血管を強くする食べ物とは?意識したい栄養素・生活習慣やおすすめのレシピを紹介
体中に血液と栄養を運ぶために重要な役割を果たしている血管も、加齢とともに老化します。毎日の健康を維持するためには強くてしなやかな血管を維持することが理想的です。本記事では、血管を強くするために摂りたい食べ物や栄養素、生活習慣について解説します。
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業。
管理栄養士として病院に勤務し、患者様の栄養管理及び栄養指導に従事。
糖尿病患者や腎臓病患者を中心に、病状の進行を防ぐための食事指導を行う。食事と健康、美容に関する記事を中心に管理栄養士ライターとして活動中。
血管が老化する原因とは?
血管は年齢とともに老化し、柔軟性や弾力性を失っていきます。血管の老化が進むと、血管は硬くてもろい状態となり、血流も悪くなることでさまざまな病気の原因になります。加齢とともに老化する血管ですが、実は年齢よりも食生活や生活習慣が影響すると言われています。
血管を強くする食事のポイント
血管の老化には食べ物が大きく影響します。そのため、血管を強くするためには食事内容に注意をはらうことが必要です。ここでは、血管を強くする食事のポイントを紹介します。
塩分の多い食べ物を控える
塩分を摂り過ぎるとナトリウム濃度が高くなり、浸透圧の影響で血流量が増加します。血流量が増えると、血管内部の圧力が高まるため血圧が上昇します。高血圧は血管の負担となり、血管を老化させます。柔軟性のある強い血管を維持する為には、塩分の摂りすぎに注意する必要があります。
糖質の多い食べ物を控える
糖質は活動のエネルギー源になる重要な栄養素です。しかし、糖質を摂り過ぎると脂肪となって身体に蓄積され、肥満の原因となります。また、血液中に増えすぎた糖は同じく血液中にあるたんぱく質と結びつくことで終末糖化産物(AGEs)と呼ばれる老化物質を産生します。このAGEsは血管の老化にも影響します。
AGEsが増えることで血管は柔軟性や弾力性が失われ、硬くてもろい状態になるのです。さらに糖は血管壁にある内皮細胞に入り込み、活性酸素を発生させることで血管を傷つけることもあります。このように、糖質の摂り過ぎは動脈硬化を促進させ、さまざまな生活習慣病の原因となります。
強い血管を維持するために、糖質を多く含む食物の摂りすぎには注意しましょう。特に、菓子類や清涼飲料水などは控えることをおすすめします。
善玉コレステロールを増やす
コレステロールには身体にとってよい働きをする善玉(HDL)コレステロールがあります。HDLコレステロールは、血管内に蓄積した悪玉(LDL)コレステロールを除去したり、血液を固まりにくくして血栓を予防するなど、動脈硬化を防ぐ働きがあります。
そのため、HDLコレステロールを増やすことが血管を強くし、健康維持につながります。HDLコレステロールを増やすには、バランスの良い食事を摂り、適度な運動をし、禁煙を心がけましょう。
血管を強くする栄養素
たんぱく質
たんぱく質は血管をつくる重要な構成成分です。良質なたんぱく質を摂ることで、強い血管を作ることができます。さらに、肉や魚、卵や乳製品に多く含まれている動物性たんぱく質をしっかり摂ることで血管の柔軟性を維持し、肌のハリや若々しさも保つことができます。
ビタミンA、C、E
ビタミンA、C、Eはどれも強い抗酸化作用を持つビタミンです。それぞれが抗酸化作用を持つため、個々で食べても血管を強くする効果はありますが、ビタミンACE(エース)と呼ばれるように一緒に摂ることで相乗効果により抗酸化力を高めることができます。
ビタミンAは緑黄色野菜やレバー、ビタミンCは果物や野菜、ビタミンEはナッツ類や植物油などに多く含まれている栄養素です。
DHA、EPA
青魚に多く含まれるDHA、EPAは人の体内で作ることのできない必須脂肪酸です。身体を構成する成分であるため、青魚などの食べ物から必ず摂取しなければなりません。さらにDHA、EPAには血中の中性脂肪を減らし、動脈硬化や血栓を予防する作用もあります。
食物繊維
穀類や芋、野菜・果物に多く含まれている食物繊維は人の体内では消化できないため、糖質やLDLコレステロールを包み込むことにより吸収を抑制し、体外へ排出する効果があります。これにより、血糖値の急上昇を抑えたり、血液中のLDLコレステロールが増えるのを防止します。
