30代の孫が読む弔辞の例文集!基本構成や読む際の注意点を解説
祖父母の葬儀で、孫が弔辞を頼まれることがあります。弔辞は急に依頼されることも多く、何を話そうかと悩まれる方も多いのではないでしょうか。本記事では、30代の孫が弔辞を読む際の例文を紹介します。弔辞の構成や注意点などについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
2006年に葬儀の仕事をスタート。「安定している業界だから」と飛び込んだが、働くうちに、お客さまの大切なセレモニーをサポートする仕事へのやりがいを強く感じるように。以来、年間100件以上の葬儀に携わる。長年の経験を活かし、「東京博善のお葬式」葬祭プランナーに着任。2023年2月代表取締役へ就任。
弔辞とは
弔辞とは、葬儀や告別式で故人に向けて読む最後のメッセージです。友人や親戚、同僚など、生前故人と親しかった人が依頼を受けることが多く、故人の功績を称えたり、感謝の気持ちや追悼の意などを述べます。弔辞は、遺族が2~3人に依頼するのが一般的です。
30代の孫が弔辞を読む場合
30代の孫が祖父母に向けて読む弔辞は、思い出や感謝の気持ちを伝える手紙のようなものです。友人や同僚が弔辞を読む場合は故人の功績を称えることが多いですが、30代の孫は祖父母との思い出やエピソードを中心に構成するのが一般的です。
30代の孫が読む弔辞の基本構成
ここでは、弔辞の構成について解説します。基本的な構成に沿って組み立てることで文章がまとまり、参列者にも伝えやすくなります。弔辞の書き方の形式を把握し、原稿を準備するとよいでしょう。
①最初に故人との関係を紹介
弔辞の最初に故人との関係を紹介します。孫が読む弔辞は祖父母にあてた最後の手紙ですが、30代の孫として祭壇前で読み上げるもののため、葬儀や告別式の場にふさわしい言葉遣いを心掛けましょう。
②訃報を聞いたときの気持ち
次に、祖父母の訃報を聞いたときの気持ちを述べます。30代の孫にふさわしい大人らしい文章であることも大切ですが、親族や参列者が気持ちを理解できるよう孫らしい素直な言葉で表現しましょう。
③故人との思い出
30代の孫の弔辞では、祖父母との思い出やエピソードを話します。一緒に過ごして楽しかったことや、祖父母に教えてもらったことなどを話しましょう。
思い出は、祖父母の人柄がよく伝わるような内容のものを選びます。また、参列者が共感できるよう、できるだけ具体的に話せる思い出を用意しましょう。
④別れの言葉や感謝の気持ち
弔辞の最後に、祖父母への感謝の気持ちと別れの言葉を述べます。30代の孫であっても、「ありがとう」や「さようなら」といった、シンプルなお別れの言葉でも問題ありません。「長い間お疲れさまでした」や「どうか安らかにお眠りください」といった、30代の孫らしい言葉遣いを選ぶとよいでしょう。
30代の孫が読む弔辞の例文
ここでは、30代の孫が読む弔辞の例文を紹介します。例文は30代の孫らしく社会人としての表現や言葉遣いを意識しつつも、あまり堅苦しくなりすぎないようまとめました。
思い出をメインにした弔辞の例文
祖母である東博花子との、別れのときがやってきてしまいました。祖母の訃報を聞いたときには大変ショックで、本日祖母へお別れを伝えなくてはならないことをいまだに実感できずにいます。
祖母は私にとって、それは優しいおばあちゃんでした。私が小学生の頃の出来事なのですが、友達とけんかして泣きながら帰ったとき、余計なことは一切聞かずに静かに私の話を聞いてくれました。それでも気持ちが収まらずにいつまでも泣く私に、好物のドーナツを作ってくれたことは懐かしい思い出です。
私が中学生の頃には、反抗期で冷たい態度を取ってしまったときにも、適度な距離感を保ち優しく接してくれました。親にも相談できず悩んでいたときも、私の気持ちが落ち着いた頃を見計らって声を掛け、解決策を一緒に考えてくれました。祖母が私の安心できる場所を作ってくれたことを、今でも鮮明に覚えています。
私にとって心の拠り所だった祖母との別れは悲しいですが、優しく接してくれた祖母との思い出は、これからも私の拠り所となってくれるでしょう。おばあちゃん、いつも私のことを気にかけてくれてありがとう。おばあちゃんの孫で本当によかった。天国からどうぞ私たちのことを見守っていてください。長い間お疲れさまでした。
感謝の気持ちをメインにした弔辞の例文
この度は祖父東博太郎の葬儀に際して、ここに謹んで追悼の辞を述べさせていただきます。いつか別れの日が来ることは覚悟していたものの、訃報を聞いたときには悲しみで胸がいっぱいになり、いまだ実感ができずにおります。
祖父は普段は優しく穏やかでしたが、私が挨拶の仕方やお金の使い方など、間違った行動をしたときには厳しく叱ってくれる人でした。幼い頃はそんな祖父の厳しい側面を怖く感じ、「おじいちゃん嫌い」などと言ってしまうこともありました。
しかし祖父が教えてくれた礼儀作法は、大人になった今、円滑でスムーズな社会生活の役に立っています。祖父の教えてくれた礼儀作法から、相手を敬う気持ちや思いやりも学びました。そんな祖父の厳しいながらも優しい教えがあったからこそ、今の私があるのだと思います。
