お布施に水引は必要?封筒の選び方やお札の包み方などについても解説
葬儀や法要で僧侶にお布施を渡す際、水引を付けるべきかどうか悩んだ経験はありませんか。他にもどのような封筒を選べばよいのか分からない方もいるでしょう。本記事では、お布施の封筒の選び方やお札の包み方などについて詳しく解説します。
お布施に水引は付けないのが一般的
仏教では、葬儀や法要において、僧侶にお布施を渡す慣習があります。お布施とは、故人の供養に伴い、遺族が僧侶にお礼として渡す金銭のことです。読経や戒名に対する報酬ではなく、あくまでも感謝の気持ちを示すものと考えましょう。
お布施は僧侶へのお礼の意味合いで渡すため、一般的に水引を付ける必要はありません。お布施を用意する際は奉書紙で包むか、白無地の封筒に入れてください。
ただし、地域によってはお布施に水引のついた封筒を使用する場合があります。僧侶に失礼のないよう、お布施に水引を付けるのかどうか、前もって地域の方や寺院に確認しておくことが大切です。
水引とは
そもそも水引とは、どういうものなのでしょうか?ここでは、水引の持つ意味や結び方について解説します。
水引の意味
水引とは、祝儀袋や不祝儀袋、贈り物ののしなどの上に付けられる飾り紐を指します。
水引は魔除けや人との縁を結ぶという意味を持ち、特に冠婚葬祭の場面でよく使われるものです。また水引を付けることで、封を開けていない証明にもなります。
葬儀や法要の不祝儀袋に水引を付ける場合、悲しみやお悔やみの気持ちを込めて、黒白や双銀の水引を使用するのが一般的です。
水引の結び方
水引の結び方にはいくつか種類があり、それぞれ意味を持っています。慶事と弔事のどちらで水引を使うのかによって、結び方が変わる点に注意しなければなりません。
弔事で水引を使用する場合、結切りかあわじ結びが適切です。
結切りは、固く結ばれて別れないことを願って婚礼関係に用いられます。一方で、不幸を繰り返さないようにという祈りを込めて、葬儀や法要、お見舞いの際にも使用されます。
また、あわじ結びは一度結ぶとほどくのが難しいため、葬儀や結婚式といった人生で一度しか行われない慶弔に適しています。結び目の形が縁起のよい鮑に似ているとして、鮑結びとも呼ばれます。
この他によくみられる水引の種類が、蝶結びです。結び目がほどきやすく何度でも結び直せることから、入学や出産など、複数回繰り返してもよいとされる慶事に使います。
お布施に水引を付けるのであれば、蝶結びではなく、結切りかあわじ結びを選んでください。
お布施の封筒の選び方
基本的に、お布施の封筒には水引を付けなくてよいとされています。ただし、中には封筒に水引を使用する地域もあるため、事前に確認しておくと安心です。
ここからは、水引の有無別にお布施の封筒の選び方を解説します。水引のある封筒の場合、水引の色にも気を付けて選ぶようにしてください。
白い無地の封筒
お布施を包む封筒は、白い無地の封筒を選びましょう。
封筒の中でも、郵便番号の記載欄があるものは適しません。また、封筒が二重になっている種類は「不幸が重なる」という連想につながるため、使用してはいけません。一重かつ無地の白封筒を選ぶのがマナーだと覚えておきましょう。
なお、お布施用の封筒には「お布施」と印字されている封筒も販売されています。このような封筒でお布施を包んでも構いません。
水引のある封筒
お布施に水引のある封筒を使用する際には、色の違いに注意が必要です。お布施を包む場面に合わせて水引の種類を選ぶようにしてください。
黒白の水引の封筒
黒白の水引は、葬儀や法要などの弔事の香典に使用するものです。また、地域の慣習によっては、お布施に付ける水引としても使われます。
ただし、四十九日を過ぎると黒白の水引を使わなくなる場合もあるため、親族や寺院に確認すると安心です。黒白の水引を使ってもよいのかはっきり分からなければ、白い無地の封筒を選ぶとよいでしょう。
黄白の水引の封筒
黄白の水引は関西地方特有のもので、主に一周忌以降の法要で用いられます。四十九日までは黒白の水引を使いましょう。
関西地方で黄白の水引が広まったのは、皇室に献上される水引と区別する必要があったためだといわれています。古代、皇室に対して用いられた紅白の水引が黒白の水引と見分けにくかったことから、不祝儀には黄白の水引を使うのが一般的になりました。
双銀の水引の封筒
