お墓参りで墓石に水をかける意味とは?水鉢・水受けの役割についても解説
お墓参りで水をかける意味を知っていますか?本記事では、そもそもお墓参りをする意味や墓石に水をかける意味について解説します。水をかける手順やお墓参りに必要な道具についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
お墓参りをする意味
お墓参りには、故人への感謝の気持ちを伝えたり、先祖の冥福を祈ったりする意味があります。また故人との繋がりを感じたり、これからの家族の健康を先祖に願ったりするという意味もあります。
お墓参りで墓石に水をかける意味
お墓参りの際、墓石に水をかけるべきか否か迷う方もいるのではないでしょうか。墓石に水をかけても問題ないというのが一般的な考え方です。ここからは、お墓参りで墓石に水をかける意味について解説していきます。
故人を喉の渇きから救うため
お墓参りで墓石に水をかける理由として、故人を喉の渇きから救うというものが挙げられます。信仰している宗派にもよりますが、人は亡くなった後仏道修行に励んでおられると考えられています。この修行中に喉が渇くため、故人が喉を潤せるようにお墓の上から水をかけるのです。
ご先祖をお呼びするため
お墓参りで墓石に水をかける理由として、ご先祖をお呼びするというものもあります。家族や知り合いがお墓参りに来たということを知らせるため、合図として墓石に水をかけるという説です。水をかけて来訪を知らせることで、故人の魂がお墓に現れるとも考えられています。
この考え方に則って水をかける場合は、墓石全体が濡れるほどたっぷりと水をかけるのが一般的です。
餓鬼への施しのため
餓鬼への施しのために、墓石に水をかけるという考え方もあります。餓鬼とは、お墓の周りをうろついている亡者のことです。餓鬼は水を飲んだり食べ物を食べたりすることができず常に飢えていますが、墓石にかけられた水は飲めるとされています。墓石に水をかけるのには、この餓鬼にも施しを与えるという仏様の慈悲の心を象徴しています。
お墓の汚れを水で洗い流すため
お墓で水を洗い流すという意味もあります。お墓は風雨に晒されているため、様々な汚れが付着しています。泥や砂といった汚れを落とすため、たっぷりと水をかけるのです。
お墓参りで墓石に水をかける方法・順番
お墓参りで墓石に水をかける際は、順番に注意する必要があります。ここからは、お墓参りで水をかける方法について詳しく解説していきます。
①綺麗な水を準備する
お墓に水をかける際は、綺麗な水を準備しましょう。墓石にかける水は故人が喉を潤すことができるようにという意味があるため、汚れた水を使用するのは避けましょう。手桶を準備し、霊園や寺院の水汲み場所などで水を用意してください。
②墓石の汚れを落とす
次に、濡れたタオルや柔らかい布などを使って墓石の汚れを落とします。強く墓石を擦ると傷がつき、そこから変色や劣化する原因になるため、優しく拭き取るのがポイントです。墓石にコケが生えている場合は、丁寧に取り除きましょう。
③水鉢を掃除する
墓石の汚れを落とし終わったら、水鉢を掃除します。
水鉢とは
水鉢とは、浄水をお供えするという役割を持った場所です。一般的には、お墓前方の花立ての間に取り付けられています。中には、お墓の供物台と一体になっているものもあります。水鉢の水には故人の魂が映し出されると考えられているため、綺麗に掃除しておかなくてはいけません。
水鉢を香炉やロウソク立てとして使用すると、シミや汚れの原因となるため避けましょう。特に線香をあげた場合、炎の熱によって墓石にヒビが入り破損する恐れもあります。水鉢は浄水をお供えするための場所でもあるため、水以外は入れないようにしましょう。
掃除方法
まず最初に、水鉢に入っている雨水を全て捨てます。雨水には埃や汚れが含まれているため、そのままにしていると水垢の原因になりかねません。綺麗な水をお供えする前に、水鉢から水を抜き、汚れを落としておきましょう。
水鉢の掃除をする際は、靴ブラシや柔らかいタオルなどを使って優しくこすり洗いします。目の荒いたわしを使用すると水鉢に傷がついてしまうため、必ず柔らかい素材を使うようにしましょう。角の部分には汚れが溜まっているため、注意しながら掃除してください。
④柄杓を使って水をかける
墓石と水鉢の掃除が終わったら、柄杓(ひしゃく)を使って水をかけます。故人を偲びながら、心を込めて水をかけるようにしましょう。地域によって墓石全体に水をかけるのか、後方にだけ水をかけるのかが異なります。どのように水をかけるべきか迷った方は、霊園のスタッフや親族などに確認するとよいでしょう。
⑤水鉢に水を入れる
最後に、水鉢に綺麗な水を注ぎます。このときも柄杓を使用し、水鉢いっぱいになるまでなみなみと水を注ぎましょう。ペットボトルの水を入れたり、手桶に汲んだ水を直接水鉢に注いだりするのは避けてください。
