喪中に「あけましておめでとう」は言ってよい?マナーや対応方法を解説
喪中に新年を迎えたときや喪中の方に会ったとき「あけましておめでとう」を言ってもよいのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。本記事では、喪中の新年の挨拶について解説します。喪中に「あけましておめでとう」と言われたときの対応方法や喪中の正月の過ごし方についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
喪中は「あけましておめでとう」を控えるのがマナー
喪中は「あけましておめでとう」などの新年の挨拶は控えた方がよいでしょう。喪中は「喪に服す」期間であるため、お祝いの行事やめでたいことを避けてお正月を過ごすのが一般的なためです。
また、お正月の「あけましておめでとう」に限らず、喪中は結婚式や祝賀会などへの参加、自身の入籍、家の新築なども避けたほうがよいです。
喪中とは
故人が同居家族でない場合や故人との続柄によって、自分が喪中の親族として当てはまるのか悩んだことがある方も多いのではないでしょうか。ここでは、喪中の範囲や期間について解説します。
喪中の範囲
喪中は、一般的に「2親等までの親族」が当てはまります。下記に親等の数え方と続柄をまとめました。
親等の数え方 | |||
---|---|---|---|
一親等 | 父母・子供 | ||
二親等 | 兄弟姉妹・祖父母・孫 | ||
三親等 | 叔父叔母・曾祖父母・ひ孫・甥姪 |
故人との関係が3親等以上の方は範囲外となるので、喪中には当たりません。また近年では、同居している親族かどうかで喪中か否かを決める場合があります。一般的な喪中の範囲で問題ありませんが、不安であれば親族や地域の考え方などを確認して判断するとよいでしょう。
喪中の期間
喪中の期間は一般的に「1年間」です。ただし、親等や故人との関係によって喪中にあたる期間は変動します。例えば、故人が両親、配偶者の場合は1年間、兄弟姉妹の場合は3〜6ヶ月です。しかし一般的には喪中は1年間とされているので、1年間は「あけましておめでとう」は控えたほうがよいでしょう。
喪中の「あけましておめでとう」の扱い方
自分が喪中で新年の挨拶を控えていても、喪中であることを知らない相手に「あけましておめでとう」と言われた場合、どのように対応したらよいでしょうか。ここでは、新年の挨拶の扱い方について解説します。
あけましておめでとうに代わる挨拶をする
相手にあけましておめでとうと言われたら、それに代わる「昨年は大変お世話になりました」や「今年もよろしくお願いいたします」といった挨拶をするとよいです。
しかし、うっかり「あけましておめでとう」と言ってしまうこともあるでしょう。「あけましておめでとう」は年始の定番の挨拶ですので、喪中だからといってあまり神経質になる必要はありません。
年賀状が届いたら寒中見舞いを出す
喪中に年賀状が届いたら「寒中見舞い」として返事のはがきを書きましょう。寒中見舞いとは、寒い時期に相手を気遣って送る挨拶状です。また、寒中見舞いのはがきは、年賀状の代わりとなります。喪中のときはもちろん、年賀状を送るのが遅くなってしまったときにも送ることができます。
寒中見舞いは、松の内(1月1日~1月7日)が明ける日から立春まで(1月8日~2月4日)に届くように送るのが一般的です。地域によっては、1月15日までが松の内になる場合もあります。
立春以降になってしまったときには、寒中見舞いではなく「余寒見舞い」となるため注意が必要です。寒中見舞いには「あけましておめでとう」ではなく「寒中お見舞い申し上げます」と書きましょう。
職場では喪中でも新年の挨拶をする
職場や取引先などでは、喪中であっても通常の新年の挨拶をするのがマナーです。「あけましておめでとう」のような一般的なお祝いの言葉で挨拶しましょう。また取引先からの年賀状には、寒中見舞いではなく年賀状で返事を書きます。
しかし職場の人たちが喪中であることを知っている場合は、喪中の対応で問題ありません。「あけましておめでとう」ではなく「今年もよろしくお願いいたします」などの挨拶をするとよいでしょう。
喪中に「あけましておめでとう」をいわれないための予防策
相手が喪中であることを知らないと、新年の挨拶をされることもあるでしょう。ここでは「あけましておめでとう」を言われないための予防策について解説します。
事前に喪中はがきを出す
喪中に新年を迎えるときは、あらかじめ「喪中はがき」を送るのが一般的です。喪中はがきとは、自分が喪中であることと、新年の挨拶を控える旨を伝える挨拶状のことを指します。一般的に喪中はがきを出すのは、年賀状を送り合う関係の方です。
喪中はがきの例文
喪中につき年末年始のご挨拶を謹んでご遠慮申し上げます
本年十月三日に父が九十歳にて永眠いたしました
