一周忌法要を身内だけで行う際の服装は?男性・女性・子供に分けて紹介
故人の供養において重要な年忌法要とされている「一周忌法要」は、家族や身内だけで執り行うことがありますが、参列する際の服装選びに悩む人は多いでしょう。本記事では、一周忌法要を身内だけで行う際の服装マナーについて、男女・子供に分けて解説します。コーディネートに悩んだ際の参考にしてみてください。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。
一周忌法要を身内だけで行うときの服装の考え方
一周忌法要とは、故人が亡くなってから満1年の命日に行われる年忌法要のことです。一周忌法要が終了すると喪中の期間も終わることから、故人の供養における一つの節目とされています。
このため、一周忌法要を家族や身内だけで行う場合であっても、当日は法要の場にふさわしい服装で参列することが大切です。まずは、一周忌法要を身内だけで行う場合の一般的な服装の考え方を解説します。
正喪服・準喪服を着用して参列するのが一般的
たとえ親しい身内だけが参列する場合でも、一周忌法要を行う時点ではまだ喪中にあたることから、当日の服装は葬儀と同じ正喪服・準喪服を着用して参列するのが一般的です。正喪服・準喪服とは格式が高い喪服のことで、中でも正喪服は最も格式が高く、喪主や3親等までの身内だけが三回忌までの法要で着用します。準喪服は全ての法要において、喪主や親族、一般参列者を問わず着用できます。
正喪服と準喪服のどちらにするかは、一周忌法要を行う場所や喪主・遺族の意向に合わせて選ぶことが大切ですが、身内だけで行う一周忌法要では、略喪服を着用することが可能な場合もあります。
喪主の意向によっては「平服」での参列が可能な場合もある
家族や身内だけで行う一周忌法要の場合、「身内だけで和やかな雰囲気で法要をしたい」という喪主や遺族の意向によっては、平服での参列が可能な場合もあります。法要の場における平服とは喪服の中でも格式が低い「略喪服」のことであり、普段着という意味ではないため注意しましょう。
略喪服の一例としては、男性であれば黒や濃紺のダークスーツ、女性であれば地味な色のワンピースやスーツなどが挙げられます。実際に平服での参列を考える際には、一周忌法要の案内状にて平服での参列が可能かどうかを確認しましょう。
【男性】一周忌法要を身内だけで行う際の服装マナー
身内だけで行う一周忌法要であっても、故人やほかの遺族に失礼がないように、通常の法要と同じく服装における細かなマナーを踏まえておくことが大切です。ここからは、身内だけで一周忌法要を行う場合の、一般的な男性の服装マナーを解説します。
ブラックスーツの着用が一般的
身内だけで行う一周忌法要の服装において、男性は準喪服となるブラックスーツの着用が一般的です。生地に光沢や柄があるものは華やかな印象を与えることから、たとえ親しい身内だけが集まる場であっても、法要にはふさわしくないとされています。
同じ黒色のスーツでも、ビジネススーツとして売られているものは光沢や艶のある生地が使われていることが多いため、準喪服としては着用できない点には注意しましょう。スーツ選びに迷った場合には弔事用のブラックスーツとして販売されているものを選ぶことをおすすめします。
シャツは無地の白色を着用する
スーツに合わせるシャツは、弔意を示すために無地の白色が望ましいです。スーツと同様に、ドットやシャドーストライプなどの柄が入っているものは法要の場にはふさわしくないとされています。
また、シャツの襟デザインはシンプルなレギュラーカラーやワイドカラーが一般的です。男性のビジネススタイルで使われることが多いボタンダウンは、カジュアルな印象が強いため法要の場では避けた方がよいでしょう。
ネクタイは無地の黒色を合わせるのがよい
身内だけで行う一周忌法要であっても、男性はジャケットとネクタイを着用するのが一般的です。ネクタイはスーツに合わせて無地の黒色を選ぶとよいでしょう。光沢や柄のない、マットな質感の生地が使われているネクタイが望ましいとされています。
