【例文付き】親戚に送る堅苦しくない葬儀のお礼状とは。家族葬での香典返しの方法も解説
香典や弔電をいただいた場合は、仲のよい親戚であってもお礼状を送る必要があります。しかし、お礼状にはどのような内容を記したらよいのか分からないこともあるでしょう。本記事では親戚に送る堅苦しくない葬儀のお礼状の例文を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
葬儀のお礼状とは
葬儀のお礼状は、香典や供花、弔電などを送っていただいた方にお礼を伝えるための文書を指します。香典返しと一緒に送ることが一般的です。
お礼状を送る場合、奉書紙に筆を使って縦書きで書く「奉書式」でお礼状を出すのが最も丁寧な方法ですが、はがきやカードにお礼の言葉を印刷して送るタイプのお礼状もあります。
印刷となると定型文のみを送ることにもなるため、親しい関係の親戚に堅苦しくないお礼状を送りたい場合には、はがきやカードで手書きのお礼状を送るのも一つの方法です。
葬儀のお礼状は香典返しと併せて送るため、お礼状を送るタイミングは香典返しを送るタイミングである忌明け後(仏教の場合は四十九日法要のあと)となります。目安としては、忌明け後から一ヶ月以内には香典返しとお礼状を送るようにしましょう。
ただし、近年では葬儀当日に香典返しをする「即返し」が行われていることもあります。即返しによって香典返しをすませている場合には、葬儀のお礼状のみを送る形で問題ありません。
また、弔電のみで香典や供花をいただいていない場合も、香典返しは送らず葬儀のお礼状のみを送ります。この場合は、葬儀を終えて一週間程度でお礼状を送るとよいでしょう。
葬儀のお礼状と似た言葉として、「会葬礼状」があります。会葬礼状は、お通夜や葬儀当日に、受付で会葬返礼品と一緒に参列者に渡すお礼状のことをいいます。会葬礼状は香典や供花、弔電をいただいていない方にも渡すものであるため、混同しないよう気をつけましょう。
葬儀のお礼状におけるマナー
葬儀のお礼状を書くにあたり、いくつか意識しておきたいマナーがあります。相手の方にしっかりとお礼の気持ちが伝わるよう、葬儀のお礼状を書く際には以下のことに気をつけてください。
なお、堅苦しくないお礼状を送れるような親戚宛てであっても、以下のマナーは基本的に守るようにしましょう。
丁寧に書くなら墨を使う
お礼の文書を印刷して送るタイプのお礼状もありますが、丁寧かつ敬意や感謝の気持ちをより伝えられるのは奉書式のお礼状です。奉書式でお礼状を送る際は、墨を使って書くと丁寧です。墨を用意するのが難しい場合は、ボールペンでの手書きや印刷を利用してもマナー違反ではありません。
墨を使って書く場合は、四十九日を迎える前までは薄墨、四十九日を迎えてからは濃墨を使うのが一般的です。薄墨には、「涙で墨が薄まった」「突然の不幸で墨をする時間がなかった」などの意味があるためです。
なお、葬儀のお礼状は香典返しと一緒に四十九日以降に送るのが一般的であるため、濃墨を使うのが無難です。
お礼状は一枚に記す
葬儀をはじめとする弔事では、不幸が重なることを連想させるものは避ける必要があります。そのため、お礼状は二枚ではなく一枚に記すよう気をつけましょう。
堅苦しくない文書を送れるような親しい関係の親戚には、何かと伝えたいことがあるかもしれません。しかし、相手に長い文章を読ませるといった負担を避けるためにも、一枚の範囲でまとめられる文章を考えてみましょう。
時候の挨拶は書かない
ビジネスメールや挨拶状を書く際に冒頭に記す時候の挨拶は、葬儀のお礼状においては必要ありません。
また、拝啓や敬具といった頭語・結語については執筆の有無を問いません。特に堅苦しくない葬儀のお礼状を親戚に書きたい場合は、省いてもよいでしょう。
忌み言葉を避ける
お通夜や葬儀での挨拶、弔辞などと同じく、葬儀のお礼状でも忌み言葉は不幸や死を連想させるため使用を避けるのがマナーです。お礼状を書く際には、まず何が忌み言葉に当たるかを確認してから書き始めましょう。
忌み言葉の一例
- 死や不幸を連想させる言葉:生きる、死ぬ、苦しい、四、九、消えるなど
- 不幸が重なることを連想させる重ね言葉:たびたび、しばしば、重ね重ね、ますます、再び、またなど
句読点は使わない
普通の手紙を書く場合と違い、葬儀のお礼状では句読点は使わないのがマナーです。句読点を使いたい部分には、空白を入れるなどして対応しましょう。
句読点を使わない理由は、「葬儀が滞りなく終わるように」という意味を込めて文章を区切らないという説があります。
親戚に送る堅苦しくない葬儀のお礼状の場合は、たとえ句読点を使ってしまってもさほど問題にならないでしょう。しかし、中には気にする方もいるため、基本的に句読点の使用は避けるよう気をつけてください。
親戚に送る堅苦しくない葬儀のお礼状に含みたい内容
ここからは葬儀のお礼状に含めるべき内容とあわせて、お礼状に入れるとよい内容を紹介します。
故人の名前
