家族葬で香典返しは必要?品物の相場や選び方とあわせて紹介

一般的に葬儀を執り行った場合、香典をいただいた方には香典返しを渡します。しかし、限られた人数で執り行われる家族葬では、香典返しを用意すべきかお悩みの方もいるでしょう。本記事では、家族葬で香典返しが必要なのか、また香典返しが必要な場合はどのようなものを選べばよいのか、品物の相場や選び方をあわせて紹介します。
家族葬とは

家族葬とは、家族や親戚のみで執り行う小規模の葬儀のことです。場合によっては生前故人と親しかった友人を招くこともありますが、多くは10人〜30人で行われます。
家族葬が選ばれている理由は、故人とゆっくりお別れがしたい、さまざまな事情により参列者が少ない、葬儀にかかる費用を抑えたいなどです。
一般的な葬儀と流れは同じですが、内容によっては葬儀にかかる費用を抑えられる上に参列者の対応がなくなるため、遺族の負担を軽減できます。葬儀の準備が少なく、当日のスケジュールを組みやすくなるため、故人との最後の時間をゆったりと過ごしやすくなるでしょう。
家族葬に香典返しは必要?

近親者だけで執り行われる家族葬は、一般的に香典返しは必要ないとされています。しかし、当日香典を持ってきた人がいる場合はどのような対応をすればよいのでしょうか。
香典を辞退するのが一般的
家族葬では参列者が限られており、家族や親戚のみで執り行われることが多いため、香典を辞退するのが一般的です。そのため、葬儀に参列する方が迷わないように、葬儀の案内に香典を辞退することを記載して、事前に伝えておくのがよいでしょう。
ただし、必ずしも家族葬で香典を辞退しなければならないというルールはないため、遺族の意向や参列者との関係によっては、香典を受け取る場合もあります。
香典を受け取った場合は、一般的な葬儀と同様に香典返しが必要です。
当日は会葬御礼の品物を用意する
家族葬で香典を辞退していても、葬儀当日の参列者に渡す会葬御礼の品物は用意する必要があります。会葬御礼は参列していただいた方へのお礼のために渡すもので、香典返しとは別の品物です。
会葬御礼の品物の相場は500円〜千円程度で、海苔やお茶などの消え物が適しています。さらに、参列者へのお礼を記した会葬礼状とお清めの塩の三つがセットになっているのが一般的です。
ただし、家族や親戚のみで執り行われる家族葬では、会葬御礼も省略する場合もあります。
家族葬で香典返しが必要になる場合

家族葬で香典を辞退していても、「どうしても故人への哀悼の意を表すために香典を渡したい」と言われる場合もあります。その際は強く断ることなく、お気持ちを受け入れるようにしましょう。ここからは、どのようなときに香典返しが必要になるか、例を挙げて紹介します。
参列者から香典を受け取った場合
参列者から香典を受け取る際は、いただいた感謝の気持ちと、後日あらためて香典返しを送ることを伝えておきます。
家族葬の香典返しを送る時期は、一般的に四十九日法要を終えた忌明けから1ヵ月以内が目安です。
現金書留で香典が送られてきた場合
家族葬に当日参列できない方から、後日現金書留で香典が送られてくることもあります。この場合も、四十九日法要を終えた忌明けから1ヵ月以内に香典返しを送りましょう。
ただし、家族葬を終えてから香典を受け取ったお礼は、四十九日法要より前に電話等で早めに伝える必要があります。メールやLINEで連絡する方も増えていますが、マナーとしては好ましくありません。普段から連絡を取っている方ならメールやLINEでもよい場合もありますが、一般的には電話で連絡するのがよいでしょう。
葬儀後の弔問で香典を渡された場合
家族葬を終えてから、自宅へ弔問に訪れた方に香典を渡された場合も、忌明けから1ヵ月以内に香典返しを送るのが一般的です。
家族葬で香典を辞退し、ほかの方からも受け取っていない場合は、弔問者からの香典を受け取らないこともあります。しかし、弔意の表れでもあることから強く断るのは失礼にあたるため、相手の気持ちを尊重し快く受け取ってもよいでしょう。
忌明け後に弔問に訪れた方から香典をいただいたら、香典返しは1週間〜10日以内に送るのがよいとされています。
家族葬の香典返しの相場

