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葬儀のあと

仏壇のお膳(御霊供膳)はどう配置する?お供えする意味から宗派ごとの並べ方まで徹底解説

仏壇のお膳(御霊供膳)はどう配置する?お供えする意味から宗派ごとの並べ方まで徹底解説

法要やお盆で仏壇へお膳をお供えする際、並べ方や向きに迷う方も多いのではないでしょうか。そもそも仏壇にお供えするお膳を御霊供膳といい、配置には決まりごとがあります。本記事では、御霊供膳の意味から配置方法まで分かりやすく解説します。

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御霊供膳とは?

そもそも御霊供膳とはどのようなもので、仏壇にお供えすることにどういった意味があるのでしょうか。

仏壇にお供えするお膳を「御霊供膳」と呼ぶ

葬儀や法要の際に仏壇にお供えするお膳のことを「御霊供膳(おりょうぐぜん)」といいます。別名に「霊供膳(りょうぐぜん)」や「供養膳(くようぜん)」、「お霊膳(おりょうぜん)」などがあります。

仏壇のお膳は、ご霊前やご仏前へお供えするために一般的なお膳の四分の一ほどのサイズとなっています。また、お膳に配置される器の色は朱色や黒中朱(内側が朱色で外側が黒)などが一般的です。ただし、初盆では白木のお膳に白い器を配置する地域もあります。

仏壇にお膳をお供えする意味

御霊供膳の目的は、「飲食供養(おんじきくよう)」です。飲食供養には、仏様やご先祖へ食事をお供えして供養や感謝の気持ちを示すという意味があります。自分や家族が今生きているのは故人やご先祖のおかげであるという気持ちを込めて、丁寧にお供えしましょう。

仏壇にお膳をお供えする場面

御霊供膳は基本的に特別な日にお供えします。例えば、法要やお盆、お彼岸、開眼供養(かいげんくよう)などです。

法要

初七日や四十九日などの忌日法要、一周忌、三周忌などの年忌法要に御霊供膳をお供えします。仏様やご先祖は食事の香りや湯気を味わうとされているため、早めに準備した場合は冷めないように蓋を被せておき、法要の直前に外しましょう。

お盆やお彼岸

お盆の期間中は、毎食仏壇にお膳をお供えすることが望ましいとされていますが、難しい場合は一日一食でも問題ありません。春と秋のお彼岸も同様で、一日一食を用意することが困難な場合は、お彼岸の中日にあたる春分の日と秋分の日のみでも構わないとされています。

開眼供養

開眼供養とは、仏壇やお墓などを新しく購入した際に、僧侶を招いて魂を込めてもらう儀式のことです。お墓の開眼供養ではお膳のお供えをしませんが、仏壇の開眼供養ではお供えをします。

浄土真宗では仏壇にお膳をお供えしない

浄土真宗では、一般的に仏壇へお膳をお供えしません。故人はすぐに浄土へ往生し、浄土にて仏様になると考えられているためです。ただし、仏壇へ仏飯のみを配置したり、お茶だけをお供えしたりすることがあります。

仏壇へお供えするお膳(御霊供膳)の配置方法

御霊供膳に配置する器やお箸は、どのような置き方になるのでしょうか。器の種類を把握した上で、基本的な向きや配置方法を確認しましょう。

御霊供膳でお供えする器の種類

御霊供膳は、高さのあるお膳に四つのお椀・一つの高坏・一組のお箸がセットになっており、お膳には合計五つの器を配置します。具体的な種類は次の通りです。

器の種類

  • 【親椀(おやわん)】ご飯を盛り付ける器
  • 【汁椀(しるわん)】汁物を盛り付ける器
  • 【平椀(ひらわん)】煮物を盛り付ける器
  • 【壺椀(つぼわん)】お浸しや和え物などを盛り付ける器
  • 【高坏(たかつき)】香の物を盛り付ける器
  • 【仏器膳】仏壇のお膳に配置する仏様用の箸

配置する器は基本的に五種類ですが、昨今は仏壇の小型化に合わせて親椀・汁椀・高坏のみを配置する略式のお膳も増えてきています。

仏壇にお供えするお膳の個数

基本的には一つのお膳を仏壇へ配置しますが、地域の慣習や寺院の意向で二つのお膳を配置することもあります。仏様とご先祖に分けて食事をお供えするためです。

仏壇にお供えするお膳が大小異なるサイズの二セットになっている場合は、置き方に注意しましょう。基本的に大きなお膳は仏様用として仏壇に向かって右側へ配置し、小さなお膳はご先祖用として仏壇に向かって左側へ配置します。

御霊供膳の基本の向き・並べ方

お膳の手前に箸を配置し、左下に親椀、右下に汁椀、中央に高坏、左上に平椀、右上に壺椀を置くことが基本の並べ方となります。親椀と汁椀が手前に配置されるのは、御霊御膳がご飯と汁物を中心とした和食の一汁三菜の形式と同じであるためです。

仏壇や祭壇に配置する際は、箸がある方を仏前に向けるようにします。仏様がお膳を食べやすいようにするためです。

仏壇や祭壇の具体的な配置場所

仏壇の場合、仏壇内の下段または膳引(ぜんびき)を引き出して仏具やお供えを載せる部分に配置しましょう。仏壇が小型でお膳を置くことが困難な場合、近くに台を設置してその上にお膳を配置しても問題ありません。

祭壇の場合、二段のときは下段へ、三段あるときは中段に配置することが一般的ですが、地域や寺院の考え方によって置き方が異なる場合もあります。事前に親族や僧侶へ適切な置き方を聞いておきましょう。

