危篤とは?家族がするべき準備|必要な対応や連絡、手続き、費用などを解説
大切な人が危篤状態になった際、気が動転して何をすべきか分からなくなる方は少なくありません。危篤の連絡から葬儀までの流れ、必要な手続き、葬儀費用やお布施といった準備事項まで、いざという時に慌てないための全てを解説します。
危篤とはどのような状態?
「危篤(きとく)」とは、患者の回復が見込めないと医者が診断した状態のことを指します。どのような状態か、明確に基準が決められているわけではなく、それぞれの医師の判断に委ねられます。また、危篤が告げられたといっても、緊急性が高いかどうか、臨終までの時間は人によってさまざまです。危篤が告げられた当日中に亡くなる方もいれば、数ヵ月間持ち堪える場合もあります。
危篤と重篤・重体の意味の違い
危篤とは、回復の見込みが極めて低く、死期が切迫している状態を指す医療用語です。似た言葉に「重篤」や「重体」があります。
「重篤(じゅうとく)」は生命に関わる重大な症状ですが、少なからず回復の可能性がある場合に使われます。
一方で「重体(じゅうたい)」はケガや病気が命に関わる可能性があるものの、危篤ほど死が差し迫っていない状態を指します。状況を正しく理解し、医師からの宣告を落ち着いて受け止めることが大切です。
危篤・重篤を使った例文
医師から告げられる病状によって、ご家族が取るべき対応は異なります。状況を正確に把握するためにも、以下の例文を参考にしてください。
「危篤」を用いた例文としては、「医師から父が危篤であると告げられたため、急いで親族に連絡を入れた」などが挙げられます。これは死期が差し迫り、一刻を争う状況を指します。
一方で「重篤」は、「予断を許さない重篤な状態が続いているが、回復を信じて見守る」といった使い方をします。重篤は生命の危機にありつつも、回復の可能性が残されている段階で使われる言葉です。それぞれの言葉が持つ緊急性の度合いを理解し、周囲への連絡や心の準備に役立ててください。
危篤が意味する具体的な症状と定義
危篤は、回復の見込みがなく、いつ亡くなってもおかしくない状態を指す言葉です。具体的な症状としては、意識が混濁する、呼吸が弱く浅くなる、血圧が極端に低下するといった変化が現れます。
ご家族にとっては本人が人生最大の山を迎えていることを意味し、心の準備をするべき段階です。
医師がこれらの状態を総合的に判断して宣告しますが、最後まで声は届くと言われています。
呼びかけに反応しなくなることもありますが、聴覚は最後まで残るとされています。これまでの感謝の気持ちなどを伝えてあげるとよいでしょう。
危篤状態が続く期間の目安と回復の可能性
危篤状態が何日続くかは、患者の年齢や体力、病状によって異なり、明確な期間の目安はありません。数時間や半日で急変することもあれば、一時的に小康状態となり数日間持ちこたえる場合もあります。
また、危篤と宣告された後に奇跡的に容態が回復する可能性もゼロではありません。
どのような状況になっても対応できるように、交代で付き添って休憩を取るなど、ご家族自身の体調管理にも気を配りながら過ごすことが大切です。
危篤の際の心構え
大切な人の危篤の知らせを受けると、心にかなりのストレスがかかってしまいます。覚悟を決めていたつもりでも、平常心を保つのは難しく、気が動転したり取り乱してしまったりすることがほとんどです。危篤時に落ち着いて対応するためには、あなた自身の心のケアも欠かせません。そこでここからは、危篤の知らせを受けた際の心構えについて紹介していきます。
まずは気持ちを落ち着ける
医師から危篤の知らせを受けたら、まずは気持ちを落ち着けることが大切です。気が動転したままでは、その後の対応にミスが出る可能性があるためです。「自分は大丈夫」と思っていても、普段とは異なる非常時に心は緊張を感じています。「私は冷静だからきちんと対応できる」と思い込むのは避け、大きく深呼吸するなどして気持ちを落ち着けましょう。
自分の心の反応を受け入れる
大切な人の危篤の知らせを受けるのは、精神的に大きなストレスがかかります。危篤の知らせを受けてパニックになってしまったり、不安で泣いたりする方もいるでしょう。どのような感情を抱いたとしても、そういった心の反応を受け止めてあげることも大切です。