また、法要の場であるため、服装をおしゃれに見せるために作るネクタイのディンプル(=結び目の下のくぼみ)は作らないようにしましょう。
靴は内羽根式の黒い革靴が望ましい
スーツに合わせる靴については、男性は内羽根式の黒い革靴(本革または合皮)が望ましいとされています。内羽根式とは、靴紐を通す羽根が甲革と一体または合わさっている靴のことです。内羽根式の革靴は上品な印象を与えることから、冠婚葬祭やビジネスシーンでも一般的に使われています。
また、同じ革素材でもエナメル加工が施されているものやスエード革が使われているものは、カジュアルな印象を与えてしまうため、たとえ身内だけの場であっても避けた方がよいでしょう。
アクセサリーは結婚指輪以外は外す
身内だけで行う一周忌法要では、男性は洋装・和装を問わず結婚指輪以外のアクセサリーは外すのが一般的です。ピアスやネクタイピン、カフスボタンなどといった華やかな印象のアクセサリーは着用しないようにしましょう。
結婚指輪は正式な場でも着用できるフォーマルな指輪であるため、法要で身に着けていても問題ありません。なお、腕時計についても結婚指輪と同様に、一般的に一周忌法要でも着用してよいとされています。華美にならないように、フォーマルなデザインの腕時計を選ぶことが大切です。
【女性】一周忌法要を身内だけで行う際の服装マナー
身内だけで行う一周忌法要における女性の服装については、コーディネートの選択肢が多い分、男性とは違ったマナーを踏まえて装いを考えることが大切です。ここからは、一周忌法要を身内だけで行う際の、一般的な女性の服装マナーを解説します。
ワンピース・スカートタイプの喪服を着用するのが一般的
身内だけの場合でも、一周忌法要において女性は準喪服にあたるワンピースやスカートタイプのブラックフォーマルを着用するのが一般的です。失礼なく弔意を示せるように、色は黒や濃紺などといった暗く落ち着いたものが望ましいとされています。
ワンピースやスカートを着用する際には丈にも注意が必要です。スカートの丈が短すぎるとだらしない印象を与えてしまうため、椅子に座っても膝が出ないとされる膝下5cm程度を目安に選ぶとよいでしょう。
パンツスタイルは略喪服に該当するため、身内だけで行う一周忌法要では、平服での参列が可能な場合以外は避けた方がよいでしょう。服装選びに困った場合には、セットでの着用を想定したスカートタイプのアンサンブルを選ぶのもおすすめです。
黒のストッキングを着用する
身内だけで行う一周忌法要においては、スカートやワンピースの下に黒のストッキングを着用しましょう。喪服に合わせて、柄や光沢のない無地デザインを着用するのが望ましいとされています。
また、ストッキングは厚さについても注意が必要です。法要の場にふさわしいのは、肌が少し透けて見える30デニール程度の厚さです。素肌を覆い隠すほどの分厚いストッキングは服装のカジュアル感を強めてしまうため、法要の場では避けるべきとされています。
なお、寒冷地や冬に行われる一周忌法要であれば、防寒対策として60デニール程度のストッキングやタイツでも問題ないとされています。
靴はシンプルかつヒールが高すぎないパンプスを選ぶ
身内だけで行う一周忌法要において、女性の靴はシンプルかつヒールが高すぎない、黒色のパンプスを選ぶことが大切です。装飾がなく、つま先が露出しないラウンドトゥまたはスクエアトゥタイプのパンプスが望ましいとされています。
ヒールについては、高すぎると華やかな印象になってしまう上、不安定な歩き方になることから法要の場では避けるべきとされています。歩いた際に安定感がある3~5cmのヒールを目安にパンプスを選ぶとよいでしょう。
アクセサリーは落ち着いた色味・デザインのものが望ましい
