水子供養とは?供養の意味や方法、赤ちゃんを弔うための準備を徹底解説
水子供養は、息を引き取ってしまった赤ちゃんを弔うための供養です。水子供養を検討する中で、いつまで行うべきか、どのような方法があるかなど不明な点も多いかもしれません。供養の意味や理由、永代供養や地蔵奉納といった具体的な方法、お寺へ依頼する流れまで網羅。赤ちゃんを弔うための準備や必要なものを解説します。
水子とは
水子(みずこ)とは、一般的に流産や死産、中絶によって、この世に誕生する前に亡くなってしまった赤ちゃんのことを指します。また、生後間もなく息を引き取った乳児を含めて呼ぶこともあります。
かつての日本では、幼くして亡くなった子供を川に流して弔う慣習があったことや、母親のお腹の中にある羊水にちなんで「水子」と記されるようになったといわれています。また、由来として、日の光を見る前に亡くなったことから「見ず子」と呼ばれていたものが転じたという説も存在します。
古来、子供は神様からの預かりものであり、7歳までは神の子であると考えられていました。そのため、若くして亡くなった命は再び神様のもとへ戻り、次なる新しい命として生まれ変わるのを待つのだと信じられてきた歴史があります。
現代においては、悲しいお別れを経験したご両親が、授かった尊い命を忘れることなく、赤ちゃんの冥福を祈る対象として大切にされています。水子は戸籍には残りませんが、ひとつの命としてこの世に存在した事実は変わりません。供養を通じて赤ちゃんの魂に向き合うことは、ご遺族が悲しみを乗り越え、心の安らぎを取り戻すための大切な一歩となります。
水子供養とは
水子供養(みずこくよう)とは、流産や死産、中絶などの理由でお腹の中で亡くなった赤ちゃんや、生後間もなく息を引き取った赤ちゃんを供養することです。
水子供養を行うお寺には、「水子地蔵」というお地蔵様が祀られています。お地蔵様は、三途の川の手前に留まっている水子を導き、極楽浄土へ連れていく存在とされています。
水子供養が必要な理由
水子供養は、具体的にどのような理由で行われるのかご存知ですか?ここからは、水子供養が必要とされている理由について詳しく解説していきます。なぜ水子供養を行うのか気になる方は、参考にしてみてください。
赤ちゃんのことを忘れないため
水子供養には、「亡くなった赤ちゃんのことを忘れないために」といった理由があります。誕生を心待ちにしていた赤ちゃんを亡くすのは、非常に苦しく悲しい経験です。そのため、「赤ちゃんのことを思い出すと辛い」という方も多いでしょう。
しかし、この世にあった命を忘れないように思い出すのは、亡くなった赤ちゃんへの供養につながります。悲しみや苦しみなどの今の気持ちと向き合い、亡くなった赤ちゃんを供養しましょう。
赤ちゃんの命と向き合うため
赤ちゃんの命と向き合うというのも、水子供養をする理由の一つです。赤ちゃんを失ったことによる深い悲しみから、なかなか水子と向き合えない方も多いです。水子供養を行うことをきっかけに、赤ちゃんの命と向き合えるかもしれません。
赤ちゃんと別れてしまったとしても、尊い命を授かったという事実はなくなりません。自身を責めたり後悔したりするだけでなく、授かった赤ちゃんの命と向き合って出会いに感謝すれば、それが供養になるでしょう。
両親が悲しみから立ち直るため
水子供養には亡くなった赤ちゃんのためという側面だけでなく、両親が悲しみから立ち直るという意味合いもあります。生まれる前の胎児、もしくは生まれたばかりの赤ちゃんを亡くすというのは、非常に辛い経験です。悲しみから立ち直れない、ひとりで後悔の気持ちを抱き続けている、という方も多いです。
水子供養は、赤ちゃんに手を合わせてあの世での幸せを願いながら、自分の気持ちを伝えるためのものです。心を込めて水子供養をすることで、両親が感情に区切りをつけて立ち直るきっかけが生まれるでしょう。
水子供養はいつからいつまで続けるべき?