「泣くべきではない」「私がしっかりしないと」と心の反応を押さえ込んでしまうと、さらにストレスが大きくなってしまう恐れがあります。心の声を聞いて感情を出すことは、大切な人の危篤を受け入れる上で必要だといわれています。しっかり自分の心と向き合った上で、気持ちを落ち着かせていきましょう。
家族と助け合う
危篤の知らせを受けたときは、家族と助け合うという気持ちも大切です。周りにいる家族と助け合うことで、大切な人の危篤を受け止めやすくなります。ひとりで抱え込まずに家族と協力し、危篤という非常時を乗り切りましょう。
また、同じ家族であっても危篤の知らせに対する反応は人それぞれで、冷静になる人もいれば泣き崩れてしまう方もいるでしょう。周りの家族の反応をたしなめたり叱責したりするのは避けてください。
危篤に駆けつける際の持ち物
大切な人の危篤の知らせを受けたら、すぐに病院へ自宅へ駆けつける必要があります。ここからは、危篤時に駆けつける際の持ち物を紹介します。
携帯電話
病院へ駆けつける際は、携帯電話を持参してください。携帯電話がないと、他の家族や親戚、葬儀関係者などへの連絡が遅れてしまう恐れがあります。連絡のためだけでなく、調べ物をする際にも携帯電話は必須であるため、忘れないようにしましょう。
充電器
病院へ駆けつける際は、携帯電話の充電器やモバイルバッテリーも忘れないようにしましょう。先述した通り、危篤状態から息を引き取るまでの時間は、人によってさまざまです。危篤を宣告されて数日間持ち堪えこたえた場合、その間に携帯電話の充電が切れてしまうことがあります。
いざというときに十分な充電がなく、連絡が出来ない事態を防ぐためにも、必ず充電器も持っていきましょう。
宿泊セット
危篤の知らせを受けて病院に駆けつける際は、宿泊セットを持っていくようにしてください。危篤を宣告されたからといっても、すぐに息を引き取るとは限りません。危篤状態になってから数日間持ち堪える方も多いです。
何度も自宅と病院を往復することにならないよう、着替えや化粧品、歯磨きセットといった宿泊用のアイテムは準備しておきましょう。事前にこれらのセットをまとめて準備しておくと病院に滞在もできるため、いざというときすぐに大切な人の元へ駆けつけられます。
危篤の際にまず必要な対応
危篤の知らせを受けた時には、その後に向けて必要な対応と段取りを考えなければなりません。ここからは、いざというときに慌てなくてすむように、危篤の際の対応について解説します。
親族や親しい人に連絡する
危篤の知らせを受けたら、親族や親しい友人に連絡を入れてください。危篤から臨終までの時間は人によって異なりますが、顔を合わせる最期のチャンスになる場合があります。親族や親しい人たちに後悔が残らないよう、なるべく早めに連絡を入れることをおすすめします。
危篤の知らせを入れるのは、3親等以内とされています。3親等以内とは、危篤の方の子供や兄弟姉妹、叔父叔母、甥や姪、孫といった方が該当します。3親等の親族ではなくても、危篤の宣告を受けた人と深いつながりがあった人には、連絡を入れておきましょう。
危篤の連絡をする際に伝える内容
親族や関係者へ危篤の知らせを入れる際は、必要な情報を簡潔かつ正確に伝えることが重要です。誰が危篤なのかという対象者の名前に加え、入院している病院名と病室、病院の住所やアクセス方法を伝えましょう。
また、いつまでに駆けつけてほしいかという面会の目安や、連絡がつかなくなった時のために自分自身の携帯電話番号もあわせて共有しておくと安心です。
気が動転しやすい非常時だからこそ、事前に伝えるべき内容をメモしておくとスムーズです。
職場に連絡する
仕事を休むことになる場合は、早めに職場へ連絡を入れましょう。当人の容体に関して詳しく言及する必要はなく、「親が危篤状態のため、仕事をお休みさせていただきます」と伝えれば問題ありません。
緊急性の高い内容は、電話での連絡が望ましいですが、時間帯が遅かったり電話が通じなかったりする場合は、メールやSNSでの連絡でも構いません。ただし、勤務先の人がメールやSNSの通知を確認しない可能性もあるため、改めて電話で連絡を入れるようにすると安心です。
会社へ危篤を連絡する際の例文と休暇
