お仏壇の最適な向きと置き場所とは?方角と置き方、注意点まで徹底解説
お仏壇を購入したものの、どのように置けばよいか分からず困っていませんか?本記事では、お仏壇の最適な向きや置き場所について解説します。推奨されている方角や置き方、仏壇を配置する際の注意点と併せて参考にしてみてください。
仏壇を置く向きの考え方
仏教では、原則仏壇を置く向きに厳密な決まりはありません。しかし、宗派によっては仏壇を配置する向きや位置が決まっている場合があります。
まずは、仏壇を置く向きに関する考え方について紹介しますので、どこに仏壇を配置するべきか迷った際は参考にしてみてください。
本山中心説
仏壇を置く向きとして、「本山中心説(ほんざんちゅうしんせつ)」という考え方があります。本山中心説では、宗派によって決まっている「本山」がある方角に仏壇を向けるという置き方です。
この方法は真言宗で採用されているもので、自宅と本山である高野山金剛峯寺がある方向によって仏壇の向きが変わるのが特徴です。地域によって仏壇の向きが異なることになるため、配置する際は注意しましょう。
南面北座説
「南面北座説(なんめんほくざせつ)」とは、君主(天子)などの位の高い人が南向きで座っていたという伝承に基づいて南向きに仏壇を置く方法です。仏壇を南向きで置くことにより、先祖や仏様を敬う気持ちを示すのが目的です。
西方浄土説
仏壇を置く向きとして、「西方浄土説(さいほうじょうどせつ)」も挙げられます。これは仏壇を東向きに置く方法で、「阿弥陀様がいる極楽浄土は、人の世から見て西の方角に存在している」という言い伝えに由来します。
仏壇を東に向けて仏様がいる西に向かって手を合わせることで、先祖や仏様を祀ります。なお、西方浄土説と同じく東向きに仏壇を置く方法として「東面西座説(とうめんせいざせつ)」も存在します。
春夏秋冬説
仏壇を置く向きとして、「春夏秋冬説(しゅんかしゅうとうせつ)」の考え方もあります。春夏秋冬説では「四つの季節はどれも人に恵みを与えてくれる大切な季節」という考えに基づき、東西南北どの方角も重要視するべきだという教えです。
そのため「この方角を向けるべき」という決まりは設けず、設置しやすい場所に仏壇を置くべきと考えられています。
十方浄土説
「十方浄土説(じっぽうじょうどせつ)」とは、どの方角にも極楽浄土があるという教えを意味します。東西南北、西北、西南、東北、東南の全ての向きに仏様がいるとする考え方で、春夏秋冬説と同じく向きを気にせずに仏壇を配置してよいとされています。
宗派別の仏壇の置き方
仏壇を置く向きに関する考え方や決まりは、宗派によって異なります。ここからは、宗派別の仏壇の向きを解説していきます。
浄土宗・浄土真宗・天台宗
浄土宗と浄土真宗、天台宗では、仏壇を東向きに置く「西方浄土説」が主体です。この三つの宗派では、本尊である阿弥陀如来様は西の方角にいると考えられています。西の方に向かってお参りができるよう、仏壇を東向きに配置します。
曹洞宗・臨済宗
曹洞宗と臨済宗では、仏壇を南向きに配置することが多いです。これは、「本尊であるお釈迦様が南向きで座って説法を説いていた」という逸話から来ています。
真言宗
真言宗では、高野山金剛峯寺がある方角に向かって仏壇を置く「本山中心説」が採用されています。本山との位置関係や部屋の方角などによって向きが異なるため、間違いのないよう注意しましょう。
日蓮宗
日蓮宗では、仏壇を置く向きに決まりが設けられていません。どの方角を向いてもよいとされているため、配置しやすい向きに仏壇を安置しましょう。
仏壇の最適な置き場所
ここからは、仏壇を置くのに向いている部屋を紹介します。以下で紹介する場所を参考にしながら、自宅のどこへ仏壇を置くか検討してみてください。
仏間
仏壇を置く場所として最適なのが、仏間です。仏間は仏壇を配置するために作られた専用の部屋です。仏間の造りや部屋の広さは家庭によって異なりますが、基本的にはどのような仏壇も置くことができるよう設計されています。
床の間
自宅に仏間がない場合は、床の間に仏壇を置くのがおすすめです。床の間とは、和室の床が一段高く作られている場所を指します。
本来は生花を飾ったり掛け軸をかけたりするために作られた場所ですが、床の間は「家の中の上座」とされていることから、仏壇を置く場所としても最適です。床の間の広さは自宅によってさまざまですので、仏壇を置けるスペースがあるか事前に採寸しておきましょう。
リビング
リビングは家族の生活の中心であるため、手を合わせてお参りしやすいのが特徴です。近年、洋風の部屋に合うようなデザインの仏壇も取り扱われているため、置き場所としても部屋の雰囲気を壊してしまう心配はないでしょう。
和室
お茶の間や居間など、家族が集まりやすい和室に仏壇を配置する家庭も多いです。和室に仏壇を置くためのスペースがない場合は、押し入れの上部やタンスの上などに上置き型の仏壇を置くとよいでしょう。
寝室
寝室に仏壇を置くことで、朝晩忘れることなく先祖に手を合わせられるでしょう。ただし、寝転んだときに足が向く方向に仏壇を置くのは先祖や仏様に対して失礼になるため、避けてください。
