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葬儀を知る

曹洞宗で読まれるお経とは?意味・成り立ち・教え・唱え方など徹底解説

曹洞宗で読まれるお経とは?意味・成り立ち・教え・唱え方など徹底解説

日本三禅宗の一つの「曹洞宗」では、どのようなお経が読まれるのかをご存知ですか?本記事では、曹洞宗で読まれるお経や意味、唱え方まで詳しく解説します。また、修行において座禅を重要視する曹洞宗の成り立ちや教えにも触れているため、ぜひ最後までご覧ください。

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曹洞宗とは

庭を見る坊さん

曹洞宗とは、鎌倉時代に「道元」が中国から日本に伝えたとされる禅宗です。日本三禅宗の一つとされており、寺院数や信者数が多いといわれています。福井県の「永平寺」と神奈川県横浜市の「總持寺」の二つの大本山があるのも特徴です。身体を整え、無心で座禅を行う修行を重要とする教えを持っています。

曹洞宗の成り立ち

永平寺

曹洞宗はどのようにして成り立ち、広まっていったのでしょうか。曹洞宗を日本に広めた道元の歩みとともに、曹洞宗の成り立ちについて解説します。

道元が宋に渡り如浄(にょじょう)のもとで修行する

道元は幼い頃に両親を亡くし、14歳で比叡山にて出家しました。24歳になると宋に留学し、天童山で出会った「如浄(にょじょう)」のことを師と仰ぐようになったのです。

如浄が伝える曹洞宗とは中国の禅宗の一つです。座禅の修行をひたすら続けた道元は、悟りを得たことを認める「印可(いんか)」を受けました。

帰国後、著書「普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)」を執筆・興聖寺を建立する

宋から帰国後、道元は座禅の教えを広める目的で、『普勧座禅儀(ふかんざぜんぎ)』を執筆しました。さらに、京都に布教と修行の拠点とする「興聖寺」という寺院を建立したことにより、多くの弟子も集まりました。

また、道元は寺院外の民衆にも、禅宗の教えである座禅を重要視する教えを広めたのですが、ほかの宗派からの入門者が増えてしまい、比叡山から非難された上に圧力をかけられてしまいます。

福井県に永平寺を開山する

師である如浄からの教えにより、権力から離れて修行するよういわれていた道元は、京都の興聖寺を離れて、福井県の山中に「大仏寺」という寺院を建立しました。これが後の曹洞宗の大本山の一つになる「永平寺」の成り立ちです。

道元の没後は、永平寺で8歳から修行を始めた「瑩山(けいざん)」が、多くの優れた僧侶を育てたことにより、曹洞宗発展の基礎を作ったとされています。

瑩山が54歳のときに能登郡櫛比庄の「諸嶽寺」という寺院を譲り受け、その後に寺名を「御嶽山總持寺」と改めています。明治に入って神奈川県に移転した寺院の「總持寺」がもう一つの大本山です。

曹洞宗の教えとは

説法

曹洞宗は座禅を重要視するのが特徴ですが、その背景にある思想とはどのようなものなのでしょうか。曹洞宗の教えとされる「只管打坐(しかんたざ)」「即身是仏(そくしんぜぶつ)」の二つについて解説します。

只管打坐(しかんたざ)

禅宗の用語である只管打坐とは、一切の雑念を捨て去り、ひたすらに座禅を組み修行することが重要という教えです。

そもそもお釈迦様が悟りを開いたのが、座禅の修行を行った後だったことから、座禅を行っている姿こそが仏の悟りの姿と考えられていました。

そのため、坐禅によって何かを得るのが目的ではなく、身体を整えて無心で坐禅をすること自体を重要としています。

即心是仏(そくしんぜぶつ)

即心是仏とは、「心は仏と異なるものではなく、心自体が仏である」という教えです。つまり、人間として生を受けた者は、仏の心が生まれつき与えられていることを表しています。

そのため、曹洞宗では座禅で心と体を調和し、他人を思いやりながら正しい生活を送ることにより、本来持っている仏の心や姿が現れてくるとされています。

曹洞宗で読まれるお経と意味

お経

曹洞宗で日常的に読まれるお経の日用経典は大きく分けて、「修証義(しゅしょうぎ)」と「般若心経(はんにゃしんぎょう)」の二つです。それぞれのお経の成り立ちや意味を解説します。

修証義(しゅしょうぎ)

曹洞宗の基本のお経とされているものに、道元が著した「正法眼蔵(しょうぼうげんそう)」と、瑩山が修行僧に説いた説法を弟子がまとめたとされる「伝光録(でんこうろく)」があります。

正法眼蔵は、道元が著した仏教の思想書で亡くなるまでの23年をかけて書き綴られました。師である如浄からの教えを承継しながらも、独自の思想に発展させたお経です。

正しい仏法とは何かをテーマとして、重要な禅問答を挙げて注釈を加えています。100巻にも及ぶ構想だったといわれていますが、途中で道元が亡くなったためお経は未完成となっています。

修証義は明治時代に編集されました。正法眼蔵から重要な箇所を抜粋し、全5章31節のお経が書かれた日用経典です。曹洞宗の教えが分かりやすくまとめてあるため、出家していない方も暮らしの中で実践できる要点がまとめられています。

般若心経(はんにゃしんぎょう)

般若心経は多くの宗派で読まれているお経で、曹洞宗でも日用経典として普段から読まれています。「自分の知恵を使って彼岸へ至るまでの教え」をまとめたもので、「般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみったしんぎょう)」が正式名称です。

難解に思える般若心経ですが、お釈迦様の弟子と観音菩薩の対話形式になっています。弟子が「悟りを得て、この世の苦しみから逃れるにはどうしたらよいか」と尋ねるところから始まり、観音菩薩が世の中の在り方を説いていきます。

