親の終活準備はどうする?家族が準備すべきことや進め方を解説
両親が亡くなった後の手続きは、多くの場合子供が行うことになります。親の終活準備を進めることは、将来の自分の負担軽減にもつながるでしょう。そこで本記事では、親の終活準備で行うべきことや進め方、準備することなどを解説していきます。
親の終活準備の必要性
そもそも、両親の終活準備はなぜ必要なのでしょうか。まずは両親の終活準備を進める必要性を紹介しますので、終活準備が必要か分からない方は目を通してみてください。
遺品整理の負担を減らせる
親の終活準備を行うことで、遺品整理の負担を軽減できます。両親が生きている間に全く遺品整理をしていないと、遺品を処分したり分別したりするのにかなりの手間と時間がかかります。また、両親にとって大切なものを処分してしまうリスクもあるでしょう。親が亡くなった後の遺品整理の労力を考え、早めに終活準備に取り掛かることをおすすめします。
親の財産を把握できる
両親の財産を把握できる点も、終活準備が必要な理由の一つです。終活で預貯金の整理や相続の手続きを進めることで、口座がある金融機関や保有している不動産、保険会社などを把握できます。大切な家族の財産をきちんと相続するためにも、親子で終活に取り掛かりましょう。
親の意思を反映できる
両親と一緒に終活準備をすることで、親の意思を反映できます。終活準備を進めないまま両親が亡くなったり認知症になったりした場合、医療や介護、葬儀に関する希望が聞けないことがあります。
両親が希望する葬儀や供養、介護、医療を提供するためにも、一緒に終活準備を進めて親の考えを聞いておきましょう。
体力がいる作業を手伝える
両親と一緒に終活準備に取り組めば、体力が必要な作業を手伝えます。不要なものを処分したり、大きな家具・家電を片付けたりといった重労働は、高齢の両親にとっては負担が大きいです。体力のあるうちに私物の整理に取り組むことで、両親の負担を減らせます。
親の終活に関して家族が準備するべきこと
両親の終活を行う際、家族が準備するべきことがいくつかあります。以下を参考にして、親の終活を行う前に何を準備しておくべきなのか把握しておきましょう。
いざというときのサポート体制を整えておく
両親の終活準備を行うにあたって、いざというときのサポート体制を整えておきましょう。両親が遠方に住んでいる場合、何かあってもすぐにかけつけられない可能性が高いです。近所の人や近くに住んでいる兄弟姉妹と相談し、いざというときに両親を支える体制を作っておきましょう。
近くに頼れる人がいない場合は、地域包括支援センターやホームへルパーを頼ることを検討してみてください。
必要な情報をピックアップしておく
両親に終活準備をするよう頼む際は、必要な情報をピックアップしておきましょう。ただ「終活をしてほしい」「生前整理に取り組んでほしい」と伝えるだけでは、具体的に何をすればよいか分からず悩んでしまう方も多いです。
何を行えばよいのか、どのような手続きが必要なのかなど、情報をまとめて伝えておくことが大切です。事前に情報をまとめて伝えることで終活がスムーズに進み、精神的・肉体的な負担を軽減できます。
親の終活の進め方
「親の終活をどのように進めたらよいのか」「終活への取り組み方が分からない」このような疑問を持っている方も多いでしょう。そこでここからは、両親の終活の進め方や準備するべき事柄を詳しく解説していきます。
エンディングノートを書いてもらう
両親に終活をしてもらう際は、まずエンディングノートを書いてもらいましょう。エンディングノートとは、病気や怪我をしたときや自分の死後に備え、意見や希望をまとめておくためのノートです。エンディングノートに法的な拘束力はありませんが、気軽に取り組んでもらえるでしょう。
財産管理を一緒に行う
両親との終活準備の進め方として、財産管理を一緒に行うことが挙げられます。怪我や病気などで両親の判断力が低下した場合、不動産の管理や口座からの引き出しといった財産管理ができなくなる恐れがあります。
マンションの家賃を支払えない、介護の費用が不足しているといったトラブルが起こることも珍しくありません。口座や不動産などの管理が難しくなったときのことを考え、親子で任意後見契約を結んでおいたり、金融機関に代理人届けを出したりして対策するとよいでしょう。
遺言書を書いてもらう
相続に関するトラブルを避けるため、遺言書を書いてもらうことも大切です。遺言書の作成方法や、相続に関する手続きの詳細について伝えておくだけでもよいでしょう。また、終活を行う親本人だけでなく、相続人となる他の家族や親戚とも話し合いをしておくと、トラブルに発展しにくくなるため安心です。
物品整理を手伝う
高齢の両親が自宅の物品整理や片付けなどを行うのはかなり大変です。そのため、両親の希望を聞きながら家族が一緒に物品整理を手伝うのをおすすめします。まずクローゼットや押し入れ、倉庫などに収納されているものを必要・不要に分類します。不要なものは処分して、必要なものは再度収納し直しましょう。
このとき、処分に困るのが古い手紙や写真などの思い出の品々です。これらの品はなかなか捨てにくいですが、かといって保管しておくには場所を取ってしまいます。この場合、手元に置きたいものだけを厳選し、その他のものはお焚き上げをしてもらうとよいでしょう。
