火葬に必要な「火葬許可証」とは?発行までの流れや準備するものをご紹介
葬儀を執り行った後はご遺体を火葬しますが、その際に「火葬許可証」が必要になります。とても重要な書類ですが、手続きや申請先などが分からないという人も多いのではないでしょうか?本記事では、火葬許可証発行までの流れや準備しておくもの、申請の際に注意するべきことなどをまとめて解説します。
火葬許可証とは?
火葬許可証は亡くなった人を火葬するために必要な書類で、役所に死亡届を提出した後に発行されるものです。
火葬を行う際に必要な書類であるため、交付された後は大切に保管をしなければいけません。また、納骨する際も火葬許可証が必要になるため、火葬から納骨まで時間が空く場合にはなくさないよう気をつけましょう。
火葬許可証の発行までの流れ
火葬許可証を発行してもらうためには何を準備したらよいのでしょうか?ここからは、火葬許可証の申請に必要なものや流れを解説します。
申請に必要なもの
まず、火葬許可証の申請に必要なものを解説します。役所での手続きに欠かせないものであるため、必要なものを事前に確認しておくと安心です。
死亡診断書(死体検案書)
死亡診断書は、亡くなったことを医学的・法的に証明する公文書です。臨終に立ち会った医師またはご遺体を検案した医師もしくは歯科医による診断を受けて亡くなった状況に不審なところがない場合に交付されます。
死亡診断書に記載されている内容は、亡くなった人の名前や性別、生年月日などに加えて、死亡日時や経緯、亡くなった場所などです。
死亡診断書はさまざまな手続きで必要になるため、数枚コピーしておくとよいでしょう。葬儀社に依頼した場合、スタッフが死亡診断書のコピーを準備してくれることもあります。
万が一、原本を失くしてしまったり足りなくなった場合は、病院などで再発行できます。
死亡届
死亡届は死亡診断書と同じ用紙です。一般的に、書類の左側が死亡診断書、右側が死亡届になっています。死亡届は、亡くなったことを知った日を含めて7日以内に自治体の役所に提出することが法律で定められています。正当な理由がなく期限を過ぎた場合、罰金を課せられる場合もあるため注意が必要です。
火葬許可申請書
火葬許可申請書は火葬許可書を発行してもらうための書類で、役所の窓口で入手可能です。火葬はいつまでに行うという期限は定められていませんが、一般的に火葬許可申請書は死亡届と同時に提出します。ただし、自治体によっては死亡届の提出が火葬許可申請を兼ねている場合もあるため、火葬許可申請書の有無はあらかじめ確認しておきましょう。
届出人の印鑑・身分証明証
役所で手続きを行う際、届出人の印鑑と身分証明証が必要になる場合があります。印鑑は認印で問題ありませんが、シャチハタは使用不可です。記載内容に誤りが見つかった場合、訂正印として使用することもあります。自治体によって必要なものが異なるため、事前にホームページや電話などで確認しておくとよいでしょう。
発行までの流れ
①死亡診断書を受け取る
死亡診断書を受け取る方法は、亡くなったときの状況や場所によって異なります。病院の場合は担当医が記入して発行するため、遺族が発行を依頼する必要はありません。
自宅や介護施設などで亡くなった場合は、かかりつけ医に連絡をして診断してもらってからの発行になります。かかりつけ医がいない場合、救急に連絡して医師が診断を行った後に発行されます。ただし、前回診察を受けてから24時間以内に亡くなった場合は診断せずに発行可能です。
病気療養中ではなく急な病気や事故により亡くなった場合は、死因を特定する死体検案書が発行されます。死因に不明点がある場合、司法解剖や行政解剖などが行われて経緯や原因が判明してからの発行になるため、時間がかかる場合もあります。
②死亡届に記入・押印する
死亡診断書が発行されたら、用紙の右側の死亡届へ必要事項の記入をします。故人の名前や生年月日、亡くなった日時や本籍、故人と届出人との関係、届出人の署名などを記入して押印しましょう。
届出人になれるのは、同居の親族やその他の同居者、亡くなった場所の家屋や土地の所有者、家屋管理人や土地管理人などです。
また、故人と同居していない親族や後見人、補助人や保佐人、任意後見人や任意後見受任者などは、登記事項証明書など謄本を添付すれば届出が可能です。
③火葬許可を申請する
死亡届の準備ができたら行政手続きを行います。役所の窓口で火葬許可申請書をもらい、故人の本籍地や現住所などの必要事項を記入して死亡届と一緒に提出しましょう。
ただし、自治体によっては火葬許可申請書を提出しなくても死亡届を提出するだけで火葬許可証が発行される場合もあります。
