遺骨アクセサリーや遺骨ペンダントはよくない?手元供養のメリットを解説
遺骨アクセサリーや遺骨ペンダントは、手元供養の一つとして近年注目されています。その一方で、「遺骨アクセサリーはよくない」という意見もあり、作るかどうか迷っている方もいるのではないでしょうか。本記事では、遺骨アクセサリーがよくないと言われる理由や、手元供養のメリットについて解説します。
遺骨アクセサリー・遺骨ペンダントとは
遺骨アクセサリーとは、故人の遺骨や遺灰を、身につけられる装飾品に収めたり加工したりしたものです。遺骨ネックレスや遺骨ペンダントも、この中に含まれます。
遺灰や遺骨、遺髪などの一部を遺骨アクセサリーに収めて持ち歩けるため、いつでも故人の存在を身近に感じられます。また、一見して遺骨が収められているとは分からないデザインのものも多いため、普段から身につけやすいところもメリットです。
さらに、さまざまな事情から頻繁にお墓参りに行けない方にとっては、遺骨アクセサリーを通じて故人を偲ぶ時間を作れます。このように、遺骨アクセサリーは手元供養を実現する一つの手段といえるでしょう。
遺骨アクセサリーや遺骨ペンダントがよくないと言われる理由
供養のあり方が多様化する中、遺骨アクセサリーは手元供養の一つとして注目されています。一方で、このような手元供養の方法をよくないとする考え方があるのも否定できません。
そこで、遺骨アクセサリーがよくないとされる理由について、法律と宗教の観点からも説明します。
遺骨を身につけることに抵抗感があるから
遺骨アクセサリーがよくないとされる理由の一つに、遺骨を身につけることへの抵抗感が挙げられます。
そもそも故人の遺骨はお墓に埋葬するものであり、「自宅に置いたり身につけたりするのはよくない」という意見もあるでしょう。また、遺骨アクセサリーに対して「何かよくないことが起こるかもしれない」と不安感を抱く方もいます。
しかし、遺骨をアクセサリーとして持ち歩くことが、遺族の悲しみを癒すきっかけになるとも考えられます。どうしても抵抗感がある場合は、ミニ骨壷やプレートなど身につけずに手元供養する方法を検討してもよいでしょう。
遺骨の加工や墓地以外での保管が違法だと考えるから
遺骨の加工や墓地以外での保管が違法だとする考え方も、遺骨アクセサリーがよくないとされる理由です。しかし、結論からいうと遺骨アクセサリーは違法ではありません。
遺骨アクセサリーを作る際、遺骨は細かく粉末状にされるのが一般的です。ただし、あくまで供養を目的とした粉骨であるため、遺骨の損壊を禁止する刑法第190条には反しません。
また、墓地以外に遺骨や遺灰を保管するのはよくないと考える方もいるでしょう。「墓地、埋葬に関する法律」では墓地ではない場所に遺骨を埋葬することを禁じていますが、遺骨を埋葬せずにアクセサリーにして持ち歩くことは、法律違反にあたらないのです。
分骨は縁起がよくないとされるから
遺骨アクセサリーを作るには遺骨の一部を取り分ける必要があるため、必然的に分骨が必要になります。分骨に関しても縁起がよくないと感じる方もいるようです。
しかし、分骨は仏教においても古くから行われている行為です。分骨は縁起がよくない行為ではなく、仏教の教えに合った供養方法なのです。
このように宗教面から見ても、遺骨アクセサリーに問題はないといえるでしょう。
故人が成仏できないと考えるから
遺骨アクセサリーで遺骨を手元に置いたままだと「故人が成仏できないためよくない」と考える方もいます。
しかし、仏教の教えでは、故人の魂は四十九日を過ぎると成仏するとされており、遺骨を手元に置くのがよくないとはいえません。むしろ遺骨をアクセサリーとして身につければ、いつでも故人に思いを馳せ供養することができます。
遺された家族にとって、遺骨アクセサリーを持ち歩くことが悲しみを昇華させるきっかけともなるでしょう。
