今日亡くなったらいつ葬式を行う?葬儀日程の決め方や当日までの流れとやることを解説
大切な人が亡くなった場合、遺族は葬儀日程について悩むことが多く、もし今日亡くなったら葬式はいつ行えばよいのでしょうか?今回は、亡くなった日時別の葬儀日程やその決め方、当日までの流れとやることを詳しく解説します。
亡くなった日時別の葬儀日程
大切な人が亡くなった日時によって、葬儀を執り行う日程が異なります。特に、早朝、夜中、年末年始の場合はどうすればよいのでしょうか。ここでは、葬儀日程を一般的な例と日時別に分けて紹介します。
一般的な例
一般的な葬儀日程は、亡くなった今日を1日目として、2日目にお通夜、3日目に葬儀式・告別式、火葬を執り行います。葬儀を行う日は、いつまでにという決まりはありません。しかし、安置する場所やご遺体の状態を維持することが必要になるため、なるべく速やかに行ったほうがよいでしょう。
また、火葬については、亡くなってから24時間経過してからと法律で決まっています。このことから、今日亡くなった場合は、当日中に火葬を行うことはできません。一般的には、葬儀式・告別式の後に火葬を行うことが多いです。
早朝の場合
早朝に亡くなった場合の葬儀日程は、一般的な例と同様、亡くなった翌日がお通夜、翌々日に葬儀式・告別式、火葬を執り行うことが多いです。
早朝に亡くなり、急いでいる場合は当日中にお通夜を執り行うこともできます。しかし、手配が慌ただしくなりご遺族の負担が大きいため、一般的な日程で行うことが多いでしょう。
夜から未明にかけての場合
夜から未明にかけて亡くなった場合の葬儀日程は、その翌晩にお通夜、次の日に葬儀式・告別式、火葬を行うことが多いです。
ご遺体を移送してから葬儀場の準備をする時間が取れるので、このような日程になります。ただし、葬儀場や火葬場の空き状況によっては、お通夜が翌々晩以降になることもあるでしょう。
年末年始の場合
年末年始に亡くなった場合の葬儀日程は、1月4日以降になることが多いでしょう。火葬場は一般的に1月1日~3日までを休みにしていることが多く、すぐに予約が取れないためです。さらに、年末年始は法要が多く、葬儀社や僧侶が多忙で希望通りにならないこともあります。
また、お正月に葬儀を執り行うと、親族に迷惑をかけるのではないかと躊躇する人も多いです。そのため、葬儀までに期間が空く場合には、「エンバーミング」が必要になることもあります。
エンバーミングとは、専門の資格を持つ「エンバーマー」がご遺体に対して行う特殊な処置のことです。主に、ご遺体の「保存・防腐・殺菌・修復」を目的として行われます。日本語では「遺体衛生保全」と言い、この処置を行うことで、10日〜2週間はご遺体の保存が可能です。
葬儀日程の決め方
故人が亡くなったタイミング別に、目安となる葬儀日程を解説しましたが、実際に葬儀日程を決める際には、考慮しなければならないことがあります。亡くなってから限られた時間で決めなければならないので、下記のポイントを押さえておきましょう。
葬儀場・火葬場の予約が取れるか
亡くなってから葬儀日程を決めるときは、まず葬儀場や火葬場の空き状況を確認しましょう。それぞれ、1日に行える数が決まっているため、希望する日時が空いていない場合があります。
一般的には、火葬の前に葬儀式・告別式を執り行うことが多いため、葬儀社と火葬場の日時の調整が必要でしょう。
僧侶の都合を確認
一般的な仏式の葬儀では、僧侶に読経してもらいます。そのため、僧侶の空いている時間の確認が必要です。土日やお盆、年末年始は法要が多いため、僧侶の予定が合わないというケースが少なくありません。
お世話になっているお寺があれば、亡くなってからなるべく早めに連絡して予定を確かめましょう。特に決まったお寺がない場合には、葬儀社からの提案を受けたり、地域の慣習などから選んだりする方法もあります。
ご遺族・親族の予定を考慮する
