喪に服す期間はどのくらい?目安日数から喪中で注意することやマナーを解説
大切な人が亡くなった後は「喪中」と呼ばれる喪に服す期間に入ります。どのくらい喪に服すべきなのか、詳しく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、喪に服す期間の目安や喪中のマナーについて解説します。
喪に服すとは?
故人を偲び、身を慎むこと
「喪に服す(服喪)」とは、近親者の死を偲んで身を慎むことを意味します。悲しみを乗り越えて故人の死を受け入れ、ゆっくり普段の生活に戻るための期間でもあるため、派手な活動やお祝い事は行わないのが基本です。
現代ではライフスタイルが変化してきており、故人が亡くなってから四十九日が過ぎればお祝い事に参加してもよいという考え方が主流になっています。昔に比べると服喪期間のマナーは厳格ではないものの、ある程度の秩序は求められます。
喪中と忌中の違い
「喪中」と「忌中」は、近親者の死に際する服喪期間を意味している言葉で、期間の長さが異なります。
忌中は故人が亡くなったときから始まり、法要が行われる四十九日までの間とされています。忌中は喪中に比べ、してはいけないことやマナーなどが厳しく決められています。四十九日が終わった後は忌明けとなり、少しずついつもの日常へと戻っていきます。
一方、喪中の期間は故人との関係にもよりますが、3ヶ月〜1年ほどが目安です。
宗教別の違い
喪に服す期間や意味合いは、宗教によって異なります。例えば、キリスト教や浄土真宗に忌中や喪中の概念はありません。ヒンドゥー教やイスラム教などは喪中の概念がありますが、期間はそれぞれ異なります。以降、本記事では仏教における喪中について解説していきます。
喪中期間の目安日数
喪中とは故人の死を偲ぶための期間ですが、具体的にはどのくらいの期間なのでしょうか。ここからは、喪中の目安の日数を説明します。
喪中の期間は正確に決まっていない
喪中の期間は、法律などで正確に決められているわけではありません。以前は服喪期間を定めた「服忌令」という法律がありましたが、昭和22年に廃止されています。
喪中の目安期間は故人との関係性で決まることが多い
先ほど説明した通り、喪中の期間は明確に定められているわけではありませんが、故人との関係性の深さによって決まることが多いです。
一般的に、喪に服すのは故人の二親等の範囲までとなっています。一親等は本人と配偶者から数えたときに一世代を隔てた関係にある人、二親等は本人とその配偶者から数えて二世代を隔てている人のことです。例えば、自分の兄弟は二親等、配偶者の両親は一親等となります。叔父や叔母、甥、姪などは三親等にあたるため、喪に服さないことが多いです。
喪に服す目安期間 | |||
---|---|---|---|
故人との関係 | 喪に服す目安期間 | ||
両親 | 12〜13ヶ月 | ||
配偶者 | 12〜13ヶ月 | ||
子供 | 3〜12ヶ月 | ||
祖父母 | 3〜6ヶ月 | ||
兄弟・姉妹 | 3〜6ヶ月 |
喪中期間でやるべきこと
故人との関係性に基づいて喪に服している期間において、行うべきことはあるのでしょうか。ここからは、喪中期間にやるべきことを解説します。
故人を偲ぶ
喪中期間は、故人を偲ぶことを何よりも優先しましょう。故人のことを思い出したり、安らかに眠るように願ったりするのがおすすめです。心から故人と向き合うことが大切なため、「何かしないとけない」と無理に思う必要はなく、どのような方法で故人を偲んでも問題ありません。
四十九日法要の準備をする
喪中期間にやるべきこととして、四十九日法要の準備が挙げられます。四十九日法要とは忌中の最後に行われるもので、故人のあの世での幸せを願う重要な儀式の一つです。故人が亡くなってから四十九日までの間に、法要を執り行う手続きを進めておきましょう。
四十九日法要の手続き
- 法要会場を決める
- 法要を執り行う日程を決める
- 僧侶を手配する
- 仏壇を準備する
- 本位牌を用意する
喪中はがきを出す
喪中期間中には、喪中はがきを出すようにしてください。喪中はがきとは、毎年年賀状をやりとりしている相手に対して「不幸があったため、年賀状のやりとりは控える」という旨を伝えるものです。
