お布施袋(封筒)の入れ方講座!お札の向きや選び方などを解説
「お布施」は、葬儀や法要のときなどに僧侶に渡すお礼です。お金を封筒に入れて渡しますが、お布施の入れ方にはマナーがあります。本記事では、お札の向きや封筒の選び方など、お布施の入れ方について紹介します。ぜひ参考にしてください。
お布施とは
「お布施」とは、葬儀や法要のときなどに喪主または遺族が僧侶に読経や戒名の授与などのお礼として渡す金銭のことです。仏教においてお布施とは仏道修行のひとつで、「自分のものを無条件で他人に与える」といった意味があります。
昔は感謝の気持ちを込めて精いっぱいの金額を包んでいましたが、現在はお布施の相場が決まっており、お通夜・葬儀の場合は10万円~35万円です。またお寺によっては金額を決めている場合もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
お布施は報酬ではなく感謝の意を表して寄付するものであるため、僧侶の懐に入るのではなく寺院の修繕費や行事などに使われます。
基本的なお布施の入れ方
僧侶へのお礼として渡すお布施の入れ方には、いくつかの決まりやマナーがあります。ここからは、基本的なお布施の入れ方について解説します。
お布施の入れ方①新札を用意する
お布施の入れ方のマナーの一つが、できるだけ新札を用意することです。
香典(不祝儀)の場合は、予期せぬ突然の訃報で用意ができなかったという意味を込め、折り目の入った古札を使います。しかしお布施は感謝の気持ちを込めたお礼として事前に準備するものであるため、新札を用意するのが一般的です。
お布施の入れ方②封筒の表側に名前と「お布施」の文字を書く
仏教の葬儀や法要などで渡すお布施の封筒の表側には、中央上部に表書きとして「お布施」または「御布施」の文字を縦書きで書きます。ボールペンやサインペンではなく、毛筆や筆ペンで書きましょう。
香典のときは「悲しみの涙で薄くなってしまった」ことを想起させるよう薄墨を使用しますが、お布施の場合は濃い黒墨で書きます。毛筆や筆ペンに慣れていないという方は、お布施の文字が印刷された封筒も販売されていますので、そちらを用意してもよいでしょう。
表側の中央下部には、喪主または施主の名前を書きます。喪主・施主のフルネーム、または「田中家」「田中」のように苗字を書くのが一般的です。
お布施の入れ方③封筒の裏面に宛名・金額を書く
お布施の封筒の裏面には、施主・喪主の住所と包んだ金額を書くのが入れ方のマナーです。左下に郵便番号・住所・金額の順で記入します。
封筒に中袋がある場合は、中袋の表面に包んだ金額を、裏面の左下に喪主・施主の住所・氏名を書き、外袋の裏面には何も記入しなくて構いません。
金額の数字の書き方は、下記の漢数字を使用します。また、金額の最後には「也」と添えるのを忘れないでください。例えばお布施として10万円包んだのであれば、「金壱拾萬圓也」と記します。
漢数字の旧漢字・書き方 | |||
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1→壱 | |||
2→弐 | |||
3→参 | |||
5→伍 | |||
10→拾 | |||
千→阡 | |||
万→萬 |
お布施の入れ方④お札の肖像が表になるようにそろえる
お布施の封筒のお札の入れ方は、肖像が表になるように向きをそろえます。香典のときのお札の入れ方は、悲しみを表現するために肖像画が裏向きになるように入れます。
お布施は僧侶への感謝の気持ちを包むものですので、肖像画が裏側の状態で入れないよう注意しましょう。
お布施の入れ方⑤肖像が上になるように封筒に入れる
お札の向きを表にそろえたら、封筒の表面に対して肖像が表側・上向きになるように封筒に入れます。封筒からお札を出したときに、肖像が見えるようにするのが入れ方のマナーです。
お札が表になっていても肖像がそろっていなかったり角がずれていたりすると、丁寧さに欠ける印象を与えてしまうため注意しましょう。
お布施を「奉書紙」で包む丁寧な入れ方
お布施は白い封筒に入れるのが一般的ですが、仏教の法要では「奉書紙」に包む入れ方が正式なマナーです。ここでは、奉書紙を使う場合のお布施の入れ方を解説します。
お布施の入れ方①新札の向きをそろえ半紙で包む(中包み)
お布施を奉書紙へ入れるには、まずお札の向きをそろえて半紙(中包み)で包みます。少し斜めにした半紙の上にお札の肖像が上になるように縦向きに置き、半紙の上下を折りましょう。次に左側に沿わせてお札が隠れるように半紙を折り、右側を折り込んでください。
お布施の入れ方②中包みに宛名と金額を書く
次に、お札を包んだ中包みに喪主・施主の氏名・住所と金額を記入しましょう。中包みの金額の書き方は封筒にお布施を入れる場合とは異なり、表側に漢数字で記入します。喪主・施主の氏名、住所は、裏面に書きましょう。墨の裏抜けが心配な場合は、一度お札を取り出してから記入すると安心です。
お布施の入れ方③奉書紙で包む(外包み)