水子供養を行うにあたって、「いつから供養を始めればよいのか」「水子供養はいつまで行うべきか」と悩む方も多いでしょう。そこでここからは、水子供養はいつからいつまで続けるべきなのか紹介します。
いつでも供養可能
水子供養は、いつから始めても問題ありません。妊娠12週(4ヵ月以降)の死産だった場合、死産届の提出や火葬などには期限が決められていますが、水子供養には「亡くなってから◯日後に始めなくてはいけない」のような決まりはありません。
これは、「赤ちゃんの魂はこの世を知らない綺麗な存在であるため、すぐに供養を始めなくても成仏できる」と考えられているためです。そのため、水子供養は両親の気持ちの整理ができてから始めるとよいでしょう。
心が落ち着くまで供養を続けてよい
「いつまで水子供養を行うべき」「◯日を過ぎたら供養はやめるべき」といった決まりもありません。両親の心が落ち着くまで、赤ちゃんの供養を続けてよいでしょう。
水子供養を行う場所
水子供養を行う場所には、主にお寺、霊園、自宅の3つがあります。多くの人が選ぶのは寺院での供養です。
お寺の場合も、必ず菩提寺で行わなければならない決まりはありません。最寄りのお寺や懇意にいているお寺があれば、そちらへ相談してみましょう。また、菩提寺であっても水子供養を行っていない寺院があります。
霊園でも水子供養を行うことができます。霊園は静かで落ち着いた環境であることが多く、ゆっくりとお参りできるのが特徴です。
また、水子供養は自宅で行うこともできます。特定の場所に出向かなくても日常的に冥福を祈ることができるため、自分のペースで供養を続けられる点がメリットです。
水子供養を行う場所に決まりはなく、大切なのは故人を思い、心を込めて供養することです。自分の気持ちに合った場所を選び、無理のない形で供養を続けていくことが大切です。
水子供養の方法
水子供養を検討しているけれど、どのような供養方法があるのか分からない方も多いでしょう。ここからは、水子供養の方法を紹介します。水子供養に決まった形式はないため、自分たちが弔いやすい供養方法を選ぶとよいでしょう。
永代供養をする
水子供養の方法として、永代供養が挙げられます。永代供養とは、寺院が亡くなった人の供養を行ってくれるというものです。
基本的にお墓のことで子孫に負担をかけたくない人や、身寄りのない人などに選ばれる供養方法ですが、水子にも永代供養をすることがあります。望まれない子供を妊娠してしまった場合や、赤ちゃんを供養する人がいなくなる場合などは、永代供養を行うとよいでしょう。
地蔵奉納をする
水子供養で有名な寺院で受け付けている場合が多いのが、石仏のお地蔵様(水子地蔵)を奉納する地蔵奉納による水子供養です。
石仏でできた地蔵を奉納するため、大きさによって値段が違います。費用は約3万円〜10万円ほどになります。
石仏は多くの場合、寺院が用意してくれます。事前に費用を確認するようにしましょう。
卒塔婆供養をする
卒塔婆(そとうば/そとば)とは、亡くなった赤ちゃん(水子)の追善供養のために立てる木の塔です。寺院に置かれている水子地蔵へ塔婆を立てた後、僧侶による読経供養が行われます。費用は約5千円〜3万円です。
卒塔婆には経文やお題目が記載されますが、水子供養の場合は「◯◯家水子之霊」と記す方が多いでしょう。
地蔵尊参拝をする
水子供養を行っている寺院では、水子供養のご本尊である地蔵尊が祀られています。
ご本尊である地蔵尊へお線香を上げて手を合わせるだけでも、十分な供養となります。無料でいつでも参拝できるため、心の拠り所となってくれるでしょう。
水子観音参拝をする
水子供養の方法として、水子観音(みずこかんのん)へ参拝することも一般的です。水子観音は、この世に生まれることができなかった子供たちの魂を慈しみ、救い上げるとされる仏様です。多くの寺院では境内に水子観音像が安置されており、誰でも自由にお参りできるようになっています。
参拝の際は、観音様の前で静かに手を合わせ、赤ちゃんの冥福を祈ります。特別な儀式や事前の申し込みを必要としない場合が多いため、ご自身の体調や気持ちが落ち着いたタイミングで足を運ぶとよいでしょう。慈愛に満ちた観音様にお参りすることは、ご両親が深い悲しみを癒やし、心の安らぎを取り戻すための一助となります。
戒名を授与してもらう
水子に戒名を授与してもらい供養する方法もあります。寺院によっては水子への戒名授与を行っていないところもあるため、戒名授与を希望するのなら水子専門の寺院や菩提寺に相談することをおすすめします。
