親が死んだら仏壇はどうする?供養の仕方や処分・買い替えの方法を解説

親が死んだ場合、仏壇をどう扱えばよいかご存知ですか?本記事では、親が死んだら仏壇をどうするべきかについて、詳しく紹介します。引き継いで供養する方法や処分の仕方、買い替えの方法などを解説しているため、ぜひ参考にしてください。

神戸大学法学部卒業。鉄鋼メーカー、特許事務所、法律事務所で勤務した後、2012年に行政書士ゆらこ事務所を設立し独立。メインは離婚業務。離婚を考える人に手続きの仕方やお金のことまで幅広いサポートを提供。法律・マネー系サイトでの執筆・監修業務も幅広く担当。
親が死んだら仏壇はどうする?

親が死んだら、実家で供養していた仏壇はどうするべきなのでしょうか。まずは、親が死んだ後の仏壇の取り扱いについて三つの方法を紹介します。
仏壇を引き継いで供養する
親が死んだあとの仏壇の対応として、仏壇を引き継ぎ自宅で供養することが挙げられます。今住んでいる自宅に十分なスペースがある場合は、実家から仏壇を移すとよいでしょう。
その際に仏壇が傷んだり破損したりしている場合は、専門の業者に修繕やクリーニングを依頼することをおすすめします。仏壇を綺麗にすることで、眠っているご先祖も喜ばれるでしょう。
仏壇を買い替える
仏壇を引き継ぎたいけれど、今の自宅に十分なスペースがない場合は、買い替えを検討してみてはいかがでしょうか。小さめの仏壇に買い替えることで、限られたスペースでもご先祖を供養できます。
「先祖代々使ってきた仏壇を買い替えるのは失礼になるのでは」と思われる方もいますが、全く問題ありません。古い仏壇から新しい仏壇に買い替えるのは、ご先祖の家を新築することと同じ意味合いです。古い仏壇を無理に使い続けるよりも、新しく綺麗な仏壇に買い替えた方が供養につながるという考え方もあります。
仏壇を処分する
実家とは別で自宅にすでに仏壇があったり仏壇の管理ができる状況ではなかったりする場合、処分を検討する必要があるでしょう。親が使用していた仏壇を処分することになっても、ご先祖への供養の気持ちは忘れないようにしてください。
仏壇を引き継ぐ方法

今使用している仏壇があるものの、親が実家で使用していた仏壇を引き継ぐ場合、どのようにすればよいのでしょうか。ここからは、親から仏壇を受け継ぐ方法を大きく二つに分けて解説していきます。
仏壇を一つにまとめる
親が供養していた仏壇を引き継ぐ場合、仏壇を一つにまとめる方法があります。現在の自宅にある仏壇と、親が供養していた仏壇の宗派が同じ場合、一つの仏壇にまとめることが可能です。
仏壇を一つにまとめる際にはどちらかの仏壇を処分することになります。仏壇をまとめることに抵抗を感じる方もいるため、仏壇を一つにしようと考えている場合は、家族としっかり話し合っておきましょう。
仏壇を二つ置く
今の自宅に安置している仏壇と、親が使用していた仏壇の宗派が異なることもあります。自宅に十分なスペースがあるのであれば、仏壇を二つ置いても一般的には問題ありません。宗派によっては仏壇を置く向きが決まっているため、置き場所には十分配慮しましょう。
一方で、「仏壇が二つあるとご先祖が安らげない」と考えているお寺や宗派もあります。二つの仏壇を一世帯に置くことが禁止されている場合もあるため、事前に菩提寺に確認しておくことをおすすめします。万が一、二つの仏壇を置くことは望ましくないとされている場合は、どちらかの仏壇を処分しなくてはいけません。
仏壇の処分の仕方

自宅に仏壇を置く場所がない場合や、すでに自宅の仏壇で供養を行っている場合は、実家の仏壇を処分することになります。仏壇は重要な仏具の一つであり、亡くなったご先祖の家とも考えられているため、どのように処分すればよいか迷うのではないでしょうか。ここからは、親が死んだ後の仏壇の処分方法を紹介します。
①処分方法を決める
仏壇を処分する場合、どのように処分するかを決める必要があります。仏壇の処分方法としては、大きく分けて以下の四つが挙げられます。
仏壇店に引き取ってもらう
仏壇の処分方法として一般的なのが、仏壇店に依頼して引き取ってもらう方法です。仏壇店は仏具を扱うプロであるため、安心して仏壇を任せられます。
仏壇だけでなく、香炉や花立、位牌などの仏具を引き取ってもらえる場合も多いです。費用は依頼する仏壇店や仏壇の大きさなどによって変動しますが、2万円〜10万円程度とされています。
お寺に引き取ってもらう
仏壇の処分方法として、お寺に引き取ってもらうことが挙げられます。お寺によって、仏壇の引き取りを行っているかどうかは異なります。また、引き取りを行っている場合でも仏壇の大きさによっては拒否される場合もあるため、事前に確認してください。
処分を依頼する場合、費用は「お布施」という形で支払うのが一般的です。しかし、中には無料で引き取りを行ってもらえる場合もあるため、費用についても前もって確認しておきましょう。
業者に委託する
不用品回収業者やリサイクル業者に委託して、仏壇を処分してもらう方法もあります。特に希少な木材が使用されている仏壇は、引き取ってもらえる可能性が高いです。仏壇の引き取りを専門的に行っている業者もあるため、探してみるとよいでしょう。
ただし、仏壇は取り扱いが難しいため引き取りに応じてもらえない場合も珍しくありません。一般的な家電や家財よりも対応業者が限られることを覚えておきましょう。

