亡くなった人の戸籍謄本の取り方は?手続きに必要な書類や申請手順を解説

家族に不幸があったとき、亡くなった人の戸籍謄本が必要になりますが、初めての場合は手続きに戸惑ってしまうこともあるでしょう。本記事では、亡くなった人の戸籍謄本が必要になる場面や戸籍謄本の取り方、手続きに必要な書類まで詳しく解説します。
戸籍謄本とは

戸籍謄本とは、戸籍簿の写しのことです。戸籍簿には、出生・結婚・死亡といった戸籍に記載されている全員の身分事項が記録されています。戸籍簿は役所に保管されており、本人や家族が申請すると、本籍地と身分事項が記載された戸籍謄本が発行されます。
戸籍謄本は戸籍に記載されている全員分の証明になりますが、記載されているうちの一部の人の証明をする場合は戸籍抄本を用いることもあります。
現在はほとんどの自治体で戸籍が電子化されており、戸籍謄本は「戸籍全部事項証明書」、戸籍抄本は「戸籍個人事項証明書」へと名称が変わっています。
戸籍謄本と住民票との違いは、住所の記載方法です。住民票には現住所が記載されており、戸籍謄本には本籍地が記載されている点が異なります。
亡くなった人の戸籍謄本が必要になる場面

ここからは、亡くなった人の戸籍謄本が必要な場面を紹介します。
相続人調査
家族が亡くなったとき、遺族は相続の手続きを行わなければなりません。その際、遺産相続の権利を持つ相続人調査をするため、亡くなった人の戸籍謄本が必要になります。
相続人調査とは、遺産分割や亡くなった人の名義になっているものを変更する際に、相続人が誰かを確認することです。亡くなった人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取り寄せることによって、法定相続人を調べられます。
死亡一時金の申請
亡くなった人の戸籍謄本は、死亡一時金を申請する際にも必要になります。
死亡一時金とは、国民年金の第1号被保険者として36ヶ月(3年)以上国民年金保険料を納めたが、老齢基礎年金と障害基礎年金のいずれも受けずに死亡した際に、生計を同じくしていた配偶者や子、父母といった遺族に支給される給付金です。
ただし、遺族が遺族基礎年金を受け取る場合は死亡一時金が支給されません。また、寡婦年金と死亡一時金のどちらの受給条件も満たしている場合は、どちらか一方を選択する必要があります。
遺族年金の請求
遺族年金とは、被相続人によって生計を維持されていた遺族が受けられる年金のことです。亡くなった人がいる場合にだけ支給される年金であることから、死亡の事実を証明するために死亡日以降に発行された戸籍謄本が必要になります。
遺言書の検認
亡くなった人の遺言書を保管している人や発見した相続人は、開封するために家庭裁判所へ提出して検認を請求しなければなりません。その際に、亡くなったことの証明や相続人であることの証明として、戸籍謄本が必要になります。
ただし、公正証書による遺言などについては検認の必要がないため、戸籍謄本は不要です。
相続放棄・限定承認の検討
亡くなった人の権利義務を相続人が引き継がない場合、相続放棄や限定承認の申述を行います。その際にも、相続人を明らかにするため、戸籍謄本が必要です。
相続放棄の申述については相続人単独で行えますが、限定承認については相続人全員で行わなければなりません。
相続税の申告納付
亡くなった人の遺産が一定額以上ある場合は相続税の課税対象となるため、相続人は相続税の申告や納付をしなければなりません。その際、相続税の計算が正しく行われていると証明するために、亡くなった人の出生から死亡までが記載された戸籍謄本が必要になります。
亡くなった人の戸籍謄本が取れる人

亡くなった人の戸籍謄本を取れるのは以下の方々です。
配偶者・直系血族
亡くなった人の戸籍謄本の請求は、原則として配偶者や直系血族が行えます。直系血族とは、故人の子・孫・父母などです。
請求を委任された人
亡くなった人の配偶者や直系血族以外の人が戸籍謄本を請求する際は、委任状が必要になります。その際、戸籍謄本を使用する目的や提出先を聞かれる場合もあるので、各自治体に確認しておきましょう。
亡くなった人の戸籍謄本の取り方

