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【ひとたび編集部が選ぶエンディング映画10選 02】マイ・ライフ 〜終活の指南書〜

【ひとたび編集部が選ぶエンディング映画10選 02】マイ・ライフ 〜終活の指南書〜

愛する人、愛する家族がいながら、もし自分の死期が分かったらその時あなたはどんな行動を取りますか? 今回も「編集部が選ぶエンディング映画10選」ではエンディングを題材とした映画を紹介していきます。映画を見ながら、これまでの人生を振り返りつつ家族や自分のエンディング、生きるということについて考えてみませんか?

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連載第1回では「楢山節考」をご紹介しました。こちらもぜひ合わせてご一読ください。

第2回では1993年公開の「マイ・ライフ」を紹介します。監督は「ゴースト/ニューヨークの幻」でアカデミー脚本賞を受賞した実力派の脚本家、ブルース・ジョエル・ルービンで、なんとこの映画が初監督作品でした。

主演は1989年公開の「バットマン」で主役を演じたマイケル・キートンです。最近では「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でもインパクトのある演技を見せてくれるハリウッド随一の演技派俳優です。夫の死期を知りながらもめげずに支える妻役にはハリウッドを代表する美貌と演技力を併せ持つニコール・キッドマン。オスカー女優でもあり、トム・クルーズの元奥さんとして多くの日本人にも知られているのではないでしょうか。

そういった名実共に揃ったキャスト、スタッフが結集した作品だけあって、見応えもあり深く心に刻まれる映画でもあります。

あらすじ

※本記事にはネタバレ内容を含みます。あらかじめご了承の上、お読みください。

PR会社を経営するボブはある日突然、末期がんと診断されます。彼は妻のゲイルとお腹の中にいる我が子にメッセージを残すために、自分の家族との関係や過去のこと、人としての生き方などをビデオカメラに向かって語りはじめるのでした。

故郷を訪れたボブは少年時代の思い出を振り返ったり、昔から苦手だったジェットコースターに挑戦し克服したりと、思い残すことのないほど余命期間の4ヶ月間を過ごします。そして最後には家族からの愛情を思い切り感じながら天国へと旅立っていくのでした。

見どころ

「生きる」とは

主人公のボブはいわゆる成功者です。そして、美人の妻ゲイルとも仲良く、誰もが羨む人生を送っているように見えます。しかし、本当のところボブは両親との良い思い出がなく、寂しい子供時代を過ごしていましたし、ゲイルからも気持ちをもっと打ち明けてほしいとお願いされます。

ボブは人生を振り返り、後悔を残さないように限りある生命を精一杯に生きようとします。例えば、幼少期は恐怖で乗れなかったローラーコースターを克服しようと、子供に混じりながらも乗り込み、見事に楽しんでみせます。ボブにとっての人生を見つめ直すきっかけは末期がんでしたが、後悔しないようにその日を思い切り楽しむことというのは誰でもすぐに実践出来ることだと思います。

私達もいつ自分がどんな病気や事故で亡くなるかは分かりません。急に愛する家族や恋人、友達と会えなくなるかもしれません。そうなった時に後悔するくらいならば、伝えたいことは今伝えるべき、やりたいことは今やるべきという強いメッセージを映画から感じられます。映画を見ている最中、誰かを思い浮かべながら見てしまうかもしれません。何かを思い返すかもしれません。何か胸の中にモヤモヤがあるなら行動に移せ!と言われている気がします。

言いたいことを言う。やりたいことをやる。これこそが「生きる」ということでしょう。ただ、他の人からしたらそれはワガママにも見えてしまうかもしれません。この映画の上手いところは、ボブが嫌な人に見えないという点です。それは周りの人への謙虚な姿勢が常にあるからです。映画の最初では自暴自棄になるシーンもありましたが、徐々に心境も変化し、自分の運命を受け入れていき、それと合わせて周りの人にも優しくなっていきました。

