「喪主」と「施主」の違いは?それぞれの役割や決め方などを詳しく解説
葬儀を執り行う際は「喪主」と「施主」を決める必要がありますが、この二つの違いがよく分からない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、喪主と施主の違いやそれぞれの役割について解説していきます。喪主と施主の決め方も紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
喪主と施主の違い
喪主と施主は同じものだと考えられがちですが、実は役割が異なります。どちらもお通夜や葬儀の中心となる役割がありますが、喪主はご遺族の代表者としての意味合いが強いものです。喪主は、お通夜や葬儀に関することを決めたり、参列者や僧侶へ挨拶したりといった役割を担っています。一方、施主は主に葬儀の費用を負担する役割のことを指します。
喪主の役割
喪主と施主は役割に違いがあると先述しましたが、具体的にはどういったことを行うのか知らない方もいるのではないでしょうか。そこでまずは、喪主の役割について解説していきます。葬儀で喪主を務めることになった時のために、喪主として何をするべきなのか把握しておきましょう。
葬儀社の決定
喪主がやるべきこととして、葬儀社の決定が挙げられます。故人が亡くなってから葬儀社を決める場合、時間に追われてしまうため、葬儀社を複数選び、比較検討することができないかもしれません。
もし、故人が葬儀社の希望などを伝えていた場合は、なるべくその意向に従うようにしましょう。
ご遺体の安置場所を決める
故人が病院で亡くなった場合、なるべく早く病院から安置場所へ移動する必要があります。故人が亡くなったらすぐに安置場所を決め、葬儀社に連絡してご遺体を搬送してもらいましょう。安置場所には、自宅や葬儀を執り行う会場の安置室などが選ばれることが多いです。
死亡届の手続き
喪主は、故人の死亡届の手続きを行う必要があります。故人が亡くなると、病院が死亡届を発行してくれるため、ご遺族を代表して喪主が必要事項を記入します。死亡届は、故人が亡くなった後7日以内に、死亡地・届出人の居住地・故人の本籍地のいずれかの役所に提出しなくてはいけません。
死亡届の提出は必ずしも喪主が行う必要はないため、手が回らない場合は他の家族や葬儀社等の代理人に任せましょう。
訃報の連絡
喪主の役割として、訃報の連絡が挙げられます。故人の親族や友人、会社関係者などに、故人が亡くなったことを伝えましょう。連絡先が多く、喪主ひとりでは全員に訃報連絡を行うのが困難な場合は、他の家族と役割を分担しても問題ないでしょう。
ただし、複数人で訃報連絡を行う際は、同じ人に何回も訃報を伝えないよう注意が必要です。訃報を伝える際は、以下のポイントを踏まえると伝えるべき情報をしっかりと知らせることができます。
訃報連絡を行う際のポイント
- 「〇〇(故人の名前)の配偶者の〇〇(あなたの名前)です」と、自分と故人の関係を伝えます。
- 「夫の〇〇が〇月〇日に永眠いたしました」と、故人が逝去した日時を述べます。
- 「お通夜は〇月〇日の〇時より、葬儀は〇日の〇時より、〇〇斎場で執り行います」と伝えます。
葬儀社との打ち合わせ
喪主の大切な仕事の一つが、葬儀社との打ち合わせです。打ち合わせには他のご遺族が参加することもありますが、基本的には喪主が中心になって葬儀社のスタッフと話を進めます。この打ち合わせでは、お通夜と葬儀の日程や形式、葬儀や会場の規模、会食の有無などを聞かれるため、前もって決めておくとスムーズです。
特に、どのくらいの人数が参列するかなどの葬儀の規模は、葬儀全体を左右する重要なポイントであるため事前に想定しておきましょう。また、葬儀社との打ち合わせでは費用についても話し合うため、喪主だけでなく施主も同席します。
葬儀社との打ち合わせで決めること
- お通夜・葬儀の日程
- お通夜・葬儀の形式
- 葬儀の規模
- 葬儀を執り行う斎場の希望
- 宗派・宗旨の確認
- 葬儀費用の見積もり
- 会食の有無
遺影の準備
葬儀社との打ち合わせや訃報の連絡が一段落したら、お通夜や葬儀で祭壇に飾るための遺影を準備します。喪主が代表して遺影を選ぶことが多いですが、他の家族と一緒に写真を選んでも問題ありません。故人が遺影をあらかじめ準備していた場合は、そちらを使いましょう。
現在は写真を遺影用に加工する技術も進んでいるため、日常で撮影した写真を選んでも構いません。お通夜が始まる4〜6時間前までには、葬儀社のスタッフに選んだ写真を渡しておきます。
参列者への挨拶
喪主の大切な役割として、参列者への挨拶が挙げられます。喪主は遺族の代表者として、お通夜や葬儀に参列してくれた方々に挨拶をする場面があります。大きく分けると、お通夜が終わった後、葬儀後に出棺する際、精進落としのタイミングで挨拶を行うことになります。それぞれの挨拶は長くなりすぎないよう、3分ほどにまとめておきましょう。
