お役立ち情報⑥
仏教では故人が無事に極楽に行けるよう、遺族が7日ごとに7回を忌日(初七日・二七日・三七日・四七日・五七日・六七日・七七日)として追善供養につとめます。そしてこの期間を中陰、極楽浄土に行けるかどうかの最後の裁きが下される七七日(49日目)を満中陰と呼び、満中陰を迎えることを「忌明け」と呼んでいます。中陰の期間は、7日ごとに仏さまの教えに触れる期間と言えます。もうひとつ、遺族の心の問題として、大切な人を失った悲しみに区切りをつけるための期間という意味合いもあります。現代では初七日をお葬式・告別式と同じ日に繰り上げて行うのが一般的になっており、遺族はその準備や参列者への対応、後かたづけなどに忙殺され、悲しんでいられない状況にあります。人にもよりますが、おそらく二七日、三七日あたりが喪失感や空虚感のどん底にあるのではないでしょうか。そしてようやく人々の励ましや慰めに癒やされ、傷心から立ち直れるようになるのが、ちょうど七七日の満中陰の頃なのかもしれません。
一般的に忌明けの日には家族や親族らが集まり、四十九日法要(満中陰法要)を手厚く執り行います。一部の地域や宗派によっては三十五日法要(五七日忌)を盛大に行いますが、いずれにしても、初七日以後の忌日を省略する現代では、お葬式以後に行う初めての大きな仏事が四十九日法要で、ひとつの区切りとなっています。四十九日法要はお葬式や告別式と異なり、出席者を招く形で行うため、参列者の都合などを考慮し、必ずしも四十九日当日ではなく、それより前の週末・休日などに行うことが多くなっています。
初七日やご火葬のあとにふるまう食事を「精進落とし」と呼びますが、本来は四十九日の忌明けとともに、精進料理から通常の料理に切り替えるという意味があります。四十九日法要後に会食を行うのはこのためです。また、四十九日法要の出席者は、当日お香典やお供えを持参されます。これらはお葬式や告別式に際していただいたお香典やお供えとは別物なので、別途「お返し」を用意します。このお返しは、引き出物、引き物、粗供養、志などと呼ばれます。そして、この日以降のなるべく早い時期に、お葬式や告別式に参列された方、お香典やお供物をいただいた方々に、無事に「忌明け」を迎えたことを報告する挨拶状を添え、「お返し」(香典返し)を贈るのが慣習となっています。
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その後の法要は宗派によっても違いますが、100日目の百か日忌、四十九日を過ぎてから初めてのお盆である新盆・初盆、そして1年後の祥月命日に行う一周忌は「喪明け」とされています。その後は一周忌の翌年に三回忌、没後6年後に七回忌、没年と同じ干支の年に十三回忌を行います。本来はさらに十七回忌、二十三回忌、三十三回忌と続きますが、近年は十七回忌までを正式な法要として行い、以後は簡略化されることが多いようです。
法要名 | 時期 | 招く人 | 内容 |
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初七日 | 7日目 | 僧侶・近親者・友人・知人 | 現在はお葬式当日に行うことが多い |
二七日 三七日 四七日 五七日 六七日 |
14日目 21日目 28日目 35日目 42日目 |
遺族のみ | 地域や宗派によって五七日を忌明けとする |
四十九日 七七日 |
49日目 | 僧侶・近親者・友人・知人 | 僧侶・近親者・友人・知人を招待する 法要後に会食でもてなす この日に納骨式を行うことが多い |
百か日忌 | 100日目 | 遺族 | 最近は省略されがち |
新盆 初盆 |
7月または8月 | 僧侶・近親者・友人・知人 | 49日以後に迎える初めてのお盆 地域の風習に合わせた盆飾りをする |
一周忌 | 1年目の祥月命日 | 僧侶・近親者・友人・知人 | 近親者や友人・知人を招待する 卒塔婆をいただきお墓参りをする |
身内の死に伴って身を慎むことを「忌服」といい、忌中も、喪中も、この忌服の期間を意味します。忌中は四十九日法要まで、喪中は1年後の祥月命日までが目安です。忌中あるいは喪中の間は、慶事を避けるものとされています。もっとも近年は、遺族にとっての慶事や大事であれば「故人もお許しくださるだろう」と柔軟に考えるようになっています。