枕花とは?相場や飾り方、手入れの方法を詳しく解説

葬儀におけるお供えの花にはさまざまなものがありますが、中でも「枕花(まくらばな)」は故人を弔う上で大切な役割を持つ花です。本記事では、枕花とは何かについて、費用の相場や飾り方などとともに解説します。枕花の送り方やもらった後のお手入れの方法も解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
枕花とは

葬儀では故人を弔うためにさまざまな花をお供えしますが、そもそも「枕花」とはどのような花なのでしょうか。まずは枕花とは何かについて、お供えする意味や供花との違いとともに解説します。
故人の枕元に添えられる花のこと
枕花とは、故人が亡くなってすぐに故人の枕元に飾る花を指します。ご遺族から故人の訃報を受けた人がいち早く故人の魂を慰めるための花であることから、親族をはじめとした故人と近しい間柄の人が送るのが一般的です。枕花を送ることは、故人に対する強い哀悼の気持ちを伝えるとともに、ご遺族の悲しみに寄り添うという意味があります。
枕花に使われる主な花
枕花に使われる花は、胡蝶蘭やユリなどの白色を基調とした花が一般的です。枕花に使う花には厳格な決まりはないため、故人の人柄や生前好きだった色付きの花を加えたアレンジメントをする場合もあります。
使う花の種類に厳格なルールはありませんが、トゲや強い香りがある花、花粉が落ちやすい花などはお供えやお手入れの際に手間が増えてしまうことから、枕花の花選びでは避けた方がよいでしょう。一般的に枕花に使われる花を以下にまとめているため、これから用意する人は参考にしてください。
枕花に使われる主な花
- 菊
- ユリ
- 胡蝶蘭
- カーネーション
- ガーベラ
- ラナンキュラス
- トルコキキョウ
枕花と供花・一本花の違い
枕花と同じく、葬儀に使われる花として供花(きょうか)や一本花(いっぽんばな)がありますが、飾り方や使われる花などが少しずつ違います。なお、枕花や供花は故人と縁のある人から送られるのが一般的です。対して一本花は枕飾りの一つであることから、誰かから送られるものではなく故人の家族があらかじめ用意するものとされています。
枕花と供花・一本花の違い | |||
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枕花 |
故人のご遺体の枕元に飾られるもの。 白を基調とした花が使われ、故人の親族や近しい間柄の人が送る。 |
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供花 |
葬儀の際に斎場・祭壇に飾られるもの。 親族のほか、故人と縁のある人(友人・会社関係の人など)も送る。 |
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一本花 |
お通夜の前までに故人を祀る「枕飾り」に飾られるもの。 花瓶に花を1本だけ挿すもので、樒(しきみ)が使われるのが一般的。 |
枕花の費用

枕花の費用はどれくらいの相場なのか分からない人も多いでしょう。ここからは、枕花の費用について紹介します。
相場は一基あたり5千円~2万円
枕花を依頼した場合の相場は、一基あたり5千円~2万円です。枕花は一基で送ることが一般的ですが、左右対称になるように一対で手配することもあります。プランにもよりますが、一対で依頼する場合は一基の値段の倍になるため、予算を考えて用意しましょう。
アレンジメントの内容によって相場は異なる
枕花の相場は、アレンジメントの内容によって異なります。枕花はご遺体を安置している場所から葬儀場へ持ち運ぶものであるため、小さな籠や器を使ったアレンジメントが一般的ですが、依頼する業者によっては大きい花器にセットしたものを手配することも可能です。
大型のアレンジメントは費用が高くなるだけでなく、移動時やお供えの際に持ち運ぶのが大変になるため、予算だけでなく大きさやご遺族の身体的負担なども考えて手配しましょう。
枕花の飾り方

故人を丁寧に供養するためにも、枕花は作法を守って飾ることが大切です。ここからは、枕花の正しい飾り方について解説します。
飾る時期はお通夜の前から葬儀まで
枕花は、お通夜の前から葬儀まで飾るのが正しい飾り方です。枕花は故人の死後最初にお供えされる花であり、お供えの花の中で最も早く飾られる花です。
しかし、枕花をすぐに送るのは失礼であるという考え方もあることから、遅いタイミングで枕花が届く場合もあります。枕花を飾り始めるタイミングはお通夜の前日頃がよいでしょう。
枕花は小さな台・布に乗せて飾る
枕花は、小さな台や布に乗せて飾るのが一般的な飾り方です。床に直接置くと花粉や水が床に付着し、祭壇や参列者の服装を汚してしまう可能性があります。また、床に直接置くのは故人に対して失礼にあたるという考え方もあるため、枕花は台・布に乗せて飾りましょう。
なお、祭壇の周辺に置くと供花と間違われてしまうため、枕花は必ず故人のご遺体の傍や枕元に飾ることが大切です。
葬儀後は別れ花・後飾り祭壇などに使用する
飾った枕花は葬儀後、別れ花や後飾り祭壇などに使うとよいでしょう。別れ花は出棺前に故人の棺の中に入れる花であり、花と一緒に火葬することで故人への敬意と弔意を示せます。なお、別れ花にする場合、中には火葬に適していない花もあるため、事前に葬儀社へ別れ花として使ってもよいかを確認しておきましょう。
後飾り祭壇とは、故人の遺骨を供養するための祭壇です。飾った枕花を後飾り祭壇に使用して華やかに彩ることで、故人を長く偲べます。後飾り祭壇に使う場合は、枯れないように定期的に手入れをすることが大切です。
枕花のお手入れ方法

