仏壇の引っ越しはしてもよい?移動方法と費用、魂抜きについて解説

家の引っ越しや住み替えの際、仏壇の引っ越しはどうするか迷いますよね。本記事では、仏壇の引っ越しの際の移動方法と費用、引っ越しの手順を解説します。また、仏壇の引っ越しの際の疑問にもお答えしているため、ぜひ参考にしてみてください。
仏壇の引っ越しはしてもよい?

一般的に、仏壇は一度設置した場所から移動させないのが理想的とされています。しかし、家の引っ越しや住み替え、リフォームなどライフスタイルが変化することにより、やむを得ず移動させなければならない場合もあるでしょう。
仏壇の引っ越しには、独自の手順があります。宗派によっては引っ越しの前に魂抜き、引っ越しの後に魂入れが必要なる場合もあるため、菩提寺に確認しておくことが大切です。
魂抜きとは

魂抜きとは、魂が宿るとされるものから、魂を抜く儀式のことです。「閉眼供養(へいがんくよう)」「お性根抜き(おしょうねぬき)」とも呼ばれ、仏壇・仏具の引っ越しや処分をする前に、僧侶に読経をしてもらい魂を抜きます。
魂が宿るとされているものは、一般的にご本尊と位牌です。仏壇を購入しご本尊と位牌を祀る際に、僧侶が読経をし魂入れを行います。「開眼供養(かいがんくよう)」「お性根入れ(おしょうねいれ)」とも呼ばれており、ものという扱いから、お祀りする対象に変える儀式です。
仏壇はご本尊や位牌を祀る場所で、魂が宿るものではないため、仏壇に対する魂抜きは必要ないとする考えもあります。ただし、宗派やお寺によっては、仏壇にも魂が宿るとされている場合もあるため、菩提寺に事前に確認するのがよいでしょう。
ただし、浄土真宗に関しては、亡くなった人はすぐに成仏し極楽浄土に向かうとされています。仏壇はもちろん、ご本尊の魂抜きや魂入れを行う必要はありません。
仏壇の引っ越しの際の移動方法と費用

仏壇を引っ越しする際は、実際にどのようにして移動すればよいのでしょうか。ここからは、仏壇の引っ越しの際の主な移動方法を3通り紹介します。引っ越し費用にも触れているため参考にしてみてください。
仏壇・仏具専門店に依頼する
仏壇・仏具専門店では、仏壇・仏具の販売だけでなく仏壇の引っ越しのサービスも行っている場合があります。店舗によっては、仏壇の梱包から引っ越し先での設置まで行ってくれるため、ひとり暮らしの方や大きな荷物の運び手がいない方などにおすすめです。
費用は各専門店によって異なり、引っ越し先までの移動距離や環境によっても違いがありますが、相場は1万円~10万円です。
ただし、引っ越し業者と別々に依頼するため、日時を合わせるのが難しかったり、引っ越し当日慌ただしくなってしまったりする場合もあります。
引っ越し業者に依頼する
大手の引っ越し業者では、仏壇の引っ越しサービスを導入している場合が多いです。仏壇とほかの荷物とを一緒に運べるため、別々に依頼するよりも手間が少なくすむでしょう。
費用は通常の引っ越し料金のほかに、1万円~2万円かかります。ただし、引っ越し業者によっては、運搬時の破損等に備えて、保険やオプションの料金が別途発生する場合もあるため注意してください。
また、魂抜きをしていないと引っ越しの依頼を受けてもらえない場合もあるため、引っ越しの依頼をする前に確認しておきましょう。
自分で移動する
仏壇の引っ越しは専門店や業者に依頼せず、自分で移動させても構いません。ただし、移動する際は中の仏具を取り出して厳重に梱包し、仏壇は倒れないようにしっかりと固定することが大切です。
仏壇の引っ越しにかかる費用は梱包や運ぶ車のガソリン代等で、数千円程度でしょう。自分で引っ越しするのには労力がかかり、仏壇や仏具の破損につながる場合も多いため注意が必要です。
仏壇の引っ越しの手順