ご家族の危篤を会社へ連絡する際は、緊急性を考慮してまずは電話で直属の上司に伝えるのが一般的です。「母が危篤状態に陥り、病院へ向かうため数日間お休みをいただきます」と状況を端的に伝えましょう。
早朝や深夜の場合はメールを活用し、後ほど電話でフォローします。なお、危篤時に取得できる法的な忌引き休暇の制度はないため、有給休暇や会社の規定に基づく介護休暇などを利用します。上司と相談し、休みの期間を調整することになります。
自宅で危篤となった場合の対応
病院ではなく自宅で療養している方が危篤状態に陥ることもあります。その場合は、まずかかりつけの在宅医や訪問看護師へ連絡し、指示を仰ぎましょう。
慌てて救急車を呼んでしまうと、蘇生措置が開始されたり、警察による事情聴取や検視が行われたりする場合があります。
ご本人やご家族が延命治療を望まず、穏やかな最期を迎えたいと希望されている場合は、救急車ではなく在宅医に連絡して適切に看取ることが重要です。
現金を準備しておく
危篤の連絡を受けた際は、まとまった現金の用意を検討することも重要です。臨終後には葬儀の準備、病院の費用、交通費など、想定を上回る出費が生じることがあります。事前に一定額の現金を準備しておくことで、これらの支払いに対応しやすくなるでしょう。
また、故人の銀行口座は逝去後すぐに凍結されることがあり、口座からの引き出しができなくなります。凍結された口座から資金を引き出すには、多くの時間と手続きを要する場合があります。そのため、現在危篤状態にある方の口座から葬儀や病院の費用を調達する必要がある場合は、早めに対処することが賢明です。
宗教関係者へ連絡する
亡くなってしまう場合に備え、宗教関係者への連絡もしておきましょう。日頃からお世話になっている菩提寺がある場合は、そのお寺院に対して身内が危篤になったことを伝えてください。前もってどんな状態か、状況を説明しておけば、臨終後すぐに対応してもらいやすくなります。
葬儀社を決める
危篤の知らせを受けたら、亡くなってしまう場合のことを考えて葬儀社を決めておきましょう。臨終後はさまざまな手続きに追われてかなり慌ただしくなるため、臨終後に葬儀社を探すのは大変です。前もって葬儀社を選んでピックアップしておくだけでも今後の対応がかなり楽になり、より希望に合った葬儀社が見つかる可能性も高まるでしょう。
また、葬儀社を決めるにあたり、葬儀内容や葬儀場についても検討しておきましょう。臨終後の葬儀の打ち合わせでは、短時間で多くのことを話し合う必要があります。よく検討せずに葬儀をについて決めてしまうと、後から後悔することになりかねないため注意が必要です。
危篤時に準備するべき費用
危篤の際は現金を準備する必要があると先述しましたが、具体的にどのような費用がかかるのでしょうか。ここからは、危篤の際に準備しておくべき費用の内訳を解説していきます。用意する金額の参考にしてください。
病院への支払い費用
危篤の際は、病院への支払い費用を準備しておきましょう。入院していた期間が長いほど、費用は高額になります。どのくらいの金額を用意するべきか分からない場合は、あらかじめ病院へ確認しておくと安心です。
遺体輸送費
遺体輸送費とは、臨終後に故人を自宅や葬儀場の安置場所などに運ぶ際にかかる費用のことです。人が亡くなった後は、ご遺体をそのまま病院に置くことはできません。遺体輸送費は、病院から安置場所までの距離によって変わるため、葬儀社のスタッフなどに確認しておくとよいでしょう。
葬儀費用
危篤の際には、葬儀費用を準備しておきましょう。葬儀の規模や形式によって費用は大きく異なります。葬儀一式の全国平均費用は約131.9万円とされており、大規模な葬儀では300万円以上かかる場合もあります。そのため、前もってまとまったお金を準備しておくと良いでしょう。
お布施
お布施とは、仏教でお通夜や葬儀を執り行う僧侶に対して渡す金銭のことです。金額は宗教や慣習によって大きく異なりますが、全国平均は約23万円という調査結果や、10万円〜50万円程度という情報も見受けられます。戒名の位が高いものになる場合は、お布施の金額も上がる傾向があります。なお、僧侶へのお布施は現金で準備するのが一般的であるため、まとまった額を用意しておくと良いでしょう。
心付け