お焚き上げであれば、可燃物として処分するよりも抵抗が少ないため、両親に納得してもらえる可能性が高いです。
介護・医療に関する希望を聞く
両親に、介護や医療に関する希望を聞いておくことも大切です。両親が高齢になると、介護が必要になったり、病気で延命措置をするか判断を迫られたりする場面があります。介護・医療に関する意見を聞いておけば、両親が希望する最期を叶えることができます。
お墓に関する希望を聞く
お墓に関する希望もあわせて確認しておきましょう。先祖代々のお墓に入りたいか、それとも散骨や樹木葬などを選択するかを事前に相談しておくことが大切です。もし、埋葬方法やお墓に関する希望がある場合は、パンフレットやホームページなどを確認して両親が納得できる場所に供養を依頼しましょう。
一緒にデジタルデータを整理する
両親の終活準備の一環として、デジタルデータの整理も必要です。デジタルデータとは、スマートフォンやパソコンなどに入っている写真などを指します。不要なデジタルデータはあらかじめ削除しておき、必要な情報だけを残すようにしてください。
親の終活を手伝う上で押さえておくべきポイント
親の終活を手伝う際は、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
お互いの意見を交換する場を設ける
両親の終活準備を手伝う前に、お互いの意見を交換する場を設けましょう。終活はデリケートな側面もあるため、自分の意見を押し付けすぎると親子関係が悪化する恐れがあります。あらかじめ終活に関する意見や考えを伝えておくことで、トラブルを避けられるでしょう。
ルールに縛られないようにする
終活には「こうしなくてはいけない」「このように手続きをするべき」といったルールはありません。どのような準備が必要かは、両親や家族の状況によって異なります。「〜しなくては」というルールに縛られすぎると終活がストレスになるため、両親がのびのびと終活を行えるようサポートしましょう。
両親が元気なうちに準備に取り掛かる
両親が元気なうちに、終活準備に取り掛かることも大切です。終活準備として行う項目の中には、体力が必要な作業が多数あります。高齢になり、体力や判断力が衰えてからだとなかなか終活が進まなくなる可能性が高いです。終活を行う年齢に決まりはないため、思い立ったときから終活準備に取り掛かることをおすすめします。
親に終活を切り出すときのポイント
終活は非常にデリケートなことですので、なかなか両親に「終活をしてほしい」と切り出せない方も多いでしょう。そこでここからは、親に終活準備を切り出す際に意識したいポイントをまとめて解説します。
自分が終活を始める
両親に終活準備を始めてほしい場合、子供であるあなた自身が終活を始めてみるのはいかがでしょうか。自分が終活を始めれば、「お母さんも一緒にやらない?」と両親を誘いやすくなります。
死後の手続きの大変さを説明する
死後の手続きの大変さを説明するのもおすすめです。例えば、相続手続きや遺品整理の苦労話をして「私たちも備えておこう」と話を切り出すとよいでしょう。
身近な人の話を出す
身近な人の話を出して終活を進めるのもおすすめです。両親が知っているような芸能人や友人、親戚が終活をしていることを話せば、両親が積極的になってくれる可能性も高いでしょう。
親の終活準備を手伝うときの注意点
親の終活準備を行う場合、いくつか気をつけたいポイントがあります。以下に紹介する注意点を参考に、終活準備を進めましょう。
他の兄弟にも相談しておく
両親の終活準備を行う際は、他の兄弟にも相談しておきましょう。あなたひとりで終活準備を進めると、後に兄弟から不満が出たりトラブルに発展したりする恐れがあるため注意してください。
無理強いはしない
両親へ終活準備を無理強いしないことも大切です。あくまで両親の自主性を大切にして、両親が終活を始めやすい環境を整えるのに徹しましょう。
感情的にならない
親の終活準備を一緒に行う際は、感情的にならないよう注意してください。怒ったり自分の意見を無理に通そうとしたりすると、両親との関係が悪化する恐れがあります。両親が終活に前向きになれるよう、冷静に対応しましょう。
親の終活準備を一緒に始めよう
この記事のまとめ
- 親の終活を進めれば、①財産を把握できる②両親の意思を反映できる③体力がいる作業を手伝えるなどのメリットがある
- 親の終活を手伝う前に、必要な情報を集めてサポート体制を整えおくことが大切
- 親の終活では、①エンディングノートを書いてもらう②財産管理を一緒に行う③遺言書を書いてもらう④デジタルデータや物品整理を行う⑤お墓や介護・医療に関する希望を聞く親の終活を手伝う際は、ルールに縛られないようお互いの意見を交換する場を設ける
- 親の終活を手伝う際は、ルールに縛られないようお互いの意見を交換する場を設ける
- 親に終活を切り出せない場合は、自分が終活を始めたり死後の手続きの大変さを説明したりするとよい
- 終活準備を無理強いしたり、感情的になったりすることは避ける
両親の終活準備を進めることで、財産が把握できたり両親の意思を反映できたりというメリットがあります。本記事で紹介した終活の進め方を参考に、両親の終活を手伝いましょう。また、終活を手伝う際のポイントや注意点もあわせて確認しておくと安心です。
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