仏壇に写真を飾るのはよくない?宗派による飾り方の違いや注意点を解説
いつでも故人の顔が見られるよう、仏壇に故人の写真や遺影を飾りたいと思っている方もいるのではないでしょうか。仏壇には仏具の配置などに決まりがあるため、写真を飾ってもよいのか迷うこともあるでしょう。 本記事では、仏壇に写真を飾ることの是非や宗派による飾り方の違い、注意点などについて分かりやすく解説します。
仏壇に写真を飾るのはよくない?
毎日の供養の際に故人の顔が見られるようにするため、仏壇参りに来てくれた方に顔を見てもらうためなどの理由で仏壇に写真や遺影を飾ることを考えている方もいるでしょう。そこで気になるのが、仏壇に写真を飾ってもよいのかという問題です。以下で詳しく見ていきましょう。
一般的に仏壇に写真を飾るのはよくないとされている
結論から述べると、一般的には仏壇に写真を飾るのはあまりよくないとされています。
仏壇はご本尊やご先祖、故人の位牌などが安置された、宗教的な意味を持つ大切な場所です。一方で写真は、宗教的な意味を持っておらず仏壇の中に安置されている仏具のような拝礼の対象ではないこと、仏壇は浄土の世界を表すものであり生前の姿が分かるものを置いてはいけないことから、仏壇には飾らないほうがよいといわれています。
また、浄土の世界を表す仏壇の上に物を置いてはいけないという決まりがあるため、仏壇の内部だけでなく、真上に写真を飾ることも避けたほうがよいでしょう。また、仏壇の真正面に写真を飾ることも、写真へのお参り時に後ろを向いてしまうことになるため避けるのが無難です。
どうしても飾りたいという場合には、真上や真正面にならないよう少し位置をずらして配置するなど工夫しましょう。
宗派によって飾り方が変わる
写真は宗教的な意味合いを持たないため、仏壇の中に安置しない限りは、飾り方に厳密な決まりがないとする意見もあります。しかし、遺影写真については宗派によってより詳細に飾り方が決められている場合もあるため、自身の宗派に決まりがないか確認しておくと安心です。
宗派による遺影写真の飾り方
- 曹洞宗…南向きに安置する
- 真言宗…総本山の方向に安置する
浄土真宗では、そもそも遺影写真を必要としていないため準備の必要がありません。また、そのほかの宗派については特に飾り方に厳密な決まりはありませんが、気になる場合には場所や飾り方について菩提寺や仏具店などに相談するとよいでしょう。
仏壇の近くの写真の飾り方
仏壇の中や真上に写真を配置することはよくないとされていますが、仏壇の傍であれば問題ありません。傍に写真を置くことによって、毎日の供養の際に故人をより身近に感じられるでしょう。以下では、仏壇の近くに写真を飾りたいときの飾り方を紹介します。
ご本尊を隠さないようにする
先述の通り、仏壇の中に写真を飾ることは正式にはよくない行為とされています。しかし「よくないと分かっていてもどうしても仏壇内部に写真を飾りたい」という方は、ご本尊を隠さないように飾るのが最低限のマナーです。
また、忌日法要などで僧侶を招いてお経を読んでもらう際には、仏壇から写真を出しておくことも大切です。
鴨居に飾る
写真の中でも特に遺影写真については、四十九日法要を終えたら仏間の鴨居(かもい)に飾るのが一般的です。鴨居とは、引き戸や障子の上に位置する横木のことを言います。
昔の家では、仏間の鴨居に先祖代々の遺影写真をずらりと安置することも多かったため、記憶に残っている方もいるかもしれません。飾る場所に困ったときにはまず候補にするとよいでしょう。
仏壇前の経机や下台に飾る
仏壇のより近くに置き、供養の際にも故人の顔を見ながら手を合わせられるようにするためには、仏壇の経机(きょうづくえ)や下台(しただい)の上に写真を置くのもおすすめの方法です。
経机とは、仏壇の前に置く小さな机のことで、経本や香炉、花瓶などを置く際に使われます。また、下台は仏壇の下に位置する棚(台)のことです。
どちらも仏壇・仏具店だけでなくネットでも購入できるため、写真を飾る場所を探している方はぜひ検討してみてください。
仏壇の近くに写真を飾るときの注意点
仏壇の近くに写真を飾るときには、いくつか注意したい点があります。大切な写真や遺影を丁寧に長く飾るためにも、以下の点を事前に確認しておきましょう。
複数の故人の写真を飾るときには亡くなった順に右から飾る
特に遺影写真を飾る際の注意点ですが、複数の故人の写真を飾るときには亡くなった順に向かって右から飾ることを意識しましょう。右から順番に位が高くなること、先に亡くなった方のほうが位が高いと考えられていることが主な理由です。
