遺品整理はいつから行うのがベスト?適切な時期と始める方法、作業の際の注意点を解説
遺品整理はいつから始めるべきなのか疑問に思っている方も多いでしょう。遺品整理は、体力的にも精神的にも負担のかかる作業です。つい後回しにしがちな遺品整理ですが、先延ばしにしていると思いがけない損失を被る恐れがあります。そのようなケースを防ぐために、本記事では遺品整理を始めるタイミングや当日の作業の流れなどを解説します。
遺品整理はいつから始める?
遺品整理は、いつから始めなければいけないといった明確なルールはありません。ご遺族の負担にならないタイミングで始めれば大丈夫です。
とはいえ、いつから始めるべきかの目安を知りたい方も多いでしょう。ここからは、遺品整理を始めるおすすめのタイミングをご紹介します。
葬儀が終わって心の整理がついたら始め時
故人との思い出が詰まった遺品を整理するのは、精神的に負担のかかる作業です。遺品整理の最中に、感傷的な気分になってしまい作業が進まなくなるケースもあります。
スムーズに作業を進めるためには、ご遺族の心の整理がついたタイミングで始めるのがおすすめです。故人の私物を見ても悲しくならない状況であれば、遺品整理の始め時と判断してよいでしょう。
親戚が集まるタイミングは始めやすい
遺品整理をいつから始めるか迷っている方は、親族が集まるタイミングで始めるのもよいでしょう。遺品整理を勝手に始めてしまうと、のちにトラブルに発展する恐れもあります。
ほかの相続人の同意を得るためにも、四十九日や百箇日法要などの親族が集まるタイミングで始めるのがおすすめです。
遺品整理を後回しにするデメリット
遺品整理はいつから始めても問題ありませんが、いつまでも放置しておくと金銭的な損失を被ったり、思わぬトラブルとなる場合があります。ここからは、遺品整理を後回しにした場合、どのような問題が考えられるかを解説します。
物品が劣化により再利用できなくなる可能性がある
遺品整理を後回しにすることで、放置された物品が劣化してしまう可能性が出てきます。物品が劣化することで、使えるはずのものを売りに出したり、再利用したりできなくなってしまうのです。遺品整理を早めに行うことで、残された物品が劣化することを防ぐことができます。
遺品整理の手伝いを依頼できる親戚や友人が集まりにくくなる
遺品整理の時期が遅くなってしまうことで、手伝いを依頼できる親戚や友人が集まりにくくなります。亡くなった直後は親戚や友人も集まる機会がありますが、時間が経つにつれて、集まることは中々難しくなってしまいます。
一人で遺品整理を行うのは、体力的にも精神的にも厳しいことでしょう。遺品整理の時期が遅れることで、手伝いを依頼できる相手が少なくなり、最終的に業者に頼むことになると、予定になかった金銭的な負担が生まれることになってしまいます。
遺品の分配先がうやむやになりトラブルになる可能性がある
遺品整理で大切な作業の一つに、故人の思い出の品を分配することがあります。しかし、遺品整理を後回しにすることで誰に渡すつもりだったのか分からなくなり、最終的に遺族間でトラブルになってしまうことがあります。
故人の思い出の品を誰に渡すかは、遺族間で確認しながらでないと進められません。遺品整理を後回しにしている間に分からなくなったり、うやむやになったりしてしまう可能性があります。
遺族間でのトラブルが起こらないよう、きちんと相談しながら早めに遺品整理を行うことが大切です。また、相続財産の整理を後回しにすることで、下記のような金銭的な損失に繋がります。
賃貸の場合は月々の家賃が発生する
故人が生前に借りていた賃貸物件は、借りている期間が長引くと相続人が家賃を負担することになります。これは、賃貸借契約は借主が死亡すると相続人に引き継がれる仕組みになっているからです。そのため、アパートや賃貸マンションに住んでいた場合は、早めに遺品整理を始めましょう。
使っていない部屋の家賃を支払い続けるのは非常にもったいないため、管理会社と契約解除の日程を調整して、いつから遺品整理を始めるかスケジュールを決める必要があります。
空き家のまま放置すると固定資産税が増える
故人が生前にひとりで一軒家に住んでいた場合も要注意です。持ち家だからと油断して空き家のまま放置すると、市町村から特定空き家に指定される場合があります。