また、遺族への負担を考えて、葬儀社が死亡届や火葬許可証の手続きを代行してくれる場合も多いです。すぐに役所に行けない人は、葬儀社へ相談してみるのもよいでしょう。
④火葬許可証が発行される
必要な書類を提出したら火葬許可証が発行されます。火葬はいつまでに行うという決まりはありませんが、葬儀後に火葬される流れが一般的です。ただし、亡くなってから24時間以内は火葬ができないと法律で定められています。
火葬許可証が交付された後の流れ
ここからは火葬許可証が交付された後の流れについて解説しますので、ぜひ目を通してみてください。
火葬場を予約する
火葬場は基本的に葬儀社が予約します。火葬は葬儀・告別式が終了した後、同じ日に火葬場に移動して行われるのが一般的です。しかし、火葬場には限りがあるため、火葬場の空き状況に合わせて葬儀の日程を決定します。
そのため、ご家族が亡くなった場合はまず葬儀社へ連絡を入れ、火葬場の空き状況を確認しましょう。ただし、地域によっては、葬儀の前に火葬を行う場合もあります。
火葬許可証を提出する
火葬の当日には、火葬許可証を火葬場のスタッフに提出します。その書類がなければ火葬が行えないため、当日まできちんと保管して忘れずに持参しましょう。
葬儀社に行政手続きの代行を依頼した場合は火葬許可証をそのまま預かってもらっていることもあるため、火葬場に向かう前に確認しておきましょう。
収骨後に返却される
火葬後のご遺骨を骨壷に納める収骨が終了したら、火葬許可証に火葬執行済みの印や日時が記入され、埋葬許可証として遺族に返却されます。火葬から納骨までは日にちが空いてしまうため、分かりやすい場所に保管しておきましょう。
火葬場によっては、骨壷の入った箱に一緒に収納されている場合もあります。万が一、手元に見当たらないという場合は箱の中を確認してみてください。
納骨の際に埋葬先へ提出する
火葬執行済みの印が押された火葬許可証は、納骨の際に必要になります。一般的に納骨は、四十九日の忌明けの法要と同時に行われることが多いです。墓地や霊園などの埋葬先へ提出しなければならないため、なくさないように自宅できちんと保管しておきましょう。
また、分骨する場合は、その数だけの火葬執行済みの印が押された火葬許可証が必要です。火葬前に分骨することが決まっている場合、事前に火葬場に申し出て必要な分の書類を発行してもらいましょう。
火葬許可証を申請する際に気をつけたいこと
火葬を行うために重要な書類となる火葬許可証ですが、申請する際には気をつけておきたいこともあります。ここからは火葬許可証を申請する際の注意点を解説しますので、ぜひ目を通してみてください。
火葬許可証の申請先
火葬許可証を申請するためには、先述した死亡届などの書類を役所に提出する必要があります。その際の提出先は、故人の住民登録している自治体ではなく、故人の本籍地となります。故人の本籍地以外では、亡くなった場所の役所(現住所と本籍地が異なる場合)や届出人の現住所への申請も可能です。
火葬許可証を申請する自治体
- 故人の本籍地
- 故人が亡くなった場所
- 届出人の現住所
ただし、故人の本籍地以外の役所に提出する際は、死亡届が2通必要になります。亡くなった場所の役所から、本籍地の役所へも死亡届が送付されるためです。
発行から5年以上経過すると再交付は難しい
納骨は四十九日法要後だけでなく、さまざまな事情で期間をあけて行う場合もあります。火葬から納骨まで長期間あく場合は、書類をどこに保管しているのか分からなくなることもあるかもしれません。
5年以上経過すると役所で再交付の対応をしてもらえないこともあるため、なくさないように大切に管理することが大切です。市町村役場では、火葬許可証の保管期間が5年と定められており、5年以内であれば再交付の対応をしてもらえます。
火葬許可証の申請の流れを理解し、大切に保管しましょう
この記事のまとめ
- 火葬許可証は、火葬や納骨する際に必要な書類
- 申請には、死亡診断書・死亡届・火葬許可申請書・届出人の印鑑や身分証明書などが必要
- 発行までの流れは①死亡診断書を受け取る、②死亡届に記入・押印する、③火葬許可を申請する、④火葬許可証が発行される
- 火葬する際に火葬場に提出し、火葬執行済の印をもらい、納骨の際に埋葬先に提出する
- 発行から5年以上経過すると役所での再発行は難しいため、大切に保管する
火葬許可証は、火葬や納骨に欠かせない書類です。大切なご家族が亡くなった際には、葬儀の手配や訃報連絡、親族への対応に加え、さまざまな手続きが必要になります。葬儀社に申請を代行してもらうことも出来ますが、発行後は埋葬の際に必要となるので大切に保管しましょう。