お墓によっては、お墓に水鉢が設置されていないこともあります。この場合は、コップや湯呑みなどに水を入れてお供えするとよいでしょう。
お墓参りに必要な道具
ここからは、お墓参りに必要な道具について紹介します。こちらを参考にしながら、霊園や寺院へ持参する物を考えてみてください。
柄杓・手桶
お墓参りには、手桶と柄杓が必要です。手桶は水桶ともいわれ、名前の通り水を入れる桶のことです。柄杓とは、手桶に入れた水を汲むための道具です。手桶に綺麗な水をたっぷりと入れ、柄杓で墓石に水をかけます。
霊園や墓地で貸し出されていることが多い道具ですが、貸し出しがない場合は自分達で準備しましょう。柄杓や手桶は、ホームセンターやネット通販、仏具店などで3千円前後で販売されています。使用されている素材によっては値段が高くなるため、予算と相談しながら購入しましょう。
スポンジ・タオル
お墓参りの持ち物として、スポンジ・タオルが挙げられます。この2つは、お墓を掃除する際に使用する道具です。硬い素材のものだと墓石が傷ついてしまう恐れがあるため、柔らかい手触りのものを選びましょう。
コケや軽い汚れは擦るだけで落ちるため、洗剤は不要です。ただしお墓の汚れがひどい場合は、墓石用の洗剤を持って行くとよいでしょう。普段使用している食器用洗剤や洗濯洗剤をかけると、墓石が傷んでしまうため注意してください。
ロウソク
お墓参りには、ろうそくも持参しましょう。ろうそくには「お墓参りに来た人の顔を照らし、ご先祖や故人に知らせる」という役割があります。線香に火をつける際も使用するため、忘れず持参してください。
線香
お墓参りには、線香も欠かせません。仏教の考え方においては、故人は香りを召し上がるとされています。長時間お墓参りができない場合は、長さが短いものを選ぶのもポイントです。墓地や霊園によっては、線香が販売されていることもあります。
マッチ・ライター
マッチやライターは、ろうそくに火を灯す際に使用します。お墓は屋外の風雨が当たる場所にあるため、状況によってはなかなか火がつかないこともあります。火をつけやすいよう、火力が強いものや風よけがあるライターを選ぶとよいでしょう。
花
花も、お墓参りで準備するべきものの一つです。お墓に花をお供えするのには、修行中にお釈迦様が仏様に花を贈ったという逸話に由来しています。故人が好きだった花を選び、お墓に手向けましょう。好きな花が分からない場合は、故人が好んでいた香りや色で選ぶのがおすすめです。
ただし、香りが強すぎる花や毒のある花、ツル科の植物はお墓参りに不適切とされているため、避けましょう。
お供え物
お墓参りでは、故人やご先祖のためにお供え物をするのが一般的です。地域にもよりますが、果物やお菓子、ジュースなどをお供えすることが多いです。故人が生前好きだった食べ物や飲み物をお供えすることもあります。
食べ物をお供えする際は、故人が香りを楽しめるように封を切り、半紙やおぼんの上に乗せるのが一般的です。墓石に直接食べ物を置くのはマナー違反になるため注意してください。
お墓参りでしてはいけないこと
ここからは、お墓参りでしてはいけないことを解説していきます。
水鉢に水以外を入れる
お墓参りをする際は、水鉢に水以外のジュースやお酒を入れないようにしてください。水鉢は浄水を入れるための場所であり、シミや汚れの原因にもなるため他の飲み物は入れません。お酒やジュースをお供えする場合は、ペットボトルや缶のまま墓前にお供えしましょう。お供えした飲み物はお墓参り後に持ち帰り、故人を思い出しながら飲むようにしてください。
お供え物をそのままにして帰る
お供え物をお墓に放置して帰るのもマナー違反です。そのままお供え物を残すと、動物に荒らされたり食べ物が腐敗したりし、お墓を汚す原因になるためです。墓前にお供えしたお供え物は、必ず持ち帰りましょう。
お墓に水をかける意味を正しく理解して、お墓参りを行いましょう
この記事のまとめ
- お墓参りには、故人への感謝の気持ちを伝えたり、ご先祖の冥福をお祈りしたりという意味がある
- お墓参りで墓石に水をかける行為には、故人の喉を潤す、ご先祖をお呼びする、餓鬼に施しを与えるという意味がある
- お墓参りで墓石に水をかける前に、墓石と水鉢の掃除をし、柄杓を使って水をかける
- お墓参りに必要な道具として、柄杓・手桶、スポンジ・タオル、ロウソク、線香、花、お供え物などが挙げられる
- お墓参りでは、水鉢に水以外のジュースやお茶を入れるのは避ける
- お供え物はお墓参りが終わったら持ち帰る
お墓参りには、故人へ感謝を伝えたり冥福を祈ったりする意味があります。また、お墓に水をかける行為には故人の喉を潤したり、ご先祖をお呼びしたりする役割があるとされています。本記事で紹介したお墓に水をかける意味や順番、守るべきマナーなどを参考にして、お墓参りを行いましょう。