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【ひとたび編集部が選ぶエンディング映画10選 07】永遠の僕たち〜死を意識することは生きること〜

【ひとたび編集部が選ぶエンディング映画10選 07】永遠の僕たち〜死を意識することは生きること〜

あなたは死を意識したことはありますか?いつ死ぬかわかっていたらどんな事がしたいですか?そして自分の死をどう捉えますか?ひとたびの「編集部が選ぶエンディング映画10選」では、エンディングを題材とした映画を紹介しています。今回紹介する映画は、死を意識することで強く生きたいと思わせてくれる映画です。是非生きることについて前向きに考えてみてください。

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第6回では「愛、アムール」を紹介しました。こちらもぜひ合わせてご一読ください。

第7回は2011年公開の「永遠の僕たち」を紹介します。

監督は名作「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」のガス・ヴァン・サント。この作品でアカデミー監督賞にノミネートされた実力派の監督です。

主演はヘンリー・ホッパーです。彼自身はこの映画の出演後はほとんど俳優として活動していませんが、父親は名優デニス・ホッパー。父譲りの端正な顔立ちながら、死に怯える弱々しい青年を演じる彼はとても繊細に見えて非常に印象的でした。

またヒロインのミア・ワシコウスカはジョニー・デップ主演の「アリス・イン・ワンダーランド」でアリスを演じたことでも有名な女優です。

日本の特攻隊員の幽霊役を演じたのは加瀬亮です。流暢な英語を披露し、作品のキーパーソンとして非常に重要な役を担うとともに、作品に込められたメッセージの体現者として素晴らしい演技を披露しています。

あらすじ

※本記事にはネタバレ内容を含みます。あらかじめご了承の上、お読みください。

見ず知らずの人の葬儀に参列することを趣味としているイーノックは、偶然ある葬式で出会ったアナベルと仲良くなりますが、彼女はがん患者で余命3ヶ月でした。イーノックも両親を事故で亡くし、彼自身3ヶ月昏睡状態で死を彷徨いました。その経験から神風特攻隊の幽霊ヒロシが見えるようになり、唯一の相談相手として心を開いていました。

仲を深める2人でしたが、死を軽く見るアナベルと死を彷徨った経験から虚無感をもつイーノックは喧嘩をして疎遠となってしまいます。しかし、ヒロシは戦時中に恋人へ渡せなかった手紙をイーノックに渡し、未だに後悔していること、「死ぬことはたやすく、辛いのは愛」ということを告げて消えていきました。ここからイーノックはアナベルに自身の素直な気持ちを告げ、仲直りすることができました。

その後アナベルは旅立ち、今まで出席していた葬儀で神妙な顔しか出来なかったイーノックは、アナベルの葬儀では彼女との思い出に自然と笑みがこぼれていました。

みどころ

邦画的雰囲気のアメリカ映画

この作品での多くを語らず視線や表情で感情を訴え、セリフの行間を読むといった演出や、悲恋ものなのにラストは爽やかな感動で終えるという演出は、邦画的な演出に感じられます。幽霊を神風特攻隊員というピンポイントなキャラクターにしたのも当時の日本ならではの死生観を知った上で、作品のテーマに最も近しいキャラクターだったからかもしれません。

出演しているキャストはアメリカの俳優が多いですが日本に馴染みのある設定や演出も多く、まるで日本人監督が撮っている作品のように感じられるのが、特徴かもしれません。

また、アメリカ映画の葬儀シーンといえば墓地や教会で執り行われているのを想像する方が多いと思いますが、本作では告別式のシーンしかありません。恐らくイーノックが無宗教の設定であり、その設定が日本風であるため作品のテーマやメッセージに共感しやすかったのかもしれません。

神風特攻隊

幽霊が出てくる映画は数多くありますが、神風特攻隊の幽霊が出てくる映画はほとんどないのではないでしょうか。しかもそれがアメリカ映画で出てくることは稀だと思います。しかし、神風特攻隊の若者を出したのには明確な理由があります。

神風特攻隊は死に最も近い存在だからではないでしょうか。神風特攻隊は第二次世界大戦中、目標に航空機で体当たりする部隊です。つまり任務に就いた瞬間、死ぬことが決まっている部隊といえます。

その隊員であるヒロシは終盤に恋人のために書いたけども渡さなかった手紙をイーノックに渡します。その中で印象的なセリフが「死は容易く、辛いのは愛」というものでした。死ぬのは一瞬なので怖くないけども、愛する人に想いを伝えられないまま死んでしまうのがとても辛かったと思いの丈を吐き出します。

ヒロシとしては余命僅かのアナベルに思いを伝えずに後悔してほしくないという気持ちだったのかもしれませんが、イーノックはアナベルを深く愛しているからこそ見送る勇気がないと自暴自棄になっていました。その対比を見せることにより、監督は生きること、死ぬことについての考えを明確に観客に訴えているのかもしれません。

瑞々しくも繊細なキャストの演技

この作品を語る上でイーノックを演じたヘンリー・ホッパーの演技は欠かせないでしょう。今にも壊れそうな表情で死に憑りつかれた青年の雰囲気を醸し出す演技をしていました。そして、この映画出演のために髪を切ったアナベル役のミア・ワシコウスカは透明感溢れるけども時々見せる儚さなどハッとさせられる名演技でした。この2人の演技力は素晴らしいですし、その演技を引き出した監督の演出力もさすがです。

脆そうな2人が出会ったからこそ恋に落ちたという展開に必然性をもたらしてくれましたし、デートの場所が死体安置所や墓場と死を意識させるスポットを選ぶのも、この2人らしさと言えるのかもしれません。

まとめ

死を意識するからこそ、人生を楽しもうと思える。そういったテーマを扱った映画は多くありますが、この映画は「死にそうになった者」「死を迎えつつある者」「死んでしまっている者」という3人が織り成すドラマというこれまでになかった視点により、監督が伝えたかったメッセージを明確に伝えることに成功しています。また邦画的な雰囲気のある作品、加瀬亮が出演している、死生観が日本的など、洋画が苦手な人でも見易い作品だと思います。是非一度ご覧になってみてください。

作品情報

公開年

2011年

監督

ガス・ヴァン・サント

キャスト

ヘンリー・ホッパー
ミア・ワシコウスカ
加瀬亮
シュイラー・フィスク

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