供養とは?意味や目的、内容と種類から方法、時期、違いまでやり方をしっかり解説
供養の本来の意味や目的、行うべきタイミングが分からずお困りではありませんか。仏教における3つの供養の種類を読み方から、法要やお盆といったタイミング、近年注目される永代供養や樹木葬まで、供養の全体像を網羅的に解説します。
供養とは?意味と目的
供養(くよう)という言葉は、私たちの生活の中で身近に使われていますが、その目的や意図を改めて考えたことはあるでしょうか。供養を行う大きな目的の一つは、故人の冥福を祈り、あの世で穏やかに過ごせるよう「善行」を積むことです。
仏教では、生きている私たちが法要やお墓参りといった善い行いをすることで、その功徳が故人の善行として届くと考えられています。さらに、その善行は回り回って自分自身にも還ってくるため、故人と生きている人の双方にとって大切な意味を持ちます。
また、供養には残されたご遺族や親族の心を癒やすという側面もあります。大切な方を亡くした悲しみは計り知れませんが、供養の儀式を通じて故人と向き合う時間は、少しずつ死を受け入れ、心の整理をつけるプロセスとなります。お墓参りや仏壇に手を合わせることで、亡くなった後もつながりを感じられ、孤独感を和らげることにもつながるでしょう。
さらに、家族が集まって供養を行うことは、改めて自分たちのルーツを確認し、家族間の絆を深める貴重な機会にもなります。このように供養は、単なる宗教的な儀式にとどまらず、故人を偲ぶ気持ちを形にすることで、今を生きる人々の心を支える大切な役割を果たしています。
供養の本来の意味
供養という言葉は、サンスクリット語の「プージャー」を語源・由来としています。これは「尊敬」や「崇拝」を意味し、もともとは仏や菩薩、諸天といった尊い存在に対して、香華や飲食を捧げて敬意を表す宗教的な行為を指していました。この伝統的な仏教の教えが、日本に古くから伝わる「先祖の霊を敬う信仰」と結びついたことで、現代のような故人を偲ぶ形へと発展したのです。
仏教における供養の本来の姿は、単に亡くなった方へ何かを供えるだけではありません。生きている私たちが仏の教えに基づいた善い行い、すなわち「善行」を積むことが欠かせない要素となります。この積み上げた功徳を、故人の冥福のために振り向けることを「回向」と呼びます。
つまり、日々の生活の中で私たちが誠実に過ごし、お墓参りや仏壇に手を合わせることで得られる徳が、巡り巡って故人のあの世での安らぎを助けることになるのです。このように、供養とは故人と生きている私たちが互いに良い影響を与え合い、感謝と慈しみの心でつながり続けるための非常に論理的で温かな儀礼といえます。故人を思う行動の一つひとつが、本来の供養としての深い意味を持っているのです。
仏教供養と追善供養
本来、供養は仏や菩薩に尊敬の気持ちを表し、花や食べ物、飲み物などをお供えすることを意味します。これを「仏教供養」と呼びます。
この仏教供養と、日本古来からの祖霊信仰が組み合わさった結果、故人や先祖のあの世での冥福を祈る行為も供養と呼ばれるようになりました。法要などが例として挙げられ、このように死者を弔う供養のことを「追善供養」といいます。現代では、供養というと追善供養を意味することが多くなっています。
「追善」とは、生きている人が善行(法要やお墓参りなど)をすることで、それが故人の善行となり、いずれ自分にも還ってくるという考えです。生きている人が善行を積むと、故人がより良い世界へ生まれ変わるとされています。
供養の目的や意図
供養にはいくつかの目的があります。一つは、故人の冥福を祈り、善行を積むという目的です。前述の通り、善行は故人だけでなく自分にも還ってくると考えられています。
もう一つの目的は、故人の死と向き合い、残された人の心を慰めることです。供養によって故人のことを身近に感じられるようになり、家族と一緒に行うことで、家族間の絆をより深められるでしょう。
仏教の供養の内容と3つの種類
仏教における供養は、単に亡くなった方へ何かを捧げるだけでなく、生きている私たちが善い行いを積み、その功徳を故人に届けるという大切な役割を持っています。
この供養には大きく分けて「利供養(りくよう)」「敬供養(きょうくよう)」「行供養(ぎょうくよう)」の三つの種類があります。これらは「三種供養」と呼ばれ、どれか一つが欠けても十分な功徳を積むことができないといわれるほど、それぞれが密接に関わり合っています。
一つ目の利供養は、飲食や花など形あるものをお供えする行為です。二つ目の敬供養は、仏様や故人を敬い、感謝の心を持って手を合わせる精神的な行為を指します。そして三つ目の行供養は、仏の教えを日常生活の中で実践し、社会のために善い行いをすることです。
これら三つの供養をバランスよく行うことで、故人の冥福を祈るだけでなく、自分自身の徳を積むことにもつながります。法要やお墓参りといった特別な機会はもちろん、日々の暮らしの中でこれら三つの視点を意識することが、本来の豊かな供養の姿といえます。本記事では、この三つの供養が具体的にどのような内容を指すのか、供養のやり方をさらに詳しくわかりやすく解説します。
利供養(りくよう):お供え物