寛容と感謝の気持ちがあれば、自分のしたいことは周りから理解も得られるのではないでしょうか。自分自身の死生観についても振り返るきっかけになるでしょう。

終活の指南書

本作品は泣かせようとする過剰な演出などはなく、いくつものエピソードの積み重ねで感情移入していき、最後の伏線回収で自然と泣けてくる映画です。劇中に嫌な人は出てきません。出てくる人はいい人ばかりの優しい映画なこともあり、徐々に胸が温かくなるのですが、その過程が非常に丁寧です。

ボブの心残りを解決していくのがストーリーの軸なのですが、先述のローラーコースターしかり、冒頭のサーカスシーンや、親との確執などボブの人格を形成する中で負の部分になってしまった過去を如何に乗り越えていったのかがが見どころです。

順番に片付けていく過程で周りの人々もボブの死を受け入れていき、最後は笑顔に包まれて看取られます。確かに亡くなることは悲しいものですが、ボブは間違いなく幸せ者でしょう。心残りを無くして天国へ旅立ちました。そういった視点から見るとこの映画は終活の指南書になるのではないでしょうか。

昨今終活という言葉をCMや雑誌でも見ることが増えました。しかしながら、何をすればいいか分からないことも多く、行動に移せない人も多いのではないでしょうか。難しい話など本当は何もなく、自分の中の心のモヤモヤを晴らしていけば、それがきっと終活になるのだと映画を見て感じます。そのモヤモヤを晴らす過程で過去のトラウマとも向き合う機会ができ、それを乗り越えたり赦すことができれば、きっとボブのように幸せに最後の日を迎えることが出来るでしょう。

両親への感謝と赦し

この映画は見る時代、見る世代によって受け取り方も変わるかもしれません。

自分が父親にしてもらえなかった事を記録として子供に残そうとするボブの姿は心打たれるシーンのひとつです。男としての生き方など、ボブは父親にこういう風に接してほしかったんだなと理解出来るシーンは胸が締め付けられます。しかし、父親が何故ボブを放ったらかしていたかを考えると、父親の後悔も見て取れます。

ボブと違い、父親は決して給料のよい職業ではなく、寝る間も惜しんで働いていかなければ生活費もままならなかったのではないでしょうか。ボブとの時間も大事にしたいのですが、生活のためにすべてを犠牲にした結果、ボブとの間に溝ができてしまい、埋めることが出来ないまま時間が過ぎていったようにも見えます。そういった親子の関係の修復にも焦点を当てており、ラストにはその確執がしっかりと感動的なエピソードで解決されます。

もし自分が亡くなると分かった時、夫、妻、子供が悲しまないようにするだけでなく、両親に対してもフォローをすべきというメッセージが感じられました。両親にとっては大人になったとしても子供は子供。自分より先に旅立ってしまえば、悲しむのは当たり前です。しかし、多くの映画ではそういった視点で描かれておらず、感動的になりやすい子供とのエピソードに焦点を当てがちですが、この映画は両親との時間にも焦点を当てて、より深い感動を与えてくれます。

子供への愛を与えるだけでなく、親への感謝も忘れてはいけないことをこの映画は伝えたいのだと思います。「死」と向き合う時にそういった視点も忘れてはいけないという風に感じられました。

まとめ

知らない方が多いかもしれない映画ですが、自分の人生と死について振り返るきっかけを与えてくれる名作だと思います。決して大きな見せ場があるわけではなく、淡々と変わらない日常を描くことで、観客自らの人生に近しい感覚をもたせ、共感と静かな感動を呼び起こします。

公開から30年近く経っており、当時はビデオカメラという機材を使って記録に残していましたが、現代ではスマホで簡単に動画に残すことの出来る時代です。自分がいつ死ぬかは分かりませんが、何気ない日々を動画に残し、いつか自分の親や子供に自分の人生がどうだったか、日々どんなことを感じていたか、どんな景色を見ていたかを見てもらう準備をするのもいいかもしれませんね。自分の人生観を変えてくれるかもしれない素敵な優しい映画です。

作品情報

公開年

1993年

監督

ブルース・ジョエル・ルービン

キャスト

マイケル・キートン
ニコール・キッドマン
ブラッドリー・ウィットフォード
クイーン・ラティファ
ハイン・S・ニョール

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