戒名授与の費用はお寺によって異なり、2万円〜5万円ほどが相場です。また、戒名授与と同時に、エコー写真や母子手帳をお焚き上げしてもらうことも可能です。
塔婆を立てる
塔婆を立てる方法は、広く行われている供養方法です。塔婆とは、亡くなった人の名前を書き記し、故人の供養を願って立てる木の板です。塔婆には亡くなった赤ちゃんにつける予定だった名前や、「〇〇家水子之霊」といった文字を記し、水子供養の際に用いられることがあります。塔婆を用いての供養にかかる費用は、5千円〜3万円ほどが相場です。
お墓に納骨する
赤ちゃんを火葬した後に遺骨が残った場合は、お墓へ納骨して供養ができます。一般的に、水子の遺骨も先祖代々のお墓に納骨することが可能です。もし、同じ区画内に水子地蔵の石仏を建立して納骨する場合、その費用は10万円~30万円ほどが目安とされています。先祖と同じお墓に赤ちゃんの遺骨を納めたい場合は、水子地蔵を立てる必要はありません。
位牌供養
亡くなった赤ちゃんに与えられた戒名を位牌に刻んで供養する方法もあります。自宅に仏壇がある場合は、そこへ水子の位牌を祀って供養するとよいでしょう。自宅に仏壇がない場合は、部屋の中に供養のための場所を作り、そこへ位牌を祀ります。
お寺によっては、作った位牌に赤ちゃんの魂を宿らせる「魂入れ」を行ってくれるところもあります。魂入れの儀式は全ての寺院で対応してもらえるとは限らないため、注意が必要です。
手元供養をする
手元供養は、亡くなった赤ちゃんを自宅や身近な場所で弔いたいという方におすすめの方法です。手元供養では、ミニサイズの骨壷やアクセサリー、ミニ仏壇などを用いて赤ちゃんの遺骨を供養します。
ペンダントやネックレス、キーホルダーなど気軽に身につけられるものに加工した場合、いつも赤ちゃんをそばに感じながら供養できます。手元供養品によって費用は異なり、1万円〜10万円ほどが相場となるでしょう。
写経や写仏を行う
写経や写仏も、水子に対する供養方法の一種です。写経は仏教経典を書道具で書き写すことを、写仏は水子地蔵を紙に模写することを指します。お手本と用紙、筆などがあれば自宅でも行えるため、お寺へのお参りが難しい場合はぜひやってみてください。
オンラインや電話による供養
身体的な理由やさまざまな事情により、直接お寺へ足を運んで供養を行うのが難しい場合もあるでしょう。そのようなご遺族に向けて、インターネットを通じたオンラインでの供養や、電話を用いた供養を受け付けている寺院も存在します。
パソコンやスマートフォンを使用して、ご自宅にいながら僧侶の読経に参加できるのが、オンラインによる水子供養の特徴です。遠方にお住まいの方や、体調が優れず外出に不安がある方でも、ご自身のペースで赤ちゃんの冥福を祈ることができます。対応可能な形式はお寺によって異なるため、希望される場合は事前によく確認してから申し込むとよいでしょう。
水子供養を行う流れ
ここからは、実際に水子供養を行う手順について解説していきます。お寺での水子供養を検討している方は、以下の方法を参考にしてみてください。
1.お寺に相談する
戒名授与や読経を依頼して水子を供養したい場合は、まずお寺に相談してみてください。先祖代々の供養をお願いしている菩提寺がある場合は、他の寺院ではなく菩提寺に話をすることをおすすめします。菩提寺に水子供養を依頼すれば、赤ちゃんを先祖と同じ場所で供養してもらえます。
もし他の寺院で水子供養をお願いし、将来的に自分が亡くなった際の供養は菩提寺となると、赤ちゃんと離ればなれになってしまいます。同じ場所で眠れるよう、菩提寺に依頼するとよいでしょう。
菩提寺がない場合は、インターネットを使って水子供養に対応してくれる寺院を検索してみてください。いくつか寺院を選び、実際にお寺に足を運んで雰囲気や住職の人柄などを確認しましょう。
2.水子供養を申し込む
水子供養を依頼する寺院が決まったら、申し込みを行います。事前に電話で水子供養を行いたい旨を相談し、日時を決めてからお寺に訪問しましょう。供養当日はお寺の住職と対面し、両親の名前や年齢、赤ちゃんの名前などを伝えます。水子への戒名授与を希望する場合は、事前に寺院へ伝えておくとよいでしょう。
3.供養を行う
供養では、水子地蔵やお寺の本堂などで、僧侶が読経を行ってくれます。読経を通して亡くなった赤ちゃんの魂がお地蔵様に託され、水子を極楽浄土へと導いてくれるでしょう。