万が一亡くなった順番が分からない場合には、お墓に彫られた没年月日を確認する・親族に尋ねるなどといった方法で順番を確実にしてから飾りましょう。
直射日光が当たる場所を避けて飾る
劣化を防ぐためにも、写真は直射日光が当たる場所を避けて飾るのがおすすめです。
遺影を含む写真は、たとえ宗教的な意味合いがなくても、家族・親族にとってはご先祖や故人に思いを馳せられる大切な存在であるため、日焼けや色褪せなどの劣化はできるだけ避けるよう努めましょう。
特に南向きなどに写真を配置する場合には、長時間日光が当たることが考えられます。その場合は向きを変えるか、なるべくカーテンを閉めるようにしたり、窓側に植物を置いて直射日光を遮ったりして対策を行いましょう。
万が一劣化したことを考えて、作り直しがスムーズにできるように写真をデータ化して保存しておくのも一つの方法です。また、仮に直射日光が当たって写真が劣化してしまった場合には、たとえデータが無くても業者に依頼すれば写真を修復して綺麗にしてくれることもあります。
高い位置に飾る場合は落ちないよう固定する
写真を鴨居などの高い位置に飾る場合には、落ちないようにしっかりと固定しましょう。固定をせずに置いただけでは、地震や障子を閉めたときの振動で落ちてしまうことがあります。
大切な写真を傷つけてしまったり、写真の落下によって怪我をしてしまったりすることがないよう、フックを使うなどして固定しましょう。
フックでフレームに傷がつくのを避けたい場合には、フックとフレームの間に挟むクッションがあります。「遺影 フック」などで検索するとネットでも固定道具を気軽に購入できます。
仏壇に飾るのにおすすめの写真
最後に、仏壇の近くに飾る際におすすめの写真の選び方を紹介します。普通の写真だけでなく、遺影を選ぶ際にもおすすめの選び方のため、ぜひ参考にしてください。
故人の人柄が伝わる写真
仏壇の近くに配置する写真や遺影には、故人の人柄が伝わるものを選ぶのがおすすめです。
笑顔が素敵な故人だった場合には笑顔の写真、チャームポイントの笑い皺やほくろなどがある場合にはそれらが目立つ写真、故人が好きだった帽子やアクセサリーを身に着けている写真など、故人らしさが伝わるものを選ぶと、より存在を身近に感じられるでしょう。
写真により親しみを感じられるよう、家族や親族で故人の人柄が伝わるお気に入りの写真を出し合って、その中から選ぶのもおすすめです。自然と故人の思い出話になるなど、故人を偲ぶ有意義な時間を過ごすことにもつながるでしょう。
故人の顔がはっきり分かる写真
仏壇に手をあわせる際に故人の顔を頭に浮かべながら供養ができるよう、写真は故人の顔がはっきりと分かるものを選びたいところです。
顔にピントが合わずぼやけているものや影になっているもの、小さく写っているものは避けましょう。
ただし、遺影写真であれば、写真の明るさを調節したり拡大したりする加工を行ってくれるため、あまり気にし過ぎずに写真を選びましょう。迷ったときには葬儀社に写真を見せて相談するのもよいです。
亡くなる5年以内に撮影した写真
特に遺影写真においては、亡くなる5年以内に撮影した写真が望ましいとされています。それ以前の写真が決してよくないわけではありませんが、遺影の場合には亡くなった故人の顔を思い浮かべられるよう、あまり昔の写真は選ばないようにします。
直近5年以内に故人の写真を撮っていない場合や、元気だった頃の写真が見つからない場合などには、遺影に5年以上前の写真が使われることもあります。また、遺影ではなく仏壇の近くに置く写真の場合には、5年以上前の写真でも特に問題はないため自由に選んでよいでしょう。
仏壇に写真を飾りたいときには置く位置に注意しましょう
この記事のまとめ
- 仏壇の中や真上に写真を飾ることは一般的にはよくないとされている
- 遺影写真においては、曹洞宗・真言宗の場合、飾り方に決まりがある
- どうしても仏壇の中に写真を飾る際には、ご本尊を隠さないように飾る
- 仏壇の近くに写真を飾りたいときは鴨居や経机、下台に飾る
- 仏壇の近くに写真を飾る際には、直射日光を避けるなどの注意点がある
- 写真を飾る際には故人の人柄や顔が分かるものを選ぶ
仏壇はご本尊や位牌・仏具などを飾る場所であるため、仏壇内部に写真を飾ることは一般的にはよくないとされています。ただし、諸事情からどうしても仏壇に写真を飾りたいと思った際にはご本尊を隠さない位置にしましょう。また、法要などで僧侶を招く際には仏壇から取り出しましょう。