長年に渡るご厚誼に深く感謝致すとともに 明年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます
令和六年十一月 住所・電話番号・差出人氏名
事前にLINEやメールで喪中であることを伝えておく
年賀状を普段送り合わない関係の方や親しい間柄の方には、事前にLINEやメールなどでメッセージを送る形でも問題ありません。メッセージは11月~12月に送るとよいでしょう。
喪中のメッセージ例文
件名:喪中につき新年の挨拶を遠慮させていただきます
本年十月三日に父が九十歳にて永眠いたしました
つきましては新年の挨拶をご遠慮いたします
よい新年を迎えられるよう、お祈り申し上げます
尚、ご返信は無用です
喪中の正月にやってはいけないこと
喪中にお正月を迎えるときには「あけましておめでとう」の挨拶以外にも、やってはいけないことがいくつかあります。ここでは、喪中のお正月にやってはいけないこととその理由について解説します。
正月飾り
喪中には、玄関に飾るしめ飾りや鏡餅、門松といった正月飾りは控えましょう。正月飾りは新年の挨拶と同様に、お祝い事やめでたい意味を持っているため、喪中には控えるのがマナーです。
年賀状を送る
年賀状はあけましておめでとうという挨拶同様、新年を祝う意味があるため喪中には控えるのが一般的です。「あけましておめでとう」などのお祝いの言葉を避けたとしても、年賀状自体におめでたい意味があるため送らないようにしましょう。先述した通り、喪中には年賀状の代わりに喪中はがきや寒中見舞いを送る方がよいです。
おせち料理を食べる
おせち料理はお正月を祝って食べる料理ですので、喪中には食べてはいけないとされています。
とはいえ、喪中にお正月定番の料理をすべて食べてはいけないというわけではありません。お祝い事やめでたい意味のない食べ物であれば問題ありませんので、喪中であっても安心して召し上がってください。
喪中の正月の過ごし方
喪中の挨拶ややってはいけないことを踏まえた上で、年末年始はどのように過ごしてよいかと悩む方もいるでしょう。ここでは喪中の年末年始の過ごし方や、やってもよいことについて解説します。
お歳暮を送る
お歳暮は日ごろの感謝の気持ちやお礼を伝えるものですので「あけましておめでとう」のようにお祝い事といった意味はありません。喪中であっても送ることができますし、受け取ることにも問題はありません。
お雑煮を食べる
お正月の定番料理であるお雑煮は、喪中であっても食べられます。喪中にお雑煮を食べる際には、紅白のかまぼこや海老といっためでたい食材を使わないのがマナーです。また豪華になりすぎるのも縁起がよいことにつながりかねないため、避けたほうがよいでしょう。
ふせち料理を食べる
喪中のときには、おせち料理ではなく「ふせち料理」を食べましょう。おせちは「御節」と書きますが、ふせち料理は不祝儀の不から「不節」と記します。ふせち料理には、紅白のかまぼこや鯛といった、めでたい食材を用いません。
親戚で集まる
喪中であっても、親族で集まることは問題ありません。新年のお祝いとしてではなく、故人を偲ぶための集まりとする方がよいでしょう。
お年玉をあげる
喪中であっても、お年玉はあげられます。お年玉は神様からの贈り物という意味があり、本来であれば喪中には避けたほうがよいとされています。しかし、現代においてお年玉はお小遣いという感覚に変わってきています。お子さんやお孫さんに喜んでもらえるよう、準備しても構いません。
喪中にお年玉を渡す際には、おめでたい柄のポチ袋を避けたり、お年玉ではなく「お小遣い」という名目に変えたりしてお祝い事という意味を避けましょう。
初詣に行く
喪中であっても、お寺への初詣は問題ありません。お寺は死を「けがれ」とする考えがないためです。日頃の感謝や1年の健康を祈るといった形で、お寺を訪れましょう。
しかし神社の場合は、喪中の期間中は参拝を禁じているところがあります。また忌中の期間である四十九日は、お参りすることも鳥居を潜ることも禁止されているため、神社への初詣は控えてください。
喪中は「あけましておめでとう」を控えて故人を偲びましょう
この記事のまとめ
- 喪中は「あけましておめでとう」を控えるのがマナー
- 喪中の範囲は「2親等までの親族」、期間は最長「1年間」
- 喪中は「今年もよろしくお願いします」など「あけましておめでとう」に代わる挨拶をする
- 職場では、喪中でも通常通りの新年の挨拶をする
- 喪中に年賀状が届いたら、寒中見舞いを出す
- 喪中の年末には、喪中はがきやLINE、メールで関係者に伝えておく
- 喪中は正月飾りやおせち料理などめでたいことは控え、喪中にふさわしい過ごし方をする
喪中は、あけましておめでとうなどの新年の挨拶は控えるのがよいです。しかし相手から言われたら、あけましておめでとう以外の挨拶やメッセージで対応します。喪中の年末年始は、お祝い行事やめでたいことを控え故人を偲びましょう。