失敗しない"葬儀での喪主の挨拶"ガイド|タイミングや例文などの要点を解説
葬儀で喪主が行うべきことの中でも、特に重要とされるのが喪主挨拶です。しかし、故人を失った悲しみが癒えないままどんな挨拶を行うか考えることは簡単ではありません。そこで本記事では、葬儀での喪主の挨拶のタイミングやポイント、注意点などについて解説し、挨拶の例文もご紹介します。
葬儀における喪主の仕事内容
喪主は、故人と一番縁のある人物が任されることが多く、遺族の代表という重要な役割を担います。では、喪主は葬儀において具体的にどのような仕事をするのでしょうか。主な喪主の仕事は以下の通りです。
葬儀における喪主の主な仕事
- 葬儀社の手配・打ち合わせ
- 菩提寺などの寺院への連絡
- 訃報(親族や参列してほしい人への葬儀日程の連絡)
- 受付などのお手伝いの手配
- 供花や弔電の確認
- 僧侶への接待
- 参列者の弔問を受ける
- 喪主挨拶
- 出棺(霊柩車への同乗)
- 香典返し
- 四十九日法要の手配
このように、喪主には多くの仕事があります。どれも大切な仕事ですが、その中でも挨拶は、遺族を代表して参列者に感謝や生前の故人の想いなどを伝える重要な仕事といえます。ここからは、喪主挨拶について詳しく解説します。
葬儀で喪主が挨拶をするタイミング
葬儀において、喪主はさまざまな場面で挨拶を求められます。そのため、事前にタイミングを把握しておかないと、いきなり挨拶の場に呼ばれて焦ってしまうこともあるでしょう。まずは、葬儀で喪主が挨拶をするタイミングを紹介します。
お通夜
お通夜での喪主挨拶は、僧侶が退席してお通夜が終わり、通夜振る舞いに移る前のタイミングで行います。お通夜の挨拶は簡単な挨拶で構いません。また、通夜振る舞いの前後にも喪主の挨拶があります。
葬儀式・告別式
葬儀式・告別式での喪主挨拶は、出棺の前のタイミングで行うのが一般的です。しかし、地域などによっては葬儀式・告別式の途中に喪主の挨拶を挟むこともあります。葬儀社との打ち合わせの際に、どのタイミングで喪主挨拶を行うか確認しておくとよいでしょう。
精進落とし
葬儀や火葬のあとに行われる精進落としにおいても、喪主挨拶があります。タイミングは精進落としの前と後になります。この精進落としでの挨拶が喪主から参列者全員に言葉を伝えられる最後のタイミングです。
葬儀での喪主挨拶のポイントと例文
ここからは、喪主挨拶のポイントを踏まえて、挨拶の例文をいくつかご紹介します。喪主が故人の妻・夫・子供の場合など、さまざまな場合の例文を記載していますので、状況に合わせてご参照ください。
お通夜の場合
お通夜の喪主の挨拶は、以下のポイントを踏まえると内容を考えやすいでしょう。葬儀式・告別式に参列できない方もいるため、葬儀式・告別式での挨拶の内容と多少重複しても構いません。あまり長く話す必要はないので、簡潔にまとめましょう。
お通夜での喪主の挨拶のポイント
- お通夜に参列いただいたことへのお礼を伝える
- 故人が生前に受けた厚意へのお礼を伝える
- 葬儀式・告別式の日時と場所の案内をする
- 通夜振る舞いがある場合は、その案内をする
お通夜の場合、喪主が挨拶するタイミングは計3回あり、お通夜終了時と通夜振る舞いの前後となります。そのため、挨拶の例文もそれぞれのタイミング別でご紹介します。
お通夜終了時の喪主の挨拶の例文
通夜振る舞い前の喪主の挨拶の例文
通夜振る舞い後の喪主の挨拶の例文
葬儀式・告別式の場合
葬儀式・告別式の喪主の挨拶は、お通夜のような簡単な挨拶ではなく、故人とのエピソードを含めるなど、具体的な内容になるよう意識しましょう。お通夜に参列していない方もいるため、挨拶の内容がお通夜の挨拶内容と多少重複しても構いません。
葬儀式・告別式の喪主の挨拶のポイント
- 葬儀式・告別式に参列いただいたことへのお礼を伝える
- 故人が生前に受けたご厚意へのお礼を伝える
- 故人とのエピソードを自分の言葉で表現する
- 残された遺族への力添えをお願いをする
「皆さま、本日は父・○○の葬儀式・告別式にご参列いただき本当にありがとうございます。私、○○の長男の□□と申します。遺族を代表しまして、皆さまにご挨拶申し上げます。父は、△月△日に老衰にて永眠いたしました。平均寿命をはるかに超えての大往生で、最期は沢山の孫に囲まれて眠るように逝去いたしました。生前に寄せられました皆さまのご厚意に対して、厚く御礼申し上げます。父は根っからの野球好きで、私が幼い頃から話すといえば野球の話、遊びに連れていく場所といえばドーム球場での野球観戦でした。応援しているチームが勝てなくても、ただ前を向いてまっすぐな目で選手の姿を見守っていたことをよく覚えています。本日も多くの野球好きの皆さまにご参列いただき、応援していたチームの応援歌まで歌っていただきまして、○○は心より喜んでいることと思います。今後とも、残された家族へのお力添えをなにとぞよろしくお願いいたします。」
