お彼岸の法要とは?時期やお布施の相場、服装マナーなどを解説
お彼岸に執り行われる法要ですが、目的や実際にどのようなことを行うのかを知らない方も多いのではないでしょうか?本記事では、お彼岸の法要の意味や時期、法要の流れを解説します。お布施の相場やマナーも解説しているため、法要に参加する前にぜひ確認してください。
お彼岸の法要とは
まずは、お彼岸の法要とはどのような儀式なのかについて解説します。
故人・ご先祖に感謝し、供養するために行う
お彼岸の法要を行うのは、故人やご先祖に感謝し供養するためです。
仏教における「西方浄土」の考え方では、ご先祖が住む浄土を意味する彼岸は西方に、生きている人が住む現世を指す此岸は東方にあるとされています。特に、お彼岸の時期は太陽が真東から真西へ沈んでいくため、「彼岸と此岸の距離が最も近い時期」とされています。
よって、お彼岸の時期に法要やお墓参りなどで供養をすることで、故人やご先祖への感謝の気持ちが通じやすくなるのです。お彼岸の具体的な時期については、後述します。
合同法要と個別法要がある
お彼岸の法要は、「合同法要」と「個別法要」の二種類に分かれます。それぞれ実施する場所や時期、具体的な実施の流れが異なるため、スケジュールや各地域の考え方に合わせて選ぶことが一般的です。
合同法要
合同法要とは、各地域のお寺で複数の家庭の法要を一度にまとめて執り行う法要のことです。「彼岸会」とも呼ばれており、お寺の境内にお墓がある人やお寺の檀家の人が出席します。
お彼岸の合同法要は、お寺の本堂で行われることが一般的ですが、霊園が主催となる場合は霊園の法要会館などで執り行われる場合もあります。法要を行う日程はお寺側が決めるため、自分で日程を決められない点には注意が必要です。
個別法要
個別法要とは、菩提寺の僧侶を自宅へ呼んで読経をしてもらう法要のことです。合同法要と違ってスケジュールの自由度が高く、参列者の人数や範囲に制限がありません。ゆえに各家庭や地域の習慣に合わせて法要を執り行えるでしょう。
お彼岸の法要の時期
一年のうちにさまざまなタイミングで執り行われる法要ですが、お彼岸の法要が行われる時期はいつ頃でしょうか。ここからは、お彼岸の法要の具体的な時期について解説します。
春分・秋分の日を中日とした前後3日間
お彼岸の法要の実施時期は、春分・秋分の日をそれぞれ中日とした前後3日間のうちに執り行われます。春分の日を中日とした前後3日間が「春のお彼岸」、秋分の日を中日とした前後3日間が「秋のお彼岸」です。その年の春分の日・秋分の日は、前年の2月頃に発行される官報「暦要項」に掲載される日付で決まります。
なお、お彼岸の時期は法要でお寺側が忙しくなる時期であるため、個別法要を行う場合は、早めに希望日や当日の流れについてお寺の僧侶と打ち合わせをしておくことが大切です。
合同法要は菩提寺によって開催日・時期が異なる
お彼岸の合同法要については、お寺のある地域によって開催日・時期が異なります。具体的な日程については、菩提寺から送られるお知らせのはがきや法要を行うお寺の公式ホームページであらかじめ確認しておきましょう。
お彼岸の法要の流れ
お彼岸の法要は頻繁に執り行われるものではないため、実際の流れが分からないという方も多いでしょう。ここからは、お彼岸の法要を実施する流れについて解説します。
①事前に菩提寺に相談する
個別法要・合同法要を問わず、事前に菩提寺へお彼岸の法要を執り行いたい旨を相談してください。打ち合わせでは、法要を行う日程・会場などを決めます。菩提寺に直接訪問して相談することが一般的ですが、各お寺・会館のホームページから問い合わせできる場合もあります。
また親族以外を招待して個別法要を行う場合には、案内状を作成する必要があります。お彼岸の法要の1か月前までには打ち合わせをすませるようにしましょう。
②僧侶の読経
お彼岸の法要当日には、開式の挨拶の後に僧侶による読経が行われます。読経の間、出席者は数珠を持ち、合掌をしながら故人・ご先祖の冥福を祈ります。
③お焼香
読経が終わると、僧侶の合図とともにお焼香を行います。個別法要の場合、施主から始まり故人と関係の深かった順に焼香をしていきます。焼香の方法は宗派によって異なりますが、以下のような流れが一般的です。
法要における焼香の手順・マナー
- 焼香台の少し前で僧侶に一礼する
- 焼香台の前に進んだら、焼香台に向かって一礼する
- 数珠を左手に掛けて、右手で抹香をつまみ、額におしいただく
- おしいただいた抹香を静かに香炉にくべる
- 最後に合掌し、少し下がったら一礼して席に戻る
④僧侶による法話
焼香が終わった後には、僧侶による法話が行われます。仏様の教えをもとに、ご先祖に関する話など、僧侶によって法話の内容は異なります。法話が終わったら僧侶が退場し、閉会となります。
⑤お墓参り