身内だけで行う一周忌法要において、洋装に合わせるアクセサリーは落ち着いた色味・デザインが望ましいとされています。あくまで法要の場であるため、揺れるタイプのピアスや宝石がたくさんついたネックレスのように、華美な印象を与えるデザインは避けるべきでしょう。
身内だけで行う一周忌法要で身に着けられる宝石の種類としては、悲しみの涙を象徴する真珠や、服装と同じ黒色の宝石であるオニキスやジェットなどが挙げられます。
バッグは布製で飾りがないものがよい
身内だけで行う一周忌法要では、女性が持つバッグも装飾がない黒または濃紺の布製バッグが望ましいとされています。クロコダイルやファーなどの殺生を連想させる素材のバッグは、法要の場では避けるのが一般的です。
また、バッグの大きさについては、数珠やハンカチなどの必要最低限の持ち物が入る程度のハンドバッグをおすすめします。大きめのバッグはほかの参列者の迷惑になる上、法要中のバッグの置き場所に困ることもあるため、避けた方がよいでしょう。
【子供】一周忌法要を身内だけで行う際の服装マナー
身内だけで行う一周忌法要において、子供の服装は大人に比べると厳格なマナーはありませんが、法要の場にふさわしい落ち着きのある服装を心がけることが大切です。ここからは、身内だけで一周忌法要を行う場合の、一般的な子供の服装マナーを解説します。
学生であれば制服を着用する
子供が制服のある幼稚園・学校へ通う園児や学生の場合は、一周忌法要の服装として制服を着用するのが基本です。子供にとって制服は正装礼服の一つであるため、法要でも着用可能です。身内だけで行う一周忌法要にて制服を着用する場合、靴下や靴については黒色を選ぶとよいでしょう。
制服がない場合は暗い色の服装を心がける
子供が通う幼稚園や学校に制服がない場合は、暗い色の服装でまとめるのが一般的です。男の子であれば黒や濃紺のブレザーとパンツに白いシャツ、女の子なら同じ色のワンピースまたはブラウスとスカートを合わせた服装がよいでしょう。服装で弔意を示せるように柄物や派手なデザインの服は避け、無地のデザインで揃えることが大切です。
一周忌法要を身内だけで行うときの服装の注意点
ここからは、身内だけで一周忌法要を行う際の服装選びにおける注意点を紹介します。季節に合わせて失礼のない服装で参列できるように、あらかじめしっかり確認しておきましょう。
夏でも露出は避ける
気温が高くなる夏の一周忌法要では暑さが気になりますが、法要の場では露出の多い服装は避けましょう。スーツを着用する場合も、ジャケットを羽織るのが一般的です。暑さが気になる場合でも半袖やシースルーなどの服装は避け、冷感素材の喪服を着用したり、冷感タオルを持参したりなど暑さ対策をしましょう。
冬はコート・防寒具の素材にも注意する
寒い時期に行われる身内だけで行う一周忌法要では、コートやマフラーなどの防寒具の素材にも注意しましょう。ファーや毛皮が使われているものは殺生を連想させるため、法要の場ではふさわしくないとされています。
また、コートについてはフード付きのものやダッフルコートといったデザインだと、カジュアルな印象が強いことから、喪服に合わせるのは避けた方がよいでしょう。表地だけでなく、コートの裏地のデザイン・素材にも配慮することが大切です。
コートや防寒具は一周忌法要の会場に入る前に脱ぎましょう。
身内だけで行う一周忌法要でも、マナーを守った服装で参列しましょう
この記事のまとめ
- 身内だけで行う一周忌でも、正喪服・準喪服で参列するのが一般的
- 身内だけで行う一周忌では、喪主の意向によっては平服での参列も可能
- 男性の服装は無地のブラックスーツ・白シャツ・黒ネクタイが望ましい
- 女性の服装は黒のワンピース・スカートのブラックフォーマルが一般的
- 子供の服装は制服または暗い色の服装
親しい身内だけが参列する一周忌法要であっても、あくまで故人を供養する場であるため、マナーを踏まえた服装を心がけることでほかの参列者遺族を不快にすることなく弔意を示せるでしょう。本記事で紹介したマナーを参考にしながら、身内だけで行う一周忌法要の場にふさわしい服装で参列してください。