納骨式の参列時に適した服装は?時期や状況に応じたマナーを押さえよう
お通夜や葬儀に参列したことはあっても、納骨式には参列したことがなく、服装に関するマナーが分からない方もいるのではないでしょうか。本記事では、仏教を基本にして納骨式の参列時に適した服装を解説します。納骨式が行われる時期や状況別の服装を紹介しますので、参考にしてみてください。
納骨式とは?
納骨式とは、亡くなった方の遺骨をお墓や納骨堂などに納める際に行う儀式のことです。人が亡くなると火葬され、その後故人の骨を遺骨として収骨します。この遺骨をお墓などに埋葬し、故人を供養するための儀式が納骨式です。一般的に納骨式は僧侶を招いて行われ、故人を弔うために読経や焼香などが行われます。
納骨式には「いつまでに行わなくてはいけない」「この日に行うべき」といった決まりはありません。納骨式はご遺族の意向によって行われるため、時期や日程などはさまざまです。一般的には葬式より後に行われることが多く、お盆などの節目や四十九日法要と同時に執り行われます。また、故人を火葬した後、すぐに納骨式を行うケースも珍しくありません。
納骨式は「誰を招く」といったルールもなく、ご遺族の意向により参列者が決まります。故人の友人や親族などを招いて行われることもあれば、家族や身内だけの少人数で納骨式を行うケースもあります。
状況別|納骨式に適した服装
納骨式が行われるタイミングはさまざまだと先述しましたが、納骨式の状況によって適した服装が異なります。ここからは、納骨式が行われる状況別の服装について解説していきます。
四十九日法要前に納骨式を行う場合
四十九日法要の前に納骨式が行われる場合は、喪服を着用するのがマナーです。お通夜や葬儀、火葬後などすぐに納骨式が行われる際は、そのまま喪服で参列しましょう。
四十九日法要後に納骨式を行う場合
四十九日法要が執り行われた後に納骨式を行う場合は、喪服ではなく平服を着用しても構わないとされています。ここでの平服とは「略喪服」のことを指し、カジュアルな普段着とは異なるため注意が必要です。
ただし、地域や家庭の風習、故人の宗派によっては「一周忌法要までに行われる納骨式は喪服で参列する」と決まっている場合もあります。納骨式に参列する際の服装に迷ったら、ご遺族や葬儀社のスタッフなどに確認しておきましょう。
男性の平服
男性の平服は、紺色やブラック、ダークグレーなどのスーツを指し、ストライプなどの模様が入っていないものを選びます。ダークスーツの下には白無地のワイシャツを着用し、黒無地のネクタイを締めましょう。
ベルトには、派手さがなくシンプルなバックルのものを選びます。靴下は黒無地のものを、靴は光沢感のないマットな質感の黒革靴を着用してください。
男性の平服
- ダークカラーで模様の入っていないスーツ
- 白無地のワイシャツ
- ブラックで無地のネクタイ
- シンプルなデザインの黒のベルト
- 黒の靴下
- 光沢感のない黒の革靴
女性の平服
女性の平服は、黒や濃い紺色、グレーなどのアンサンブルやワンピース、セットアップスーツなどを指します。中に着用するシャツなどのトップスは白などの明るい色ではなく、ダークカラーのものを選びましょう。肌の露出は控えるべきと考えられているため、黒い薄手のストッキングを着用し、靴はヒールが高すぎないシンプルなデザインのパンプスを履きます。
女性の平服
- ブラック、濃い紺色、グレーなど地味な色のアンサンブル・ワンピース・セットアップスーツ
- ダークカラーのトップス
- 黒のストッキング
- 黒のシンプルなデザインのパンプス
子供の平服
子供の平服は、子供の年齢によって適した服装が異なります。乳幼児の場合は、落ち着いた色合いで派手な装飾がない服装を着せます。子供が学生の場合は学校の制服を着用し、制服がない場合は白いシャツや黒いズボン、スカートなどを着せましょう。
季節別|納骨式に適した服装
納骨式はお墓の前など外で行われることが多いため、時期によって適した服装が異なります。ここからは、夏や冬など季節別の納骨式の服装について解説していきます。
夏に行う場合
夏の気温が高い時期に納骨式を行う場合でも、基本的にフォーマルな服装を着用する必要があります。男性はスーツの上着を脱いだり、ネクタイを外したりするのはマナー違反になるため、注意が必要です。女性は腕や脚などを露出するような服装は避け、夏でも黒のストッキングを履きましょう。
冬に行う場合
気温が低い冬など、スーツやアンサンブルだけでは寒い場合は、コートを着用しても問題ないとされています。グレーや紺、黒など、落ち着いた色合いのコートを選びましょう。
コートの種類は特に決まっていませんが、柄や装飾がついていたり、派手な色合いのものは避けた方が無難です。急な冠婚葬祭にも対応できるよう、黒の落ち着いたコートを1着持っていると便利です。
家族のみで納骨式を行う場合の服装
納骨式には親族や故人の友人が参列するケースが多いですが、家族のみで納骨式を行うことも増えています。家族のみで納骨式を執り行う場合は、服装にどのようなマナーがあるのでしょうか。
平服で参列することが多い
家族のみで納骨式を行う場合でも、平服で式に参列することが多いです。四十九日法要が終わっていない時期であっても、平服で参列してよいとする方もいます。ただし、これはご家庭や地域の慣習によって大きく異なるため、事前に平服で参列してよいか確認しておくと安心でしょう。
他の参列者と格式を合わせる