ここからは、亡くなった人の戸籍謄本の取り方について解説します。
本籍地がある市区町村役場で申請する
亡くなった人の本籍地がある市区町村役場の窓口で、必要な書類を揃えて申請します。各自治体で用意されている戸籍交付申請書に記入してください。
コンビニ交付サービスで申請する
コンビニ交付サービスを利用し、コンビニで戸籍謄本を取得することもできます。コンビニに設置されている端末の画面で「行政サービス」のボタンから申請します。画面の操作手順に従って入力し、マイナンバーカードの読み取りを行って料金を支払うと、コピー機で印刷できるようになります。
ただし、コンビニでの戸籍謄本の発行は、亡くなった人が含まれる戸籍に存命の人がいる場合に限られるため注意してください。また、自治体によってはコンビニ交付サービスを利用できない場合もあります。事前に各自治体のホームページで確認するようにしましょう。
移動前の本籍地でも申請する
亡くなった人が市区町村をまたいで本籍を移動している場合は、戸籍を移動する前の自治体でも戸籍謄本を申請しなければなりません。
そのため、亡くなった人が複数回本籍地を移動している場合は、それぞれの市区町村への申請が必要になります。
死亡の記載がある戸籍謄本を申請する
戸籍謄本は出生から死亡までのすべてを記載されているものですが、死亡届を役所に提出してから戸籍に反映されるまで1週間から10日程度かかることがあります。
そのため、死亡届を出すのが遅くなった場合は、亡くなったことを証明するために時間がかかることがあるため注意が必要です。
死亡届をなるべく早く提出することで、死亡の記載がある戸籍謄本を早めに取得できるでしょう。
郵送で取り寄せる
直接自治体の窓口に申請することが難しい場合は、自治体のホームページから戸籍交付申請書を入手し必要書類と一緒に郵送することで、戸籍謄本を取り寄せられます。
亡くなった人の戸籍謄本を取るのに必要な書類

亡くなった人の戸籍謄本の取得手続きに必要な書類について解説します。戸籍謄本を取得する際は事前に確認しておきましょう。
市区町村の窓口の場合
亡くなった人の戸籍謄本を市区町村の窓口で請求する場合に必要な書類は以下の通りです。
市区町村の窓口の場合
- 市区町村の所定の戸籍交付申請書
- 本人確認書類(マイナンバーカード・免許証・パスポート等)
- 印鑑(認印可)
- 委任状(配偶者や直径血族以外の場合)
配偶者や直系血族以外の人が申請する場合は、委任状が必要になるので注意してください。また、市区町村によって手続きが異なる場合もあるため、事前に確認して不備のないようにしましょう。
郵送の場合
亡くなった人の戸籍謄本は、郵送で取り寄せることも可能です。各自治体のホームページから所定の戸籍交付申請書を入手し、申請しましょう。また、書類は返送してもらうため、切手を貼り付けた返信用封筒や定額小為替も同封してください。
郵送の場合
- 市区町村の指定の戸籍交付申請書
- 本人確認書類の写し(マイナンバーカード・免許証・パスポート等)
- 返信用封筒(切手貼付)
- 定額小為替
- 委任状(配偶者や直径血族以外の場合)
コンビニの場合
コンビニで戸籍謄本を申請する場合は、マイナンバーカードを使って端末から申請するため書類に必要事項を記入する手間が省けます。基本的にコンビニ交付を利用できるのは、亡くなった人の配偶者や直系血族だけです。
コンビニの場合
- 本人確認書類(マイナンバーカード)
亡くなった人の戸籍謄本を取るのにかかる費用

亡くなった人の戸籍謄本は、全国一律で一通450円で発行可能です。
戸籍謄本は手続き後に返却してもらえるため、一通発行しておけば問題ありません。ただし、返却までの期間は長くかかる場合もあるため、二通あると効率よく進められるでしょう。
亡くなった人の戸籍謄本は早めに用意しましょう

まとめ
- 戸籍謄本とは、出生・結婚・死亡といった戸籍に記載されている全員の身分事項が記録されたもの
- 家族が亡くなったら、相続人調査や死亡一時金の申請、遺族年金の請求などに戸籍謄本が必要
- 亡くなった人の戸籍謄本が取れるのは配偶者と直系血族、委任状がある人
- 亡くなった人の戸籍謄本の取り方は、市区町村の窓口・郵送・コンビニの3通り
- 亡くなった人が戸籍を移動している場合は、それぞれの自治体での申請が必要
戸籍謄本は、家族が亡くなってから相続に関するさまざまな手続きをするための必要な書類です。死亡届を提出してから戸籍に反映されるまでは1週間から10日程度かかる場合があるので、なるべく早く死亡届を提出し、戸籍謄本の申請を行いましょう。