仏壇を置くときの注意点
仏壇を置く際は、向きや部屋以外にもいくつか注意するべきポイントがあります。こちらで解説する仏壇を置く際の注意点を参考に、仏壇の配置場所を考えてみましょう。
湿気が多い場所には置かない
仏壇は、湿気が多い場所に置かないよう注意してください。仏壇は主に木材で作られているため、湿気が多いところに置くと傷んだり変色したりする恐れがあります。
床が傾いている場所や強い光が当たる場所には置かない
床が傾いている部屋や強い光が当たるところも、仏壇の置き場所にはふさわしくありません。傾いた台や床の上に仏壇を配置すると、引き出しや扉が勝手に開閉したり、仏壇が変形したりする恐れがあります。
また、直射日光が当たったり過度な照明がある部屋に仏壇を置くと、仏壇が変色する恐れがあるため注意が必要です。
床の間の反対側に置くのは避ける
床の間は仏壇を置くのに適した部屋ですが、床の間の反対側に置くのは避けましょう。床の間は自宅の上座であるため、床の間の反対側は位の低い下座になります。先祖や仏様を祀る仏壇を下座に置くのは失礼にあたるため、注意しましょう。
神棚の真下や正面に置かない
家庭に神棚がある場合は、神棚の真下や正面は仏壇の置き場所としてはふさわしくありません。神棚の正面に仏壇を置いた場合、仏壇と神棚どちらかを拝む際、もう片方に背を向ける形になってしまいます。
また、神棚の真下に仏壇を配置すると、どちらを拝んでいるか分かりにくい状態になってしまいます。神棚を拝む際に仏壇を見下ろす形にもなるため、避けた方がよいでしょう。仏壇と神棚は、離れた部屋に配置することをおすすめします。
仏壇が目線より上にくるように置く
仏壇は、目線よりも上に来るよう配置しましょう。これは、低い位置に仏壇を置くと見下ろす形になってしまうためです。座って仏壇を拝んだり掃除したりする際、仏壇を見上げる形になるよう高さを調節しましょう。
背の低い仏壇を購入した場合は、床に直接置くのではなく高さのある置き台に乗せてください。
仏壇へのお参りの仕方
ここからは、仏壇へのお参りの仕方を解説します。仏壇は仏様や故人の魂が宿る場所であるため、正しい作法を押さえた上でお参りを行いましょう。
拝み方の手順
仏壇へのお参り方法は、基本的にどの宗派でも共通しています。
①仏壇の前で正座する
まず、仏壇の前に正座します。立ったままお参りするのは失礼にあたるため避けてください。
②お供え物をする
ご本尊に一礼した後、お供え物をします。御供花代や香典などをお供えする場合は、自分から見て表書きの文字が読めるよう向きを調整しましょう。
③ロウソクや線香に火を灯し、合掌する
次に、ロウソクや線香に火をつけて手を合わせます。この際に唱える題目は宗派によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
④一礼してから下がる
合掌後、仏壇に向かって一礼して下がります。この際、おりんを鳴らす必要はありません。
毎日朝と夜にお参りする
自宅に仏壇を置く場合、毎日朝と夜の2回お参りするのが基本です。朝は仏壇の扉を開けて、お供え物をして合掌した後に簡単な掃除をします。夜は1日の感謝を述べて合掌した後、仏壇の扉を閉めましょう。
仏壇の掃除方法
仏壇は、仏様や故人が宿る大切な場所だからこそ定期的な掃除が必要です。仏壇の掃除方法に不安がある方は、こちらで紹介する手順を参考にしてみてください。
①ご本尊や故人に挨拶する
仏壇の掃除をする前に、まずはご本尊と故人へ挨拶をします。線香をあげて手を合わせた後、掃除を始める旨を報告します。
②仏具を仏壇から取り出す
合掌後、仏具を仏壇から取り出します。慣れていないときは、掃除後に仏具の配置場所がすぐ分かるよう、あらかじめ仏壇全体の写真を撮っておくと安心です。
③仏具を掃除する
次に、取り出した仏具を掃除します。布や新聞紙を敷いた上に仏具を並べ、一つずつ丁寧に手入れしましょう。仏具によっては壊れやすかったり変色しやすかったりするものもあるため、取り扱いに注意してください。
④仏壇の中を掃除する
仏具の掃除が終わったら、仏壇の中を掃除します。ホコリを取り除いた後、柔らかい布を使って細かい部分を拭き掃除しましょう。
⑤仏具を並べ直して再度お参りする
最後に、仏具を元通りに並べ直します。元の状態に戻ったら、仏壇に手を合わせて掃除が終わった旨を伝えてください。
方角や置き方を押さえて、仏壇の配置を決めましょう
この記事のまとめ
- 仏壇を置く向きに関する考え方は複数ある
- 宗派によって推奨されている仏壇の置き方は異なる
- 仏壇は、仏間や床の間、リビング、和室、寝室に置くのがおすすめ
- 湿気が多い場所や強い光が当たる場所には置かない
- 床の間の反対側や、神棚の真下・正面に置くのは避ける
仏壇を置く向きには、「本山中心説」や「春夏秋冬説」などさまざまな考え方があり、宗派によって置き方も異なります。また、仏壇は湿度の高い場所や直射日光が当たる場所などには置かず、仏間や床の間、リビングなどに置くのがおすすめです。
本記事で紹介した仏壇の置き方を参考に自身の宗派に合わせた置き方で仏壇を配置し、仏様や故人を拝みましょう。