利供養(りくよう)とは、故人にお花などのお供え物をする供養のことです。一般的にお供え物とされている五供(ごくう)は以下の通りです。
五供(ごくう)
- 香(こう)…線香。他のお供え物をした最後にお供えする。
- 花(はな)…仏花や季節の花、故人の好きな花など。供花(くげ)とも言われる。
- 灯明(とうみょう)…ろうそくなどの明かりを灯すもの。
- 浄水(じょうすい)…水。宗派によっては必要ないとする考え方もある。
- 飲食(おんじき)…家族が食べている食べ物。炊き立てのご飯を仏飯器に入れるのが一般的。
これらの他に、お酒やタバコ、お菓子など、生前に故人が好きだったものもお供え物になります。「~が好きだったよね」と考えることも、故人とつながりを感じられる大切な時間です。家族と一緒に故人の話をしながら、お供え物を考えるのもよいでしょう。
敬供養(きょうくよう):偲ぶ気持ち
敬供養(きょうくよう・けいくよう)とは、文字通り、仏教を敬う供養のことです。仏や故人への感謝の気持ちを行為・言葉で表します。法要やお墓参り、仏壇に手を合わせるといった行為や、仏教や禅の書物を読むことなどが敬供養にあたります。
行供養(ぎょうくよう):善い行いを積む
行供養(ぎょうくよう)とは、仏の教えを守り、修行に励むことです。三つの供養のなかでも、一番重要な供養と言われています。修行に励むと聞くと、僧侶を目指す人が行っているような厳しい修行を想像するかもしれませんが、そうではありません。行供養では先祖を敬い、世の中のためになることを行って徳を積みます。
供養を行うタイミングと時期、方法
上述のような供養を実際に行う場合、いつ、どのような方法で供養を行うのでしょうか。以下で法事・法要などのタイミングや時期、供養の方法を詳しく説明します。
年忌法要と流れ
法要とは、故人の冥福を祈り、その霊を慰めるために執筆される重要な儀式です。仏教において、亡くなった方は四十九日までの間に七日ごとに裁きを受けると考えられており、残されたご遺族が祈りを捧げることで、故人がより良い世界へ転生できるよう手助けをします。これを追善供養と呼び、故人と向き合うための大切な節目となります。
法要の主な流れとしては、まず僧侶を招いて読経をしていただき、参列者が順番に焼香を行って故人を偲びます。その後、法話を聞き、最後には会食の場を設けて故人の思い出を語り合うのが一般的です。法要は親戚や故人と親交の深かった人々が集まる機会でもあり、互いの近況を報告し合うことで、家族や親族間の絆を再確認する役割も果たしています。
法要には、亡くなってから日を追って営まれる忌日法要と、特定の年忌に行われる年忌法要があります。いずれも決まった時期に行う供養の儀式ですが、その時期によって持つ意味や準備の内容が異なります。故人の旅立ちを支え、今を生きる私たちの心の整理をつけるためにも、それぞれの法要が持つ役割を正しく理解し、真心を込めて執筆することが大切です。
法事法要の種類(初七日・四十九日・一周忌など)
- 初七日法要:故人が亡くなってから7日目に行われる、葬儀の後の最初の法要です。
- 四十九日法要:故人が亡くなってから49日目に行われる法要で、故人の魂の行き先が決まる大切な節目とされています。
- 一周忌法要:故人が亡くなってから満1年目の命日に行われる法要です。年忌法要の中でも特に重要な法要とされています。
- 三回忌法要:故人が亡くなってから満2年目の命日に行われる法要です。
- 十三回忌法要:故人が亡くなってから満12年目の命日に行われる法要です。
- 三十三回忌法要:故人が亡くなってから満32年目の命日に行われる法要です。
お盆・彼岸
お盆や彼岸は、季節の節目に先祖や故人をしのぶ大切な供養の時期です。これらは特定の仏教行事として定着しており、お墓参りをしてお花や食べ物をお供えし、ロウソクを灯して線香をあげるのが一般的な方法です。また、この時期に合わせて墓石の汚れを落としたり、墓地周辺の雑草を抜いて清掃したりすることも、故人への敬意を表す立派な供養となります。
お盆の期間は地域によって差異があるものの、全国的には8月13日の迎え火から16日の送り火までを中心とするのが一般的です。一方、お彼岸は春と秋の年二回あり、それぞれ春分の日と秋分の日を中日とした前後3日間、計1週間の期間を指します。
お盆には故人の霊が自宅へ戻ってくると考えられているため、提灯を飾ったり精霊馬を用意したりして手厚く迎えます。対してお彼岸は、現世とあの世が最も通じやすくなる時期とされ、西の彼方にあるとされる極楽浄土へ思いを馳せながら、自分自身の行いを見つめ直す機会でもあります。
こうした定期的な行事を通じて家族が集まり、故人とのつながりを確認することは、残されたご遺族の心を癒やす大きな助けとなるでしょう。
日々の供養
法要や儀式が行われない日々のなかでも、供養を行うタイミングはあります。日常の中で仏壇に手を合わせて本尊や故人を崇めたり、お供え物を供えたりすることなどが「日々の供養」に該当します。
仏壇がない場合は、故人の写真に花を供えて、手を合わせるだけでも供養になります。また、心の中で故人に思いを馳せ、冥福を祈る形でもよいでしょう。
供養の対象には何がある?