特定空き家に指定される条件例
- 倒壊もしくは保安上危険となる恐れがある
- 著しく衛生上有害となる恐れのある
- 適切な管理が行われておらず、著しく景観を損なっている
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である
特定空き家に指定されると固定資産税が上がったり、最悪の場合は罰則として50万円以下の過料を科せられる場合があります。空き家となってしまう場合は、早めに遺品整理を始めましょう。
とはいえ、前触れもなくいきなり特定空き家に指定されるわけではありません。特定空き家に指定される前に市町村から物件の所有者に連絡が来るため、その段階で対処すれば問題にはなりません。
相続税の申請が遅れると遅延税が課される
遺産の整理が遅れることで、相続税の申告期限に間に合わなくなる可能性があります。相続税は、死亡を確認した翌日から10ヶ月以内に申告・納税することが義務付けられています。申告や納税が遅れると、納税期限の翌日から納税するまでの日数分の延滞税が発生してしまうため、注意が必要です。
その他にも、配偶者控除をはじめとした軽減措置を受けられなくなり、収める税金が増加する場合があります。期日までに申告・納税するためにも、遅くとも10ヶ月以内には遺産整理を完了させましょう。
遺品整理を始めるための事前準備
遺品整理をいつから始めるか決まったら、開始までに事前準備をすませておきましょう。事前準備をきちんと行っていれば、開始後の負担が軽減し、相続人間でのトラブルも回避できます。遺品整理の事前準備について、以下のポイントを参考にしながら準備をしましょう。
相続人に遺品整理の合意を取る
遺品整理を始める前には、相続人全員に合意を取りましょう。遺族の誰かが勝手に遺品整理を始めてしまうと、のちにトラブルに発展しかねません。たとえば、衣服や貴金属を生前に譲り受ける約束をしていたにもかかわらず、ほかの遺族が勝手に処分してしまうとトラブルに発展してしまいます。
相続人間での問題が起こらないようにするためにも、いつから遺品整理を始めるかを伝えると同時に、処分してほしくないものがあれば事前に申し出てもらうようにしましょう。
スケジュールを決める
遺品整理を始める前には、いつから始めていつまでに終わらせるかといったスケジュールを明確にしましょう。
無計画に始めてしまうと、時間ばかりが過ぎてしまいます。その結果、賃貸契約が延びてしまったり、相続税の手続きが期限ギリギリになってしまうこともあるため、終わらせる日程をあらかじめ決めておきましょう。
また、遺品整理を1日で終わらせるのは困難なため、初日はクローゼット、翌日は押し入れなど、どこから手を付けるか決めておくと作業が楽になります。
自分で行うか業者に依頼するか決める
遺品整理は、相続人が自分で行う方法と専門の業者に依頼する方法があります。故人と同居していれば遺品整理もそこまで負担にはなりませんが、故人がひとりで住んでいた場合は大掛かりな作業になります。
また、生前に賃貸物件に住んでいた場合は、遺品整理士などのプロの手を借りて短時間で終わらせてしまい、早めに賃貸契約を解除するのがおすすめです。
業者に頼む場合の費用
遺品整理を業者に依頼する場合の費用は、作業時間や部屋の広さによって異なります。一般的に1Rだと3~8万円ほど、1LDKだと7~20万円ほど、2LDKだと12~30万円ほどかかります。
処分するゴミの量によっても費用は変動するため、詳しい金額を知りたい方は業者に見積もりを依頼しましょう。
遺品整理に必要なものを揃える
遺品整理をいつから始めるかが決まったら、開始日までに必要なものを揃えておきましょう。あらかじめ備品を揃えておけば、時間短縮につながります。遺品整理の際にあると便利なものは下記のとおりです。
遺品整理に必要な備品
- 段ボール
- マジックペン
- ガムテープ
- ロープ
- はさみ
- 工具(家具を分解する場合)
- 作業服
- マスク
- 軍手
- スリッパ
- ゴミ袋
- 台車
- 雑巾
道具を揃えるところから始めると大幅な時間ロスになるため、あらかじめ必要なものは準備しておきましょう。
遺品整理の流れ
ここからは、遺品整理の流れを説明します。どこから手を付ければよいのか分からない方は、ぜひ参考にしてください。