故人をより丁寧に供養するためには、枕花をこまめにお手入れして清らかな状態を保つことも大切です。ここからは、枕花のお手入れ方法について解説します。
適切な頻度で水やりを行う
枕花は適切な頻度で水やりをしましょう。アレンジメントの場合、器の底に水を含ませたスポンジなどが入っていることが多いですが、そのままにしていると乾燥してしまいます。水やりの際には花に直接かからないように注意しながら、スポンジに水をかけましょう。
水やりのタイミングは、暑い時期は毎日行い、気温が低い時期はお通夜の前から葬儀までの間に一回を目安に水を与えるのが一般的です。また、枕花にラッピングがされている場合は、花を傷付けないように袋やラッピングを外してから水やりをします。
咲き終わりの花は抜き取っておく
咲き終わった花や枯れて色が変わった花がある場合は、抜き取っておきましょう。咲き終わった花をそのままにしていると、雑菌が繁殖することでカビが発生したり、腐ってしまったりすることがあります。ほかのきれいな花にも影響を及ぼす可能性もあるため、スポンジから引き抜いておきましょう。
また同様の理由で、水に浸かっている葉も切っておくことをおすすめします。花を抜いた際のアレンジメントの隙間が気になる場合は、新しい花を挿すことできれいな見た目を維持できます。
直射日光・エアコンの風が当たらない場所に保管する
枕花を飾る際には、直射日光やエアコンの風が当たらない場所を選びましょう。花は乾燥に弱く、直射日光やエアコンの風に当たると花びらや葉から水分が抜けて萎れやすくなります。
枕花の送り方

大切な人の訃報を聞いたら、弔意を示すためにすぐにでも枕花を送りたいと思う人は多いでしょう。しかし、ご遺族に確認をせず送ると、迷惑がかかってしまう可能性もあるため注意が必要です。ここからは、枕花の送り方を解説します。
あらかじめご遺族に許可を取っておく
枕花を送る際には、あらかじめご遺族に許可を取っておいてください。ご遺族によってはお供えや香典などを辞退している可能性があるため、枕花を送ってもよいかをあらかじめ確認しておくことが大切です。ご遺族に直接聞きづらい場合は、葬儀を担当する葬儀社へ相談するのもよいでしょう。
故人が亡くなってからお通夜前までの間に届くように手配する
枕花は、故人が亡くなってからお通夜前までの間にご遺族のもとへ届くように手配してください。亡くなってすぐ送る場合、人によっては「亡くなるタイミングを見計らっていた」と思われる可能性もあるため、一般的にはご遺族から訃報を聞いてからお通夜前までに届くように手配するのが望ましいとされています。
枕花を送る際にはカードを添える
枕花を送る際には、誰が送ったものかご遺族に分かるようにカードを添えましょう。カードにはお悔やみの言葉やご遺族へのメッセージを添えるのが一般的です。花屋などに依頼する場合、メッセージカードの例文が用意されていることもあるため、自分で文章を考えるのが大変なときには活用することをおすすめします。
送り先は故人の安置場所にする
枕花の送り先は、故人の安置場所にするのが一般的です。場合によっては自宅や葬儀場ではなく、別の施設で故人のご遺体が安置されていることもあります。そのため、ご遺族へ許可を取る際に故人の安置場所の住所も確認しておきましょう。
なお、自宅へ枕花を送る場合の宛先は、故人ではなくご遺族または喪主宛にします。
宗派ごとの考え方に配慮する
枕花を手配する際には、宗派ごとの考え方に配慮しましょう。例えば仏式の葬儀では白菊やユリなどが中心ですが、宗派によって樒が使われることもあります。神式では和花に加えて榊を使うのが一般的です。
故人が信仰していた宗派に合った枕花を用意するためにも、故人の宗派を確認した上で、依頼する花屋や業者へ相談しましょう。ご遺族に確認しても故人が信仰していた宗教が分からない場合は、故人が生前に好きだった花を選ぶのがおすすめです。
正しい飾り方とお手入れ方法で、枕花を長くきれいに保ちましょう

この記事のまとめ
- 枕花とは、故人が亡くなってすぐに故人の枕元に飾られる花のこと
- アレンジの内容によるが、枕花の費用は一基あたり5千円~2万円
- 枕花を飾るのは、お通夜の前から葬儀まで
- 枕花は台や布の上に乗せて飾るのが一般的
- 枕花は適度に水やりをし、咲き終わりの花は抜き取っておく
- 枕花を送る際は事前にご遺族へ許可を取り、お通夜前までに届くようにする
枕花は葬儀において故人の身近に飾られるものですが、とてもデリケートであるため、正しい飾り方や送り方でお供えすることが大切です。本記事で解説したお手入れ方法も取り入れながら、枕花をきれいに保ちましょう。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。