食物繊維を多く含む食べ物を食べて、高血糖や高LDLコレステロールを予防し、血管を強くして動脈硬化を防ぎましょう。
カリウム
カリウムは高血圧の原因となるナトリウムを体外に排出する作用があります。そのため、血流量の増加を抑制し、血管の硬化を防ぐことが期待できます。カリウムは、野菜や果物、イモ類、豆類、海藻類などの食べ物に多く含まれています。積極的に摂るようにしましょう。
ポリフェノール
植物の苦み、渋み成分であるポリフェノールは5,000種類以上存在しますが、全てのポリフェノールが強い抗酸化作用を持っています。飲み物では、お茶や赤ワイン、食べ物では、柑橘類の皮、大豆、ブルーベリーなど幅広い種類の食材に含まれています。血管を強くするために取り入れたい栄養素です。
血管を強くすることが期待できる食べ物
血管を強くする食べ物①青魚
青魚には、血管を強くする脂質であるDHA、EPAが豊富に含まれています。特に、EPAには血中の中性脂肪を減らし、動脈硬化や血栓を予防する作用があります。これらの脂質は必須脂肪酸と呼ばれ、人の体内では合成できないため、必ず食べ物から摂らなければなりません。
必須脂肪酸は細胞膜やホルモンの材料となったり、コレステロール代謝にも関与する栄養素です。そのため、不足すると血管の老化に加え、皮膚の乾燥や脱毛、脂質異常症の原因となるため注意が必要です。青魚は強い血管を保ち、健康維持に重要な栄養素を含む食べ物のため、意識して食べるようにしましょう。
血管を強くする食べ物②納豆
納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」は血栓を防ぎ、血液をサラサラにする効果があります。さらに原料となる大豆は脂質代謝を促すビタミンB2が豊富に含まれるため、悪玉コレステロールを減らす効果も期待できます。血流をよくする食べ物である納豆も食事に取り入れてみてください。
血管を強くする食べ物③野菜
野菜は、抗酸化作用のあるビタミンが多く含まれる食材です。特にビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化力は強く、血管の硬化を予防します。三つのビタミンを一緒に摂ることで抗酸化力が高まるため、三つをバランスよく含むトマト、カボチャは特におすすめです。
血管を強くする食べ物④きのこ類
きのこ類には、コレステロールや血糖値を抑える食物繊維が含まれています。また、塩分を排出する作用のあるカリウムも豊富です。特にシイタケにはコレステロールを抑え、血圧を正常に保つ効果のある「エリタデニン」が含まれています。
エリタデニンには、血液を固まりにくくして血栓を予防する作用もあり、動脈硬化を防ぎ血管を強くする効果が期待できます。
血管を強くする食べ物⑤海藻類
海藻類にはコレステロールの上昇を抑える食物繊維が豊富に含まれています。さらに、海藻にはカリウムも多く含まれており、高血圧の原因となるナトリウムを体外に排出する作用もある食材です。強くしなやかな血管を作るために、海藻類も積極的に食べましょう。
血管を強くする食べ物⑥お茶
お茶に含まれる成分のうち、血管を強くする効果が期待できるのはポリフェノールです。お茶には「カテキン」と「タンニン」2種類のポリフェノールが豊富に含まれています。
お茶の渋み成分であるカテキンは、脂肪の吸収を抑制したり、血糖値を低下させる作用があります。さらにタンニンも強い抗酸化作用があるため、これらを含むお茶は血管の老化を防ぎ、柔軟性の維持に役立ちます。水分補給の際には、お茶を飲んで血管を強くしましょう。
血管を強くしたい方におすすめのレシピ
ここでは血管を強くする栄養素を含む食材を使ったレシピを紹介します。血管の老化を防ぎ、強くてしなやかな血管を作るために参考にしてください。
和風ロールキャベツ
キャベツは血管を強くするビタミンCが多く含まれる食材です。ロールキャベツにして、煮込んだスープも食べることで野菜から出た栄養成分も無駄なく摂ることができるメニューです。
材料(4人分)
- 鶏ひき肉 200g
- 豆腐 300g
- 玉ねぎ 1/2個
- だし汁 600CC
- しめじ 1パック
- キャベツ 8枚
- 塩しょう 少々
- 麺つゆ 大さじ4
作り方
- キャベツを1枚ずつはがし、芯を切り落とす
- 600Wの電子レンジで約4分熱し、しんなりさせる
- 玉ねぎはみじん切り、豆腐は水切りしておく