心付けとは、お通夜や葬儀の手伝いを依頼した方へ、御礼として渡すお金のことです。地域によって心付けに渡す相場は大きく異なるため、事情に詳しい近所の方や葬儀社のスタッフに相談しておくと安心です。
危篤から葬儀までの流れ
危篤から葬儀までは、短時間でさまざまな手続きをしなくてはならず、かなり慌ただしくなります。そこでここからは、危篤から葬儀までの大まかな流れを解説します。どのような対応が必要なのか、事前にしっかりと把握しておきましょう。
危篤・臨終
危篤状態にあった人が臨終を迎えると、医師によって死亡が確認された後に死亡診断書が渡されます。死亡診断書は、死亡届の提出やご遺体の搬送などに必要となる重要な書類のため、失くさないよう注意しましょう。
遺体を搬送する
ご遺体は病院で安置しておくことができないため、自宅や葬儀場などに搬送する必要があります。遺体搬送の業者か葬儀社に連絡して、ご遺体を搬送してもらいましょう。また、病院から提携している葬儀社を紹介してもらうことも可能です。どこに依頼するべきか分からない方は相談してみてください。
遺体を霊安室や自宅に安置する
ご遺体を搬送したら、自宅や葬儀場の霊安室などに安置します。ご遺体を安置する作業は、専門の業者や葬儀社のスタッフが担当します。
葬儀の打ち合わせを行う
ご遺体を安置した後は、葬儀社と葬儀内容についての打ち合わせを行います。打ち合わせでは葬儀の規模や日程、返礼品や棺の手配など、さまざまなことを決める必要があります。葬儀に関する希望や疑問がある場合は、このときにスタッフへ伝えるようにしましょう。
葬儀の打ち合わせで決めること
- お通夜や葬儀の日時
- 葬儀の規模と形式
- 葬儀を執り行う場所
- 喪主の決定
- 菩提寺の確認
- 返礼品、祭壇、骨壷、料理など葬儀に必要なサービスの決定
- 受付係など、手伝いに必要な人数
納棺を行う
お通夜の前には、納棺という儀式を行います。納棺とは、故人の体を清めて思い出の品などを棺に入れ、旅立ちへ向けた支度を整える儀式です。直接故人に触れてお別れをする最後の機会となっており、身近な人や親族が集まって行われます。儀式で行う内容にもよりますが、納棺には30分〜2時間ほどかかります。
お通夜・葬儀を行う
お通夜や葬儀では、僧侶による読経や参列者、ご遺族による焼香が行われ、故人の冥福を祈ります。お通夜の後には、参列者や僧侶をもてなす「通夜振る舞い」が行われることもあります。また、葬儀が終わった後は、遺族は故人と共に火葬場へ移動します。
ご臨終から葬儀までに必要な手続き
危篤の宣告を受けた後、万が一ご臨終となった場合は、葬儀の前までに書類上の手続きがいくつか必要になります。書類の手続きが抜けていると葬儀や火葬が執り行えなくなるため、ここから紹介する必要な手続きを確認して不備がないようにしましょう。
死亡診断書を受け取り、役所へ提出する
故人のご臨終後、医師から死亡診断書を受け取ったら、七日以内(葬儀が営まれる前日まで)に役所へ提出する必要があります。必要事項を記入した後、役所の窓口へ届けましょう。この手続きは葬儀社のスタッフに代行してもらうことも可能なため、余裕がないときは代行を依頼するのがおすすめです。
火葬許可証を記入・提出する
死亡届が受理されると、火葬許可証が発行されます。火葬許可証とは故人を火葬するために必要な書類で、これがないと火葬が行えません。火葬時だけでなく、納骨の際も必要になるため、失くさないよう注意してください。
危篤時の準備事項や流れを踏まえ、落ち着いて対応しましょう
この記事のまとめ
- 危篤とは、患者の回復が見込めないと医師が判断した状態
- 危篤の際は心の反応を受け入れつつ、気持ちを落ち着けることが大切
- 病院へ駆けつける際は、携帯電話・充電器・宿泊セットを持参する
- 危篤の際は親族、関係者への連絡や葬儀社の検討など、必要な対応がある
- 病院への支払いや葬儀のため、ある程度の現金を準備しておく
- ご臨終から葬儀までに、死亡診断書の提出と火葬許可証の受領が必要
大切な人が危篤状態になった際は、さまざまな手続きや検討事項があります。いざというときに落ち着いて対応できるよう、準備するべきものや葬儀までの流れを把握しておくことが大切です。今回紹介した準備事項や流れを踏まえて、慌てずにしっかりと対処しましょう。