時期が過ぎたら「仏様のおさがり」として家族皆で食べることがよいとされています。お供え物を食べることは、仏様の恩恵を受けるとともに、ご先祖への敬意を表す行為とされています。

お彼岸とお盆の違い・共通点を正しく理解しよう

この記事のまとめ

  • お彼岸とは「故人との距離が近くなる時期に行う供養」のこと
  • お盆は「ご先祖の魂を自宅に迎え入れて行う供養」のこと
  • お彼岸は「仏教の教えと日願信仰」、お盆は「盂蘭盆会」を由来とする
  • お彼岸は日付が毎年変わるが、お盆は決まって毎年8月13~16日と期間の違いがある
  • お彼岸とお盆では飾り付けやお供え物などに違いがある

彼岸とお盆は意味や由来の違いこそあれど、どちらもご先祖への敬意と感謝を表す供養であることには違いありません。そのため、どちらも同等に大切にすべき行事といえます。今回紹介したお彼岸とお盆の違いや共通点、マナーを理解した上で、今年のお彼岸とお盆を迎えましょう。

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