手元供養が浸透していないから
手元供養が浸透していない状況も、遺骨アクセサリーがよくないとされる大きな理由だと考えられます。
日本では遺体を火葬した後に遺骨を埋葬するという流れが一般的です。そして、故人を供養するためにお墓参りに行きます。そのため、手元供養に対して馴染みが薄いといえるでしょう。特にこれまでの供養の慣習やお墓の継承を重視する方は、遺骨アクセサリーがよくないと批判的になるかもしれません。
しかし、遺骨アクセサリーは従来通り遺骨をお墓に埋葬した後で、遺骨の一部を手元に保管するものです。今後、通常の納骨と合わせて手元供養として分骨することが定着すれば、遺骨アクセサリーへの理解度も深まるのではないでしょうか。
遺骨アクセサリー(遺骨ペンダント)のメリット
ここからは、遺骨アクセサリーを身につけるメリットについて説明します。
故人を身近に感じられる
遺骨アクセサリーの大きなメリットは、故人を身近に感じられるという点です。
納骨や散骨により、故人との別れを実感して悲しみが増す方もいるでしょう。このような悲しみを癒すために、遺骨の一部をアクセサリーとして身に着ける供養方法は効果的だと考えられます。
遺骨アクセサリーを身につけていれば、日常生活に戻ってからも故人を身近に感じることができます。遺骨アクセサリーを通じて故人を供養するとともに、自分の心のケアもできるでしょう。
宗教・宗派にとらわれず供養できる
宗教や宗派にとらわれず供養できる点も、遺骨アクセサリーのメリットです。遺骨アクセサリーに遺骨を収める方法やタイミングに、明確な決まりはありません。また、アクセサリーの種類や身に着け方も自由に選べます。
つまり、どのような宗教や宗派を信じていようとも、誰でも遺骨アクセサリーを身につけることが可能です。遺骨アクセサリーは、故人を身近で供養したいという気持ちの現れだといえます。
お墓参りの負担を軽減できる
お墓に関する経済的、体力的な負担を軽減するには、遺骨アクセサリーが有効です。
特に遠方に住んでいる方や高齢の方にとって、お墓参りは負担になりやすく、お墓の管理や維持にもさまざまな費用が発生するでしょう。
しかし遺骨アクセサリーを身につけることで、頻繁にお墓に行けなくても、遺骨アクセサリーに手を合わせることが故人への供養となります。お墓の後継者問題に悩んでいる場合、このような手元供養を検討してもよいかもしれません。
遺骨アクセサリー(遺骨ペンダント)を作る際の注意点
遺骨アクセサリーを作るにあたって重要な点は、「遺骨アクセサリーがよくない」というイメージを払拭できるかどうかです。3つの注意点を押さえて、理想の手元供養を実現させましょう。
家族や親族と話し合う
遺骨アクセサリーを作る際はの注意点として、事前に必ず家族や親族と話し合ってください。
遺骨アクセサリーのような手元供養は、比較的新しい供養のあり方です。親族や関係者の中には、遺骨を加工したり分骨したりするのはよくないと反対する人も出てくるかもしれません。また、遺骨を身につけること自体に、否定的な意見もあるでしょう。
先述の通り、遺骨アクセサリーに違法性や宗教上の問題はないといえます。しかし、遺骨アクセサリーの認知度が高いとはいえず、抵抗感を示す方がいる可能性も考慮しなければいけません。
周囲が「遺骨アクセサリーはよくない」と考えている場合、納得を得られなければトラブルにも発展しかねないため、注意してください。
家族や親族に反対された場合、遺骨アクセサリーを作る理由やメリットについて丁寧に説明することが重要です。遺骨アクセサリーはよくないものではなく、故人を供養できるものだという視点から、説得を試みましょう。
紛失しないよう工夫する
遺骨アクセサリーを紛失しないように工夫することも、注意点のひとつです。
