四十九日法要は前倒ししてよい?日程の決め方や繰り上げた際のお布施を解説
故人の供養において重要な「四十九日法要」ですが、近年はさまざまな理由で日程を前倒しする方もいます。しかし、一般的な四十九日法要の在り方とは異なるため、前倒ししても問題ないか不安な方もいるのではないでしょうか。本記事では、四十九日を前倒ししてもよいのかを説明します。日程の決め方も解説しているため、ぜひ参考にしてください。
四十九日法要は前倒ししてもよい?
まずは、四十九日法要を前倒しすることは問題ないのかについて解説します。
参列者の予定が合わない場合は前倒ししてよい
四十九日法要をはじめとした追善供養は、親族や参列者の予定が合わない場合には前倒ししても問題ありません。
一般的に「前倒しして早く行うのはよいが、後ろ倒しにしてはいけない」という考え方があります。「後ろ倒しにしてはいけない」という考え方は、ご先祖のことを忘れないようにという戒めから来ているとされています。
そのため、予定が合わなくて本来の日程では法要を行うことが難しい場合には、参列者へあらかじめ説明した上で前倒しにすることが可能です。
昨今、四十九日を前倒しする人が増えている
昨今は四十九日法要を前倒しする方が増えてきています。特に近年はライフスタイルの多様化に伴い、法要の度に親族や参列者が何度も集まることが難しい傾向にあります。
初七日法要や四十九日法要を前倒しすることで、参列者が集まりやすいタイミングで法要を行えるようになり、参列者の負担を軽減できます。
四十九日法要を葬儀と同じ日に行うこともある
繰り上げ法要とは、故人が亡くなった日から数えて7日目に実施する初七日法要を、前倒しして葬儀と同じ日に行うことです。
浄土真宗以外の多くの宗派では、四十九日法要をもって「忌明け」となりますが、地域によっては葬儀と同じ日に初七日法要と四十九日法要まで執り行う場合もあります。
四十九日法要を前倒しする主な理由
四十九日法要を前倒しすることは特に問題ありませんが、実際にはどのような理由で前倒しすることが多いのでしょうか。ここからは、四十九日法要を前倒しする主な理由を紹介します。
参列者が集まりやすい日に法要を行うため
参列者が集まりやすい日に行うために、四十九日法要を前倒しする人は少なくありません。特に四十九日法要を平日に行おうとする場合、仕事で参列できない可能性があります。そこで、あらかじめ参列者や親族の都合が付きやすい曜日を選び、本来の日程より前倒しして法要を行うことがあります。
三月またぎを避けるため
四十九日法要を前倒しする理由の一つとして、三月またぎ(みつぎまたぎ)を避けるためというものもあります。三月またぎとは、故人が亡くなった日から四十九日法要までの期間が、三か月にまたがることです。例えば、故人の命日が3月30日だった場合、本来の四十九日法要の日は5月17日であるため三月またぎとなります。
三か月が「身付き」、四十九日が「始終苦」という言葉を連想させることから、語呂合わせによって「三月またぎ」は「始終苦しみが身に付く(=悲しみ・苦しみが繰り返される)」とされ、避けるべきという考え方があります。そのため、四十九日法要が三か月に渡らないように日程を繰り上げることがあるのです。
正月・松の内にかからないようにするため
四十九日法要が正月・松の内にかからないようにするために、日程を前倒しする人もいます。年末年始の時期は、寺院が多忙であったり、親族や参列者も新年の挨拶などで慌ただしくなったりすることから、四十九日法要に集まりづらいためです。
また、おめでたい行事である正月・松の内の時期に四十九日法要をはじめとした追善供養を行うことに抵抗を感じる人がいるという点も理由の一つといえるでしょう。
四十九日法要を前倒しする場合の日程の決め方
四十九日を前倒しすると決めた場合、どのように日程を決めればよいか悩む人は多いでしょう。ここからは、四十九日を前倒しする場合の日程の決め方について解説します。
本来の日付よりも前の日から選ぶ