本来は仏様や菩薩を対象としてきた供養ですが、現代の日本ではその対象も幅広くなっています。実際に、どのようなものが供養の対象なのか紹介します。
家族などの故人
供養の対象として最初に思い浮かぶことが多いのは、故人ではないでしょうか。前述したように、四十九日などの法要やお盆・彼岸、仏壇に手を合わせるといった日々の供養で故人の冥福を祈ります。
また、流産や死産などで亡くなってしまった子供のことを「水子」と言い、「水子供養」を行うのが一般的です。水子供養では、作成した卒塔婆(そとば)に読経してもらう他、戒名を刻んだ位牌に手を合わせるなどの供養を行います。
先祖
日本古来の祖霊信仰に基づき、先祖も供養の対象です。先祖供養の儀式としては、お盆や彼岸を思い浮かべる方も多いでしょう。その他にも、先祖のお墓にお参りをしたり、位牌に手を合わせたりして供養を行います。
ペット
愛犬や愛猫など、大切な家族の一員でもあるペットも供養の対象です。庭に埋葬するだけでなく、ペット霊園などで葬儀・埋葬も依頼できます。最近では、ペットと一緒に入れるお墓も増えてきました。
お墓(お墓参り)
宗派によっても異なりますが、新しいお墓が完成した際には、故人の魂をお墓に宿らせる「開眼供養」を行います。この儀式を行うことによって、お墓がただの石から供養する対象へと意味合いを変えます。開眼供養は、魂を宿すという考えから「魂入れ」「お性根入れ」とも言われます。
何らかの理由でお墓の引っ越しや墓じまいをすることになった場合には、開眼供養とは逆の「閉眼供養」を行います。閉眼供養は、お墓に宿った故人の魂を抜く儀式のことで、「魂抜き」「お性根抜き」とも呼ばれます。開眼供養・閉眼供養ともに、僧侶を呼んで読経してもらうことが一般的です。
位牌・仏壇
お墓と同様、仏壇も完成の際には開眼供養を行い、仏壇を手放す際には閉眼供養を行います。引っ越しで仏壇を手放すときには、引っ越し作業で忙しくならないうちに、前もって菩提寺などに相談することが大切です。
遺品(人形やもの)
長い間大切に使われてきた物には、魂が宿るとされる考えがあることから、針や人形、ぬいぐるみ、箸、メガネなども供養の対象です。物の種類は限定されていないため、そのまま捨てるのは気が引けるような愛用品全てが対象とされています。
これらのものは、お寺や神社で供養・お焚き上げも行っていただけます。1年のなかでも決まった日にちで行われる供養祭もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
日にちが決まっている供養祭の例(日にちはこの限りでないことも)
- 箸供養…8月4日
- メガネ供養…10月1日
- 刃物供養…11月8日
- 針供養…12月8日(または2月8日)
お寺や神社で供養する以外に、専門業者に依頼したり、自宅で自ら供養したりする方法もあります。供養・お焚き上げしたい物の全てがお寺や神社、業者に受け入れてもらえるとは限りません。自分で供養を行う際は、供養の対象物を綺麗にして、塩を振りかけることで供養できます。
さまざまな供養の形
最後に、近年注目を集めているさまざまな供養の形について説明します。特に、故人の供養について悩んでいる方は、一般的なお墓を作る以外に、このような供養の形もあるということを知っておくと役立つでしょう。
永代供養:お寺や霊園
霊園やお寺がお墓を管理・運営してくれることを永代供養といいます。一般的なお墓は残された家族が管理して年忌法要の手配などを行いますが、永代供養の場合はその必要がないため、跡継ぎがいない場合にも安心です。
お墓の後継者について問題になることが多い近年では、永代供養がついたお墓(=永代供養墓)を自らのお墓として探している方も多くいます。永代供養墓には、個別の墓石を建てる単独墓から、墓石は皆で一つとして他人と一緒に埋葬する合祀墓などの種類があります。