故人の配偶者や子供などの遺族が必ず参列できる葬儀日程にすることが大切です。遠方や海外在住の場合は、交通機関の兼ね合いがあり、亡くなってからすぐに駆けつけられないこともあるでしょう。そのため、葬儀日程の調整が必要になることもあります。
親族でどうしても参列してほしい人には、葬儀日程が確定する前に予定を確認することをおすすめします。
地域の慣習に倣う
葬儀のやり方や日程は、地域の風習によって異なる部分があります。そのため、上述のような一般的な葬儀日程の決め方だけでなく、地域の慣習に倣うことも必要でしょう。
特に、火葬については葬儀式・告別式の前に行う「前火葬」と、後に行う「後火葬」があります。地域性が大きく影響する火葬次第で、葬儀の日程の流れも変わってくるので、葬儀社や周囲の人と相談して決めてください。
亡くなってからお通夜前までの流れ
ここまでは、亡くなった日時によって葬儀の日程が変わることがある場合や、葬儀日程の決め方について紹介してきました。ここから、故人が亡くなった後から、お通夜の前までの流れを解説します。
死亡診断書・死体検案書の発行
故人が亡くなったら死亡診断をし、臨終が告げられます。ただし、亡くなった場所が病院と自宅、または原因によって流れが異なるため、注意しなければなりません。
病院の場合
故人が生前から入院していた病院で亡くなった場合は、担当医師から「死亡診断書」が発行されます。その際の手続きは病院が行うため、遺族が行う必要はありません。病院スタッフの指示に従い、分からないことはすぐに質問するようにしましょう。
自宅の場合
故人が療養中の病気で亡くなった場合は、かかりつけの病院に連絡しましょう。自宅に主治医を呼び、その場で療養中の病気と死因との関連を調べるために診察するのが一般的です。ただし、生前に診察を受けてから24時間以内に亡くなった場合は、診察せずに「死亡診断書」を発行することもあります。
かかりつけの病院がなかったり、遠方だったりする場合は救急車を呼びましょう。搬送先の医師が死因を判断し、療養中の病気と認められると「死亡診断書」が発行されます。
自宅で突然倒れたり、何かの事故が起こったりして亡くなった場合は、警察に連絡しなければなりません。もし救急車を呼んだ場合は、救急隊の人が警察に連絡するケースもあります。
そのとき、事件性がないかどうかを調べるために、警察が到着するまではご遺体を動かさないようにしなければなりません。警察の検証が終わって問題がなければ、警察医や監察医による検案と身元確認が行われます。その後に発行されるのが、死亡診断書の代わりとなる「死体検案書」です。
末期(まつご)の水
「末期の水」とは、亡くなった方の唇に水を含ませる仏教の儀式です。お釈迦様が入滅するときに口の渇きを訴え、鬼神が水を捧げたことに由来すると言われています。割り箸にガーゼや脱脂綿を挟み、茶碗の水を含ませて、故人の唇を潤すようにするのが一般的な「末期の水」の手順です。
基本的に上唇の左から右になぞり、次に下唇の左から右に同じようになぞります。無理に口の中に入れるのはマナーに反するので、軽く濡らす程度にしましょう。
病院で亡くなった場合は、医療スタッフが誘導し、病室にいるご遺族だけでなく医師や看護師も行います。自宅で亡くなった場合、または病院から搬送して行う場合には、葬儀社や訪問看護師などの手を借りることが多いです。
できるだけ多くの近親者で行うことが望ましいとされているので、臨終に間に合わなかった家族を待つ場合もあります。ただし、宗派によっては「末期の水」を行わない場合もあるため、そのことについては遺族が事前に病院へ伝えておいたほうがよいでしょう。
末期の水の手順
- 茶碗に水を用意する
- 割り箸に新しい脱脂綿やガーゼを挟む(新しい筆でもよい)
- 2に茶碗の水を含ませる
- 故人の上唇の左から右に、下唇の左から右になぞるように動かす
エンゼルケア