お布施を入れた中包みを奉書紙(外包み)で包みます。お布施の入れ方は、まず奉書紙を縦向きにして、中央より少し左側に中包みを置きます。次に中包みを包むように、左側を折ってください。続いて、右、下、上の順で折り込みます。
お布施の入れ方④袱紗(ふくさ)に包む
お布施を包んだ奉書紙や封筒は、袱紗に包んで持参するのがマナーです。袱紗には爪付き袱紗、台付き袱紗などの種類があり、それぞれの入れ方があります。お布施を包む場合、ポケットタイプの「金封袱紗」が扱いやすく人気です。
金封袱紗にお布施を入れる向きは、開きが左になるようにしてください。右開きは慶事の際に入れる向きであるため、間違えないよう注意しましょう。また弔事用の袱紗の色は、紫、緑、紺などです。新しく用意する場合は、慶事でも使える紫がおすすめです。
お布施を僧侶に手渡すときにはそのままではなく、袱紗から取り出し切手盆に載せます。このとき僧侶がお布施の文字を読めるよう、向きを整えるのを忘れないでください。
お布施を入れる封筒の選び方
お布施は入れ方だけでなく、包む封筒もいくつかの種類があります。ここからは、お布施を包む封筒の選び方について解説します。
どのような法要でも使える「厚手の白封筒」
お布施を包む封筒で一般的なものは、「厚手の白封筒」になります。選び方のポイントは、厚手であることです。お札を入れたときに、透けて見えることのないようにしましょう。また郵便番号を書く欄がある封筒は、お布施に相応しくないため注意してください。
水引付きの封筒は、故人を供養するという意味があるため、僧侶へのお礼であるお布施にはふさわしくありません。しかし地域によっては、水引が付いたものを使う場合もあるため、念のため確認しておくとよいでしょう。
関西で選ばれることの多い「黄白の水引封筒」
お布施の入れ方は白封筒が一般的ですが、関西では黄白の水引封筒を使う場合があります。黄白の水引封筒を使うのは、金額が1万円~5万円の場合です。黄白の水引封筒は、お布施だけでなく一周忌以降の法要でも使われています。京都ではお通夜や葬儀の香典にも黒白の水引を使わないことが多く、黄白の水引を使うのが一般的です。
金額が多い場合は「双銀の水引封筒」
お布施の金額が多い場合には、双銀の水引封筒を使いましょう。双銀の水引封筒は、5万円以上にのぼる金額に用いられます。また、金額を問わず地域の慣習や格式高い寺院に渡す場合などに、双銀の水引封筒が選ばれることもあります。双銀の水引封筒を選ぶべきか迷った場合は、周囲の方や寺院に相談しておくと安心です。
お布施の入れ方に関する注意点
お布施には、入れ方や書き方以外にもいくつかの注意点がありますので、、失礼にならないよう僧侶に手渡せるようにしておきましょう。
お通夜や葬儀に使う「黒白の水引封筒」は避ける
黒白の水引封筒はお通夜や葬儀で使うものですので、お布施に使うのは避けてください。お布施は白い封筒や奉書紙に入れるのが一般的ですが、お布施の金額が多い場合や地域や家庭によっては水引封筒を使うこともあります。水引封筒の場合、黒白ではなく黄白や双銀のものを選ぶのがマナーです。
縁起の悪い「二重封筒」を避ける
「二重封筒」を避けるのも、お布施の入れ方のマナーです。二重封筒は「不幸ごとが重なる」と連想されるため、弔事において縁起がよくありません。お布施にはお札が透けない白い封筒がおすすめですが、二重のものは避け厚手のものを選ぶようにしてください。
戒名料・お車料などは別に包む
戒名料やお車料、御膳料などは、お布施とは別に包んで渡すのが一般的です。僧侶に戒名をつけてもらったときに渡すのが戒名料、自宅や式場などに出張していただいたときに渡すのがお車料、法要後の会食に僧侶が参加しないときに渡すのが御膳料になります。
一般的には別々に包みますが、地域の慣習や寺院によっては戒名料などをまとめる場合もあります。心配な場合は、周囲の方や寺院に確認しておくとよいでしょう。
僧侶に渡すときは「切手盆」に乗せる
僧侶にお布施を渡すときには、そのままではなく「切手盆」に乗せます。切手盆とは、冠婚葬祭で使われる長方形のお盆です。切手盆は、袱紗と併せて使うのが正式なマナーになります。
まず切手盆の上に、袱紗から出したお布施の表書きの文字を自分が読める向きに置き、お布施を渡すときに文字の向きを僧侶の方に向け、お礼を述べながら渡しましょう。
切手盆の使い方は、地域や寺院によって違う場合もあります。迷った際は、あらかじめ周囲の方や寺院に確認しておきましょう。
お布施の正しい入れ方を知って僧侶に感謝の気持ちを伝えよう
この記事のまとめ
- お布施とは、葬儀や法要のときに僧侶にお礼として渡す金銭のことをいう
- お布施は綺麗なお札を用意して、向きをそろえて入れる
- 「奉書紙」で包むのが正式な入れ方
- 一般的には「白い厚手の封筒」が選ばれるが、地域や寺院によって違う場合もある
- 縁起の悪い「二重封筒」を避けたり、切手盆に乗せて渡す
お布施は、僧侶への感謝の気持ちを形にしたものです。お布施の入れ方には、白い厚手の封筒や奉書紙に包むなど、いくつかの決まりがあります。お布施の入れ方を把握して、僧侶に失礼のないよう渡しましょう。