「ご冥福をお祈りします」の本当の意味とは?正しい使い方やよくある間違いを徹底解説
「ご冥福をお祈りします」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思いますが、その正しい意味を知っていますか?本記事では、「ご冥福をお祈りします」という言葉の意味や正しい使い方、よくある間違いについて解説します。宗教や使用する場面によっては失礼にあたる場合もあるため、きちんと意味を理解しておきましょう。
「ご冥福をお祈りします」の本当の意味とは?
「ご冥福をお祈りします」とは「死後の世界で幸せになることを祈っています」という故人への気持ちを表しています。
「ご冥福をお祈りします」の「冥(めい)」とは、冥土(めいど)のことを指し、死後に浄土に行くまでの世界を意味しています。そして「福(ふく)」は幸せを招くという意味を持っている言葉です。
仏教では逝去後7日ごとに審判を受け、四十九日をかけて浄土にたどり着くとされているため、「ご冥福をお祈りします」の意味には、無事に浄土へたどり着くことを願っているという意味も含まれているのです。
ご冥福をお祈りしますの正しい使い方
ここからは、「ご冥福をお祈りします」の正しい使い方について解説します。
「故人の」を前に付ける
「ご冥福をお祈りします」は、死後の世界で幸せになることを祈っているという意味を表しているため、お通夜や葬儀で故人に向けて使います。つまり、誰に向けている言葉なのかが分かるように、「〇〇様(故人の名前)のご冥福をお祈りします」と、故人の名前を「ご冥福をお祈りします」の前に付けるのが一般的です。
霊前や棺の前で言う
「ご冥福をお祈りします」という言葉は故人に対して使うものであるため、お通夜や葬儀の際に御霊前や棺の前で言うのが正しい使い方です。葬儀場での受付や、ご遺族、周囲の方などに言わないよう注意しましょう。
また、お通夜や葬儀に参列できず、弔電を送る際も「〇〇様のご冥福をお祈りします」を使います。さらに深い悲しみを表す場合は「心から」を加え、「心から〇〇様のご冥福をお祈りします」とするのがよいでしょう。遠方からの弔電の場合は「遥かに」も添えて、「遥かに〇〇様のご冥福をお祈りします」とするのもよいでしょう。
ご冥福をお祈りしますのよくある間違い
「ご冥福をお祈りします」は、お通夜や葬儀の際に故人に対して気持ちを表す言葉です。しかし、「ご冥福をお祈りします」を使うのにふさわしくない場面があります。ここからは、「ご冥福をお祈りします」のよくある間違いについて解説します。
仏教以外の宗教に使う
「ご冥福をお祈りします」とは、逝去された後に「冥土」が存在するという仏教の考えに基づいた言葉です。そのため、冥土という考え方を持たない神道やキリスト教で使うことは間違いですので注意してください。
また、仏教の中でも宗派によっては「ご冥福をお祈りします」が使えないことがあります。例えば、浄土真宗は逝去された後すぐに仏様になるという考えであるため、冥土という概念は存在しません。故人の宗派を事前に確認して、お通夜や葬儀で誤った使い方をしないように注意しましょう。
ご遺族に対して使う
「ご冥福をお祈りします」とは、故人に対して使う言葉なので、お通夜や葬儀の際にご遺族に対して使うのは間違いです。ご遺族に対して挨拶する際には、「ご愁傷さまでございます」「心よりお悔やみ申し上げます」といった言葉を伝えるとよいでしょう。
また、「ご自愛ください」とご遺族のことを気遣ったり寄り添ったりした言葉を添えると、より丁寧で気持ちが伝わりやすいです。
ご冥福をお祈りしますを使う際の注意点
ここからは、「ご冥福をお祈りします」という言葉を、お通夜や葬儀、法事法要の際に適切に使用するための注意点についてご紹介します。
四十九日法要が終わったら使わない
「ご冥福をお祈りします」をいつまで使ってもよいという厳密な決まりはありませんが、四十九日法要を終えたら使わないのが一般的です。
「ご冥福をお祈りします」は、「無事に冥土にたどり着くことを願っている」という気持ちを表しています。
仏教では逝去された後、7日ごとに生前の行いを裁く審判を受けるとされており、最後の審判が四十九日目です。無事に浄土にたどり着くことができたら、この日を持って忌明けとなるとされています。