四十九日法要を前倒しする場合の日程は、本来の日付よりも前の日から候補日を選びましょう。四十九日は、故人が極楽浄土へ行けるかどうかの最後の審判が下される日であり、故人の冥福を祈る追善供養にあたります。そのため、故人が無事に極楽浄土へ行く助けとなれるように、四十九日法要は先延ばしにしないことが大切です。
参列者・菩提寺の予定を踏まえる
四十九日法要の日程は参列者・菩提寺とよく相談し、参列者や僧侶の都合を踏まえた上で決めましょう。法要を行う場所や日にちによっては、僧侶側の予約が詰まっていたり、参列者側の都合がつかなかったりする場合があります。
本来の日程より繰り上げることを前提に、菩提寺の空き状況や参列者の都合を擦り合わせつつ、可能なかぎり多くの人が参列できる日を選択するようにしましょう。
時間帯は会食の有無によって決める
四十九日法要を行う時間帯については、会食の有無に合わせて調整するとよいです。四十九日法要の開始時間には決まりはありません。しかし、法要の後で会食を行う場合、法要を開始する時間が遅すぎると、参列者が帰りの電車・飛行機に間に合わなくなる可能性があります。
会食がある四十九日法要の場合、午前中に法要を行うなら午前10時頃に法要を始め、昼食として会食をするという流れが一般的です。午後から法要を行う場合は、16時頃に法要を開始し、夕食の時間に合わせて会食を実施することが多いです。
四十九日法要を繰り上げた場合のお布施
四十九日法要を繰り上げて行う場合も、通常通りの法要と同じくお布施を用意する必要があります。ここからは、四十九日法要を繰り上げ法要にする場合のお布施の金額について解説します。
お布施は通常の四十九日法要と同様の金額を用意する
四十九日法要を前倒しする場合であっても、お布施は通常の四十九日法要と同様の金額を用意するとよいでしょう。
四十九日のお布施の金額については、3万円~5万円が相場とされています。お布施の金額が不安になった際は、親族や近隣に住んでいる方に相談するのがおすすめです。また、直接お寺に問い合わせるのもマナー違反ではありません。
四十九日法要を繰り上げた場合の香典返し
四十九日法要を繰り上げた場合、香典返しに悩む方も多いでしょう。ここからは、四十九日法要を繰り上げた場合の香典返しについて解説します。
後日用意して渡す「後返し」
法要を終えた後で日をあらためて香典返しを送る「後返し」が一般的です。四十九日法要を繰り上げた場合でも、遅くても一ヶ月以内に渡すようにしてください。
なお、四十九日法要を繰り上げ法要にした場合、実際は四十九日を過ぎてないのに香典返しが送られてくることに対して失礼だと感じる人もいます。そのため、後返しにする場合は、香典返しに添える手紙に、繰り上げ法要を以て忌明けとした旨も記載するとよいでしょう。
葬儀・お通夜の当日に渡す「即日返し」
近年では、四十九日法要の当日に香典返しを渡す「即日返し」をする場合も少なくありません。即日返しの場合、香典返しとともに葬儀に参列してくれたお礼の品である「会葬御礼」を添えて渡すことが一般的です。
即日返しの場合、香典の金額は関係なく全員同じ内容の香典返しを渡すため、参列者からいただいた香典が高額である場合には、日をあらためて追加の香典返しを渡す必要があります。
なお、四十九日法要を繰り上げた場合でも、香典返しの金額は「いただいた香典の3分の1~半額」を目安とすることが一般的です。
四十九日法要を前倒しにすることは問題ない
この記事のまとめ
- 四十九日法要は、参列者・菩提寺の都合がつかない場合は前倒ししても問題ない
- 四十九日法要を前倒しする場合、本来の日付よりも前の日程を選ぶ
- 法要の開始時間は、会食の有無に合わせて決める
- 四十九日法要を繰り上げた場合も、お布施は通常の四十九日法要と同じ金額を包む
- 香典返しの渡し方には、後返し・即日返しの二つの方法がある
四十九日法要は、故人の供養における一つの区切りにあたる重要な儀式です。しかし、参列者や菩提寺の都合がつかない場合などには、本来の日程を前倒して実施することも可能です。
本記事で紹介した日程の決め方も参考にしながら、できるだけ多くの参列者と一緒に法要を行える日を選びましょう。