①遺書やエンディングノートを探す
遺品整理を始めるときには、遺書やエンディングノートが残されていないか確認しましょう。遺品の扱いについて記されているものが発見できれば、個人の意志を尊重でき、対応しやすくなります。
自宅で見つからなかった場合は、公正証書遺言が作成されていないか公証役場に問い合わせてみましょう。
②貴重品を優先的に探す
価値のある遺品をあやまって処分しないためにも、貴重品を優先的に探索して、別の場所で保管しておきましょう。遺品整理の際に優先的に探したい貴重品は下記のとおりです。
遺品整理で優先的に探すべき貴重品
- 貴金属
- 骨董品、美術品
- コインやフィギュアなどのコレクション品
- アルバム
業者に依頼する場合も、こちらのステップまですませておくと安心です。貴重品が残された状態で業者に依頼すると、勝手に処分されるなどの問題が起こる恐れがあります。トラブルを回避するためにも、必要なものはあらかじめ相続人が保管しておきましょう。
③必要なものと不要なものを分ける
遺品整理を行うときは、必要なものと不要なものに分類しましょう。分類方法は、「思い出の品」「リサイクルできるもの」「処分するもの」の三つに分類すると、作業がスムーズに進みます。また、相続人同士で遺品を分ける際にも、分類されていればチェックしやすくなります。
衣服や書籍、家電、家具などは状態によってはリサイクルできます。迷ったときはリサイクル業者に問い合わせをしてみましょう。
④ごみの分別・廃棄
処分しても問題ないものは、自治体で定められたゴミの分類方法に則って廃棄しましょう。遺品整理で大量にゴミが出た場合は、近くのゴミ収集所に出すのではなく、直接クリーンセンターに持ち込む方法が一般的です。
ゴミ処理をしてもらう際にかかる費用は、一般的な家庭ゴミであれば1kgあたり数十円程度、大型家具は数千円程度です。不用品回収業者に対応してもらうよりも費用が抑えられるため、軽トラックなどで運搬できる場合はご自身で持ち込む方法をおすすめします。
遺品整理を行う際の注意点
最後に遺品整理を行うときの注意点をご紹介します。トラブルなく作業を進めるためにも、チェックしておきましょう。
近隣住民に迷惑のかからない時間帯に行う
遺品整理は、ものを運んだり掃除したりする作業で、近隣住宅まで音が響いてしまう可能性があります。騒音問題にならないためにも、早朝や夜間の作業は避けて、近隣住民に迷惑のかからない時間帯に行いましょう。
また、遺品整理を始める前に近隣住民へ挨拶をしておくと、理解が得られる場合があります。
故人の意向を尊重する
故人が生前に遺品の扱いについて言及していた場合は、できるかぎり故人の意思を尊重してあげましょう。遺品を大切に扱うことは、故人の供養にもつながります。思い入れのある大切な品は、残されたご遺族が大切に扱いましょう。
また、遺品を誰が譲り受けるかで揉めた場合も、故人の意思を尊重することが解決の糸口になる場合もあります。
業者に任せっきりにしない
遺品整理を業者に対応してもらうのは非常に効率的ですが、業者に任せっきりにしてしまうのは少し危険です。貴重品や思い出の品があやまって処分されてしまう恐れがあります。
業者からの質問にすぐに対応するためにも、相続人が立ち会いをしましょう。業者によっては立ち合いなしでも対応してくれるケースもありますが、トラブルを防ぐためにはできるかぎり立ち会うことをおすすめします。
遺品整理はいつから始めてもよいが、放置には要注意
この記事のまとめ
- 遺品整理はいつから始めてもよいが、法要などで親戚が集まるタイミングは始めやすい
- 遺品整理を後回しにするデメリットには、遺品の劣化や分配のトラブル、相続人の金銭的な損失などがある
- 遺品整理を始める前には相続人全員に合意を取ることが大切
- いつから始めていつまでに終わらせるかというスケジュールを立てる
- 遺族だけで負担がかかる場合は業者に対応してもらう
遺品整理はいつから始めなければならないといった明確なルールは存在しませんが、あまりに対応が遅くなると損失を被ることがあります。「いつから始めようか?」と悩んだら、親戚が集まるタイミングに合わせて計画を立てましょう。
遺族だけで負担が大きい場合は、業者に依頼する方法も検討してみてください。