そのため、四十九日法要を終えた後は「ご冥福をお祈りします」は使わない方がよいでしょう。
忌み言葉を使わない
お通夜や葬儀、弔電などで「ご冥福をお祈りします」を使う場合、忌み言葉を含まないように注意しましょう。
忌み言葉とは、不幸が重なることや、再度不幸が訪れることを連想させる言葉のことです。例えば、「重ねて・たびたび・また・ますます・くれぐれも・次々・いよいよ・再び・再三」などがあります。
ご冥福をお祈りしますの代わりのお悔やみの言葉
先述したとおり、「ご冥福をお祈りします」は、宗派や宗教によっては使えないことがあります。そこで、「ご冥福をお祈りします」に代わる言い回しについても紹介します。
宗派に関係なく使える言葉
お通夜や葬儀、弔電での言葉に迷った場合は、「お悔やみ申し上げます」や「謹んでお悔やみ申し上げます」といった言葉を使うのがよいでしょう。
「胸中お察しします」も、相手の気持ちを考えると気の毒だという意味が込められており、汎用性が高いです。「心中お察しします」も胸中お察ししますと同じ意味ですが、目上の方に対して使用すると不快感を与える恐れがあるので注意しましょう。
浄土真宗で使う言葉
浄土真宗では冥土という考えを持たないため、お通夜や葬儀で「ご冥福をお祈りします」は使わないようにします。浄土真宗には「臨終即往生(りんじゅうそくおうじょう)」といい、逝去された後はすぐに仏様になるという教えがあるためです。
浄土真宗のお通夜や葬儀の際にかける言葉は、「お悔やみ申し上げます」がよいでしょう。さらに、「お悔やみ申し上げます」の頭に「心より」を添えると深い悲しみを表し、目上の方には「謹んで」を添えると敬意を表わすことができます。
また、ご冥福をお祈りしますを使わない浄土真宗で弔電を送る際には、「哀悼の意を表します」が適しています。故人のことを思うと悲しくて心を痛めている、という意味の言葉です。遠方から送る際には、「遥かに」を頭に添えるとよいでしょう。
ただし、「哀悼の意を表します」という言葉は書き言葉として使用するのが正しく、話し言葉としては使用しない点に注意が必要です。
キリスト教で使う言葉
キリスト教では、葬儀でお悔やみの言葉を使用することがありません。死に対する考え方が、キリスト教と他の宗教では違いがあるためです。
キリスト教における死は、「地上での罪を許され、天に召される」という意味を持ちます。故人は天からの祝福を受けるべきという考えであるため、死を悲しむことなく、冥途という考えも存在しないため、「ご冥福をお祈りします」は使わないようにします。
キリスト教の葬儀では「安らかな眠りにつかれますようにお祈りします」といった言い方で、気持ちを伝えるとよいでしょう。こちらの言葉は、話し言葉と書き言葉のどちらでも使用できます。
神道で使う言葉
神道の葬儀に参列する際も、「ご冥福をお祈りします」は避けましょう。神道では、逝去された後、故人の魂はご遺体から離れて「産土神(うぶすながみ)」と呼ばれる故人が生まれた土地の守護神の元へ帰るとされています。神道における葬儀は、故人を家の守り神として祀り、子孫を守るための儀式です。
そのため、神道の葬儀では、成仏や供養などの仏教の言葉は使わず、「御霊(みたま)のご平安をお祈りします」という言い方をするのがよいでしょう。また、「安らかに眠られますよう」という言葉も適しています。
ご冥福をお祈りしますの意味を理解して正しく使いましょう
まとめ
- 「ご冥福をお祈りします」の意味は「死後の世界で幸せになることを祈っています」
- 故人に向けて霊前や棺の前で言うのが正しい使い方
- 故人に対して使う言葉であるため、ご遺族に対しては使わない
- 「〇〇様のご冥福をお祈りします」はお通夜や葬儀、弔電で使用する
- 「ご冥福をお祈りします」を使うのは四十九日まで
- 宗教や宗派がわからない場合は「心よりお悔やみ申し上げます」が適切
- 浄土真宗・キリスト教・神式の葬儀では「ご冥福をお祈りします」は使用しない
「ご冥福をお祈りします」は、死後の世界で幸せになることを祈っているという意味で、無事に浄土にたどり着くことを願う気持ちを表した言葉です。宗教や宗派を確認したうえで、霊前や棺の前で、故人に向けた最後の言葉として伝えましょう。