喪中はがきでは、年賀欠礼の挨拶といつ誰が亡くなったのかを伝え、最後に結びの言葉を書きます。結婚や引っ越しなどの自分の近況は報告せず、知らせたいことがある場合は、別途便りを送るようにしましょう。喪中はがきを出す時期や範囲などについては、以下を参考にしてください。
喪中はがきを出す時期
喪中はがきは、毎年年賀状をやりとりしている相手が年賀状を準備する前に送るのがマナーです。なるべく11月から準備を始め、遅くとも12月の初旬までには相手の手元に渡るようにしましょう。
もし、喪中はがきを出していない相手から年賀状を受け取ったり、喪中はがきの準備が遅れたりした場合は、寒中見舞いを送ります。寒中見舞いで身内に不幸があったこと、返礼が遅れたことへのお詫びを書きましょう。寒中見舞いは、松の内である1月7日以降に送るのがマナーです。
喪中はがきを出す範囲
喪中はがきを出す範囲には、厳密な決まりやマナーがあるわけではありません。一般的には、二親等までが亡くなったときに喪中はがきを出すことが多いです。しかし、あなたが喪に服したいと考えている場合は、三親等以上離れていても喪中はがきを出して問題ないでしょう。
遺品整理を行う
喪中期間には遺品整理も行いましょう。一般的には、四十九日法要が終わって忌中が明けた後に、遺品整理に取り掛かることが多いです。ただし、故人が賃貸住宅に住んでいて早急に自宅の片付けをしなくてはいけない場合は、忌中でも遺品整理を始めた方がよいでしょう。
故人の荷物や持ち物の量によっては、遺品整理にかなりの時間と労力がかかることになります。そのため、一気に遺品を片付けようとするのではなく、余裕を持って少しずつ整理を進めていきましょう。
喪中期間で避けること・注意するべきこと
上述した喪中期間にやるべきこととは対照的に、やってはいけないこともあります。ここからは、喪中期間に避けるべきことや注意点を紹介していきます。
結婚式への参列は控える
喪中は慶事を避けるべき時期であるため、結婚式への参列は控えるべきとされています。結婚式が行われるのが喪中で、かつ忌明け前である場合は、出席の連絡をした後でも欠席するのがマナーです。故人を亡くした悲しみが癒えていないという心境を伝え、欠席の連絡を入れましょう。
ただし、結婚式が四十九日以降の忌明け後に行われる場合は、参列しても問題ないとされることもあります。相手に喪中ではあるものの忌明けしていることを伝え、それでも参列してほしいと言われた場合は、出席してもよいでしょう。
結婚式や入籍を避ける
結婚式や入籍も避けるようにしましょう。結婚は慶事にあたるため、結婚式や入籍の予定がある場合は延期することを推奨します。夫婦だけで決めるのが難しい場合は、自分や配偶者の両親に相談してみましょう。
ただし、亡くなった人が祖父母や曽祖父母だった場合や、故人が結婚を楽しみにしてくれていた場合は、例外とする考え方もあります。この場合、結婚するのが故人にとって供養になると考えられるため、四十九日後の忌中明けであれば結婚式や入籍をしても問題ないでしょう。しかし、この考え方は地域や家庭によって異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
お正月のお祝いはしない
正月は、新しい年が来たことをお祝いする慶事にあたります。日本には古来から「死は穢れ」といった考え方があり、不幸があった家庭は神事を行わないのが慣習でした。そのため、喪中期間はお正月のお祝いをしないのが一般的です。
新年を迎えたときの挨拶にも注意が必要です。喪中は故人が亡くなった悲しみを癒し、故人を偲ぶ期間であるため、「おめでとうございます」という挨拶はふさわしくないとされています。「去年はお世話になりました」「今年もよろしくお願いいたします」といった表現に変えましょう。
お年玉をあげるのは避ける
お年玉は「神様からの贈り物」という意味合いがあり、お正月に関するお祝い事の一種であるため、控えた方がよいでしょう。ただし、お年玉ではなく「書籍代」「お小遣い」などの名目で渡す分には問題ないとされています。どうしてもお年玉を渡したい場合は、名目を変えてあげるようにしましょう。
おせちを食べるのも避けたほうがよい