ここからは、家族葬の香典返しの相場について解説します。忌明け後に香典返しを渡す場合と家族葬の当日に渡す場合の相場の違いも確認しておきましょう。
香典の半返しが一般的
家族葬の香典返しの相場は、香典の半返しが一般的です。半返しとは、いただいた香典の金額の半額程度とされています。
ただし家族葬の場合、近しい親戚から高額な香典をいただくこともあるでしょう。その場合、香典の半返しではなく、いただいた金額の1/3程度でもよいとされています。
即日返しは2千円〜3千円
香典返しは忌明け後が一般的ですが、近年は家族葬の当日に返す「即日返し」も増えています。
この場合の香典返しの相場は、2千円〜3千円です。葬儀の香典の相場が5千円〜1万円のため、その金額の1/3〜1/2を目安にした金額とされています。
ただし、家族葬の当日に高額の香典をいただいた際は、即日返しだけでなく、後日改めて香典返しを送った方がよいでしょう。その場合の香典返しの相場は、香典の1/3〜1/2が目安です。
会社名義の香典には香典返しは不要
家族葬に会社名義で香典を渡された場合は、福利厚生の慶弔金の可能性が高いため、香典返しは不要とされています。供花や弔電についても会社名義であれば、お返しは不要です。
しかし、故人が生前お世話になった上司や同僚などから、個人名や連名で香典を渡された際は、忌明け後に香典返しを送る必要があります。
家族葬の香典返しの選び方

家族葬の香典返しの選び方として、香典返しに相応しい品物と避けた方がよいものを紹介します。
香典返しに相応しい品物
家族葬の香典返しに相応しい品物は、一般葬と同様に消え物がよいとされています。消え物には「不幸が残らないように」という意味が込められており、食品や飲料、日用品などがおすすめです。
例えば、お菓子や海苔、お茶やコーヒー、タオルやハンカチ、洗剤などは、日常でよく使用し保存しやすいというメリットがあります。
相手の好みがわからず香典返しの選び方に迷った場合、好きな品物を選べるカタログギフトを送るのもよいでしょう。
香典返しで避けた方がよいもの
香典返しで避けた方がよいものは、ほかの弔事と同様に慶事を連想される品物や「四つ足生臭もの」とされています。慶事を連想させるものは、鰹節や昆布、お酒などが挙げられます。「四つ足生臭もの」とは、肉類や魚類です。
また、お酒や生花なども香典返しには相応しくありません。
家族葬の香典返しに同封する挨拶状の書き方

家族葬の香典返しに同封する挨拶状は、相手に不快な思いをさせないように、マナーを踏まえた書き方をする必要があります。ここからは、挨拶状の書き方のポイントを紹介します。
忌み言葉を使わない
家族葬の香典返しに同封する挨拶状は、忌み言葉を使わないように注意しましょう。忌み言葉とは、特定の場面で使用すると縁起が悪いとされる言葉のことです。例えば「死」や「生きる」など、生死に関する直接的な言葉です。
また、重ね言葉も避けましょう。「ますます」「たびたび」といった重ね言葉は、不幸が重なることを連想させるためです。
仏式の家族葬を行った場合は、「迷う」「浮かばれぬ」といった言葉も避けてください。「故人が安らかに成仏できなくなる」と考えられているためです。
季節の挨拶は必要ない
家族葬の香典返しの挨拶状では、季節の挨拶は必要ありません。また、「敬具」「拝啓」といった頭語もなくてもよいとされています。
一般的に、挨拶状の書き方はどのような相手にも送ることができる文面にするのが無難です。故人と生前特に親しかった方や家族ともお付き合いのある方などに送る場合のみ、手書きでメッセージを書いたり、故人を偲ぶ文面にしたりするのがよいでしょう。
句読点を使わない
家族葬の香典返しの挨拶状に、「、」「。」などの句読点は使わない方がよいとされています。これは「四十九日法要が滞りなく終えたことを伝える」や「毛筆の書状に句読点を用いる習慣がなかった」などが由来とされているためです。
長文にならない
家族葬の香典返しの挨拶状は、長文にならないよう注意が必要です。「ご厚意へのお礼の言葉」「無事に法要を終えた旨の報告」「香典返しを送ることの説明」「結びの挨拶」などを短文で記載しましょう。
用紙の数にも決まりがあり、1枚のみに収めます。不幸が重なることを連想させないためや、相手に負担を与えないなどの配慮が理由です。
家族葬の香典返しの挨拶状は、「奉書紙」を使用するのが一般的でしたが、近年ではハガキタイプやカードタイプなどの挨拶状も使用されています。
挨拶状を入れる封筒の種類は、白無地の一重が一般的です。
家族葬の香典返しは相場に合った相応しい品物を挨拶状を添えて送りましょう

この記事のまとめ
- 家族葬では香典を辞退するのが一般的
- 香典を受け取らなくても会葬御礼は必要
- 香典をいただいたら、四十九日法要から1ヵ月以内に香典返しを送る
- 近年は、当日返しも増えている
- 家族葬の香典返しの相場は香典の半返し
- 香典返しは食品や日用品などの消え物が適している
- 香典返しには挨拶状を添える
家族や親戚のみで執り行われる家族葬では、香典を辞退することが多いため、香典返しは不要とされています。ただし、相手のご厚意により香典をいただく場合もあるため、受け取った際は香典返しが必要です。香典返しの選び方や挨拶状の書き方などマナーを踏まえて、香典返しには挨拶状を添えて送りましょう。

2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。