- ボウルにひき肉、玉ねぎ、豆腐、塩こしょうを入れて粘りが出るまで練り混ぜる
- ④を8等分し、キャベツで包んで爪楊枝で固定する
- 鍋にロールキャベツを入れ、だし汁、しめじ、麺つゆを加えて火にかける
- 落し蓋をして弱火で40~50分煮たら完成
サバと野菜の黒酢あんかけ
このメニューでは、DHA、EPAを多く含む青魚のサバ、ビタミン豊富な野菜、クエン酸を含む黒酢と、血管を強くする栄養素を多く摂ることができます。あんかけにすることで、野菜から溶け出た栄養素も一緒に摂れるためおすすめです。
材料(2人分)
- サバ 2切
- こしょう 少々
- 片栗粉 適量
- 玉ねぎ 1/4個
- にんじん 1/4本
- ピーマン 1/2個
- ★黒酢 大さじ3
- ★醤油 大さじ2
- ★砂糖 大さじ2
- ★みりん 大さじ1
- ★鶏ガラスープ 小さじ1
- ★水 大さじ3
- ★片栗粉 小さじ1
作り方
- サバの皮目に切り込みを入れ、こしょうを振る
- 野菜はすべて千切りにする
- サバに片栗粉をつけて、170度の油で皮目から揚げる
- フライパンに油をひき、にんじん、玉ねぎ、ピーマンの順に炒める
- 野菜に火が通ったら(★)の材料をすべて入れて餡を作る
- 揚げたサバに⑤の餡をかけたら完成
いわしの豆腐ハンバーグ
青魚のイワシはDHA、EPAを豊富に含む食材です。ハンバーグにすることで柔らかく食べやすいメニューになっています。豆腐の原料である大豆にも血液中の余分なコレステロールを減らす働きがあるため、合わせて摂ることで血管を強くする効果が高まります。
材料(2人分)
- イワシ 大4尾
- 豆腐 150g
- 味噌 小さじ1
- しょうが 小さじ1
- 片栗粉 大さじ2
- 大根おろし 適量
- 大葉 適量
- ポン酢 適量
作り方
- イワシの頭と内臓をとり、身と骨に分ける
- キッチンペーパーで余分な水分を取り除く
- 身が細かくなるまでたたく
- ③にほかの材料をすべて入れて混ぜる
- 成形し、フライパンの蓋をして中~弱火で焼く
- 爪楊枝を指して、タネが楊枝につかなくなれば完成
食事以外で実践したい生活習慣
血管を強くするには食べ物だけでなく生活習慣を見直すことも大切です。ここでは、強くて柔軟性のある血管を保つために取り入れたい生活習慣を紹介します。
適度な運動
運動不足は肥満にもつながり、血管を硬くする原因になります。血管を強くするために適度な運動を取り入れるようにしましょう。おすすめは、軽い有酸素運動です。有酸素運動によって血流をよくすることで、血管の内皮細胞の働きも活性化されて血管のしなやかさを保つことができます。
同じ運動でも、無理な筋トレや激しすぎる運動は血管にとってストレスとなり、負担をかける場合もあるため注意が必要です。ウォーキングや水泳、散歩など軽い運動を毎日続けるよう心がけましょう。
良質な睡眠
傷ついた血管の修復は、睡眠中に行われます。良質な睡眠によって1日の疲れを取り、血管をつくるのに必要なホルモンがしっかり分泌されることで、柔軟性があり強い血管を維持できます。さらに、睡眠不足は生活習慣病のリスクを高めたり、症状を悪化させる場合もあるため注意が必要です。睡眠は大切にしましょう。
ストレスをためない
ストレスは自律神経のバランスを崩し、交感神経が優位になり続けることで血管が収縮し、血流を悪くします。ストレスは無意識のうちに身体に悪影響を与えていることがあるため、注意が必要です。楽しめる趣味や運動習慣を持つなど、ストレスを発散する習慣をつくるのもおすすめです。
血管を強くするために、必要な栄養素やポイントを押さえた食事を摂りましょう
この記事のまとめ
- 血管の老化は、乱れた食生活や生活習慣が影響している
- 糖質や塩分の摂り過ぎは血管を傷つける
- 脂質の中でもHDLコレステロールは血管の柔軟性を保つ作用がある
- 血管を強くする栄養素を意識して摂る
- 適度な運動や睡眠など生活習慣の改善も必要
血管を強くするためには、健康的な食生活が重要です。今回紹介した、血管を強くする栄養素やそれらを豊富に含む食べ物を普段の食事に取り入れてみてください。
また、健康な血管を維持するためには規則正しい生活習慣が大切です。血管を傷つける原因となる喫煙やストレスはできる限り減らし、適度な運動を取り入れるなど、できることから実践していきましょう。
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