4.定期的にお墓参りをする
お寺での水子供養が無事に終わった後も、定期的にお墓や寺院へお墓参りに訪れることで供養を続けられます。お彼岸やお盆といった時期に合わせて、改めてお寺へ読経を申し込むことも一つの方法です。
また、特別な節目だけでなく、日常生活の中で赤ちゃんを思い出し、静かに手を合わせることも大切な心のケアにつながります。亡くなった胎児や子供の冥福を祈り続ける行為は、ご両親が悲しみを和らげるきっかけにもなるでしょう。無理のないペースでお寺に足を運び、ご自身の率直な気持ちを伝えてあげてください。
水子供養で必要なもの
自宅で水子供養を行う場合でも、数珠やお菓子、お花などを用意したり、写経や写仏を行うための道具を準備したりすることが一般的です。一方、お寺に水子供養を依頼する場合は、以下のものを持参する必要があります。
数珠
水子供養の際は、数珠を持参することが一般的です。数珠は僧侶の読経中やお参りの際に用いられる法具の一つですが、手元にない場合は必須ではありません。
供養料・お布施
供養料やお布施は、お寺に水子供養をしてもらったことへの謝礼です。水子供養においては、料金を設定している寺院が多いです。その設定された金額を包むようにしましょう。
お供え物
神社や寺院で供養を依頼する場合、自宅からお供え物を持参することをおすすめします。かわいいおもちゃやお菓子、お花などを準備すれば、亡くなった赤ちゃんも喜んでくれるでしょう。
水子供養の当日は誰が参加するべきか
水子供養を行う当日、誰が一緒にお寺へ行くべきかと悩まれる方もいらっしゃるでしょう。供養の際の参列者に関する明確な決まりはなく、一般的に誰が参加しても問題はありません。ここでは、水子供養における当日の参加者について詳しく解説します。
両親のみ、またはご親族や友人と参加してもよい
水子供養の当日には、一般的にお子様の母親や父親のみで参列する方が多い傾向にあります。しかしながら、そのほかのご親族やご友人と共に参加しても全く問題はありません。
祖父母にあたる方や、親しくしている方が赤ちゃんの冥福を祈りたいと希望されているのであれば、複数人で訪れて供養を行うことも可能です。何人で参列しても不適切にはならないため、ご自身の心強い支えとなる方と一緒に訪れるのもよいでしょう。亡くなった子供への思いを共有し、共に手を合わせて祈ることで、深い悲しみが少しずつ癒やされていくはずです。
水子供養をしないと祟られるという俗説について
水子供養に関して、「正しく供養を行わないと水子の霊に祟られるのではないか」といった不安を抱く方もいらっしゃいます。非常にデリケートな問題であるため、根拠のない俗説に悩まされることも少なくありません。ここでは、供養と祟りに関する仏教的な考え方を解説します。
仏教において祟りの教えは存在しない
水子供養を怠ると赤ちゃんが祟るという話を耳にすることがあるかもしれませんが、仏教においてそのような教えは存在しません。流産や人工妊娠中絶した子供が、ご両親やご家族に対して悪い行いをするようなことはないため、どうぞご安心ください。
水子供養において最も大切なのは、形式や決まりにとらわれることではなく、我が子を想い、心からご冥福を祈る気持ちです。誰にも相談できず一人で苦しんでいる方もいらっしゃいますが、祟りを恐れて無理に供養を急ぐ必要はありません。ご自身の気持ちの整理がついた段階で、できる範囲の供養を行ってあげましょう。
水子供養を行い、赤ちゃんを弔いましょう
この記事のまとめ
- 水子供養とは、お腹の中で亡くなった赤ちゃんや、生後間もなく亡くなった赤ちゃんへの供養
- 水子供養には「いつからいつまで続けるべき」という決まりはない
- 水子供養には「赤ちゃんのことを忘れずに水子の命と向きあう」「両親が悲しみから立ち直る」という目的がある
- 水子供養には、永代供養や地蔵奉納、卒塔婆供養、地蔵尊参拝などさまざまな方法がある
- 水子供養を行う場合、まず寺院へ相談してから供養を申し込む
水子供養とは、亡くなった赤ちゃんへの供養であり、両親が悲しみから立ち直るために必要なものでもあります。水子供養の形式や行う時期などに決まりはないため、両親の気持ちや希望に合わせて供養を行うとよいでしょう。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。