会食なしの法事で必要な御膳料の相場は?お金の包み方や封筒の書き方、渡し方を解説
法事の際、僧侶に渡すお金の一つに御膳料があります。御膳料は会食なしの法事や会食に僧侶が参加しない場合に必要となるお金のことで、僧侶が会食に参加する場合は御膳料は用意しなくて構いません。本記事では、御膳料の相場やお金の包み方、渡し方などについて分かりやすく解説します。
御膳料とは
最初に、御膳料(おぜんりょう)の意味について分かりやすく解説します。初めて喪主や施主を任されたという方は、この機会に確認しておきましょう。
会食なしの法事で僧侶に支払う
御膳料とは、会食なしの葬儀や法事で会食の代わりとして僧侶に渡すお金のことです。食事に代わるもののため、葬儀や法事にお呼びした僧侶の人数分を用意します。
この場合以外に、会食の場は設けているものの、都合が合わず僧侶側が辞退する際にも御膳料を準備します。最近では僧侶が会食を辞退する場合も多く、御膳料を用意する機会が増えています。会食を行う場合は、僧侶が参加できるかどうかを前もって確認しましょう。
当日、時間がない中で急いで御膳料を準備しなくてはならない事態も避けられるため「法事では会食を用意する予定ですが、お時間やご都合のほどはいかがでしょうか」などと事前に尋ねておくとよいでしょう。
御膳料は絶対に必要?
御膳料は必ずしも必要なわけではなく、僧侶が会食に参加する場合は準備しなくて構いません。また、会食の席ではなく仕出し弁当などを準備している場合、僧侶にも渡すのであれば御膳料は不要となります。
僧侶を招いて法事を行う際にこちらの都合で会食なしとする場合や、僧侶の都合で会食に参加いただけない場合にのみ必要となるお金であることを覚えておきましょう。
会食なしの法事で必要な御膳料の相場
会食なしの法事では御膳料を用意する必要がありますが、初めて法事の施主を務める場合はいくら包めばよいか分からない場合も多いでしょう。そのときは、相場を参考にして決めることをおすすめします。
一般的に、会食なしの法事を行う場合の御膳料の相場は5千円~1万円程度です。これは僧侶1人あたりの相場のため、法事に複数の僧侶をお呼びした場合には人数分の御膳料を用意します。
御膳料の相場は地域によっても異なることがあります。地域の相場を知りたい場合には、親族や近所の詳しい方に御膳料の相場を聞いてみるのがおすすめです。
御膳料のお金の包み方と封筒の書き方
御膳料は、葬儀や法事が終わった後に会食で振る舞う食事の代わりとして渡すものです。
したがって、丁寧な気持ちが伝わるようお金の包み方や封筒の書き方にも配慮します。当日慌ててしまわないよう、事前に確認して準備しておきましょう。
お金の包み方
御膳料は白い封筒に入れるのが一般的です。デザイン性の高い封筒ではなく、郵便番号の枠がない無地タイプを選びます。また、不幸が重なることを連想させるため、二重封筒も避けましょう。
御膳料のお金の包み方
- お札は新札を用意する
- 封筒の表にお札の肖像画が向くように、全てのお札の向きを揃えて入れる
- お札を出したときに最初に肖像画が見える向きで、「五千円」や「壱万円」の表記がある方を下にして封筒に入れる
- 複数人の僧侶の御膳料を用意する場合であっても、別々ではなく一つの封筒にまとめて包む
御膳料は僧侶に会食のおもてなしの代わりに渡すものであって、不祝儀ではありません。香典(不祝儀)の包み方のように古札を入れたり、お札の肖像画が裏側にくる向きにしたりする必要はないため注意しましょう。
封筒の書き方
御膳料の封筒に使う筆記用具でもっとも丁寧なのは、毛筆や筆ペンです。御膳料は不祝儀ではないため、薄墨ではなく必ず濃い黒墨を使って書きます。
毛筆や筆ペンでどうしてもうまく書けないなどの場合には、サインペンを使用してもよいでしょう。あるいは、法事に参列する親戚などで筆字が得意な方がいる場合には、事前に書いてもらうのも一つの方法です。
封筒の表面、中央上部には、表書きとして「御膳料」の文字を縦書きします。そして、表書きと同じ列になるよう、中央下部に施主のフルネームを記すのが一般的な書き方です。
封筒の裏面には、左下に郵便番号、住所と御膳料として包んだ金額を縦書きで記します。番地の数字は漢数字で記載しましょう。また、金額表記は改ざんを防ぐためにも「金伍阡圓也」というように、壱(一)、弐(二)、参(三)、伍(五)、拾(十)、阡(千)、萬(万)を使います。最初に「金」、最後に「也」を付け、「円」ではなく「圓」で表記しましょう。
大字の新字体 | |||
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一 |
壱 |
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二 |
弐 |
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三 |
参 |
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四 |
肆 |
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五 |
伍 |
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六 |
陸 |
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七 |
漆 |
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八 |
捌 |