お正月にはおせちやお雑煮が欠かせませんが、これらは新年をお祝いする料理であるため、喪中には避けるべきと考えられています。おせちと同様、一年の幸福を願うお屠蘇も避けた方がよいでしょう。ただし、地域や家庭によって考え方は異なります。「普段の食事で使うお皿であれば、おせちを食べてもよい」「おめでたい料理以外なら食べても問題ない」とする考えもあるため、家庭の考え方や地域のしきたりに従いましょう。
年賀状は出さない
年賀状を出すことも控えましょう。年賀状は、新年を迎えた喜びや新しい年を祝うものであるため、お祝い事を避ける喪中は出さないのがマナーです。12月初旬までに喪中はがきを出して、新年の挨拶を控えることを伝えましょう。もし、年末に不幸があって喪中はがきの準備が間に合わなかった場合は、寒中見舞いを送って年賀状が出せなかったことへのお詫びをします。
旅行は控える
一般的に、喪中は旅行を控えるべきと考えられています。喪中は故人を偲ぶために派手な活動は慎むべき期間とされています。そのため、遊び目的の旅行は避けた方がよいでしょう。このマナーは、かつて服喪期間中に肉や酒なども断つべきと決められていたことが、由来だと言われています。新婚旅行や社員旅行も、なるべく控えるとよいでしょう。
喪中でも行ってよいこと
ここまで喪中でやるべきこと、避けることを紹介しましたが「これは避けるべき?」と悩むポイントがまだあることでしょう。ここからは、避けるべきか迷うが、行っても問題ないことについて解説します。
お中元・お歳暮を贈る
喪中であっても、お中元やお歳暮は贈って問題ありません。お中元やお歳暮は、日頃お世話になっている人に対して感謝を伝えるためのものです。慶事ではないため、自分や相手が喪中であっても贈り合えます。ただし、喪中期間にお中元やお歳暮を贈る場合は、なるべく忌中明けにした方がよいでしょう。また、紅白の「のし」は使用厳禁であるため注意してください。
初詣をする
喪中期間であっても、寺院へ初詣をするのは問題ないとされています。仏教には「死は穢れ」といった考え方はないため、喪中でもお参りをして構いません。一方、神道では死を穢れと考えるため、神社への初詣は避けてください。忌明け以降なら神社へ初詣に行ってもよいという考え方もありますが、家庭や地域によって異なるため注意が必要です。
正月以外の年中行事
正月以外の年中行事は、喪中でも行ってよいとされています。ひな祭りや節分の豆まき、端午の節句などは控える必要はないでしょう。また、人生の節目を祝うための七五三やお宮参りは簡単に時期をずらせないため、喪中でも行なって問題ありません。
ご祈祷をする
ご祈祷とは神様に願い事をして、加護を受けられるようにお祈りする行為です。ご祈祷は慶事には当たらないため、喪中の間に行なっても構いません。ただし、四十九日までの忌中の間は境内に立ち入れないため、注意してください。
縁起物を飾る
喪中であっても、熊手や福笹、破魔矢などの縁起物は飾ることが可能です。ただし、忌中は神社の境内に立ち入れないため、知り合いや友人などに代理を頼んで縁起物を購入してもらうなどの工夫が必要です。また、縁起物を神棚に飾る方も多いですが、忌中は神棚を開けられません。縁起物を頭より高いところに置いておき、忌中が明けたら改めて神棚に飾ってください。
喪中の期間やマナーを知って故人を偲びましょう
この記事のまとめ
- 「喪に服す」とは、故人を偲んで身を慎むこと
- 喪に服す期間として「喪中」と「忌中」があり、期間の長さや慎むべき行為が異なる
- 喪中の期間には正確な決まりがあるわけではない
- 喪中の期間は一般的に故人との関係性で決まり、二親等までのことが多い
- 喪中は故人を偲びながら、四十九日法要の準備や遺品整理などを行う
- 喪中は結婚式や入籍、お正月祝いなどの慶事は避ける
- 喪中は年賀状ではなく、喪中はがきや寒中見舞いを出す
- 喪中でもお中元やお歳暮を贈ったり、お正月以外の行事は問題ない
喪中とは故人を偲びながら身を慎み、大切な人を失った悲しみを少しずつ癒していくための期間です。お祝い事や派手な活動は避けるべきと考えられており、マナーが細かく決まっています。今回紹介した喪中にやるべきことや注意点などを参考にして、どのように過ごすか検討してみてください。