永代と名がついていますが、供養は永久ではなく期限があります。期限が過ぎると合祀されるのが特徴です。それぞれの霊園やお寺で期限は異なるため、永代供養墓をお墓の候補にしたい方は前もって確認しておきましょう。
永代供養にかかる費用相場
永代供養にかかる費用相場は、10万円〜150万円程度と幅広く設定されています。
個別の墓石を建てる単独墓や、個別のスペースに納める集合墓、他人のご遺骨と一緒に納骨される合祀墓など、お墓の形態や使用する面積によって料金が異なります。
一般的に合祀墓よりも単独墓の方が費用は高くなる傾向があります。
また、屋外か屋内かといった霊園の施設環境や設備の充実度によっても金額は変動するため、事前に見学や相談を行って契約の前に費用の内訳をしっかりと確認する必要があります。
手元供養:遺骨の一部を保管
遺骨をお墓に納骨せず、手元に置いて故人の冥福を祈ることを手元供養といいます。遺骨を常にそばに置いておけるため、故人と離れるのが寂しい方などの気持ちに寄り添った供養といえるでしょう。
骨壺をそのまま自宅に置くという方法の他に、遺骨の一部をアクセサリーにして身に着けたり、ミニプレートにしたりとさまざまな方法があります。
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墓石の代わりに樹木を墓標とする樹木葬
樹木葬は、従来の墓石の代わりに桜やハナミズキなどの樹木を墓標とし、その周囲にご遺骨を収める自然志向の供養方法です。「最後は自然に還りたい」と願う方を中心に近年人気を集めており、自然環境に優しい選択肢として注目されています。
多くの場合、霊園やお寺による管理が含まれており、お墓の継承者を必要としないのが特徴です。宗教や宗派を問わず利用できる施設も多く、墓石を建てる一般的なお墓に比べて費用を抑えやすいという点でも選ばれています。
天候を気にせずお参りできる納骨堂
納骨堂とは、建物の中に設けられた専用のスペースにご遺骨を安置する屋内の施設を指します。天候に左右されず快適にお墓参りができる利便性があり、駅からのアクセスがよい都市部を中心に、現代のライフスタイルに合った供養の形として選ばれています。
ロッカー式や仏壇がセットになったもの、自動搬送式など多様なタイプが存在します。屋外にお墓を建てるよりも費用を抑えやすく、草むしりや清掃などのお手入れが一切不要なのが大きな利点です。
海や山などの自然環境に還す散骨
散骨は、火葬した後のご遺骨を細かく砕いてパウダー状にし、海や山などの自然環境に撒く供養の形です。専門の業者に依頼して船で沖合に出る海洋散骨などがよく知られており、自然との一体感を求める方に適しています。
お墓を持たずに次世代へ負担を残したくないと考える方から支持されています。
ただし、他人の土地や海水浴場を避けるなど節度を守る必要があり、特定の墓標を持たないため、手を合わせてお参りする対象がなくなることには考慮が必要です。
供養の方法を知って大切な人に想いを馳せよう
この記事のまとめ
- 供養には仏や菩薩に尊敬の気持ちを表すという意味と、先祖や故人のあの世での冥福を祈るという意味がある
- 仏教における供養の種類には利供養・敬供養・行供養があり、どれが欠けても徳を積めない
- 供養は法要やお盆・彼岸などのタイミングで行うが、手を合わせるなどといった日々の供養もある
- 供養の対象は故人・先祖・ペット・お墓・仏壇・遺品などさまざま
- 一般のお墓を作るだけでなく、永代供養や手元供養などといった供養の形もある
- 永代供養は霊園やお寺がお墓の管理・運営を行うため、後継者がいない場合も安心
葬儀や法要以外に日頃から故人に思いを馳せ、手を合わせることも重要な供養です。宗教的な意味合いだけでなく、残された人の心を癒す行為でもあるため、日常のさまざまなシーンで故人を思い、手を合わせてみてはいかがでしょうか。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。