「エンゼルケア」とは、故人がきれいな状態で旅立つために、ご遺体に施す死後処理です。近年では病院で亡くなることが多く、「末期の水」の後の流れとして、看護師が死後処理をします。医療用具から解き放ち、きれいな体に戻してご遺族に引き渡すことが目的です。
自宅で亡くなった場合は、葬儀社のスタッフや代行業者、訪問看護師が行う場合もあります。故人の尊厳を守るだけでなく、残されたご遺族の心のケアとしての意味も含まれているのです。以下のような手順でエンゼルケアを進めていきます。
清拭
「清拭(せいしき)」は、ご遺体を清めるためにアルコールに浸したガーゼや脱脂綿を使って、露出している部分を拭きます。病院では、清拭で体を清めるのが一般的です。
しかし、ご遺体の状態によっては腐敗が進んでしまうケースが考えられるため、その場合は「湯灌(ゆかん)」が行われます。湯灌は、故人の体や髪を洗って清める儀式のことです。専門的な技術が必要になるため、代行業者が行うことが多いでしょう。
身繕い
「身繕い」とは、ご遺体の着替えのことです。体を清めた後に、旅立ちのための「死装束」に着替えます。
一般的に、白い浴衣を着せることが多いです。しかし、近年では故人がお気に入りだった着物や洋服を着せてあげることが増えてきています。白装束でなければならないという決まりはないので、マナー違反ではありません。
死化粧
「死化粧」は、葬儀の参列者に故人の安らかな顔を見てもらえるように施します。長い闘病生活によって故人の顔がやつれている場合には、両頬に脱脂面を含ませて、生前の姿に近づけます。
以前は女性だけに行われる儀式でしたが、近年は男性も薄化粧を施す場合があります。死化粧を行っていない病院もあるため、葬儀社に依頼したり、遺族が施したりすることもある儀式の一つです。
ご遺体搬送の手配
病院で亡くなった場合、エンゼルケアが終わると病室から霊安室に移されますが、病院内のスペースには限りがあるため、なるべく早めに安置場所へ搬送する必要があります。そのため、亡くなった後は速やかに葬儀社へ連絡して搬送を手配しましょう。
自家用車で移動するのは、マナー違反ではありません。しかし、安全面を考慮して、なるべく寝台車を手配し、棺に入れて搬送したほうがよいでしょう。
亡くなったときに葬儀社が決まっていなければ、病院からサービスを提案してもらえる場合もあります。また、葬儀社に搬送のみを依頼して、安置後に改めて葬儀を依頼することも可能です。
退院手続き・ご遺体搬送・安置
退院手続きの際は、死亡診断書を忘れずに受け取りましょう。その後のさまざまな手続きで必要になる大切な書類なので、複数枚コピーしてきちんと保管しておく必要があります。
病院での手続きが終わったら、安置場所にご遺体を搬送します。自宅または斎場に安置することになるでしょう。
死期が近づいたら、親族の中でも関係の深い人には、最後に会わせる機会として早めに知らせることも多いはずです。しかし、それ以外の近親者に対しては、臨終が告げられてすぐに連絡するのは避けたほうがよいでしょう。病院に多くの方が駆けつけてくることもあるため、安置場所が決まってから連絡するのが一般的です。
亡くなってから葬儀当日までにやること
ここまで解説した、葬儀日程の決め方やお通夜前までの流れの中で、遺族は葬儀を執り行うためにさまざまな決めごとや手続きが必要です。ここからは、亡くなってから葬儀当日までにやることを紹介します。
喪主を決める
葬儀の準備をするために、まず喪主を決めます。ご遺族の代表者という存在で、亡くなった方の配偶者や子供が喪主になることが多いです。喪主は滞りなく葬儀を進めるために、僧侶や参列者への対応や葬儀内容の取り決めをします。
遅くともお通夜の前までには、喪主を決めておきましょう。
葬儀社と打ち合わせをする
喪主が決まったら、葬儀社と打ち合わせをします。葬儀の形式や葬祭用品、会葬御礼品など、葬儀前に準備しなければならないことが多いため、分からないことは担当者にすぐに尋ね、よく相談して決めていきましょう。