仏壇の引っ越しの移動方法が決まったら、引っ越しの手順を決めましょう。仏壇の引っ越しの準備から、新居での魂入れまでおおまかな流れを解説します。
①菩提寺に供養を依頼し、日程を決める
仏壇の引っ越しをする1ヵ月前くらいになったら、菩提寺に魂抜きの依頼をします。魂抜きの儀式の日程は、引っ越しの1週間前くらいがおすすめです。引っ越し間際や当日は慌ただしくなるため、余裕を持った日程を設定してください。
②引っ越しの日時を決める
仏壇の魂抜きの日時が決まったら、引っ越しの日時を決めます。仏壇・仏具専門店や引っ越し業者に依頼する場合は、魂抜きを行った後の日程になるよう注意してください。
また、仏壇・仏具専門店や引っ越し業者に依頼する前に、仏壇のサイズを測っておくことも大切です。搬出や搬入の経路に問題がないか、引っ越し先でも設置場所にきちんと収まるかなどの確認も事前にすませておきましょう。
③旧居で魂抜きをし、僧侶にお布施を渡す
魂抜きの当日は旧居に僧侶を招き、魂抜きを行います。
僧侶へのお布施のほか、お供え物が必要になる場合もあります。お布施の相場や当日の流れが分からない場合は、菩提寺や周囲に相談するのもよいでしょう。
④引っ越し前日までに仏具を外しておく
仏壇の引っ越しの前日までに仏具を外しておくと、当日の引っ越しがスムーズに行えます。飾ってある仏具や外せるパーツを厳重に梱包し、一つにまとめておきましょう。
仏具を外す際は飾ってある状態の写真を撮っておくと、飾り直す際にスムーズです。
ただし、仏壇・仏具専門店に依頼する場合は仏具の梱包も丁寧に行ってもらえるため、おまかせした方がよい場合もあります。
⑤仏壇を新居に移動する
一般的に、仏壇と引っ越しの荷物を出す順番に決まりはありません。ただし、地域やお寺によっては「仏壇を旧居から最後に搬出し、新居に最初に搬入する」と言われる場合があります。菩提寺や周囲に事前に確認しておくのがよいでしょう。
⑥仏具を飾り直す
引っ越しの搬入が終わったら、仏壇に仏具を飾り直します。事前に撮影した写真を見ながら飾り直すとスムーズに行えるでしょう。仏壇・仏具専門店に依頼した際は、仏具の飾り付けまで行ってもらえる場合もあります。
⑦新居で魂入れをし、僧侶にお布施を渡す
新居で仏壇の飾り付けをすませてから、僧侶を招いて魂入れの儀式を行います。この際もお布施やお供え物が必要になる場合もあるため、事前に確認し準備しておきましょう。
仏壇の引っ越しや移動に関するQ&A

仏壇の引っ越しについて解説してきましたが、ここからは自宅内の別部屋や同じ敷地内の別家屋に移動する場合の対処方法や、仏壇を処分する方法などの疑問にお答えします。
Q1.別部屋や別家屋に移動する場合も供養は必要?
仏壇を自宅内の別部屋に移動する場合は、屋内での移動であるため、魂抜きや魂入れなどの供養は必要ないとされています。ただし、仏壇の設置場所は宗派によって置く向きに決まりがあるため、菩提寺に確認しておくのがよいでしょう。
同じ敷地内の別家屋に移動させる場合は屋外への移動になるため、お寺の考えにより引っ越しする際と同様に魂抜きと魂入れが必要になる場合もあります。
Q2.引っ越しの際に仏壇を処分する方法は?
仏壇が古くなっている場合や、新居で新しい仏壇を購入する場合は仏壇を処分する必要があります。仏壇を処分する方法は、菩提寺に依頼する、仏壇・仏具専門店に依頼する、リサイクル業者に依頼する、自治体に依頼するなどの4通りです。
菩提寺に依頼する場合、お布施として渡す金額に明確な決まりはありませんが、相場は1万円~10万円です。ただし、近年はお焚き上げが実施できない地域が多くなっており、断られる場合もあるため、事前に確認するよう注意してください。
仏壇・仏具専門店に依頼する場合、仏壇のサイズによって費用は異なりますが2万円~8万円を目安にするとよいでしょう。また、同じ店舗で新しい仏壇を購入する際は、古い仏壇の処分費用が安くなる場合もあるようです。
リサイクル業者では、仏壇の買取または無料回収をしてもらえる場合があります。魂抜きは行ってもらえないため、菩提寺に魂抜きの依頼をすることも忘れないようにしましょう。
各自治体では、仏壇を粗大ゴミとして処分することも可能です。ただし、自治体で処分する際は、指定された場所へ持ち込みが必要になります。相場は500円~2,000円とほかの方法と比較して少なくすみますが、持ち運びに手間がかかるため注意が必要です。
Q3.引っ越し時に仏壇を一時的に預かってもらえる?
引っ越し時に仏壇を一時的に預かってくれるサービスを提供している引っ越し業者もあります。相場は1ヶ月当たり2千円〜5千円です。ただし、魂抜きしていることが条件となることが多いため、事前にすませておくよう注意してください。
仏壇の引っ越しは魂抜きを忘れず、手順に沿って行いましょう

この記事のまとめ
- 家の引っ越しや住み替え、リフォームなどのやむを得ない事情がある場合は、仏壇を引っ越しさせてもよい
- 引っ越し前に魂抜き、引っ越し後に魂入れが必要
- 仏壇の移動方法は、仏壇・仏具専門店に依頼、引っ越し業者に依頼、自分で移動するの3通り
- 仏壇の引っ越し費用は、仏壇・仏具専門店が1万円~10万円、引っ越し業者が2万円〜8万円、自分で移動が数千円
- 引っ越しの1ヵ月くらい前に菩提寺に供養を依頼し、前日までに魂抜きをすませる
仏壇の引っ越しをする際には、事前に魂抜きが必要になります。引っ越しをする1ヵ月前までには菩提寺に連絡し、魂抜きの依頼をしておきましょう。引っ越しの方法は仏壇・仏具専門店か引っ越し業者に依頼する、もしくは自分で移動させる方法がありますが、手間や費用などを考慮して自分に合った方法を選んでください。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。