自分でゴミに出す
仏壇店や業者などに依頼せず、自分で仏壇を処分するという方法もあります。自分で解体できれば、仏壇を燃えるゴミとして処理することが可能です。
仏壇の解体が難しい場合は、粗大ゴミとして自治体に回収してもらいましょう。自治体が運営しているゴミ処理場に直接持ち込み、処分してもらっても構いません。
②処分の日程を決める
仏壇をどのように処分するか決めた後は、処分の日程を決定します。業者や仏壇店、お寺に引き取りを依頼する場合は、依頼先と相談しながら日程を調整してください。自身で仏壇の処分を行う場合は、ゴミの回収日を確認しながら日程を検討しましょう。
③閉眼供養を行う
仏壇を処分する日程が決まったら、僧侶に依頼して閉眼供養を行います。閉眼供養は「性根抜き」や「魂抜き」とも呼ばれ、仏壇に込められているご先祖や仏様の魂を抜くための儀式です。これまで子供や子孫を見守ってきた仏様に対し、感謝を伝えるための重要な儀式となります。
閉眼供養を行わずに仏壇を処分するのは罰当たりだと考えられており、儀式を済ませていない仏壇の引き取りを拒否している業者も多いです。仏壇を処分する前に、必ず閉眼供養をして魂を抜いてもらいましょう。
仏壇の買い替え方法

親が使用していた仏壇が古くなっていたり、仏壇が大きすぎたりする場合、新しい仏壇に買い替えるという選択肢もあります。仏壇を買い替える際は、特別な儀式が必要です。こちらで紹介する方法を参考にして、どのような流れで仏壇を買い替えればよいのか確認してみてください。
①閉眼供養を行う
仏壇を新しく買い替える場合も、処分する仏壇に対して閉眼供養を行う必要があります。菩提寺に相談して日程を決め、僧侶を招いて読経をしてもらいましょう。閉眼供養を行うことで、仏壇に「ご先祖の魂を祀る」という役割はなくなります。
閉眼供養をしないと仏壇が処分できないため、早めに儀式の日程を調整しましょう。
②古い仏壇を処分する
閉眼供養が終わったら、古い仏壇を処分します。仏壇店や業者、お寺に依頼したり、自身でゴミに出したりして仏壇を処分しましょう。このとき、仏壇と一緒に使用していた仏具も処分しておきます。
③開眼供養を行う
新しい仏壇を購入したら、開眼供養という儀式を行う必要があります。開眼供養とは、ご先祖や仏様の魂を仏壇に込める儀式のことです。開眼供養を行っていない仏壇はただの木の箱であり、「仏様を祀る」という役割は持っていません。故人を供養するためには、必ず僧侶を招いて開眼供養を行う必要があります。
仏壇を置かない場合の供養方法

親が死んだら仏壇を処分し、その後、新しいものに買い替えない方もいるでしょう。仏壇を置かないという選択をした場合、どのように先祖の供養をすればよいのでしょうか。
手元供養をする
仏壇を処分する場合、手元供養でご先祖を偲ぶのがおすすめです。手元供養とは、遺骨を手元に置いて供養する方法です。
部屋の一部に供養のための場所を作ってもよいですし、遺影と仏具を飾っておくだけでも問題ありません。場所をほとんど取らないため、大きな仏壇が置けない場合の供養方法として選ばれています。

位牌のみを祀る
仏壇を処分した場合の供養の仕方として、位牌のみを祀る方法もあります。位牌には故人の魂が込められているため、位牌に手を合わせることで供養ができます。位牌は小さく、ほとんど供養のための場所を取らないのも特徴です。
親が死んだら仏壇をどうするか検討し、それぞれの方法で供養を続けましょう

この記事のまとめ
- 親が死んだ後の仏壇の取り扱いとして、受け継いで供養する、新しく買い替える、処分するといった方法がある
- 仏壇を引き継ぐ場合、現在使っている仏壇と一つにまとめるか、仏壇を二つ置くことにするか決める
- 仏壇を処分する場合、まず処分方法を決める
- 処分の日程を決めたら処分する日までに僧侶を招き、閉眼供養を行う
- 仏壇を買い替える際は、まず閉眼供養を行い、古い仏壇を処分してから新しい仏壇を購入し、開眼供養をする
親が死んだら、実家で使っていた仏壇をどうするか考えなくてはいけません。仏壇には先祖代々の魂が宿っているため、そのまま放置せずきちんと取り扱いを検討する必要があります。本記事で紹介した方法を参考にしながら仏壇をどうするか考えましょう。