双銀の水引は、黒白の水引と同様に、葬儀や法要などの弔事で使用します。特に高額の香典やお布施を包む場合は、双銀の水引を使うようにしてください。選び方の目安となる金額は、3万円以上です。
お布施の包み方
お布施を渡すにあたっては、封筒の包み方も押さえておきましょう。お布施には二通りの包み方があるため、それぞれ詳しくみていきます。
奉書紙で包む
奉書紙でお布施を包む手順は、以下の通りです。
奉書紙でお布施を包む方法
- 奉書紙のザラザラした裏面を上にして広げる
- 奉書紙の中央に中包み、あるいは中袋を置く
- 奉書紙の左側を包むようにして折る
- 右、下、上の順に奉書紙を折って包む
奉書紙を使う場合、お札を直接包むことは避けてください。まず半紙で中包みを作り、お札が外から見えないように配慮しましょう。
なお、市販の奉書紙に中袋が付属している場合は、中包みの代わりに中袋を使用しても問題ありません。
白封筒に入れる
お布施は奉書紙に限らず、封筒に入れて渡すこともできます。
お布施には白い無地の封筒を使用するのが一般的です。ただし場合によっては、水引のある封筒を使います。
その場合は法要の種類や喪主の住む地域、包む金額などに応じて、適切な水引を選びましょう。
お布施を包む際の注意点・マナー
お布施を包む際には、いくつか注意すべき点やマナーがあります。水引の有無とあわせて、お布施の入れ方や書き方を正しく理解しておきましょう。また、お布施の金額についても解説します。
お布施の入れ方
お布施を包む際には、お札の肖像画が表に見えるように封筒に入れてください。弔事ではお札の肖像画を裏向きにすることがマナーとされています。しかし、お布施は僧侶へのお礼の意味合いを持つため、表向きにしてください。
また、全てのお札を一方向に揃えて入れるのも、お布施の金額を確認しやすくするための配慮です。
さらに、お布施には新札を包むのが一般的です。香典と混同しないように注意しましょう。
お布施の書き方
お布施を包むにあたって、奉書紙や封筒などそれぞれの書き方に注意が必要です。
奉書紙や封筒の表面には、漢字で「お布施」と書きます。なお、お布施は僧侶に対するお礼にあたるため、読経料や戒名料など「料」という書き方は避けるようにしましょう。表書きの下側には喪主のフルネームを記載し、誰からのお布施か分かるようにします。
中袋が付いていない封筒では、裏面に住所と氏名、お布施の金額を記入してください。一方で奉書紙でお布施を包む場合は、中包みや中袋の表面にお布施の金額を書き、裏面に住所と氏名を記入します。
また、お布施の金額は漢数字の旧字体を使い、「金〇〇圓也」と書き添えるのが一般的な書き方です。例えばお布施として5万円を包むのであれば「金伍萬圓也」という表記になります。
また、お布施を用意する際には、哀悼の意を表す薄墨ではなく、濃墨を用いることも覚えておきましょう。
お布施の金額相場
お布施はあくまでもお礼として渡すものであるため、金額に明確な決まりはありません。また、地域や宗派によっても相場が異なる点に注意してください。
一般的に、四十九日や初盆、一周忌などの法要で渡すお布施の相場は3万円~5万円といわれています。なお一周忌以降の三回忌や七回忌では、法事の規模が小さくなるため、お布施の相場はそれよりも低くなる傾向です。
また、葬儀やお通夜におけるお布施の相場は10万円~35万円と高額になります。
お布施にいくら包めばよいのか判断が難しい場合、親族や地域の方に相談してみてもよいでしょう。
お布施の封筒は水引の有無や種類に注意して選びましょう
この記事のまとめ
- お布施の封筒には一般的に水引を付けないが、一部水引を付ける地域もある
- お布施の封筒は白い無地の封筒を選ぶのが一般的
- 水引の封筒を選ぶ際は黒白・黄白、双銀を使い分ける
- お布施は奉書紙で包むか、封筒に入れる
- お布施の入れ方と表書きに注意する
- お布施の金額に決まりはないが地域や宗派によって相場が異なる
お布施は葬儀や法要の際に僧侶に渡す金銭であり、感謝の気持ちを表すためのものです。
お布施は不祝儀ではなく、あくまで僧侶へのお礼にあたるため、水引を付けなくても構いません。しかし、地域の慣習によって水引を付ける場合もある点に留意し、分からない場合は地域の方や寺院へ確認するとよいでしょう。
お布施は奉書紙で包むのが丁寧な方法ですが、封筒に入れて渡すこともできます。この場合、一重で白い無地の封筒を選ぶのが一般的です。お布施を包む際は、マナーを守って相手に失礼のないように努めましょう。