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九 |
玖 |
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十 |
拾 |
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百 |
陌 |
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千 |
阡 |
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万 |
萬 |
旧漢数字は普段の漢数字と全く書き方が異なるため、特に毛筆や筆ペンを使う場合には書くのが難しいこともあります。画数が多いことから文字がつぶれて読めなくなってしまう心配もあるため、まずは別の紙で練習するのがおすすめです。
御膳料の渡し方
会食の代わりに渡す御膳料は、その渡し方にも配慮が必要です。初めて僧侶に御膳料を渡すという方は、しっかり確認しておきましょう。
御膳料を渡すタイミング
御膳料を渡すタイミングは、法事の当日、儀式が行われる前または後です。法事の前に渡したい場合には、僧侶が会場に到着し、挨拶をする際に御膳料を渡します。法事の後の場合は、儀式が終わって僧侶にお礼の挨拶をする際に渡します。
御膳料を渡すタイミングは、法事の前後どちらでも構いません。
御膳料の渡し方
御膳料は僧侶に直接手渡しをするのではなく、切手盆または袱紗に御膳料をのせて渡すのがマナーです。切手盆は封筒より一回りほど大きいサイズの漆塗りのお盆で、御膳料を渡す際に一番丁寧な方法です。
切手盆の用意ができなかった場合には、袱紗で代用できます。袱紗は、紫や紺色などの地味な色を選びましょう。
御膳料を渡すタイミングで、お布施やお車代も一緒に僧侶に渡します。お布施を一番上にして、その下に御膳料とお車代を重ねるのが一般的です。御膳料とお車代の順番については、どちらが上でも構いません。
御膳料の渡し方
- 表書きが自分側から読める向きの状態で御膳料(お布施やお車代も併せて)を切手盆にのせる
- 表書きが僧侶に読める向きになるように、切手盆ごと右に回す
- 「本日はよろしくお願いいたします」「本日はありがとうございました。どうぞお納めください」と声をかけて切手盆ごと差し出す
切手盆を差し出すときに、床の上を滑らせるようにして渡すのはマナー違反です。思わずやってしまいそうになるかもしれませんが、十分に気をつけましょう。
法事で御膳料以外に僧侶に渡す費用とその相場
法事では、御膳料以外にも僧侶に渡すお金があります。施主を務める場合、渡し忘れがないよう御膳料とあわせて確認しておきましょう。それぞれの費用の相場も紹介しているため、金額に迷った場合には参考にしてみてください。
お布施の費用相場
お布施は、お通夜や葬儀、法事に来ていただいた僧侶に感謝の気持ちとして渡す費用のことを言います。気持ちとして渡すお金ですが、だからといって渡さないのはマナー違反です。僧侶を招いて法事を行った際には、必ず準備しましょう。
なお、お布施は通常お寺の運営や管理に使用されます。お布施は、御膳料とは別にして包みます。
お布施は気持ちとして渡すもののため、金額が厳密に決まっているわけではありません。一周忌法要や三回忌法要などといった法事の種類によっても相場は変わるため、迷ったときには以下を参考にしてください。
法事ごとのお布施の相場
- 初七日法要…3万円~5万円
- 四十九日法要…3万円~5万円
- 初盆…3万円~5万円
- お盆…5千円~1万円
- 一周忌法要…3万円~5万円
- 三回忌法要…1万円~5万円
お布施の相場は地域によっても異なることがあります。その場合は、近所の方に法事の際にお布施をいくらお渡ししたか聞いてみるとよいでしょう。
また、直接お寺にお布施の相場を尋ねることもマナー違反ではありません。その場合には「皆さんがお包みされている三回忌法要のお布施の相場はどのくらいでしょうか」などと丁寧な表現を使い、直接的な言葉は避けましょう。
お車代の費用相場
お車代とは、僧侶がお寺から法事の会場まで往復する際にかかる交通費として渡すお金です。
お車代の相場は5千円~1万円です。ただし、遠方の地域から新幹線などで来ていただくなど、相場よりも実際の交通費が高い場合にはそれに見合った金額を包みます。なお、お車代も同様に、御膳料やお布施とは別の封筒に包みます。
僧侶が法事会場まで歩いてくる場合や、施主や親戚が送迎をする場合、施主が送迎用のタクシーを手配しているような場合には、お車代は必要ありません。
会食なしの法事でも御膳料を渡して感謝を伝えよう
この記事のまとめ
- 御膳料とは、会食なしの葬儀や法事で食事の代わりとして僧侶に渡すお金のこと
- 会食の場は設けているものの、都合が合わず僧侶側が辞退する際にも御膳料を準備する
- 会食なしの法事で必要な御膳料の相場は5千円~1万円。
- 封筒の表面の書き方は、中央上部に「御膳料」、中央下部に施主のフルネームを記す。裏面左下には、住所と電話番号、包んだ金額を記す
- 法事では御膳料の他にかかる費用としてお布施とお車代がある
- 御膳料を渡すタイミングは、法事の前後。直接手渡しせず、切手盆または袱紗にのせて差し出す
会食なしの法事の場合には、僧侶の人数分だけ御膳料を用意する必要があります。おもてなしの食事の代わりとして渡すもののため、お金の包み方や封筒の書き方、渡し方などは気持ちが伝わるよう丁寧に行わなくてはいけません。
法事は一度だけでなく、今後さまざまなタイミングで何度も行うことになるでしょう。御膳料の基礎知識について事前に確認しておくと安心です。