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【ひとたび編集部が選ぶエンディング映画10選 03】100歳の少年と12通の手紙〜ポジティブに生き抜くこと〜

【ひとたび編集部が選ぶエンディング映画10選 03】100歳の少年と12通の手紙〜ポジティブに生き抜くこと〜

人生に疲れてしまった時、余命少ない少年と出会ったら、それでも人は人生に疲れたと思えるのでしょうか? 今回もひとたびの「編集部が選ぶエンディング映画10選」ではエンディングを題材とした映画を紹介します。映画を見ながら、これからの人生をどう生きるか、そして周りにどう接するか考えてみませんか?

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連載第2回では「マイライフ」をご紹介しました。こちらもぜひ合わせてご一読ください。

第3回は、2010年公開の「100歳の少年と12通の手紙」を紹介します。

こちらはフランスの舞台演出家エリック=エマニュエル・シュミットが自身のベストセラー小説を自ら脚色、監督した映画です。本作の主役であるピザ屋を営むローズ役にはミシェル・ラロック、そして本作のキーパーソンとなる余命僅かな少年オスカー役にはアミール・ベン・アブデルムーメン。非常に印象的な演技が魅力的でしたが、この映画が最初で最後の映画出演のようです。キラキラした笑顔と純粋無垢な笑顔が印象的なだけに少し残念ですね。

そして、本作で音楽を手掛けたのはフランス映画音楽会の代表的存在のミシェル・ルグランです。1968年の「華麗なる賭け」や1970年の「嵐が丘」といった時代を代表する名画に楽曲を提供した人物です。見ている間、とてもBGMが心地よく音楽が印象的な映画でもありました。

フランス映画ということでご存知ない方も多いかもしれませんが、見終わったあとに、悲しくもポジティブな気持ちになれる映画です。

あらすじ

※本記事にはネタバレ内容を含みます。あらかじめご了承の上、お読みください。

白血病で入院している10歳の少年オスカーは骨髄手術が失敗し自分の余命が少ないことを知らされている両親を偶然見てしまいました。ショックを受けたオスカーですが、病院で知り合った口の悪い宅配ピザ屋のローズと知り合い、次第に心を開いていきました。

オスカーは、大晦日までの12日間、1日を10年と考えて過ごし、毎日神様に手紙を書くようにローズから勧められます。オスカーは、1日を10年と思い、恋をして結婚をして夫婦の危機を迎え、充実した人生を送っていました。そして、大晦日の日にオスカーは亡くなってしまうのですが、ローズは彼との12日間で大きな物を得て、自分自身が励まされていたのだと気づくのでした。

見どころ

悲壮感のない愛らしい映画

この映画は、一言で言うと死をテーマにしながらも「悲壮感のない愛らしい映画」です。白血病の少年の物語なので最後は悲しく泣かせに来るような映画かと思われがちですが、全く悲壮感がなく、オスカーの人生は愛くるしかったなと微笑ましくなる不思議な映画です。そういった映画とはなかなか巡り合うことができません。本作は今まで見たことのないタイプの映画が見たいという方におすすめです。

人はみないずれ死ぬという死生感

映画の主人公オスカーは10歳です。映画の最初で教師が色々なイタズラの被害に遭い、その都度怒るのですが、オスカーが犯人とわかると病人だからという理由で急に優しくなる先生の態度に不信感を募らせるのです。また、両親も手術が失敗し余命が残り少ないことを主治医から聞き、悲しみに打ちひしがれていました。主治医は「オスカーに会うか?」と尋ねるも両親はショックのあまり面会を拒否します。それを盗み見していたオスカーは両親にさえ不信感を募らせてしまいます。誰も自分に心を開いてくれていない。自分は可哀想な子だと自分で決めつけていたのでしょう。

しかし、ローズと出会って彼は変わります。ローズはオスカーに対しても素直な気持ちを口に出し、彼を可哀想と思わずに接してくれました。それだけでオスカーはローズに親近感を抱きました。自分では可哀想と思っていないのに周りから可哀想と憐れまれると、虚しい気持ちになる経験は誰にでもあるでしょう。オスカーは10歳にして毎日そんな気持ちを抱えていただけに、哀れみから解放されて色々な経験が出来たことで多くのことを感じ取り学んだのです。

その最たるものが「人はみないずれ死ぬ」というもの。哀れんでいた両親でさえいつ死ぬか分からない。元気な人でも明日亡くなってしまうかもしれない。早く死ぬか遅く死ぬかの違いがあるだけで、重要なのは「どう生きたか」ということです。

映画を見ている人々も、明日どうなるかは誰にも分かりません。もしかしたら亡くなってしまう可能性だってあります。そんなときに後悔しないために、自分の生き方、人との接し方を振り返ってみてはどうでしょうか。もし満足出来るような生き方が出来ていればそれは素晴らしいことです。しかし、少しでも引っかかる場合は自分を見つめ直すことが必要かもしれません。ただ生きるだけではなく、人に誇れる生き方、自慢したくなる生き方を目指すのも素敵ですね。

死を前向きに捉えられるエンディング

この映画はいわゆる難病ものの映画です。難病ものというと泣かせようとしたり、感動を煽るような場面が多く見受けられますが、この映画はどこかコミカルでファンタジー要素すらあります。きっとローズの人となりがそのまま映画の雰囲気として表れているのでしょう。ローズは元プロレスラーで、現役時代に起きたまるで嘘のようなエピソードでオスカーを何度も笑わせます。ラストも前向きな終わり方で、泣ける映画というよりも心が洗われる映画と言えるでしょう。

そしてそこで気づくのが、「死」とは悲しいものではないということです。死は誰にでも訪れるもので避けられないもの。しかし、受け入れることさえ出来れば恐れることのないものと言えます。映画同様、人生楽しく笑って過ごせれば、死は悲壮感溢れるものではなく、単なる終わりに過ぎないのです。「いつか死ぬのであれば、十分楽しもう」というメッセージの他に「人生が終わる時、振り返ってみて笑える人生であればきっといい」というメッセージを感じました。

一生懸命生きるということを考える

オスカーは1日を10年と捉えて過ごしていました。現実ではただの1日なので実際に経験をしているわけではないのですが、そうやって1日を一所懸命生きて明日への活力を見出していました。それは余命が残り少ないから残りの人生を思い切り生きるためにローズが考えたことでしたが、この生き方は日々を生きている我々にも十分当てはまると思います。

ただ何となく毎日をルーティーンのように生き、楽しいことや驚くようなことがなにもない平凡な日々。人生の最後を振り返る時にそのような過ごし方をしていたら、自分に呆れてしまう人もいるかも知れません。そうではなく大切な1日、必ず来るものではないと捉え、毎日一所懸命生きた方が充実した人生を送れるのではないでしょうか。

そういった生き方をしていれば、自然と色々な経験や繋がりが増えて、周りに支えてくれる人々も多くなっていき、気づいたら楽しい人生になっている気がします。オスカーはそのような人生を送りたかったので、毎日10年分の活力を持って過ごしていたのです。誰にでも来るわけではない明日を、必死に楽しめる人生を過ごしたいと感じられることでしょう。

まとめ

この映画は意外なほど真っ直ぐな映画です。そして、今日の生き方、明日の生き方について強く考えさせられるものでした。映画としても素晴らしいし、映画を見て受け取ったメッセージも人生の教訓になるようなもので、自分の死生観に影響を与えてくれる一本といえます。

作品情報

公開年

2010年

監督

エリック=エマニュエル・シュミット

キャスト

ミシェル・ラロック

アミール

マックス・フォン・シドー

アミラ・カサール

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