苦しみや煩悩に囚われることなく、執着や無知から解放される方法がまとめられています。

曹洞宗のお経の唱え方

仏壇

曹洞宗のお経の唱え方には、基本的な手順があります。ここからは、一般的な曹洞宗のお経の唱え方を紹介するので参考にしてみてください。

南無釈迦牟尼仏と三回唱える

曹洞宗のお経の唱え方は、まずお仏壇に水やお茶、ご飯をお供えし、線香を香炉に立てます。これらの一連の動作は、曹洞宗において仏様と向かい合う大事な作法となるため、丁寧に行うことが大切です。

背筋を伸ばし正しい姿勢で座り、手のひらをきちんと合わせて合掌します。その後、リン(鐘)を一回鳴らすごとに、合掌したままで一礼し、これを三回繰り返します。

そして、下腹に大きく息を吸って「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」とお経を三回ゆっくり唱えてください。お経を唱え終わったら、リンを二回鳴らして、合掌したまま一礼をします。

曹洞宗においてお経はいつ唱えても構わないとされていますが、一日の始まりと就寝前の一日二回の唱え方がおすすめです。

時間があれば修証義や般若心経を読む

曹洞宗のお経の普段の唱え方は、南無釈迦牟尼仏と三回唱えるだけでも構いませんが、時間があれば修証義や般若心経を読むのがよいでしょう。

曹洞宗ではお経を必ず毎日唱えなければならないという決まりはないため、自分でできる範囲で行ってください。普段の生活の中で、お経を唱えようとする思いを持ち続けることが大切です。

曹洞宗の葬儀の流れやマナー

合掌

曹洞宗の葬儀は、ほかの宗派との違いはあるのでしょうか。曹洞宗の葬儀の流れやマナーについて解説します。

葬儀の流れ

曹洞宗の葬儀は、以下の流れで執り行われます。

曹洞宗の葬儀の流れ

  1. 剃髪の儀式:僧侶がお経を唱えながら故人の髪を剃るふりをする
  2. 授戒の儀式:懺悔文・三帰戒文 ・三聚浄戒 ・十重禁戒・血脈授与の五つの儀式を行い、仏弟子になった証明の血脈が与えられる
  3. 入棺諷経・龕前念誦:僧侶がお経を唱え、参列者が焼香する
  4. 挙龕念誦:僧侶がお経を唱えながら、太鼓や鐃鈸(にょうはち)を鳴らす
  5. 引導法語:僧侶がお経を唱え、線香で右回りと左回りに円を描き、故人へ引導を渡す

剃髪の儀式は、曹洞宗の僧侶がお経を唱えながら、故人の頭を剃るふりをする儀式です。次の授戒の儀式では、五つの儀式が執り行われます。「懺悔文(さんげもん)」は、生前に犯した罪を告白し、反省する儀式です。

続いて「三帰戒文(さんきかいもん)」「三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)「十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)」という儀式では、仏弟子として仏の教えに帰依し、戒を守ることを誓います。さらに「血脈授与(けちみゃくじゅよ)」によって、仏弟子の証明である血脈が与えられるのです。

その後、入棺諷経(にゅうかんふぎん)、龕前念誦(がんぜんねんじゅ)では、僧侶がお経を唱え、参列者は焼香を行います。挙龕念誦(こがんねんじゅ)は僧侶がお経を読みながら、太鼓や鐃鈸(にょうはち)を鳴らす「鼓鈸三通(くはつさんつう)」という儀式です。

最後に行われる引導法語は、僧侶が故人を仏の世界へと導くお経を唱えて、線香を用いて右回りと左回りに円を描き、故人へ引導を渡します。これが曹洞宗の葬儀の一連の流れです。

焼香のマナー

曹洞宗の焼香の作法は、焼香台の手前で本尊と遺影、位牌に一礼します。一回目の焼香の際は額に押し頂き、念じた後に香炉に入れてください。二回目の焼香の際は額に押し頂かず、一回目のお香の側に焼香します。

数珠のマナー

曹洞宗の数珠の持ち方は、左手の親指と人指し指の間にかけ、房を下に垂らすのがマナーです。108個の珠が二重になり、金属製の輪が入っている数珠が、曹洞宗で正式なものとされています。

焼香が終わったら、数珠を両手にかけ、合掌して礼拝しましょう。合掌は手を軽く合わせ、指先を鼻の高さにします。礼拝する際は、合掌したままで45度に上体を傾けてください。

曹洞宗のお経の意味を理解し、正しく唱えましょう

お坊さん

この記事のまとめ

  • 曹洞宗の成り立ちは道元が宋に渡り如浄のもとで修行した後、福井県に永平寺を開山したこと
  • 曹洞宗の教えは「只管打坐(しかんたざ)」「即身是仏(そくしんぜぶつ)」の二つ
  • 曹洞宗の基本のお経は「正法眼蔵(しょうぼうげんそう)」と「伝光録(でんこうろく)」
  • 曹洞宗で日常的に読まれるお経は「修証義(しゅしょうぎ」と「般若心経(はんにゃしんぎょう)」の二つ
  • 曹洞宗のお経の唱え方は南無釈迦牟尼仏とゆっくり三回唱える
  • 時間のある場合は修証義や般若心経を読む

曹洞宗は座禅の修行を重要視する禅宗の一つで、人間は生まれついたときから仏の心を持っているという教えがあります。苦しみや煩悩に囚われなければ、執着や無知からも解放されると唱えられています。曹洞宗のお経の意味を理解して、きちんとした唱え方をしましょう。

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