葬儀のお礼状には、必ず故人の名前を記すことが大切です。お礼状を受け取った方が誰の葬儀のお礼状かを判断できるように「亡祖父 ◯◯」や「故 ◯◯」などと書きましょう。また、戒名がある場合にはそちらも併せて記載します。
葬儀参列や弔電に対するお礼の言葉
葬儀の参列や香典、弔電などに対するお礼の言葉も必ず葬儀のお礼状に含めます。
時間を使って葬儀に来ていただいたこと、お金をかけて供花や香典を送ってくれたことなど、相手の弔意に感謝の気持ちがしっかりと伝わるような言葉を記しましょう。
故人のエピソード
親戚に堅苦しくない葬儀のお礼状を送る際は、故人のエピソードを含めるのがおすすめです。
誰にでも送れるような定形文ではなく、故人の思い出を記すことによって、お礼状を受け取った親戚は故人に思いを馳せられます。また、親戚のためだけに書いたお礼状であることも伝わりやすく、より感謝の気持ちを届けられるでしょう。
香典返しについて
香典や供花をいただいた方には、お礼状と一緒に香典返しを送るのがマナーです。相手に香典返しを受け取ってもらえるようお断りを入れましょう。
香典返しを送らない場合、このお断りは必要ありません。
手紙でお礼を伝えることへのお断り
本来、葬儀のお礼は相手と直接会って伝えるのが正しい作法ですが、近年ではお礼状として手紙を送ることが多くなっています。そのため、お礼状を送る場合は手紙で葬儀のお礼を伝えることになってしまったことへのお断りが大切です。
今後とも変わらぬ親戚付き合いをお願いする挨拶
親戚に送る堅苦しくない葬儀のお礼状の場合、これからも変わらぬ親戚付き合いをお願いする挨拶も加えることをおすすめします。
葬儀を終えたあとに疎遠になってしまう親戚もいるかもしれませんが、この一言があることで「次の法要にあたって手伝えることはないか聞いてみよう」「近くに行った際には挨拶に伺おう」などと、葬儀後も親戚と良好な関係を続けやすくなります。
親戚に送るお礼状の例文
ここからは、親戚に送る堅苦しくないお礼状の例文を紹介します。「定型文は避けたいけれど何を書いたらよいか分からない」「失礼にあたらず堅苦しくない文章を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
弔辞を引き受けてくれた親戚に送る葬儀のお礼状の例文
準備や片付けを手伝ってくれた親戚に送る葬儀のお礼状の例文
弔電や香典をいただいた親戚に送る葬儀のお礼状の例文
家族葬における香典返しの方法
家族葬の場合も、香典をいただいたら香典返しをするのがマナーです。表書きは「志」や「満中陰志」「粗供養」「偲び草」など、地域や宗教、宗派によって異なります。
弔事のため、のしがついている「のし紙」ではなく水引のみがついている「かけ紙」を選ぶことも大切です。また、水引は黒白の結び切りが一般的ですが、地域によっては黄白の結び切りが使われることもあります。
家族葬における香典返しの品物
家族葬における香典返しの品物は、通常の香典返しで送る品物と特に変わりません。香典返しとしてよく選ばれるのは、消耗品や食べ物などの「消えもの」です。これは、不祝儀を後に残さないという理由から定番とされています。
消えものの中でもよく送られるのは、海苔やそうめん、調味料、お菓子、洗濯洗剤、タオルです。昆布やかつお節といった縁起物は香典返しにふさわしくないため、送らないよう注意してください。
家族葬の香典返しの場合は堅苦しくない間柄の親戚に送るため、どのようなものを送ると役立ててもらえるか判断しやすいでしょう。相手のライフスタイルや家族構成などを思い浮かべながら選んでみましょう。何を送ればよいか分からないときには、カタログギフトを送るのもおすすめの方法です。
家族葬における香典返しの費用
家族葬における香典返しも、通常の香典返しの費用と同様で構いません。香典としていただいた額の3分の1から半額程度の価格で、香典返しを選びましょう。
堅苦しくない葬儀の際も最低限のマナーを守って親戚にお礼状を送りましょう
この記事のまとめ
- 葬儀のお礼状とは、香典や供花、弔電などを送っていただいた方にそのお礼を伝えるために送る文書のこと
- 葬儀のお礼状におけるマナーには、①丁寧に書くなら墨を使う②お礼状は一枚に記す③時候の挨拶は書かない④忌み言葉を避ける⑤句読点は使わないなどのマナーがある
- 葬儀のお礼状に含むとよい内容は、①故人の名前②葬儀参列や弔電に対するお礼の言葉③故人のエピソード④香典返しについて⑤手紙でお礼を伝えることへのお断り⑥今後とも変わらぬ親戚付き合いをお願いする挨拶などがある
- 家族葬の場合でも、香典をもらったら基本的に香典返しを送る
- 家族葬における香典返しの品物は、通常の香典返しで送る品物と同じでよい。調味料やお菓子、洗剤などの「消えもの」がよく選ばれる
親戚に送る堅苦しくない葬儀のお礼状の場合も、ある程度のマナーを守って文章を考えることが大切です。「定型文ではなく、親戚に思いが伝わる堅苦しくない文章を書きたい」という方は、本記事で紹介した例文をぜひ参考にしてみてください。
定型文のみでなく自分の思いも記すことで、感謝の気持ちがしっかりと親戚に伝わるでしょう。