「○○の夫の△△と申します。皆さま、本日はご多用のところ○○の葬儀式ならびに告別式にご参列いただきまして誠にありがとうございました。生前にいただきました○○へのご厚意につきまして、深く感謝申し上げます。○○は料理がとても上手で、その中でもちらし寿司のおいしさと言えば格別のものでした。よく何十人前も作ってはお世話になっている方々にお配りしていたのですが、本日ご参列いただきました皆さまの多くにも味わっていただいたことがあると先ほど知りました。これだけ沢山の方に深くお世話になっていたと思うと、妻の人生はとても幸せだったに違いありません。妻の人生に関わっていただいた皆さまに、あらためて心よりお礼申し上げます。今後は、残された私たち家族にご指導ご鞭撻のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。」
精進落としの場合
精進落としの挨拶が、最後の喪主挨拶となります。心残りがないよう、伝えたいことをしっかり言葉にして葬儀を締めくくりましょう。
精進落としの喪主の挨拶のポイント
- 葬儀式・告別式に参列いただいたことへのお礼を伝える
- 無事に葬儀を終えられた感謝の気持ちを伝える
精進落としの前後で、計2回の喪主挨拶があります。そのため、挨拶の例文もそれぞれのタイミング別でご紹介します。
精進落とし前の喪主の挨拶の例文
精進落とし後の喪主の挨拶の例文
葬儀での喪主の挨拶の注意点
最後に、葬儀での喪主挨拶における注意点をいくつか解説します。
挨拶の時間は1~3分程度
喪主挨拶の時間は、1~3分程度が適切だとされています。大切な故人への想いや生前にお世話になった方々への感謝の気持ちは3分程度では伝えきれませんが、あまり長くならないように注意しましょう。どうしても伝えたい感謝の気持ちがある場合は、後日、お世話になった方に直接伝えることをおすすめします。
ゆっくりと挨拶する
喪主挨拶は、ゆっくりはっきりと挨拶することも大切です。参列してくれた方への感謝の気持ちや、生前に故人がお世話になったお礼、残された遺族が今思っていることなどをしっかりと伝える役割があることを意識しましょう。参列者全員が聞き取りやすいように、ゆっくりと挨拶することを心がけてください。
忌み言葉に気を付ける
喪主の挨拶では、忌み言葉にも気を付けなくてはいけません。忌み言葉には、不幸が重なることを想定させる重ね言葉や、死について直接的に表現する言葉などが含まれます。以下に、具体的な忌み言葉と、言い換えたいときに使える言葉をまとめました。
重ね言葉
- ×重ね重ね→深く
- ×しばしば→よく
- ×ますます→いっそう
- ×再び→いま一度
死を直接的に表現する言葉
- ×死亡→逝去、他界
- ×存命中→生前
- ×急死→突然のこと
宗教によって話す内容に注意する
宗教によっては、喪主挨拶で話す内容・言葉に注意する必要があります。特に、キリスト教の場合は仏教と死生観が大きく異なり、死を不幸なこととは考えていません。そのため「お悔やみ」などといった言葉を使わないように気を付けましょう。
また、神式の場合は「供養」「弔う」などの仏教用語を使わないように注意しましょう。使用する言葉に不安を覚えたときは、一度葬儀社や関係者に相談すると安心です。
メモを見ながら挨拶してもよい
喪主挨拶は暗記する必要があると思われがちですが、メモを見ながら挨拶してもマナー違反には当たりません。故人の死後は喪主は挨拶だけではなく、さまざまなことに追われて忙しいことが想定されます。そのような状況で、喪主の挨拶の暗記が難しいと感じた場合には、手元にメモを用意して臨むとよいでしょう。
喪主挨拶を失敗しないために前もって挨拶を考えておきましょう
この記事のまとめ
- 喪主の仕事の中でも、挨拶は特に重要な仕事の一つ
- 葬儀における喪主の挨拶は、お通夜と葬儀式・告別式、精進落としのタイミングでそれぞれ行う必要がある
- お通夜での喪主の挨拶は、参列のお礼や故人の生前の厚意へのお礼、葬儀式・告別式の場所や日程などを簡潔に伝える
- 葬儀式・告別式での喪主の挨拶は、参列のお礼や故人の生前の厚意へのお礼、故人とのエピソード、遺族への力添えのお願いなどを伝える
- 精進落としでの喪主の挨拶は、参列のお礼や葬儀を無事に終えられた感謝の気持ちを伝える
- 喪主の挨拶は、①1~3分で話す、②ゆっくり挨拶する、③忌み言葉に気を付ける、④宗教によって話す内容に気を付ける、⑤メモを見て挨拶してもよい、などの注意点・ポイントがある
喪主の挨拶は、遺族の代表・故人の代理として参列者に想いを伝える大事な仕事です。失敗してもやり直すことができないため、今回ご紹介した例文を参考にしていただき、事前に挨拶の内容をしっかりと考えておくことをおすすめします。