法要が終わったら、お墓参りをして故人・ご先祖へ直接感謝と祈りを伝えるのもよいでしょう。お彼岸の時期には混雑が予測されるため、法要の日とは別日にお墓参りをする人もいます。お墓参りの際には、線香や供花などを忘れないようにしましょう。
お彼岸の法要で用意するお布施の相場
お彼岸の法要を執り行う際には、読経を行う僧侶へ渡すお布施を用意しなくてはいけません。ここからは、お彼岸の法要に用意するお布施の相場を解説します。
合同法要の相場は3千円~1万円
お彼岸の合同法要で渡すお布施は、3千円~1万円が相場です。法要を行うお寺によっては具体的な金額の指定がされている場合があるため、実際に出席する際には事前にお知らせのはがきやお寺の公式ホームページを確認しておきましょう。
個別法要の相場は3万円~5万円
お彼岸の個別法要で渡すお布施は、3万円~5万円が相場です。僧侶を自宅に招いて法要を執り行うため、お布施とは別にお車代を5千円~1万円を包んで渡すことが一般的です。
お彼岸の法要の服装
お彼岸の法要に出席する場合、どのような服装を選べばよいか迷う方も多いでしょう。ここからは、お彼岸の法要の服装に関するマナーを解説します。
平服の着用が一般的
お彼岸の法要は、葬儀やお通夜のような弔事には含まれないため、喪服ではなく平服の着用が一般的です。
法要の案内状に記載されていることが多い「平服」ですが、あくまで「礼服でなくてもよい」という意味であり、Tシャツやジーンズのようなカジュアルな服装でもよいわけではありません。一般的には、フォーマルスーツやワンピースなどを指します。
なお、「平服」といわれたら、基本的には略喪服のことを意味します。
黒・グレーなどのフォーマルシーン向けの色がよい
お彼岸の法要に着用する服装の色は、黒やグレーなどのフォーマルシーン向けの色を選ぶことをおすすめします。靴やバッグも服装に合わせて暗い色で揃えましょう。また、気温が高くなりやすい秋のお彼岸でも、法要の際の服装選びでは露出を控えたほうがよいです。
お彼岸の法要の持ち物
ここからは、お彼岸の法要に必要な持ち物を紹介します。
数珠
法要では、数珠を持ちます。数珠には本式数珠・略式数珠の二種類があり、本式数珠は各宗派の形式や意味に沿ったものであるのに対し、略式数珠は宗派を問わず使うことができます。
一般的に法要で使用する数珠は「お念珠」と呼ばれ、使う人の念が入るものとされているため、ほかの人と貸し借りすることは避けましょう。また、男性用・女性用によって数珠の玉の大きさが異なるため、自分専用の数珠を用意しておくのが望ましいです。
お布施と袱紗
法要の際には、僧侶に渡すお布施も忘れずに持参しましょう。お布施を直接手渡しすることは失礼にあたるため、表書きにお布施と記載した封筒に入れて袱紗に包み、持って行くことが一般的です。
お布施を入れた封筒の表書きは「お布施」または「御布施」と記載します。表書きの下部には自分の名前(家族単位でお布施を渡す場合は「〇〇家」でも可)を記載することが一般的です。
遺影・位牌
必要であれば、遺影・位牌なども用意しておきましょう。故人やご先祖を思い出す、よすがとなるものにあたります。遺影はあらためて用意する必要はなく、葬儀などで使用したもので問題ありません。
お供え物・お花
お彼岸の法要では、故人・ご先祖を供養するためにお供え物や供花を用意します。お供え物の品物には、和菓子や果物、線香などを選びます。親戚やほかの家へお供え物を持参する場合は、施主へ渡すようにしましょう。
供花については白を基調とすることが一般的ですが、黄色やピンク色の花を選んでも問題ありません。ただし、派手すぎる色合いにはならないように注意しましょう。
白いハンカチ
お彼岸法要に限らず、法事法要において白いハンカチは必須です。手を拭くときにはもちろん、お墓参りでお供え物を置く際の盆の代わりや、お布施を渡すときの袱紗の代わりとして使うこともできます。
黒のハンドバッグ
お彼岸の法要では、お布施や数珠などをまとめて黒のハンドバッグに入れて持ち運びます。法事法要では布製のバッグを使うことが一般的であり、殺生を連想させる革素材・ファー素材などは避けるようにしましょう。
お彼岸の法要の流れやマナーを知っておきましょう
この記事のまとめ
- お彼岸の法要には、合同法要と個別法要がある
- お彼岸の法要の時期は「春分・秋分の日を中日とした前後3日間」
- 合同法要の開催日は菩提寺によって異なる
- お布施は合同法要で3千円~1万円、個別法要で3万円~5万円が相場
- お彼岸の法要は平服の着用が一般的
お彼岸の法要は、故人・ご先祖を供養するために執り行います。実施の流れやマナーについて、今回紹介した内容を参考にして備えましょう。また故人やご先祖に正しく感謝を伝えるためにも、お彼岸の法要についての理解を深めておきましょう。