【宗派別】御霊供膳の向き・並べ方

お膳に配置する器の向きや配置方法は、宗派によって異なる場合があるため注意が必要です。簡潔にいうと、親椀・汁椀・仏器膳の並べ方は基本通りですが、平椀・壺椀・高坏の配置方法が異なります。あらかじめ宗派別の並べ方を把握しておき、配置を間違えないようにしましょう。

なお、実際の向きや並べ方は地域によって異なる場合があるため、僧侶や周囲の方へ確認することをおすすめします。

真言宗・日蓮宗・天台宗の場合

お膳の配置方法は先述した基本の並べ方と同じで、左下へ親椀、右下へ汁椀、中央に高坏、左上に平椀、右上に壺椀を配置します。

浄土宗の場合

左下に親椀、右下へ汁椀、中央に高坏を配置する点は基本の置き方と同じですが、左上に壺椀、右上に平椀を配置する点が異なります。

臨済宗・曹洞宗の場合

左下に親椀、右下へ汁椀を配置するところまでは基本の置き方と同じですが、中央に壺椀、左上に平椀、右上に高杯を配置する点が異なります。

仏壇にお供えする料理の内容

仏様やご先祖にお供えするお膳の内容にはいくつか決まりがあります。

お膳に供える料理の基本は精進料理

仏壇に供えるお膳には、基本的に白米と一汁三菜から成る精進料理を盛り付けます。精進料理で許容される食材の中から故人が好きだったものを選んで作りましょう。手作りの料理を配置することが望ましいですが、難しい場合はお惣菜や御霊供膳用レトルトを利用しても問題ありません。

精進料理で避けるべき食材

精進料理では、基本的に「三厭(さんえん)」や「五葷(ごくん)」と呼ばれる食材を避けます。

三厭は肉類・魚類・鳥類のことを意味します。 三厭を避けるのは仏教において殺生を禁ずる教えがあるためです。汁物の出汁も、鰹節や煮干しといった動物由来の食材は避け、昆布やしいたけを使用しましょう。

五葷は五辛(ごしん)とも呼ばれ、にんにく・にら・玉ねぎ・らっきょう・ねぎといった香りや刺激が強い五種類の野菜を意味します。五葷を避けるのは、怒りや欲を刺激し、臓器に負担をかけると考えられているためです。

仏壇のお膳に盛り付ける精進料理の献立例

献立は、ご飯・汁物・煮物・和え物・香の物とするのが一般的です。具体的には、次のようなメニューがあります。

御霊供膳のメニュー例

  • 【親椀】白飯
  • 【汁椀】わかめの味噌汁
  • 【平椀】野菜と高野豆腐の煮物
  • 【壺椀】小松菜のごま和え
  • 【高坏】たくあん

親椀には基本的に白飯をお供えしますが、開眼供養などでは赤飯を盛り付けることもあります。ご飯を盛る際は、山盛りの形に整えましょう。

漬物に関しては、三切れにすると「みきれ」つまり「身切れ」を連想させて縁起が悪いとされるため、二切れにするのがおすすめです。

仏壇に供える献立を決める際は、旬の野菜を使って彩りがよくなるように工夫するとよいでしょう。

仏壇のお膳(御霊供膳)に関するよくある疑問

初めて仏壇にお膳を供える場合、配置方法や料理の内容以外にもお膳を下げるタイミングなど、疑問に思うこともあるのではないでしょうか。ここでは、お膳のお供えに関するよくある疑問について解説します。

仏壇からお膳を下げるタイミングは?

お供えしたお膳を下げるタイミングに決まりはありません。ただ、仏様やご先祖は料理の香りを召し上がるため、料理が冷めるタイミングでお下げするとよいでしょう。長時間お供えをして料理が傷まないように注意してください。

仏壇から下げた食事は食べてもよいか?

仏壇にお供えした後の料理は、食べても問題ありません。仏様やご先祖と食事を分かち合うという意味にもなります。ただし、抵抗がある場合はお供えした後に処分しても問題ありません。

器のお手入れ方法は?

仏壇にお供えする器の種類にはプラスチック製と漆器の二種類あり、お手入れの仕方は素材によって変わります。

扱いやすいプラスチック製の器は、お手入れが簡単です。料理を片付けた後、一般的な食器と同じように食器用洗剤で洗って乾かしましょう。家庭用食器洗い乾燥機が使えるかどうかは製品によって異なるため、事前の確認が必要です。

一方、高級感がある漆器は、取り扱いに注意が必要です。強くこすって洗ったり、長時間水に浸けたりしないようにしましょう。また、洗った後は自然乾燥ではなく布で拭き取り、傷防止のため紙などを器と器の間に挟んで直射日光を避けて保管します。

意味や配置の決まりを踏まえて仏壇にお膳をお供えしましょう

この記事のまとめ

  • 仏壇にお膳を供える「御霊供膳」には、感謝や供養の意味がある
  • 御霊供膳の配置にはルールがあり、手前に箸を配置し、左下に親椀、右下に汁椀、中央に高坏、左上に平椀、右上に壺椀を置くのが一般的
  • 仏壇にお供えするお膳は、手前の箸が仏前の方を向くように配置する
  • お膳の配置の仕方は宗派や地域によって異なる
  • 浄土真宗では仏壇にお膳をお供えしない
  • 仏壇のお膳には精進料理を盛り付ける

御霊供膳は、食事を通して仏様やご先祖へ供養や感謝の気持ちを示す大切な機会です。配置には決まりがありますが、基本を理解すれば難しいことはありません。仏壇にお膳をお供えする意味を理解した上で器の配置や献立に気を配り、心をこめて供養しましょう。

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