遺骨アクセサリーとして代表的なものに、ペンダントや指輪が挙げられます。コンパクトで身につけやすい一方で、付け外しする際に落としたり置き忘れたりするかもしれません。故人の遺骨を納める大切なアクセサリーだからこそ、失くさないように十分注意が必要です。
遺骨アクセサリーは小さい上に、身につけたり外したりするものなので、保管場所を決めておくとよいでしょう。どうしても心配な場合は、在宅しているときだけ身につけるようにすると紛失のリスクを回避しやすくなります。
火葬までに分骨するか決める
遺骨アクセサリーを作る予定なら、火葬する時までに分骨するかどうかを決めましょう。
遺骨アクセサリーを作る際、遺骨を一部取り分けます。それ以外の遺骨については、お墓に納骨することが多いでしょう。このような場合、故人の氏名や死亡年月日などが記載された分骨証明書が必要ですので、あらかじめ用意する必要があります。
火葬場で担当者に依頼すれば、分骨証明書を発行していただき、取り分けて収骨してもらえます。しかし、一度埋葬された遺骨を分骨しようとすると、役所での手続きや業者の手配など、さまざまな手間がかかるため、できるだけ火葬前に分骨を依頼しておきましょう。
遺骨アクセサリー(遺骨ペンダント)以外の手元供養
遺骨アクセサリーを作りたくても、周囲に反対される可能性もあります。「遺骨アクセサリーがよくない」といわれた場合、他の手元供養品を検討するのもひとつの手段です。
ミニ骨壷
ミニ骨壷は一般的な骨壷よりも小さいサイズとなっており、分骨して自宅で供養する際にスペースを取りません。また、木製やクリスタル製など素材もさまざまで、一見すると骨壷に見えないデザインのものも多くあります。
部屋のインテリアに合わせられるため、手元供養しやすいでしょう。遺骨を身につけるのはよくない、と抵抗感のある方にもおすすめです。
プレート
手元供養品の中には、遺骨プレートやエターナルプレートと呼ばれるプレートタイプのものもあります。遺骨プレートは、パウダー状にした遺骨と金属を混ぜ合わせて加工したものです。制作に時間と手間がかかる分、費用が高額になる傾向にあります。
プレートには故人の名前や生年月日などが刻印でき、写真も入れられます。飾る場所を選ばず、自然な雰囲気で手元供養したい場合に適しているでしょう。
ミニ仏壇
手元供養するにあたって、仏壇を設けたい方も多いでしょう。しかし、仏壇を置くにはある程度のスペースが必要です。ミニ仏壇であれば従来よりも場所を取らずに、故人を供養する空間を確保できます。
ミニ仏壇に遺骨を祀る形を取ることで、「今までと供養の方法を変えるのはよくない」と考える方にも納得してもらいやすいのではないでしょうか。
インテリア
人形やぬいぐるみ、花瓶といったインテリアで手元供養することも可能です。
ミニ骨壷やミニ仏壇、遺骨アクセサリーのような手元供養が難しいようであれば、インテリアを選んでみてください。
遺骨のアクセサリーや遺骨ペンダントがよくないという根拠はない
この記事のまとめ
- 遺骨アクセサリーとは、故人の遺骨や遺灰を装飾品に収めて身につけるもの
- 遺骨アクセサリーは心理的な抵抗感などの理由でよくないと考えられやすい
- 遺骨アクセサリーは法律と宗教の両面から見ても悪いものではない
- 遺骨アクセサリーは紛失のリスクや保管方法に注意する
- 遺骨アクセサリーをよくないと考える家族や周囲とよく話し合う
- 遺骨アクセサリーがよくないと反対された場合、他の手元供養も検討する
遺骨アクセサリーや遺骨ペンダントは、手元供養に馴染みがないとよくないとみなされやすいものです。しかし、遺骨アクセサリーを身につけることで故人をより身近で供養できるため、悲しみを癒すのに効果的だといえます。
家族や親族が遺骨アクセサリーはよくないと反対する場合は、遺骨アクセサリーのメリットと注意点を理解した上で、「遺骨アクセサリーはよくないものではない」と丁寧に説明することが大切です。