施主の役割
ここまで喪主の役割を説明してきましたが、もう一方の施主はどのようなことを行うのでしょうか?ここからは、施主の具体的な役割について解説していきます。
費用の内訳確認・契約
施主の最も大切な役割が、葬儀の費用に関することです。葬儀社との打ち合わせには喪主と共に参加し、費用の内訳確認や契約を行います。また、僧侶へのお布施の準備や、手伝い係への心づけの準備なども、施主が担当します。
喪主の補助
施主の仕事として、喪主の補助が挙げられます。大きな規模の葬儀の場合、喪主だけでは準備に手が回らないことが多いため、施主が手助けをします。具体的には、喪主が不在の際の参列者への対応や、手伝い係の手配、葬儀社との調整などです。
供花の順番を決める
施主が行う役割として、供花の順番を決めることが挙げられます。供花とは、故人の冥福や供養を祈って祭壇に捧げられる生花のことです。施主が代表して葬儀社のスタッフに供花の並べ方を指示しましょう。
喪主と施主の決め方
喪主と施主は葬儀において欠かせない存在ですが、どのように決めればよいのかご存知でしょうか。ここからは、喪主と施主の決め方について紹介します。
喪主の決め方
喪主の決め方に特にルールは決まっていませんが、基本的には故人と血縁が近い人が喪主を務めることが多いです。かつては長男や夫など男性が喪主を務めるケースが多かったのですが、近年は故人の妻など女性が喪主になることも増えています。
また、兄弟や姉妹が喪主を務める場合は、基本的に長男や長女など年長の者が喪主を務める傾向にあります。
喪主の決め方
- 故人の配偶者
- 故人の息子・娘(年長者がなる場合が多い)
- 故人の両親(故人が若い場合)
- 故人の兄弟姉妹
施主の決め方
施主も喪主と同様、決め方に特にルールはないとされています。施主は葬儀の費用を負担する役割を担うため、一般的には金銭的に裕福な人が務めることが多いとされています。また、喪主と同様、故人との血縁関係が深い方が施主を務めるケースが多いです。
喪主と施主を兼任することも多い
規模が大きな葬儀では、喪主と施主をそれぞれ別の人が務めることが多いですですが、一般的な葬儀や規模の小さい家族葬などでは、喪主と施主を兼任することが多いです。これは、遺族の代表者である喪主が費用を負担するケースが増えているためです。
喪主と施主のマナー
喪主と施主はどちらも葬儀を取り仕切る代表者の立場であるため、マナーには気を配る必要があります。ここからは、喪主や施主が守るべき基本的なマナーを解説します。
お布施
お通夜や葬儀では僧侶に読経を行ってもらうため、僧侶に対してお布施を準備しておく必要があります。お布施は施主が用意し、喪主が僧侶にお布施を渡すのが一般的です。お布施を渡すタイミングはさまざまですが、一般的にはお通夜や葬儀が始まる前か、法要が終わった後に渡すことになります。また、斎場までの交通費である「お車代」や、僧侶が会食を辞退した場合の「お膳料」が必要になることもあるため、前もってどのような費用が必要か確認しておきましょう。
服装
喪主と施主は葬儀全般を取り仕切る立場であり、特に喪主はご遺族の代表者として参列者に挨拶する場面があります。他の親族や参列者から見られることを意識して、喪服を正しく着用しましょう。男性はブラックスーツなどの準喪服を、女性はアンサンブルや黒のワンピースを着用します。
香典
喪主と施主を同じ人物が務める場合は、香典を用意する必要はありません。しかし、喪主と施主を務める人が別の場合は、喪主は香典を準備することが多いです。香典の相場は故人との関係性や年齢などによって異なるため、相場を確認しておきましょう。
ただし、喪主が未成年や学生だったり、収入がなかったりする場合は、施主が別にいても香典を出さなくてもよいとされています。
喪主と施主の役割の違いを把握しておきましょう
この記事のまとめ
- 喪主と施主は役割が異なり、喪主はご遺族の代表者、施主は葬儀の費用を負担するといった意味がある
- 喪主はご遺体の安置場所や葬儀社の決定、死亡届の手続き、訃報連絡、葬儀内容の打ち合わせ、遺影の準備、参列者への挨拶などを行う
- 施主は喪主の補助、葬儀費用の内訳確認・契約、手伝い係の手配、供花の順番の決定などを行う
- 喪主や施主の決め方にルールはないが、故人と血縁関係が近い人がなることが多い
- 一般的な葬儀や規模の小さい家族葬などでは、喪主と施主を兼任することが多い
- 喪主と施主は、礼服で葬儀に参列する
- 喪主と施主を兼任している場合は香典を準備しないが、別の場合は喪主は香典を用意する場合がある
喪主と施主の意味が混合されがちですが、実際は役割や定義に違いがあります。近年は喪主と施主を兼任するケースが増えていますが、規模が大きい葬儀では喪主と施主を別々に決めることもあります。あなた自身が喪主や施主を務める時に備えて、それぞれの役割や決め方、マナーなどをしっかりと把握しておきましょう。