葬儀一式のプランを提案している場合がありますが、葬儀社によって内容が異なるため、きちんと確認することが大切です。
葬儀社との打ち合わせリスト例
- 葬儀の形式を決める
- 祭壇・仏具・棺の種類
- 会葬礼状・会葬御礼品の準備
- 会食または弁当の準備
- 参列者の人数
- 弔辞の有無
葬儀の日程を決める
前述した「葬儀日程の決め方」を参考にして、執り行う日を決めます。葬儀場や火葬場、僧侶の都合などを調整し、亡くなってからなるべく早めに行うのが望ましいでしょう。
死亡届提出・火葬許可証申請
故人が亡くなったら「死亡届」を提出します。提出先は、故人の本籍地、届出人の居住地、死亡した場所などの市区町村の役所です。死亡届の提出期限は、亡くなってから7日以内となっています。
その際に、併せて「火葬許可証」の申請をしましょう。申請書に故人の本籍地や現住所、火葬場などを記入するため、あらかじめ内容を確認しておいてください。
ただし、喪主や遺族は葬儀の準備と対応に追われているため、葬儀社が手続きを代行してくれる場合もあります。
死亡届の提出先
- 故人の本籍地の市区町村
- 届出人の現住所の市区町村
- 死亡した場所の市区町村
火葬許可証の申請書に記入すること(自治体によって異なる場合があります)
- 故人の本籍地
- 故人の現住所
- 火葬場
- 故人の生年月日
- 死亡の年月日時
- 死亡の場所
- 申請者の住所、氏名、故人との続柄
遺影を選ぶ
「遺影」は、祭壇に飾られる故人の写真です。故人と最後のお別れをするので、参列者が生前の姿を偲びながら見送りできるように、人柄が分かるような写真が好ましいでしょう。
近年では、写真が加工できるため、サイズが小さかったり、ひとりで写っていなかったりしても構いません。なるべく亡くなった年齢に近いものが好ましいですが、最も大切なのは故人らしさを重視することです。
親族や知人へ訃報を連絡し、葬儀案内をする
訃報をすぐに連絡する人と、葬儀の日程が確定してから伝える人に分けておいたほうがよいでしょう。基本的に、訃報は電話で連絡しますが、近親者に伝えるときは早朝や深夜でも構いません。新聞や電報、メールなどを必要に応じて利用しましょう。
臨終に立ち会えなかった親族は、安置場所が決まり次第、落ち着いてからの連絡でも構いません。故人と生前親しかった友人や職場の人など、お別れの時間を取ってもらいたい人には早めに連絡します。急を要さない友人や知人には、葬儀の日程が確定してから連絡しましょう。
また、訃報を知らせるだけの場合と、葬儀案内をして参列してもらう人に分けることも必要です。故人が亡くなってからやることが多く、喪主だけでは対応しきれないため、ご遺族や親族で手分けして行うことをおすすめします。
急なご逝去でも、手順を押さえて周囲の人と協力して葬儀を執り行いましょう
この記事のまとめ
- 葬儀は亡くなった日の次の日にお通夜、その次の日に葬儀式・告別式、火葬を執り行うのが一般的
- 年末年始に亡くなったら、葬儀日程は1月4日以降になることが多い
- 詳細の日程や進め方は、地域の慣習によって異なる場合があるため、それに倣う
- 亡くなった場所が病院か自宅、または原因によってその後の流れが異なる
- 遅くともお通夜の前までに喪主を決めておく
- 死亡届の提出期限は亡くなってから7日以内で、併せて「火葬許可証」を申請する
- 訃報は、「すぐに連絡する人」と「葬儀の日程が確定してから伝える人」に分けたほうがよい
今日亡くなったら、葬儀をいつ執り行うのかについて解説してきました。葬儀はさまざまな手続きや準備が必要ですが、家族の葬儀は初めての人も多く、精神的にも肉体的にも大きな負担になります。短い時間で多くのことを決めるのは大変なので、家族や親族、葬儀社の人に協力してもらい、葬儀を速やかに執り行いましょう。