家族のみで納骨式を行う場合は、家族間で服装の格式を合わせましょう。例えば、施主は喪服を着用しているにもかかわらず、他の家族が平服で参列しているといったことは避けてください。納骨式が始まる前に家族で話し合っておき、服装を決めておくことをおすすめします。
身だしなみで注意するべきこと
納骨式に参列する際は、服装以外の身だしなみにも注意を払う必要があります。服装のマナーが守れていても、他の身だしなみが整っていないと、ご遺族や他の参列者から「常識がない」「マナー違反だ」と思われる恐れがあるため注意が必要です。ここからは、納骨式で注意するべき身だしなみのマナーを紹介していきます。
メイクは控えめにする
納骨式に参列する際は、メイクは控えめにしましょう。ラメがたっぷりと入ったアイシャドウや発色のよいチーク、グロスなどは避け、ナチュラルメイクに仕上げるのがマナーです。つけまつげやカラーコンタクトレンズ、ネイルなども華美な印象を与えてしまうため、避けた方が無難です。
髪型にも気を配る
男性も女性も、納骨式の際は服装だけでなく髪型にも気を配りましょう。納骨式は故人の供養を目的に、遺骨をお墓に納めるための大切な儀式です。カジュアルなヘアスタイルは不適切ですので、男性はワックスなどを使って髪の毛をまとめましょう。髪の長い女性は、シンプルな髪留めやヘアゴムなどを使って髪をまとめておくことをおすすめします。
宝飾品は必要最低限にする
納骨式につけていく宝飾品は、必要最低限に留めておくのがマナーとされています。結婚指輪はつけても問題ないとされていますが、それ以外の指輪やイヤリング、ピアスといったアクセサリーは避けましょう。
首元が寂しいと感じる場合は、パールのネックレスであれば着用可能です。喪服の場合は黒のパールのネックレスを、平服であれば白いパールのものを着けましょう。
納骨式の持ち物
納骨式では、お通夜や葬儀、法要とは異なる持ち物が必要になります。特に、ご遺族は納骨に必要な書類など重要な持ち物がいくつかあるため、忘れないよう注意が必要です。ここからは納骨式に必要な持ち物を解説します。何が必要か分からず不安な方は、ぜひ目を通してみてください。
参列者の持ち物
まず、参列者の持ち物を紹介していきます。前もって確認しておきましょう。
袱紗・香典
納骨式に参列する際は、袱紗(ふくさ)と香典を持参しましょう。香典袋は汚れたり折れ曲がったりしないよう、袱紗に包んで持ち運ぶのがマナーです。
また、袱紗には「故人への敬意」といった意味もあり、直接ポケットやカバンに香典を入れるのは失礼にあたるため注意が必要です。香典の相場は、故人との関係性や納骨式が行われる状況によって異なるため、どの程度の金額を用意するべきか確認しておきましょう。
数珠
納骨式に参列する方は、数珠を忘れないようにしてください。納骨式では僧侶の読経時や焼香を行う際など、お墓の前で手を合わせることが何度かあるためです。
ハンカチ
納骨式に参列する際は、ハンカチを持参しましょう。法要と一緒に納骨式が執り行われる場合、かなりの時間がかかると予想されます。また、夏など気温が高い時期に納骨式が行われる場合、汗をかいてしまうかもしれません。納骨式の際は身だしなみを整える必要があるため、ハンカチなどの身だしなみ用品は忘れないようにしてください。
ご遺族の持ち物
次に、遺族側の持ち物をご紹介します。ご遺骨や遺影に加えて、忘れると納骨が行えなくなるような重要な書類もあるため、しっかりと確認しましょう。
埋葬許可証
納骨式の際は、埋葬許可証を必ず持参してください。遺骨埋葬許可証は、火葬が終わった後に火葬場から渡されるもので、実際は火葬許可証に「火葬済」の印が押されたものです。こちらがないと納骨が行えなくなるため、納骨式まで大切に保管しておきましょう。
また、埋葬許可証と一緒に、お墓や納骨堂の使用名義人の印鑑も持っていく必要があります。
墓地使用許可証
墓地使用許可証とは、遺骨を納める墓地や霊園の使用を証明するための書類です。こちらも納骨式には欠かせない書類ですので、忘れず持参しましょう。
お布施
納骨式では僧侶に読経を行ってもらうため、僧侶へのお布施も持参する必要があります。納骨式だけでなく、四十九日など他の法要を行う場合は、法要分のお布施も準備しましょう。また、お布施以外にも「お車代」や「御膳料」が必要になるケースもあります。
時期や状況に合った服装で納骨式に参列しましょう
この記事のまとめ
- 納骨式とは、故人の遺骨をお墓や納骨堂などに納める際に行われる儀式
- 納骨式の時期や日程には決まりがないが、一般的に四十九日や一周忌などの法要の際に行われることが多い
- 四十九日前に納骨式が行われる場合は、喪服を着用する
- 四十九日後に納骨式が行われる場合は、平服で問題ない
- 夏に納骨式を行う場合、男性は上着を着用し、女性は露出を避ける
- 冬に納骨式を行う場合、落ち着いたデザインのコートを着用する
- 納骨式ではメイクやアクセサリーは控えめにし、髪型にも注意する
- 納骨式の参列者は、袱紗・香典、数珠、ハンカチを持参する
- ご遺族は埋葬許可証、墓地使用許可証、お布施を持参する
納骨式の服装は、行われる時期や季節によって適した服装が異なります。例えば、四十九日前の場合は喪服を着用するのが一般的ですが、四十九日後では平服で参列しても問題ありません。また、家族のみで納骨式を行う場合、四十九日前でも平服でよいとすることもあります。今回紹介した服装のマナーを参考にして、納骨式に参列しましょう。