私の将来を考え、嫌われることを覚悟で根気よく礼儀作法を教えてくれた祖父には、感謝の気持ちでいっぱいです。おじいちゃん、本当にありがとうございました。これからも、おじいちゃんの教えに恥じぬよう生きていきたいと思います。これからも、私のことを見守ってください。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
葬儀で弔辞を読む流れ
ここからは、葬儀における弔辞の流れについて解説します。弔辞でお別れのメッセージを読む際は、順序とマナーがあります。初めて弔辞を読む場合は、流れを確認し把握しておきましょう。
①司会者から名前を呼ばれたら祭壇前へ行く
弔辞を読むときには、司会者から名前を呼ばれてから起立して祭壇の前に行きます。弔辞を読み上げる人は2~3人が一般的なため、名前を呼ばれるのを待ちましょう。
②僧侶と遺影、遺族に一礼する
祭壇の前に立ったらすぐに弔辞を読み上げるのではなく、僧侶と遺族に一礼します。そして、弔辞を読み始める前に、遺影に向かって一礼しましょう。
③弔辞を包みから出し読み上げる
遺影に一礼したら、弔辞を包みから取り出します。「弔辞」の文字が上になるように左手で持ち、右手で包み(奉書紙・封筒)から便箋を取り出し開きましょう。弔辞の便箋は両手で持ち、ゆっくりと読み上げます。
弔辞を封筒に入れる場合は、一重のタイプを準備しましょう。二重になった封筒は「不幸が重なる、繰り返される」といったイメージがあり、縁起が悪いため避けてください。
④弔辞を包みに戻し御霊前に置く
弔辞を読み終えたら、包みに戻して御霊前に置きます。弔辞を御霊前に供えるときには、両手で胸の高さに持ち、「弔辞」の文字が霊前に向くようにして捧げましょう。葬儀場によって、スタッフが弔辞を預かり弔辞台へ捧げる場合もあります。
⑤僧侶と遺影、遺族に一礼して席に戻る
最後に、遺影と僧侶、遺族に一礼してから席に戻ります。しかし、葬儀場によっては弔辞の流れが異なる場合もあるため注意してください。心配な場合は、葬儀が始まる前にスタッフに確認することをおすすめします。
30代の孫が弔辞を読む際の注意点
最後に、30代の孫が弔辞を準備する際に注意すべき点を解説します。親族や参列者が不快な思いをしないように、マナーに気を付けましょう。
孫らしさを残しつつ、年齢に合った言葉遣いを意識する
30代の孫が読む弔辞は、孫らしさを残しつつ年齢に合った言葉遣いを意識して文章を作りましょう。30代であっても孫ですから、いつも祖父母に接していたような言葉遣いをしてしまいそうになるでしょう。しかし、30代の孫は大人らしくあることを求められます。大人としての視点で、弔辞を用意しましょう。
短く簡潔にまとめる
30代の孫が読む弔辞の時間は、3分以内に短く簡潔にまとめましょう。一般的に、1分間で読める文字数は300~400文字程度とされています。しかし弔辞は読むまでの流れもありますし、ゆっくりと話すことも意識する必要があります。600~900文字程度で準備すると、ちょうどよい長さになるでしょう。
ゆっくりと話す
30代の孫の弔辞では、ゆっくりと感情を込めて読みましょう。30代であっても、弔辞を読むときは緊張するものです。慌てると早口や棒読みになってしまいます。30代の孫の弔辞は、祖父母に語り掛けるように心を込めて読むとよいでしょう。
忌み言葉・重ね言葉を使わない
30代の孫の弔辞は、忌み言葉や重ね言葉を使わないよう注意しましょう。忌み言葉や重ね言葉は不幸なことを連想させるため、弔辞にはふさわしくありません。弔辞を書き終えたら必ずチェックしてください。
たとえ孫であっても、30代は大人らしさを求められます。一般的なマナーは押さえておきましょう。
忌み言葉・重ね言葉の一例 | |||
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忌み言葉 | 死ぬ・消える・切る・苦しい | ||
重ね言葉 | ますます・たびたび・しばしば・いろいろ・再び |
死に関する直接的な言葉を避ける
30代の孫が読む弔辞は、死に関する直接的な言葉を使わないよう注意しましょう。直接の死因に触れるのはもちろん、「死ぬ」「急死」「生きていたとき」といった直接的な表現は弔辞にはふさわしくありません。
弔辞で死に関する言葉を使うときは直接的な表現を避け、葬儀にふさわしい言葉に言い換えましょう。
死に関する直接的な言葉の言い換え | |||
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死ぬ | 逝去 | ||
急死 | 突然のこと | ||
生きていたとき | お元気な頃 |
例文を参考に、孫として祖父母への思いを弔辞で伝えよう
この記事のまとめ
- 30代の孫の読む弔辞は、経歴や功績ではなく思い出やエピソード中心にする
- 弔辞は基本的な構成に沿ってまとめる
- 弔辞を読む一般的な流れを把握しておく
- 30代の孫の弔辞は社会人らしい表現を意識しつつ、孫らしさを残す
- 30代の孫の弔辞は短く簡潔にまとめ、ゆっくりと話す
- 忌み言葉・重ね言葉を使わない
- 死に関する直接的な言葉を避ける
30代の孫による弔辞は、社会人らしさも必要ですが故人である祖父母との思い出を振り返り気持ちを伝える場です。弔辞の基本構成や流れ、注意点などを押さえておきましょう。祖父母に気持ちが伝わるような、30代の孫らしいメッセージを用意してください。