喪中の節分行事は縁起が悪い?豆まき・恵方巻きの可否や注意点を解説
2月の頭に行われる節分行事は、喪中でも行って問題ないのでしょうか。本記事では、喪中の節分行事は行ってよいのかについて紹介します。豆まきや恵方巻きに込められた意味や由来、喪中に節分行事を行う際の注意点などもまとめています。
喪中の節分行事は縁起が悪い?
喪中はお祝い事を避けるべきとされているため、節分行事もやめた方がよいと考える方もいるでしょう。しかし、実際は喪中の節分行事は縁起が悪いものではありません。節分は仏教とは全く関係がなく、お祝いや慶事にも当たらない行事です。心に余裕があれば友人や家族と集まり、厄祓いとして節分を行ってもよいでしょう。
もし周囲の目が気になる場合は、騒ぎすぎないように行うのがおすすめです。また、心の整理ができていないのであれば、無理に節分行事を行う必要はありません。
節分とは
節分をしたことはあるけれど、どのような意味を持つ行事なのかわからない方も多いのではないでしょうか。ここからは、節分の由来や節分で行うことを具体的に解説していきます。
節分の由来
節分の由来は、中国の陰陽道におけるお祭りです。陰陽道では、季節の変わり目に邪気(鬼)が出るとされてきました。この邪気を祓うために行われるようになった行事が「節分」です。
本来、節分は立春、立夏、立秋、立冬の4つの季節区分の前日を指す言葉です。現在は立春の前の日である2月3日の節分が重要視されており、この日に節分の行事を行うようになりました。新年を迎えた直後かつ、冬から春へ移り変わる最も変化の大きいタイミングで邪気払いをし、福を招くという意味合いがあります。
基本的には2月3日が節分ですが、地球と太陽の位置関係が変わって立春の日が変化すると、必然的に節分の日もずれます。年によっては節分が2月2日や2月4日になることがあるので、毎年確認しておきましょう。
節分で行うこと
節分行事では、具体的にどのようなことを行うのでしょうか。節分で行う行事やその意味を知り、邪気を祓って福を呼び込みましょう。
豆まき
節分で行われる行事として、豆まきが挙げられます。豆まきが行われるようになった経緯にはさまざまな説がありますが、中国の儀式が由来とする説と京都の伝承とする説が有力です。
飛鳥時代、中国から日本に「追儺(ついな)」と呼ばれる儀式が伝わりました。追儺とは、鬼に見立てた人に向かって葦で作った矢や桃で作った弓、五穀、小豆などを投げて邪気を祓うというものです。この追儺の儀式が少しずつ変化していき、五穀や弓矢の代わりに豆を投げるようになったとされています。
京都の伝承が豆まきの由来とする説もあります。平安時代前期、鞍馬山に住み着いて都を荒らしていた鬼がいました。その鬼の目に豆を投げて退治したという伝承から、節分で豆まきをするようになったとされています。
恵方巻きを食べる
節分にやることとして、恵方巻きを食べることが挙げられます。その年によって定められている恵方を向き、無言で恵方巻きを食べるというものです。恵方巻きは「恵方寿司」や「丸かぶり寿司」とも呼ばれ、昔から食べられてきました。
恵方とは、幸福を司る神様(歳徳神)がいるとされる場所のことです。恵方を向いて行うことは幸せにつながると考えられており、正しく恵方巻きを食べれば願いが成就するともいわれています。
恵方巻きには七福神にちなんで7種類の具材が入っており、その年ごとの恵方を向いて1本の恵方巻きを無言で食べきれば、願いが叶うとされています。反対に恵方巻きを残したり切り分けたりする行為は「縁が切れる」ことを連想させ、縁起が悪いとされています。
恵方巻きを食べる際は、自分が食べ切れるサイズを準備しましょう。また、恵方巻きを無言で食べるのには「幸せが口から出て行かないように」という意味合いがあります。家族や友人とは話しをせず、黙って食べ切るようにしてください。
節分祭
節分祭も、節分に行われる行事の一つです。節分の時期になると、さまざまな神社で節分祭が執り行われます。節分祭では豆まきのほか、福引をしたり節分の教えを狂言で表したりと、さまざまな催し物が行われます。
喪中の節分で行っても良いこと
節分は慶事やお祝いではないため、喪中でも行ってよいとされています。ここからは、喪中の節分で行ってもよい具体的なことや過ごし方などを解説していきます。
恵方巻きを食べる
喪中の節分で行えることとして、恵方巻きを食べることが挙げられます。通常と同じく、恵方を向いて太巻きのお寿司を食べましょう。恵方巻きは残さないように注意して、無言で食べ切るようにしてください。また、縁起が悪いとされているため、恵方巻きを切り分けるのも避けましょう。
恵方巻きを仏壇にお供えする
仏壇に恵方巻きをお供えすることも可能です。いつものお供え物と一緒に恵方巻きをお供えし、節分の行事を済ませたことを故人に報告します。お供えした恵方巻きは、後で身内でいただきましょう。
豆まき
喪中であっても、豆まきを行うことは可能です。家庭で豆まきをして邪気を祓い、幸せが来ることを祈りましょう。
節分の行事に参加する
地域で節分の行事が行われている場合、参加しても問題ありません。地域で豆まきをしたり、恵方巻きを食べたりするイベントがあるのなら、参加してもよいでしょう。
喪中の節分で気をつけるべきこと
喪中に節分行事を行うのは縁起が悪いことではありませんが、いくつか注意するべき点があります。ここからは、喪中の節分に気をつけるべきポイントについて解説していきます。
神棚が自宅にある場合は注意が必要
神棚が自宅にある場合は、豆まきの際に注意が必要です。喪中のうち忌中にあたる時期には、神棚を封印する「神棚封じ」が行われます。地域によっては、神棚封じが行われている間は豆まきを控えるべきとすることがあります。豆まきをしてもよいか迷った場合は、身内や地域の人に相談するとよいでしょう。
節分祭に参加しない
喪中のうち忌中にあたる時期の場合は、神社で行われている節分祭には参加しないようにしましょう。神道においては、死が穢れであると考えられています。身内が亡くなったばかりの方は、穢れを移さないために神社へ参拝するのは控えるべきとされています。神社の境内に入るのも慎むべきであるため、節分祭への参加は見送りましょう。
なお、仏教には「死は穢れ」という考え方がないため、寺院で開催される節分祭には喪中でも参加できます。
注意点を押さえれば、喪中であっても節分の行事を行うことは問題ない
この記事のまとめ
- 節分は仏教とは関係がなく、慶事やお祝い事でもないため、喪中に行っても縁起が悪いことはない
- 節分は中国から伝わった邪気払いの儀式で、福を呼び込むために行われる
- 喪中の節分で行ってもよいこととして、恵方巻きを食べる、恵方巻きを仏壇にお供えする、豆まきをする、節分行事に参加することが挙げられる
- 神棚が自宅にある場合は、節分行事をする際に注意が必要
節分とは、季節の変わり目に邪気を祓うための儀式です。仏教とは関係がなく、慶事やお祝い事でもないため、喪中に節分行事をしても縁起が悪いことはありません。喪中であっても、恵方巻きを食べたり豆まきをしたりと節分の行事を行えます。恵方巻きを仏壇にお供えしてもよいでしょう。
ただし、忌中にあたる期間に神社の節分祭に行くのは避けましょう。注意点を押さえ、喪中の節分を行ってください。